【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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今日からペナンスさんがピックアップされるぞ!
余裕ある人は狙ってもいいと思います、余裕ないから無理な人です。
あとゴリゴリに()りあうオペレーターは間に合ってるので…。



第68話

 

 

境界を超えると、何処か懐かしい空気が全身を包みこむ。

暴力が場を席巻し、最も輝ける場所。

 

『ガベル。暴力とは、秩序なり得るものですか。』

 

ゴォォォン!

 

ゆっくりと振り上げられた槌が振り下ろされ、舗装された通りは砕け、その下にある地面が顕になる。

 

「へっ、俺っちん所やったらそうやったで。」

 

飛び散る瓦礫を弾き、距離を詰める。

徐々に右へ傾き始める天秤に言いようのない不安を感じ始めており、なるべく早く決着をつけなければならないと本能が警鐘を鳴らしている。

何が起きても対処できるよう、全身に(シン)を纏い警戒する。

 

『正義とは、永遠に為されぬ人の道徳を指すものですか。』

 

「んなモン自分で決めろや。 ——— ハッ、聞こえとらんのか。」

 

近付いたことで気付いた。

天秤には何も乗っておらず、不思議と傾いている事。

そして頭の上に生える耳も、頭の横に付いた耳も塞がれており、まるで如何なる物だろうと混じってはならないと言うかのように、周囲から自分を遮断している事。

 

『……。』

 

「公正っちゅうには、っと、足りんやろ!」

 

ガァン!!!

 

互いに相手を攻撃できる範囲まで入り、ほぼ同時に武器を振るう。

振り下ろされる槌と、斬り上げた朴刀が衝突し、互いに数歩下がった。

今回の目的は偵察で、正面から戦う気ではなかったため弾丸に余裕はない。

 

(虎標弾が12発、猛虎標弾丸6発…向こうのタネも割れとらんし、ちとマズいな。……ん?)

 

傾いていた天秤が左に傾き、公正さを取り戻すかのように元の位置へ戻る。

 

『自らの正義を成す為に、苦しみ続ける。』

 

コォォォン…。

 

自由に動かせないよう、再び距離を詰めようとした時だった。

槌が振り下ろされ、速く、それでいて優しく地面を叩く。

天秤が右へ傾き始め、茨と槌が輝き始める。

 

ダァン!

 

『…っ。』

 

「タァッ!!!」

 

もう一度振り上げ、地面を叩くこうとした間に割り込もうと跳ぶ。

大きく踏み込むと地面が揺れ、同時にレイホンの横を弾丸が高速で通っていったのを見た。

それはラヴィニアの槌を持つ手を正確に撃ち抜くだろうと思われたが、見えない壁に阻まれるかのようにして弾かれる。

それでも振り下ろす手は遅れ、ギリギリだったが槌を弾いた。

 

傾いた天秤は左に傾き、再び元の位置へ戻る。

 

「分かったで、こんまま天秤をお前ん方に傾かせればええんやろ?ほんなら弾ァ気にせんでええわ。」

 

『…私はいつまで、この暗闇の中で藻掻き続ければよいのですか。』

 

ぎぎっと、槌が音がなるほど強く握りしめられる。

槌…正式な名はガベル。

裁判や議会で審議の開始・終了、注意喚起、決定の告知に使用される木製の小型ハンマー。

裁判長や議長の権限を象徴する道具でもあるそれが、距離を詰めたレイホンに向けて振り抜かれた。

 

「チィッ! ……相当な馬鹿力やな、裁判官より執行人の方が向いとるんやないか?」

 

初めて、槌を武器として使った。

天秤は左に傾き、辺りの街並みが崩れていくのが分かった。

 

「武器として使うんはアカンらしいな。難儀なモンや。」

 

『判決を下す。』

 

パキィィィン!!!

 

甲高い音が響き渡り、天秤がつり合う。

ラヴィニアの耳につけられた耳栓は砕け散り、辺りの炎を反射しながら塵となって消える。

 

『……ガベル。力のない、口だけの裁き。公正さの欠片もない罰。終わらない、溢れ出す怨嗟。』

 

「もっぺんやっても、結果は同じや。」

 

振り下ろす度に茨と槌は輝きを増し続けるが、特に変化はなく地面に叩きつけられる前に弾くことができた。

天秤は左へ傾き始めたが、辺りの暴徒達が右の秤に飛びつき、無理矢理釣り合わせる。

 

「ズルっちゅうわけか。公正さの欠片もないやろ、これ。」

 

『私は、望んでいない。』

 

ダァン!ダァン!

 

背後からの援護射撃により暴徒達が弾かれ、天秤は傾くのを止めたが、若干右へと傾いている。

ラヴィニアはそれを見て呟くが、どこまで本当なのか怪しい。

 

<あの者を裁くことは許されない>

 

「あぁ?」

 

<見逃しなさい、命を失いたくなければ>

<あの方の協力がなければ、続けることすらできないだろうに>

<それがこの都市のルール>

<お遊びは、ゲームはもう終わった>

 

空から、男とも女とも受け取れる中性的な声が響く。

同じ事を何度も、等間隔で繰り返し続ける機械のような声。それを振り払うかのように槌を振り下ろすラヴィニアの目は包帯で隠されていたが、その顔にどのような感情が宿っているかは理解できた。

 

歯を食いしばり、体を強張らせて槌を振り下ろす。

悔しさ。

そこには、思い通りに動けない、動くことを許されない怒りも混ざっていた。

思いに呼応するかのように、茨は、槌は黄金の輝きを増し続ける。

 

ギギギ…!!!

 

「手加減するほど、俺っちは甘くないっちゅうのも知っとるやろ。」

 

『……えぇ。』

 

迫り合い、火花が散る。

空いたラヴィニアの右手が握られ拳となり、レイホンに向かって振り抜かれた。

弾丸を放ち、槌を弾いて斬り抜けるが手応えはない。何か膜のようなもので守られている。

 

『いずれ天秤は傾くのを止め、正しさのない混沌とした世界が始まる。』

 

「フンッ!!!」

 

守られているとはいえ、ある程度の衝撃は伝わっているのか体制を崩すラヴィニア。

体を捻り、その場で思い切り頭目掛けて振り抜き、制圧を狙う。

 

『『それなら、秤を必ず傾ければいい。』』

 

ガコン!

 

ラヴィニアとは別の、暖かく優しい誰かの声とラヴィニアの声が重なった瞬間。

一瞬、視界が白に染まる。

 

「ッ!」

 

目は焼かれなかったため、すぐに視力は戻った。

レイホンの目に映ったのは、黄金の輝きを失った茨と槌、そして右へ傾ききった天秤。

 

『判決を下す。』

 

ゴオオオオオッッッ!!!!!

地面が輝き、咄嗟に朴刀を振り下ろした瞬間、膨らみ割れた地面からレイホンの体を業火が包む。

 

「炎くらい…斬れんわけないやろ!!!」

 

ゴガァァァン!!!

 

地面ごと炎を断ち切る。

炎に触れたコートの端、シガーは炭すら残さず消えた。

じゅうじゅうと、音を立てて熱を放出する愛刀。

 

「……俺っちも、コイツも暖まってきたで。もう"お遊び"じゃ済まんからな。」

 

『……。』

 

赤熱し、輝く朴刀を一度振るって威圧する。

天秤はいつの間にか元の位置へ戻り、釣り合って……

この場に立つ全ての者に罪はないと言うかのように静止していた。

 

 





ネクラスさんほしいな~…
癖に刺さった、あと術師(一番大事)

配置数を消費しないユニット出せるの偉いと思う
リィンさん?配置数を消費するから…何より…あの人、限定……。
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