【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

81 / 86

2度目の更新ッ!それが流儀ィィィッ!!
あ、リンゴアッシュ来ました。ようこそ真銀斬、よろしく真銀斬。

なお先鋒枠はウルピママとテキサスで埋まっている模様。



第81話

 

ゴッ、ガッ、ガガッ!

 

周囲の残った建物に何度も衝突する。

そうして徐々に速度を落としていき、空中で体勢を立て直した。

 

「チィ!」

 

「ぐぁ!」

 

斬撃を躱す。カウンターに放った斬撃が、男の胸を切り裂いた。

吹き飛ばされた先、親指とリウの戦闘、そのど真ん中。

 

「なんだ!?」

「何が飛んできた!?」

「気をつけろ、砲撃の可能性もある!」

 

様々な声が聞こえてくるが、気にせず埃を払う。咥えていたシガーはどこかに落としてしまった。

一度、大きく息を吸う。

 

「死にたくないんやったら俺っちから離れとけや!来るで!!!」

 

猫背。前屈みに、退くことを知らないのか突撃してくる。

青龍偃月刀の先には、2つの光の輪が輝いていた。

それを見て(シン)(マン)の配分を変える。いくら(シン)があったところで、二望、それと協会の1課部長を勤め上げた相手の技量だ。

 

技量で劣るとはいえないが、武器が壊れたらそれまでだろう。

威力・速度は猛虎標弾で補う。(シン)は武器を放さない程度に。

 

ガチャン、チャキ、チャキ、ガコン!

 

弾倉から全ての弾を抜き取り、猛虎標弾を装填する。

天退星刀の先には、相手と同じく2つの(マン)が仄かな光を放って存在を主張している。

不安定であり、練度に差はあるが……。

 

「ビビってシラケた真似したら、堂々と散れんやろ!」

 

「!!」

 

レイホンの首を刎ね飛ばそうと、長距離から刃が振るわれた瞬間。炎が視界を埋めるが、問題ない。

地面と垂直に天退星刀を立て、弾丸を放ち、シャオ目掛けて超高速で突撃する。

 

ガキィィィン!!!

 

鍔迫り合い。火花が散り、互いに一歩も引かずに押し合う。

追加でもう一発放ち、打ち落として離れた。

 

「全員撤退、ここは私がやる。お前たちはロウェルの元へ向かえ!」

 

「「「了解!」」」

 

「ドクターの方行って手伝ったれや、あいつの指示なら死にやせん。行け!」

 

「「「はっ!」」」

 

同時に、同じ指示を出す。

この戦場にいれば、部下は巻き込まれて死ぬだろう。味方を間違って殺してしまえば、士気は下がる。

そして何より……邪魔だ。

即座に戦闘の場所を変更していく部下たちを見届け、空いた弾倉に弾を込める。

 

「東部十剣か、懐かしい単語だな。図書館はお前までも食らったのか?」

 

「馬鹿言え、()うの昔に外郭へポイや。今も空っぽの巣を狙う奴らがわんさかやろな。」

 

「何だと…?」

 

顔を顰め、何かを考えているシャオに向かって、弾丸を放ち接近する。

背後に回り、二発目の弾丸を放って斬りつけた。

 

「考え事しとる場合かぁ!?」

 

斬撃はコートと制服を破り、見えた肌からは血が流れていた。

防具は破壊可能、傷も負わせられる。なら———

 

ダンッ。

 

シャオが反応し、青龍偃月刀がレイホンに向かって振るわれる頃には既に死角へ潜り込んでいる。

上空へと跳躍。右、左と見渡したシャオが、少し遅れてこちらを向いた。

炎をまとい始めた矛先。龍の姿が模られる。だがもう遅い。

 

「叩き潰したるわ!」

 

「ただで通すと思うか?」

 

ドゴォン!

 

大きく仰け反り、不安定な姿勢から繰り出される突きと、全力の振り下ろしによる衝突。

刃と刃が触れる。咄嗟の判断だというのに、矛先は刃を磨り上げ、レイホンの首元に一本の赤い線を走らせた。

炎を吹き出す天退星刀による振り下ろしは、肩を打ち、逸れて地面を砕く。

逸れはしたが、高熱の刃は確かに火傷を負わせ……。

 

(は?)

 

「ふっ!」

 

ズガガガッ!

 

シャオが短く息を吐いたと同時に、レイホンの体は再び吹き飛んでいた。

視界の片隅に見えたのは、蹴り終わった姿勢のシャオ。

天退星刀を地面に突き刺し堪えたが、どうにも嫌な予感がする。

 

(焼けとらんな……)

 

顔にも、首にも火傷痕は見当たらない。それどころか、肌が赤くすらなっていない。

炎に耐性をつけるような施術をした可能性はある。しかし、いくら強力な施術とはいえ天退星刀で斬ったのだ、灼けた金属が触れて肌が赤くなりすらしないのは、明らかな異常だろう。

 

「…鉄でできた蓮の花。お前は知っているか?」

 

「何やと?」

 

不味い。何が不味いか、何がここまで本能に訴えているのか、何故警鐘が鳴り止まないのか。

それらが全く分からないのが不味い。このままでは残った勝機を……。

 

「チィッ!」

 

危機感に背を押されるまま、前に突撃する。

弾丸に込められた莫大なエネルギーを一瞬で使い切ることが出来るよう、天退星刀は炎を吹き出し続けている。

 

「前に出るか、正解だ。」

 

そう言いつつ、立てた青龍偃月刀が力強く振るわれた。

回転を活かし、高速の切り返しの攻撃が次々に繰り出される。弾き、逸らし、上に飛ぶ。

 

「全力で相手させてもらうわ…!」

 

「なら、今度は貫かせてもらおう。」

 

先程と似た状況。

これ以上のダメージを負うのは不味いが、有効打を与えられずジリ貧で負けるのは避けたい。

行動を起こす前に殺すか、相手の持つタネを暴かない限り勝ちはない。

 

ゴォォォオッ!!!

噴き出す炎の色が紅から金へと変わる。完全に温まりきった、オーバーヒート手前。

震える天退星刀を離してなるものかと、万力を込めて目の前の相手へと振り下ろした。

 

「タァッ!!!」

 

「狻猊。」

 

ギィィィンッ!!!!!

 

龍を模した一撃と、翼を持つ虎の一撃。

刃と刃が衝突する。先程と違い互いに逸れず、相手を殺すまで折れることのない武器。

徐々に推進力を失うにつれ、レイホンの体は押し上げられていく。

 

「フンッ!」

 

追加で弾丸を放ち、再び均衡に。

更に放つ、1発、2発、3発。

 

「ぐ…。」

 

「ダァッ!!!」

 

全弾を消費して、龍を制し、虎が地に降り立つ。体制を崩した瞬間を逃さずに斬り抜けた。

確かな手応え。斬った、傷をつけた。

だというのに、シャオの放つ圧倒的な存在感は強まっていく。

 

「流石だな、私も久しぶりに……昂ってきた。」

 

嫌な予感は的中する。

冷や汗が背筋を伝う。正しく表現するのなら、冷や汗だった(ぬる)い汗が伝う。

大気は揺らぎ、収束し、シャオの元へと炎は集う。

 

「……はっ、神秘(・・)か。俺っちは使うまでもない相手やった(・・・)っちゅう事か?」

 

「あぁ、だが、その認識を改めよう。出し惜しみはなしだ。」

 

ファーカラーもコートも、上書きされていく。鱗でできた鎧のようなものへと変貌し、二本の角が生えた兜に翼、炎を羽衣のように纏っている。周囲の風景も呼応するかのように塗り替えられた。

 

龍。もしもある者が見れば、言い伝えられる赤き龍(・・・)と呼ぶもの。

遥か山々の向こうに住まうはずの、善の守護者。

 

「終わりだ。」

 

成程。その言葉に納得した。レイホン一人でどうにかなる相手ではなかった。

これに比べれば、"暴君”など泣き喚く子供に過ぎないだろう。

 

クルクルクル、ドン!

 

まるで棍を操るかのように、片手で回し突き立てられた青龍偃月刀の矛先には———

仄かな光を放つ、五つの輪(五望)があった。

 

「ガチで最悪やな、ズルやないか?俺っちも欲しいわ、それ。」

 

「……この力を得ようとすれば、喪失を味わうだろう。推奨しないぞ。」

 

「それは済まんかったな……っと!」

 

話の途中で、吹かし続けていた天退星刀のトリガーを引く。

軽く足掻くぐらいなら、大目に見てくれるだろう。

 

「フッ、ジィアッ!!!」

 

「椒図。」

 

青龍偃月刀を巻き上げ、弾丸を放って打ち上げる。

そう思った瞬間、目の前には相変わらず青龍偃月刀を握り、冷ややかにレイホンを睨むシャオがいた。

斬り抜けるはずの突進は、振るわれた一撃によって阻まれる。

 

「これまでの道、行雲流水の精神で生きてきたのか?」

 

「都市に居るやつなら…どいつもこいつもそんなモンやろ!」

 

「それもそうだな。都市は無量無辺でなくとも、見通すことはできない。」

 

袈裟斬り、返し斬り、横斬り。

繋げて攻撃するが、どれも防がれる。

だが着実に、武器を通して負担をかけている。爆発さえできればといったところか。

 

「…む。」

 

「腕が痺れでもしたんか?遅くなってきとるで!」

 

「螭吻。」

 

遂にシャオから動いた。

大きく振るわれた薙ぎ払いを飛び越え、跳躍からの振り下ろし。

疲労が回ってきたのか、振り下ろしを受けるために上げた腕の動きは遅かった。

守備を斬り抜け、背後から更に斬りつける。

 

「互いに焼き、焼かれ慣れているな。」

 

更にもう一撃……と天退星刀を振り下ろし、切り返して振り上げようとした瞬間。

轟々と音を立てた炎の刃が眼前に迫っていた。

避けることもできずに、薙ぎ払われて吹き飛ぶ。

 

(確実に肋逝ったわ、あと肘と脚、限界やな)

 

「全力で相手させて……って、もう言ったわな。最後にドデカイのブチかましたるさかい、その目にきっちり焼き付けぇや!」

 

宣言を終えると同時に、抜刀して思い切り振り下ろす。

流石に全力の振り下ろしは効いたのか、少し揺らいだ瞬間を見逃さずに左から右へ振り抜き、進む。

即座に低く構え、地面と垂直、右肩へと天退星刀を置く。

 

「狴犴。」

 

ギィン!

 

背中を見せるシャオ。その対の翼を切り落とそうと前方へ跳躍しつつの振り下ろし。

驚異的な振り向きから、石突で雑に払われた。

構うことなく思い切って振りかぶり、頭を吹き飛ばそうと下から頭を打ち上げる。

 

今度の守備は間に合うことなく顎を撃ち抜いたが、油断することなく蹌踉めくシャオへ向かい、低く屈んで、全身が崩壊しようと構うことなく、異常な推進力に乗って跳び上がった。

 

「狩られる覚悟はできとったかぁ!?」

 

「ぐっ……饕餮。」

 

瞬間。

天退星刀の刃がシャオの鎧を断ち切る寸前。

赤熱した地面から巨大な龍の顎が昇り、レイホンの体を飲み込んだ。

 

 

 

———

 

 

 

炎の龍が舞い上がり、降臨し全てを飲み込んだあと。

戦場には二人だけが存在していた。

一人は大した傷もなく、油断することなく構えている。

もう一人……自分は焼け焦げたコートに爛れた皮膚。辛うじて天退星刀を握り締めてはいるが、気を抜けば地面に転がっていくだろう。

 

「はぁ……因みに聞いとくで、見逃してくれんか?」

 

「断る。」

 

「さよか、期待しとらんし別にええわ。」

 

コートの内側を弄り、一本のシガーを取り出す。

これまでの戦いで半分以上焦げており、かなり崩れているが…問題はないだろう。

 

「最後の一本、吸わせてくれんか?」

 

「……。」

 

ボッ!

 

「——— ふぅ……。」

 

地面から炎が吹き出す。シガーの先に、火が点いた。

ただ静かに、これから死ぬ相手の一服を眺めるシャオは油断せず、周囲の炎は確実にレイホンを焼いていく。

胸いっぱいに吸い込み、短くなったシガーを摘んだまま言った。

 

「……来いや。」

 

「……フッ!」

 

苦し紛れに放った抜刀しつつの切り払いは、飛び上がり、回転しながら振り下ろされた一撃によって弾かれる。そのまま、刃が肩から腰まで食い込み、一切の抵抗なく斬り裂かれた。

 

即座に放たれた返しの一撃。確実に死ぬ。

 

 

 

 

二度目の攻撃が、肩を焼いて、止まった。

 

 

 

 

 

 

「…………事情が変わった、今回は見逃してやる。」

 

「は?」

 

「命拾いしたな。」

 

突如、背を向けて遠くを見つめるシャオ。

命拾いした、情をかけられた。現実を飲み込めず、思わず聞き返す。

 

「……いいんか?次会うとき、また殺す気で()り合う相手やで?」

 

「貴様では私に勝てない。二度と会わないよう、祈っておくことだ。」

 

そう言って高速で去っていく姿を、ただ眺めることしかできなかった。

完全敗北。勝てるビジョンが見えない。

 

ザザッ、ブツ。

 

『レイホン……敵が退いていく。———君がやったのか?』

 

「なわけないやろ……クソ、完全に負けたで。」

 

『…そうか。……そうか。そっちに救護班を送る。死なないでくれ。』

 

「チッ……。ま、生きとるモン勝ちか…。」

 

悔しさを噛みしめ、生きていることを素直に喜ぶ。

シガーは燃え尽きて、もう何の香りもしなかった。

 

 





先鋒入れるなら前衛削れって話なんですけどね
デーゲンブレヒャー、エンテレケイア、スルト、ソーンズ、豊川……
術師いらナイツしてる、クソパ。

滌火ジェシカのASMRは本当に欲しいと思う今日このごろ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。