【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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投稿ミスのお詫び
詫び狂気じゃないけど投稿です。

2/13誤字訂正。誤字報告ありがとうございます。
詫びでミスってその詫びで…レクイエム?


第62話

 

 

終わらない机仕事、消えない書類の山を見て気付いた。

これはこの程度の人数でやることではない(人手が足りない)…と。

 

「そういう事なんやけど、ツテとか持ってへん?」

 

『ロドスのこと便利屋だと思ってる?ウルピスフォリアとかそっちに居る筈だけど。』

 

早速片手でペンを走らせながら、ドクターへと電話をかける。

そしてかけたは良いが、狐の名前が出た時点で望みが薄くなったのを感じた。

 

「向こうもまだゴタゴタしとるやろ?迷惑かけんのもなぁ、って気遣いやで。」

 

『レイホン。君、自分と同等か下の相手には遠慮しないでしょ。何かあったの?』

 

電話先からもガリガリとペンを走らせる音が聞こえる。

奇しくも移動都市のトップが電話をし、互いに書類仕事をしているようだ。

何度も盃を交わしたからか、ドクターからの対応は親しみやすいものになっている。部下に聞かれた場合、銃床で下顎を砕かれてしまうため小声で話す。

 

「実はかくかくしかじかっちゅうわけや。」

 

『電話切るよ。』

 

「おう待ち、話すさかいに切るなや。」

 

感情の籠もってない、短い言葉で返ってきたため慌てて止める。

何年前かも分からない書類にサインと印を押し、横にどけて新しい書類を山から取り出す。

またペンを走らせながら、事情を説明した。

 

 

……

………

 

 

『…要するに、移動都市の管理について全く分からない上に、人手も足りない。そういう事?』

 

「せや、戻ってくんのも面倒やろうけど…どうにかできんかなと思うてな。」

 

『うーん…。あ、ヴィジェル、どうしたの?』

 

説明を終え、一息ついて再び書類に向き合う。

拠点の中はドタバタと大量の足音が響いており、本来なら咎めるべきなのだろうが…それで失われる時間と人員を考えると見逃す以外の選択肢がない。

電話越しに悩むドクターの声。誰かが割り込んだのか、ドクターが何者かの名前を呼ぶ。

 

『うん、そうだね、うん、うん…。』

 

「どないしたん?」

 

『……レイホン、君が任されたのは都市の管理だっけ?』

 

「せやな、正直俺っちやなくてもええんちゃうか?」

 

目の前で生の葡萄を口に放り込み、酸っぱかったのか目を大きく開く犬コロ。

監視なのか分からないが、結局押し付けられたままだ。

コイツが働いていれば…と思いを込めて睨みつけるが、こちらに気付いた彼女は笑って手を振った。

 

『その仕事、少しはマシになるかも。また後で連絡するよ。』

 

「…おう、またな。」

 

ピ、ピピッ、ピッ。

 

右耳に付けたインカムから、短いビープ音が鳴った。

電話を切り、椅子から立ち上がり、大きく伸びをする。

椅子に掛けていた愛刀を手に取って、部屋を出た。

 

「何処に行くんだい?まだ書類の山は片付いてないけど。」

 

「連絡が来たさかいに、ここが誰のシマか叩き込みに行かんとな。」

 

「ふーん、ボクも着いて行っていい?」

 

「勝手にせいや、来んなっちゅうても来るんやろ。」

 

書類仕事よりも、こっちの方が圧倒的に向いている。

返ってくるまでの間は部下たちに仕事を任せ、連絡があった場所へと向かうのだった。

 

 

 

 

———

 

 

 

 

日が沈み、月が建物の間から顔を覗かせる頃。

このブルネッロは、昼の間全く人の姿が見当たらない。

しかし、夜は違うというのがここ数日滞在して分かった事の一つ目だ。

街灯が夜の闇を晴らし、民家にも光が灯る。酒場からは薄っすらとアルコールの香りが漂い、道にも少ないとはいえ、人影が見えるのだ。

 

「…。」

 

「あ…ぁ…。」

 

「ひっ…。」

 

レイホンが姿を表すとこれである。

目上の者に礼儀のなっていない者は処罰される。それなら目上の者がいない場所へ行く。

逃げている姿を確認した時点でアウトなのだが、正直言って処罰が面倒なため放置している。

赤い服を着ているだけで怯えられる。分かったことの二つ目だ。

 

「お前が、ここ最近噂になってる親指の真似をした奴か?」

 

「…。」

 

「はっ、ガタイは良いが…。その武器、身包み全部置いていけ。命だけは取らないからな。」

 

目を逸らし、家や近くの店に姿を隠す民間人。

その中で、レイホンから逃げずに立ち向かってくる者達がいた。

ある程度整備された武器を持ち、レイホンを親指の真似と呼ぶ男。

実際親指ではないため言い返さないでいると、調子に乗って脅迫してくる。

 

「あ〜あ、自分と相手の力量も分からない雑魚だったかぁ。」

 

「お前は…まさか処け———「ホイッ。」 ガハッ!!!」

 

ブヂィッ!

 

男が突然現れたラップランドに驚き、何かを言う途中。

数歩で距離を詰め、思い切りその下顎を殴り抜く。

少々強く殴りすぎたのか、男の下顎は砕かれるのではなく、中途半端に千切れかけた状態で止まった。

 

ガシッと、崩れ落ちる寸前の男の髪を掴む。

 

「お前らなぁ、薬物はアカンやろ。馬鹿は上手く回ってくれんかい、処理するしかないんや。」

 

()ぼんぼぼ(ほんもの)…?」

 

「…砕く顎があらへんかい、今回はこれで勘弁したるわ。」

 

握った手を開くと、そのまま男は前のめりに倒れる。男が手に握っていたナイフが地面に落ち、カラァンと軽い、高い音を鳴らす。

他のマフィアを見ると、男がやられた瞬間逃げ出そうとしたようだが、ラップランドに足止めされて逃げられないようだ。それどころか、足止めを越えて何人かは倒れている。

 

「くそっ…狙うなら、俺達じゃなくて…アイツの方だろ…!」

 

「……この都市では、ボクの許可なしに皆自由に振る舞っていい。だからボクも、自由に動くんだ。」

 

「この、狂人…が。」

 

一人、また一人と倒れていく。

クロスボウから放たれる矢を弾き、銃弾を躱す身のこなしと攻撃の誘導。そして何より、その身体能力と戦闘技術にはレイホンですら目を剥く物がある。

これで書類仕事さえやってくれたら、問題は言動にしかないというのに。

 

「ま、お前で最後や。歯ぁ食いしばれや!」

 

「う、うわあああっ!!!」

 

結局、刀を抜くことはないまま制圧が完了し、消化不良気味なまま終わる。

帰ってもやることは書類仕事ぐらいしかないため、憂鬱になりながら拠点へと戻るのだった。

 

 

 

 

———

 

 

 

 

更に数日後…。

何度か他のファミリーや、謎の勢力を制圧しているとドクターからレイホンの下に、二人の人物が訪れるという連絡があった。

その二人が、レイホンの状況を改善することが出来るという情報もあったため、いつもよりかは気分がいい。

毎度の如く書類にペンを走らせていると

 

コンコンコン。

 

とノックが鳴った。

 

「おう、入れや。」

 

「失礼する。」

 

「失礼します。」

 

レイホンが入室の許可を出すと、同時に声が響き扉が開かれた。

一人は黒色の髪をしたループスで、腰に短銃のような物を下げている。

もう一人はくすんだ金にも見える、灰色の髪をしたループスで、片手に本を持っている。

 

「ドクターからの指示で参上した。ヴィジェル…いや、コードネームは必要ないだろう。レオントッツォ・ベッローネだ。レオンでいい。よろしく頼む。」

 

「弟からの勧誘にて参上しました。ラヴィニア・ファルコーネです。どう呼んで頂いても構いません、では、よろしくお願いします。」

 

椅子から立ち、礼をする二人へと近付く。

少しラヴィニアと名乗った女性が怯えたように見えたが、先に名乗ることにした。

 

「ここん市長になったばっかのレイホンや、よろしく頼むで。早速やけど…書類、片付けんの手伝ってや。」

 

呆然とする二人と握手し、書類の山へと向き直ってそう言うのだった。

 

 





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