【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら 作:しきょーかい
20連しました
ヴィルトゥオーサが出ました、嬉しい
…ピックアップは、何処ですか?
……あとウィシャデル(強欲)
そして消えたもちもち良秀とリカルドヒースの発表
前者のせいで俺には苦痛しかありません
後者は中指パ作れっていう神のお告げです、ヘルメス様だけが知ってる道よ
ファウストはタルラ姉さんに会いに来ただけだと思っているようだが、僕には目的があった。
ある人物……ちょうど集まっている。彼女たちに分かるよう、フードを少し上げる。
「…は?」
「おいおい……ここに、居ていいやつじゃねぇよな?」
「……。」
「チッ、着いてこい。」
彼女らに連れて行かれるまま、進む。
死刑囚が処刑台へ立たされる時の気持ちは、こんな感じなのだろうか?
ただ自分が死刑囚と違うのは、自ら裁かれることを望むこと。
そして、異形へと変貌してもなお、手を握ってくれた友達がいるということ。
友達に庇ってもらう気はさらさらない。自分の犯した罪と、向き合う時が来ただけ。
いつか必ず追いつくだろう過去も、痛みも、全て抱えて生きていくと決めたのだから。
……周囲の視線が痛い。他の人からは、馴染みのあるオペレーターがフードを深く被る謎の人物を引き連れているようにしか見えないのだろう。
直に興味をはらんだ視線は消え、日常の一部へと溶け込んでいく。
数分もすると、人目のつかない場所へとたどり着いた。複雑に絡まるパイプや配線。どれか一つでも壊せば、巨大な舟全てが止まるのではないかと想像する。
「大人しく着いてきたのは褒めてやる。……いや、まだ自分の現状を分かってねぇのか?」
「分かっているさ。君たちがあの場所で何をしたか、君たちに何をしたかちゃあんと覚えているとも。」
煽る。
自他ともに認める悪人だと胸を張ろう。彼女らには僕を殺す権利がある。
ぎゅっと、今も握られている手に力が込められた。その手を自ら手放す。
(サーシャ、君は見ていてくれ。裁かれるのは僕だけでいいんだ)
(イーノ、何を———)
「コードネーム、ズィマー。いや、ソニア。君だけに分かるように言おう。普通に考えてさ、食料庫に火のついた燭台なんてあるわけ無いだろ?」
「お前、まさか……」
「誰かがやらかしてくれると思っ———「テメェッ!!!」
拳が飛んでくる。杖で逸らす。
揺らがない軸を用いて戦う方法は、最低限出来るように鍛えられている。
「気が早いんじゃないのかい?まだ終わってないっていうのに。」
迷彩の揺らぐサーシャに注意が向かないよう、退きながら、場所を変えて受ける。
「コードネーム、イースチナ。アンナだったね。君にも、君だけに分かるように言うよ。君は正しい選択をしたさ、あそこで
「あなたは、一体どこまで知って……。」
「面白かった事は覚えてるに決まってるじゃないか。」
苛烈さを増す攻撃。
いなすのにも限界がある。一度崩されたら、畳み掛けられて終いだ。
怒りを集中させ、自分一人の犠牲で終わらせる。
「コードネームグム。ラーダ、拳は三度以上振るえるかい?人を拳で滅多打ちにする感覚はどうだった?」
「ヒッ…。」
「クッ、ソッ!もう、黙り、やがれ!」
アーツを使用する。身体能力の活性。これでもう後には引けない。
一度アーツを使ってしまえば、向こうも全力で殺しに来るだろう。
そうなれば、僕は確実に死ぬ。
一人が、サーシャが持つよりも大きなクロスボウ…いや、
ガァン!!!
瞬間、爆音。
パイプは砕け散り、千切れた電線は火花を散らし、着弾点には小さなクレーターができている。
「ハッ、一人じゃねぇってか…!」
「……退け。お前たちでは、俺に勝てない。」
「そう簡単に『はい』って言えるわけねぇだろバーカ。*ウルサススラング*野郎はすっこんでろ!」
一呼吸おいて、杖を突き立てる。堂々と悪として立て、悪として散れ。
「サーシャ、退いてくれ。これは僕がやるべきことだ。時が来た、ってやつさ。」
「お前は俺に……死ぬのを、見届けろと言うのか?」
「彼女たちはそうしてきた、なら、僕もそうすべきなんだろう。」
再び一呼吸おく。冷ややかに場に立つ彼女も、引きずり下ろそう。この裁判へと。
杖を突き立て、カツンと音を鳴らす。
「コードネームロサ、ナターリア。貴族の上に立ち、平民を虐げるのは楽しかったかい?さぞかし楽しかっただろうね、人である限り、上に立つことには少なからず快楽を覚えるものさ!」
「どこまで!お前はァ!私達を!馬鹿に…!」
「グッ」
ついに一発。腹にめり込んだ拳で息が詰まる。
痛いのには慣れている。血が出ても、視界が歪んでも、慣れている。
「やめろ!」
「サーシャ!止める必要は、ないっ!」
「……いい度胸じゃねぇか!」
サーシャ以外、誰も止めやしない。
死んで当然の外道が、死んでいくだけなのだ。
眺めているだけで済んでいることに、彼女らの優しさが表れている。
「…ッ!ッ!テメェの……テメェが…!!!」
一発一発の拳の重みは、かつて受けていた暴力とはまた別の重みがあった。
更にもう一発、顔面へと拳が飛んでくる。
視界が拳の影で暗くなる。目を閉じて。訪れるであろう痛みを待つ。
…。
……。
………?
痛みは訪れない。目を開けた瞬間に殴るのだろうか。
仕方なく目を開くと、紅いコートを羽織った大男が拳を受け止めていた。
「ん〜、すまんなぁ。嬢ちゃんらの怒りは分かるし、もっともなんやけど……コイツ、俺っちのなんよ。」
薄暗い中、火花が照らす階級。知っている限り最高の位。
カポの
===
レイホンは目の前の光景を眺めていた。
数度殴られ、真っ赤になった頬。ファウストが止めに入る度、メフィストは止める。
暴力の輪に一度でも入れば、抜け出すことは容易ではない。
そして、それでも抜け出そうと足掻く者を邪魔するほど、性根が腐っているわけでもない。
勿論、自分の邪魔にならない事。これが前提であるが。
哀れにも悪魔に助けを求めた被害者もいれば、幸せになってはならないと自らを縛る被害者もいる。
「ハッ。」
鼻で笑った。人である限り、繋がりは断ち切れない。
だからといって、不要な繋がりを生み出し、残したままにしておく必要はないだろう。
身勝手に己の道を歩む。
楽な生き方を子供が知るのは、いつになることやら。
取り敢えず、これ以上は親指から医療系アーツの使い手が一人消えることになってしまうため、止めに行く。
「あ、レイホンさん。次の作戦と、皆さんの健康についてですが……。」
「すまんな、ちと用事ができたわ。後で聞かせてや。」
「え、ええっ!?」
窓から飛び出し、壁を蹴って整備用通路に入る。
背後からMedicの声が響く。確実にドクターかアーミヤ、
死ななければ、どうとでもなるのだから。
パイプを伝って飛び、そのまま目的地へ到達。
拳とメフィストの顔の間に手を割り込ませた。
パシィ!
「ん〜、すまんなぁ。嬢ちゃんらの怒りは分かるし、もっともなんやけど…コイツ、俺っちのなんよ。」
ギチギチと、手で包んだ拳をゆっくりと圧し潰していく。
「——っ、放せ!」
「放してください、やろ。頭に血ィ昇っても、
拳が砕ける、その瞬間に放してやる。
多少ヒビが入っただろうが、手の骨と顔の骨なら後者のほうが被害が大きい。
このくらいは許されると信じたい。
「そこ、退けよ。」
「力ずくで退かしてみぃ。」
張り詰める空気。
互いに武器へと手を伸ばし、一触即発の場へと変貌する。
「もう止めて!グムはもう…誰も傷ついてほしくない……。」
「ずっと眺めとったのにか?一度も止めんかったのに?ははは、可愛い面してえらい腹黒やなぁ。」
一人笑うレイホンに、誰も同調しない。
冷え切った空気に興を削がれ、何も面白くない。
「その者は、何の罪もない市民を、学生たちを殺し———」
「おおっと、それ言っちまうんか?まぁ何も知らんなら、言ってもしゃあないけど———それ言わんほうが良かったで。」
「その理屈、ロドスが持ってきたら最後、俺っちらはロドスに牙向くで。そんで最初に虎の咆哮聞くんは目の前に居るお前らになるやろな。」
目の前に立つウルサス達…その中でも、余計なことを話したアンカーを持つ者に注意を向ける。
こちらの一挙一動を見逃さないように注視する彼女らは、一切の言葉を発さず行動をしない。
ただ警戒するだけ。手を出されなければ手を出す気もないので、最善の選択ではあるのだが。
「大体、罪がない奴を殺したらアカンっちゅうのはちゃうやろ。ウルサスんとこ、罪のない感染者殺して正当化しとるし、お前たちも見て見ぬふりや。その仕返し食らっても文句言えんやろ。」
「なら……!」
「あぁ、別にやり返すなっちゅう訳やないで?やられたらやり返す、そこに良いも悪いもないからな。……やけど、やり返す相手が俺っちの元に居たとしても、俺っちが敵になったとしても、お前たちは構わず俺っちごと殺しに来んといかんっちゅう話や。」
圧を放つ。
薄い光が全身から立ち昇り、徐々に紅が混ざり始める。
全員が武器に手をかけた。斧、盾、アンカー、ハープーン、アーツユニット。
「今すぐその武器抜いて、斬り掛かってこい。刃が触れるよりも早く斬り殺したるわ。」
天退星刀を抜こうとして———止めた。
こちらへ近付いてくる複数の足音、Medicが伝えたのだろう。
未だに倒れているメフィストを立ち上がらせ、ファウストに任せる。
「……本当に、すまない。」
「ちゃんと見とけや、あとフード深く被らせとき。」
人が集まる前にこの場を去ることにしよう。
いつの間にか、メフィストに向けられていた敵意はレイホンにも向けられていた。
ジィ……。
二人の姿が空間に溶け込んでいき、完全に消えたのを確認する。
「えーと…!確かこの辺り……居た!」
「レイホン!……と、ウルサス学生自治団のみんなもか。」
ドクター、その背後には数人のオペレーターが付き従っている。
両手を上げて降参のポーズを取る、別に騒ぎを起こす気は無かったのだ。
「……話は聞かせてもらうよ。」
「そうしてくれや、ちと長くなるやろうけどな。」
結局、話が終わったのは日付が変わった後になるのだった。
勿論話し合っただけで何の解決もしていない。
憎しみと過去が話し合いで消えるはずもない。
殺しに来たとはいえ、学友を殺した記憶は悪夢となって迫りくる。
復讐相手は生きていた。なら、後は行動に移すだけ。