【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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遅れましたが投稿
本日2度目なので読んでない方は一つ前へどうぞ

Q.記念で出す話ですか?
A.出さないと出す機会がなくなる。勿体無い。



感想100件越えた記念

 

 

 

コンコンコン。

 

「入っていいよ。」

 

そう返事をすると、扉が開いて一人の女性が入ってくる。

黒い制服が引き締まった体を象徴し、綺麗な金色の髪が目立つ。

 

「どうしたの、ウルピスフォリア。」

 

「失礼。ちょっと言いたいことがあってね。」

 

机の上に積まれた、処理済みの書類を抱えて床に下ろす。

書類の山の中から出てきたコーヒーメーカーに豆と水を入れつつ、質問を待った。

 

「レイホンの事だよ。私はシラクーザに住んでいたのは知ってるね、そして大粛清をこの目で見たんだ。彼らと親指はなにか関係があるんじゃないかと思ってね。」

 

ジィー。

電源を入れると、独特の音が鳴った。

この音が来るであろう、彼女の口から紡がれる言葉を掻き消してくれたらいいのにと現実逃避する。

 

「別にどうこうするわけじゃないよ。もし知り合いだったら、数人殺したという事実を伝えておくべきだと思ったから言いに来ただけだよ。」

 

「…服装もだけど、形状が違うとはいえ銃剣。種族としての特徴も見当たらない。これで関係ないほうがおかしいから、考えないようにしてたんだけどなぁ…。」

 

もう湯気が出てきたコーヒーメーカーを眺めつつ、力を抜いて上半身を机にへたり込ませる。

少ない記録、不明瞭な情報。

しかし、精査していくのに比例して読み取れるものは増えていく。

ノイズが走り、闇に紛れて黒く見えていたコートは赤色。

略奪したと思われているラテラーノの守護銃は、全く違う木目が見える銃剣。

 

「シラクーザに送ったら、厄介事になる気しかしない…。」

 

「命令すればいいじゃないか。私も、君の側仕えのアスカロンだっているだろう。」

 

簡単に言うけど、君達に命令すればもっと厄介になる。

その言葉をぐっと堪え、溜息をつく。

 

「アスカロンに関しては、私の監視もあると思うけどね。」

 

「おや、側仕えなのは否定しないのかい?」

 

「……。確実に厄介事になるだろうけど、命の恩人なんだよ。彼がいなかったら私は死んでいただろうし、生きていたとしてもロドスは大きな犠牲を払っていただろうから。」

 

思い出すのは、都市に降り注ぐ源石と、無骨な黒い結晶を彩る橙の炎。

タルラの炎をアーミヤが防いだ時、そしてアーミヤの結界が長くは保たないと理解したときの絶望。

何も分からないまま死ぬ。

過去の自分を知っている者達が、私に意志を託して死んでいく。

この頭は、いとも容易くその未来を幻視させた。

 

予想外の参戦。

計算外の存在は、私の目の前で起こるはずだった死を消し去った。

少ない、それでいて濃密な記憶を振り返っていると、天井の換気口からガタンと音がする。

 

「……情が入っているな、ドクター。合理的な判断ではない。」

 

「うわっ!アスカロンか…びっくりした…。」

 

「だから言ったじゃないか、"側仕え"ってね。」

 

降り立ち、その風で書類が舞う。

全ての書類を掴み、丁寧に整えて山の上に乗せた彼女はそう言った。

 

ピー!

コーヒーメーカーが、お湯が沸いたサインであるブザー音を鳴らす。

 

「アスカロン、君は合理的な判断を下し、命の恩人を切り捨てるべきだと思う?」

 

「…上に立つものとしてはそうだろう。だが、一人の人間として見た時、簡単ではなくとも味方を切り捨てる事ができる人間を信頼することはない。ロドスのリーダーとして見るなら…。」

 

途中、どこか思うところがあったのか声に力が宿る。

ロドスのリーダーとして、そこで切った彼女の目を見て問う。

 

「ロドスのリーダーとして見るなら?」

 

「…お前がやりたいようにやれ、私は見守るだけだ。」

 

「そうか。」

 

アスカロンの答えを聞いて、ある程度道は定まった。

自動で粉状になっていくコーヒー豆がガリガリと音を立てる。

 

「で、結局どうするの?君の指示一つで、私は彼の首を取りに行くよ?」

 

「いや、行かなくていい。私も彼とは仲良くしていきたいし、アスカロンに殺されたくはないからね。」

 

「殺すとは言っていない。」

 

「でも私が道を違えた時、君は間違いなく私を止めるために手を下すだろ?」

 

「…。」

 

無造作に置かれたコップを置き、いつの間にか出来上がっていたコーヒーを注ぐ。

沈黙し、どこか寂しげに見えたアスカロンへ渡そうとして、やめた。

今日も明日も、働き続けるのはこの部屋に自分だけであってほしいと思ったから。

 

「考えてから手を下すより、手を下してから考えるのが君だ。速戦即決も悪くないけど……っと、話が逸れたね。レイホン以外をシラクーザに送った場合、厄介事は避けられると思う?」

 

「微妙だね、今のシラクーザでは赤い服ですら一種のタブーに近い。種族の特徴がある分マシかな。」

 

「大体理由はどうするつもりだ。下手な理由をこじつけ、怒りを買った時…その矛先が向くのはお前だけではない。アーミヤやロドスのオペレーター達まで傷付けるつもりか?」

 

コーヒーを啜りつつ、ウルピスフォリアとアスカロンに問うが、反応は良くない。

カフェインを摂取したというのに頭がボーッとしてくる。早く全身に回ってほしい。

理性が削れていくのが自分でもよく分かった。

 

「もう正直に言ったら行くのやめてくれないかな…。」

 

「やってみれば良いじゃないか——— おっと、もうこんな時間。リサに本を読む約束をしててね、私は先に抜けるよ。おやすみ、ドクター。」

 

「うん、おやすみ。」

 

そう言って部屋から出ていくウルピスフォリアを見届け、熱いコーヒーを一気に飲む。

 

「…………アスカロン。これは独り言だから、返事をする必要はない。」

 

「……。」

 

「殺せる?」

 

「ドクター。これは独り言だ、気にする必要はない。——— あぁ、できる。」

 

コーヒーメーカーはもう音を立てていない。

白いコップの底に残った少しの茶色い液体が、てらてらと輝く。

もう一度水とコーヒー豆をコーヒーメーカーにセットする。

 

「そうか。…そうかぁ。君も休んだほうが良い、折角綺麗なのに隈で台無しになるよ。」

 

「ドクターも同じだろう。」

 

「私は…過去の自分に追いつくまで休めないさ。」

 

「……分かった。今日は久しぶりに寝るとしよう。」

 

アスカロンの姿が消えることはなく、そのまま扉から出ていった。

扉が閉まり、再びコーヒーが出来上がってカップに注いだ頃。

 

「どうすればいいと思う?ケルシー。」

 

「話の内容が見えてこないな。私は今この部屋を訪れたばかりで、君がどのような意図を持って私にどのような問いをしたのか理解していない以上、君が求めている回答をすることはできない。」

 

「誰かドアの前に立ってると思ったんだけど、気の所為だった?」

 

「それなら先程までレイホンがいたが。」

 

「ブッ!!?」

 

口の中に含んだコーヒーが気道に入り、驚きと熱さで噎せた。

バイザーに阻まれたコーヒーは顔にかかったが、書類にかかっていないことに安堵する。

 

「冗談だ。」

 

「笑えない冗談は…「道に迷ってもうてな、案内してくれんか?」…ッ!〜〜〜ッ!!!ゴホッ!ゴホッ!」

 

バイザーとフードを降ろし、止まらない冷や汗とコーヒーを拭きつつ、ケルシーに文句を言おうとした瞬間、開けっ放しだった扉からレイホンが入ってきた。

 

「おぉ、大丈夫か?背中叩いたろか?」

 

「いや、大丈夫。大丈夫だ。ケルシー、すまないが案内してくれ。」

 

「了解した。こっちだ、ついてこい。」

 

ケルシーとレイホンが去っていくのを見届け、大きく溜息をつく。

頭が回っていない。ただ目が覚めているだけだ。こんな状態では仕事なんてできない。

同じことが何度も浮かび上がり、消えていく。堂々巡り…ドードー巡り…。

 

「…考えるの疲れたな。頭痛い。レイディアンの所にでも行こう…。」

 

ずきずきと痛む頭を軽く叩きつつ、執務室の電気を消し、部屋を出た。

その時、何処からか視線を感じる。勿論振り返っても誰もいない。

殺風景な廊下で視線を感じるのは、換気口に誰か潜んでいる可能性が高い。殆どのオペレーターはそうだ。

しかし、目を凝らしてみてもいない。

 

「気の所為か…?疲れ過ぎか。」

 

自分を納得させるように呟き、歩を進める。

纏わりつく視線は消えなかった。

 

 

 

 

===

 

 

 

 

…ウィーン。

集中し、空間の把握と浮遊を同時に行いつつ、行動領域を広げていく。

両手で握りしめる銃剣(アーツユニット)を通して、操るカメラの視界を自らの身体と連結する。

 

『こんばんは、レイディアン。ちょっといいかな…。』

 

『こんばんは、ドクター。えぇ、勿論。』

 

脳が焼けるように熱かったのも、過去の話。

操れる端末数は一つ増え、アーツを使用するたびに痛む足と比例するように精度が上がっていく。

この移動都市は巨大すぎて把握できない場所が多すぎるが…。

 

『ドクター、ちょっとごめんね。』

 

『え?』

 

操作していたカメラへと、4つの腕が伸びる。

即座に連結を切ろうとするが…切れない。電気信号かと納得した頃には遅かった。

 

『誰かは分からないけど、こういう事はしたら駄目なんだよ。』

 

グシャリ!

 

「ああッ!!!」

 

瞑想を止め、声を上げて、脳と目に走る激痛を紛らわせる。

涙が止まらない。視界が回り、一切の外傷はないと、全て感覚だけだと分かっていても我慢できない。

 

物体の浮遊、念動ではなく自らとのリンク。力がないのは、自分の本質を体現しているから。

この能力(アーツ)にはこういうデメリットもあるのか。

レイディアンと呼ばれるエリートオペレーター。

種族はリーベリ、アーツは電気信号の感知、または操作、またはその両方。

痛む頭に刻み込み、記憶する。

これでエリートオペレーターの情報は3つ目(・・・)だ。

 

「ああ…目を抉ったほうが良いのかな?繋がってはいたけれど、見てはない。規律は…。」

 

いずれ彼の者の領域まで届くことを願って。

一人の猫は記憶し、精進し、規律する。

 

 

 





ペリカ「管理人…ケーブルは諦めてストーリー進めましょう…?」

心情「ほざくな!アタシはポニャテッリのヴァレンチーナだ…!
   この程度のケーブルを繋げることができずに終わる人間じゃないんだ!」

正直これが原因で進んでないというね。
いつもマインドはアンダーボス(3日で罷免)
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