【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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更新遅れてごめんなさい
時間が足りないんですよ、皆でT社の巣に引っ越しませんか?

あと単純に化学の抜き打ちテストで死にました。
超臨界流体で覚えてる時代の人なので超臨界状態を知らない。
単位が…あまりにも…!ぬわーーーーっっ!!


第56話

 

 

 

ロドスアイランド号が龍門を離れ、2週間…。

カポネや新入りのガンビーノ、昇格したばかりの(テルツォ)を連れ、レイホンはシラクーザへと向かっていた。

ファウストとメフィスト、都市から共に来た部下たちには龍門の管理を頼み、何かあった場合はロドス経由で連絡が来るようになっている。

ロドスからも何人かオペレーターが来るようで、ドクター曰く「今手を打っておくと、将来役に立つ。」らしい。どうやら新しい支部を作るようで、ロドス内部はいつもより騒がしい。

 

ウィーン…。

 

「レイホンさん、訓練の時間ですよ。」

 

扉が開き、アーミヤの声が聞こえる。

少しのリハビリを終えた今、体調は安定しているようだ。

 

「アーミヤの嬢ちゃんか。暇やったから丁度ええわ、今日は誰が来るんや? 昨日戦ったエーギルの奴は良かったで。あと、ヴィーヴルやったか?盾持った嬢ちゃんは強かったなぁ。」

 

「ソーンズさんとサリアさんですね、えぇと…今日も二人共訓練を志願していますね。」

 

「よっしゃ、気分乗ってきたわ、悪いけど案内頼むで。」

 

「はい、分かりました。」

 

苦笑し、ドクターに渡すのであろう書類が入ったファイルを持つアーミヤの後を追う。

未だに場所を覚えられないほど広い、ロドス・アイランド号。

医務室や執務室など、覚えておかなければならない場所は把握したが、それ以外は全くだった。

 

通り過ぎる時、会釈をしていくオペレーターや職員たち。

彼らを見るたびに都市からの部下ではなく、新しく入った者を連れてきてよかったと思った。

 

「それにしても、随分強い奴ばっか集めとるようやな?」

 

「ドクターとケルシー先生の意見で、レイホンさんにはエリートオペレーターかS.W.E.E.P.の皆さん、ドクターが選んだ精鋭の方、力も権力も持っている者のみを会わせるということなって…。」

 

アーミヤは再び苦笑し、そう言った。

通りでここ最近共に訓練している相手が強いわけだ、納得する。

血の鎌を生み出し、操り、高速回転させるブラッドブルード(エンテレケイア)

やけにレイホンを注意深く見つめ、気配を絶ち、連撃を放つヴァルポ(ウルピスフォリア)

神経毒を扱いながら、本人は冷静ながらも前に出て激しく前へ出られるエーギル(ソーンズ)

盾を弾き飛ばした瞬間、迷わず拳を構えレイホンを殴り飛ばしたヴィーヴル(サリア)

今の所戦ったのはこの4人だが、ドクターの指揮下にある行動隊にはあと9人いるらしい。

 

「本当は、レイホンさんには新人オペレーターへの指導をお願いしたかったのですが…。残念なことに、却下されてしまいました。」

 

「フェンの嬢ちゃんらに会うてへんかったら、ロドスと協力できたかも分からんからなぁ…。なんか教えたろ思っとったけど、そんならしゃあないか。」

 

「えっ。」

 

少女の声が聞こえた気がした。

辺りを見渡すが、職員と色々と指示を出しているオペレーターしかいない。

白衣の隙間から見えた、青色の尻尾は気のせいだろう。

 

「レイホンさんから何か指摘したいことがあれば、私に言ってくださいね。」

 

そう言われ、考える。

訓練室は共同の場である以上、アーミヤの言った力も権力もあるオペレーター達だけではない。

記憶を掘り出し、一つ思い出した。

 

「グムっちゅうオペレーターおるやろ? 盾持っとるやつ。アイツ、攻撃する時動きが固くなんの気付いとるか?」

 

「グムさんは…ジュナー教官が担当ですね。いえ、備考には何も…。」

 

「気の所為やないから伝えとき、変な癖つくと将来苦労するってな。」

 

「ええ、分かりました。」

 

資料の端に、胸ポケットから取り出したペンでメモをするアーミヤ。

その後ろを付いていくと、ようやく訓練室に着く。

いつもよりも一段と人が多く、そこではソーンズとサリアが準備運動をしていた。

ソーンズはこちらに気付くと運動を止め、歩み寄ってくる。

 

「レイホン。昨日の反省点を踏まえ、お前の威力を考慮した戦闘方法を計算した。今日はお前を楽しませられるだろう。」

 

「はっ、楽しみにしとくわ。計算じゃ測れんモン見せたるさかい、覚悟しとけや。」

 

サリアも訓練用の盾を持ち、近付いてくる。

 

「お前は盾を捨て、拳を握った方が強いと言ったが…私は盾を持ち続けよう。目の前で失うものを無くすのが、今の私の役目だからな。」

 

「さよか。昨日の一撃は久々に痺れたんやけどな。——— アーミヤの嬢ちゃんに審判してもらおか。」

 

辺りのオペレーターや職員がざわつき、壁に掛けられたボードに磁石の札が貼られていく。どちらが勝つか、ここ最近の娯楽にもなっているらしい。

アーミヤとドクターの公認であり、ケルシーも黙認しているとの事だ。

 

あるオペレーターが訓練用の朴刀をレイホンへ差し出し、それを受け取る。

軽く振り、一度だけ大きく振り下ろす。

 

ゴウッ!

 

威圧代わりの素振り。

刃が潰れているとはいえ、今のような一撃を喰らえば只では済まない。馬鹿にだって分かるだろう。

正面に立つソーンズは、何かを考えているのかぼーっとしている。

盾を構え、突撃姿勢と防御体制が半々の状態のサリアは朴刀を睨みつけている。

昨日は二人で同時に来たが、今日は一人ずつのようだ。

 

「では…始め!」

 

「今日もその盾弾き飛ばしたるから、覚悟しぃ!」

 

「舐めるな!二度同じ過ちは犯さない!」

 

一応模擬戦ではあるため、(シン)(マン)も未使用だ。

サリアへ朴刀を振り上げながら飛びかかり、着地と同時に振り下ろす。

 

ガァン!!!

 

「隙だらけだ!」

 

「隙をつくんやったら、もう少しはよ攻撃するんやったな!」

 

初撃は半透明の盾に防がれた。

衝撃で互いに半歩退き、振り抜いた状態で硬直するレイホンの体を吹き飛ばそうと盾が迫る。

後隙を力で消し、盾を下から切り上げると、盾はレイホンから天井へと向く方向を変える。

盾を持つ相手に、朴刀を振り抜こうとして一歩飛び退いた。

 

「今のに気付くとは、まだ計算が足りなかったか。」

 

「何回()っても思うんやけど、訓練でそれ(神経毒)使ってええんかぁ!?」

 

「致死性のものではない。戦闘に使うものを更に薄めたやつだ、問題はない。」

 

絶好のチャンスは、ソーンズの薬物投擲によって阻まれる。

訓練用の剣は薄い黄色に染まっており、床に滴る液体が徐々に気化し始めているのか、彼の周りも黄色に染まり始めていた。

 

「よそ見している!暇が!あるのか!?」

 

「忘れるわけないやろ、フンッ!」

 

始め、両手で持っていた盾を片手持ちに切り替えたサリアの連撃。

執拗に正中線の弱点を狙ってくるのは女性としてどうなのかと思うが、勝ちに貪欲なのは伝わってくる。

一撃でも掠れば弾かれ、顎を打ち抜かれれば意識が飛ぶだろう。

 

「これならどうや?チャア!!!」

 

「くっ!——— うわっ!?」

 

カァァン!!!

 

受け流し、時折間を縫って飛んでくる毒液を躱しつつ再び大きく振り抜く。

今度は右から左への一閃。

盾から手は離さなかったが、先程と比べて大きな隙になる。

飛んでくる毒液を屈んで避け、足を刈って転ばせ、尻餅をついたサリアから盾を奪って次の毒液を防いだ。

 

「サリアさんは模擬戦の範囲からすぐに離れてくださいね!」

 

「分かっている!」

 

アーミヤが声を上げ、サリアが悔しさの滲んだ声で返事をする。

盾を放り投げ、朴刀を模擬戦の始まるときと同じように大きく振り抜いた。

 

「すぐ終わらせたるわ。」

 

「やってみるといい。」

 

チィン!キン!キン!キン!

 

その返事と共に、距離を詰めて袈裟懸けの一振り。

そう来ると分かっていたかのように受け流され、半歩退きつつ突きを放ってくる。

毒液に塗れた剣を避け、ただ乱暴に振り回してみるがどれも半歩退きつつ受け流され、突きや縦斬りなどの攻撃で返される。

 

「思うてたより耐えるなぁ。どこまで受けれるか試したるわ!」

 

「来い、力尽きるまで相手をしてやる。」

 

足払いをしてみるが、軽く跳躍され毒液が飛んできた。

掴み技はまず届く範囲に入ってこない。常に独特の間合いをキープしており、詰めようとすると反撃しつつ後ろに下がる。

跳躍からの振り下ろしは論外だろう。天退星刀ならまだしも、この訓練用朴刀でやれば返しの一撃をモロに食らうことになる。

 

「ほんなら…ちっと本気で振るうかい、気ぃつけや!」

 

首を狙って、右から左へと一振り。

受け流され、放たれる反撃が来るよりも速く、全身に力を込めて振りかぶって一振り。

ギリギリ受け流されるが、再び振りかぶって一振り。

 

三回目の攻撃で、遂に攻撃を受け流せず(回避から)剣で受ける形(防御)になった。

その衝撃を少年の体で受け切るのには無理があり、ソーンズの体は左へと吹き飛んでいく。

 

「……再計算の余地があるな。」

 

受け身を取ってゴロゴロと転がったソーンズは、そう言ってゆっくりと立ち上がる。

 

「勝者はレイホンさんです!皆さん、素晴らしい戦いを繰り広げた3人に拍手を!」

 

ワッ———!!!

 

アーミヤの声と共に、訓練室は拍手と歓声に包まれる。

一部のオペレーターと職員は嘆き、また一部は笑顔で喜んでいるという違いはあるが、誰もが尊敬の念を宿して拍手をし、声を上げていた。

熱気が納まるのはもう少し後になるだろうと思いつつ、アーミヤの元へ向かう。

 

今回はどんくらいや?

 

えっと…2,3,4…5万と少し、ですね!皆さん、今回はサリアさん達に結構賭けてたみたいです。

 

甘く見られたもんやなぁ、俺っちの本気はこんなモンやないで?

 

アーミヤから白色の封筒を受け取り、中に入った数十枚の龍門幣を確認し、懐にしまい込む。

これで今日の夜も旨い酒を飲むことが出来るだろう。

アーミヤは利益の一部をロドスの運営に回し、レイホンは葉巻と酒を得る。

互いに手を握って、ほくそ笑んだ。

 

「……なぜ彼らは不気味な笑みを浮かべているんだ?」

 

「分け前が多かったんだろう、5万は越えたはずだ。今日も反省会と再計算だな、サリア。」

 

「くっ…こうなれば、盾を捨て…いや、ダメだ。」

 

その日、計算しながら宿舎に戻るソーンズと、盾を手放すべきか葛藤するサリアが見れたという。

 

 

 





実は展開を2つに分けてたりする。
どっちを出すかは私にも分かりません。
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