【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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一人ドクターが増えました。ようこそテラへ。
あなた(管理人)をテラに植えるわ。生まれ変わりなさい。



第74話

 

 

始め、レイホンは動かずに間合いを取っていた。

小回りが利く武器ではないため、一撃必殺を考えての行動だったが、今は失策だったと反省している。

 

ガキキキキンッ!!!

 

「アッハハハ!!!どうしたの!?まさかビビってるわけじゃないよねぇ!!!」

 

「チッ。」

 

一瞬の間に懐に入られ、初撃は防いだものの連撃は止まらない。

剣舞のように周り、息を継ぐ暇もない速度で斬りつけられる。

(マン)(シン)に回すことで致命傷は確実に防いでいるが、一部の斬撃は(シン)を越えてコートを切り裂き、軽く血が滲んでいた。

 

「ふぅ……。ジィッ!チャア!!!」

 

「おっと。」

 

煙を吐き出し、一撃を甘んじて受け入れる。

手元で天退星刀を回転させ、刃を振るい、腹を切り裂いても止まらない直剣を弾いた。

もう一本の直剣が防御に回るよりも速く振り下ろし、袈裟の線を描いて斬り抜ける。

 

手応えはあった。確実に肉を斬り裂いた。

 

「……そんな手じゃ、もう追いつけないよ。光の輪っか、アレを使わないと。」

 

それでも、何もなかったかのようにラップランドは背後に立っている。

容赦なく飛びかかってくる白色の剣と迫り合い、互いに数歩退いた。

明らかに力も速度も増しているが、タダでそのような強化ができる世界ではないのは知っている。

 

(身体強化、アンプル以上の再生速度…いや、再生はちゃうか。)

 

「…そんな焦らんでもええやろ、夜は長いっちゅうの知っとるか?」

 

「ショーは今だけだよ。」

 

話しながら徐々に距離を詰めてくるラップランドに対し、肩の上に炎を吹き出す天退星刀を構える。

ラップランドの姿が黒いモヤに包まれて消えた瞬間。本能に従って体を捻り、自分の後ろに向かって勢いよく振り抜き、視界の端に写った肌色を追って切り返し、追撃する。

 

「はっ、どういう手品か知らんけど…無敵やないな。」

 

「今更。無敵なんて言葉は存在しないものだしね……っ!」

 

下から斬り上げる形になった追撃を、上から二本の直剣が抑えた。

勿論ラップランドの力が強化されたとはいえ、素の力が違う。抑えきれず、空中へと吹き飛ぶ。

外に押し出せたら良かったが、やはりそう簡単に勝たせてはくれない。

 

「シッ!!!」

 

「…。」

 

吹き飛ぶ瞬間に放たれた突きが、右腕を貫いた。

この程度の痛みなら揺らぐほどではないが、力が入りにくくなったのも事実。

着地したラップランドは、直ぐ様レイホンへ向かって突撃してくる。

 

「フンッ!!!」

 

ガンッ!!!

 

「ッ!…ハハ、やっと本気を出してくれるんだね!!!」

 

「馬鹿言え———全力や。」

 

傷の程度を眺めるレイホンの喉元に吸い寄せられるように、剣先が迫る。

それを叩き落とし、強く踏みつけ、床に埋める。

即座に手を離して飛び退くラップランドの顔には、満面の笑みが浮かんでいた。

天退星刀に纏わりつき、光る輪の数は2つ(・・)。立ち昇る気は黃と紅が混じった橙。

 

「出し惜しみなしや、楽しませてくれるんやろ?」

 

「うん。絶対。」

 

天退星刀を振り上げ、撃鉄を引いて振り下ろす。

更に数度振り回し、その度に弾丸を放つ。

 

ガシャン、チャキ、チャキ、ガシャン!

 

一度、強く振るって弾倉を開きつつ空の薬莢を放り出す。

空いた弾倉に猛虎標弾を詰め込んだ。最後の弾丸が、都市製の物になるように。

 

「全弾装填……最高級の航空機より高いで、お前の価値。」

 

「……乙女心が分からない奴って言われない?」

 

口の動きから分からないよう、新しいシガーを一本取り出し、火を点けて濃い煙を漂わせる。

 

「小指の挿翅虎(天退星)、レイホン。全力で斬ろう。」

 

「小指…?」

 

困惑するラップランドを前に、火を点けたシガーを握り潰す。

ジュウと音を立て、煙を吹き出し、甘い香りが漂った。

 

「こっちで名乗るのは久しぶりやな。意味のない言葉やないし、覚えとけや。」

 

「ボクが勝ったら教えてよ、ますます興味が湧いてきた。」

 

風が吹く。

赤いマントと紅いコートが音を立ててたなびき、互いに純粋な闘志を宿して睨み合う。

 

ダンッ。

 

先に動いたのはラップランドだった。

 

ボボボ…ボォッ!!!

 

「なっ———」

 

「俺っちの方が速いやろ?」

 

間合いに入った瞬間、大きく振り上げた天退星刀を振り下ろすと同時に猛虎標弾を発射する。

爆音を放ち、推進力に逆らうことなく、斬りつけた。

怯んだ隙に左腰から右肩へ袈裟の線を描き出し、そのまま背後へ抜ける。

ラップランドは一切防御しなかったが、体には傷一つない。

 

無防備な背中に刃を向け、くるりと手元で回転させ、右肩に剣を構え、体が覚えているままに動く。

前へ向かって跳躍しながら大きく天退星刀を振り抜いて(弾丸を放って)斬り抜け、再び背後に回る。

 

この一撃も確実に当たった手応えがあるが、一切の傷がない。

直ぐに向き直り、レイホンの速度に追いついていないラップランドの首目掛けて振り抜いた。

常人なら頭が吹き飛び、粉々に砕けるだろう一撃。ラップランドの体が、舞台の中央へと吹き飛ぶ。

硬直した瞬間を見逃さずに突撃し、斬り抜けると思わせてカウンターを回避する。

 

「俺っちにこの技を使わせたんや、誇ってもええで。」

 

右肩に剣を構え、低く屈んだ。

 

ボボボ…!ゴウッ!!!

 

6つの銃口全てから炎が吹き出し、金色の炎が紅になる。

都市製の弾丸は質が落ちるが、慣れているため負傷した腕でも問題なく攻撃できる。

ラップランドが体制を整えるよりも速く跳躍し、あらゆる力を込めたレイホンの全力を込めた振り下ろし。

 

「フィナーレだ!皆、目を逸らさないでね!!!」

 

対してラップランドは、体制が崩れた状態から大声を張り上げ、数歩地に足をつけて回転する。

体を捻り、低い姿勢で構えるその姿は何処かで見た(パレルモ)剣術(剣術)とそっくりだった。

直剣の輝きが増し、レイホンの本能が危険だと訴える。

 

「フンッ!!!」

 

「ディザストロ・フィナーレ!!!」

 

本能を理性で抑えつけ、二本の直剣と激突した。

衝撃で屋根が崩れ、大量の瓦礫が落下していくが構わず力を込める。

噴き出す炎が弱まり始め、徐々に押し返されそうになるが、減る推進力を腕力と重力で補い、叩き潰す。

 

バキバキ…!バコンッ!

 

床が抜け、大量の歯車で覆い尽くされた内部へ入った。

それでも互いに力を込めて、一切緩めようとしない。

歯車が木片を噛んだのか、壁に張り巡らされた全ての歯車は動きを止めている。

落下速度は増していき、比例して終わりが近付く。

 

「終いや!タァッ!!!!!」

 

火花が散る迫り合いを、無理矢理力で吹き飛ばして終わらせた。

ラップランドと地面が激突するまでの時間が短くなり———

 

 

 

———

 

 

 

「……。」

 

「これでも生きとるんか。」

 

普通なら、熟したトマトを落としたときのように(ひしゃ)げるだろうに。

そう思いながら咥えたままの残りの短いシガーを手に取る。

夜空を写し取ったような美しい黒い服と、星のように輝く金の刺繍が入った赤いマントは、もうなかった。

 

無効化されていた攻撃。その全てが今、ラップランドに襲いかかっている。

至る所に切傷と火傷痕があり、ボロボロになった服越しに見える痛々しい横一文字の切断跡を含め、傷に対しての出血は少ない。

それでもかなりの出血であり、じきに死ぬのが分かった。

 

「どう、だった?」

 

何度も斬りつけた。

避けられたこともあったが、避けたとしても天退星刀が持つ熱で確実に焼かれていく。

目を焼かれたのか、ラップランドは目を開かなかった。

 

「ちぃと黙っとれ、最後の一本やからな。」

 

「……ハハ、ボクじゃ、役不足だったか。」

 

「……。」

 

恐らくラップランドは最後の一本をシガーと受け取ったのだろう。

何も言わずに懐から小箱を取り出し、頑丈に閉められた箱を開けた。

断熱性もあるのか、中は熱を帯びておらず、血が滾っているのもあるがやけに冷たく感じる。

最後の一本を、ラップランドに突き刺した。

 

「痛ッ…。」

 

何も起こらない。ように見えた。

じわじわと肉が盛り返し、少しずつ再生していく。グズグズになっている火傷は治りにくいため若干跡が残るだろうが、命と引き換えと考えれば安いものだろう。顔と腹に傷が一つ増えるだけだ。

 

「これでまた価値が上がったで。もう二度と手に入らんモン、2つも(都市製の弾丸とK社アンプル)使ったからな。」

 

……敵わないなぁ。

 

「何か言ったか?」

 

「いや、君は本当に———」

 

地面に突き刺さった2本の直剣は、傷一つなく月明かりを反射して輝いている。

ラップランドはそれを杖代わりにして立ち上がり、レイホンが差し伸べた手を取った。

 

「———最高だよ。それだけ。」

 

 





明日ヴァル夜引きます。
これで爆死したら次の更新までの期間が長引きます。
箱400しかねぇや、終わりだ終わり。
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