【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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更新遅れてすみません
これも全部ノーポート民間人と変形者と蒸気騎士のせいです
特に民間人、誰もお前を愛さない

そして蜘蛛の巣の刀良秀は性能も公開されましたね
親方パ作りたいけどタグが合わなそうだな…と少し残念
ストーリーで無双するタイプのやつですねこれは



第82話

 

 

目が覚めると、簡易テントの中だった。

自らの体に取り付けられた複数の点滴チューブ。

それを引き抜き、巻かれた包帯の上に制服を着て、コートを羽織る。

隣に置かれた朴刀は暗雲によって生み出された、鈍色の空を映し出していた。

 

「はぁ……。」

 

溜息。

コートの内側を弄るが、何も入ってはいない。

ベルトに装着している弾丸は全て虎標弾で、それでもどうにか間に合わせたものなのか所々欠けている。

 

「……目が覚めたか。」

 

「血は流しとらんからな、焼かれたのは不幸中の幸いっちゅうやつか?」

 

ジリジリと小さな音が聞こえたと思った瞬間、何もなかった空間からフードを被った少年の姿が現れる。

手渡された携帯食料を噛み砕き、飲み込む。

 

ばさり。

ちょうど飲み込み、喉が渇きを訴え始めた頃、音を立てて入ってくる者たちがいた。

 

「起きたか、気分はどうだい?」

 

「最悪……っちゅう程やないわ、四肢もくっついとるし、特に異常もないしな。———後ろに居るやつは?」

 

ドクターの背後。

そこには、黒い色の服に身を包み、腰に下げた刀を持った存在感の薄い女性がいた。

抑制された存在感と覇気、そして何処かで見たような服装。

 

「やぁ、お初にお目にかかる。シ協会2課の部長、ユジンだ。一級フィクサーの資格もある、カポである君と話しても問題はないだろう。」

 

「おう、カポIIII(クァルト)のレイホンや。別に硬くならんでええ、無礼やないんならな。」

 

「そうか、では肩の力を抜かさせてもらうよ。」

 

そう言いつつも、ユジンを中心にして放たれる微小の警戒は解かれない。

自分が同じ立場でも警戒は解かないだろう、特に何も言うこともない。

 

「ユジンさん……臨時のオペレーターとしての戦闘に参加、撤退の補佐、何より……友人の命を救ってくれて礼を言うよ。改めて今度、お礼をさせてほしい。」

 

……本当に、覚えてはいないのか。

 

「え?」

 

「いいや、君には関係のないことだ、ドクター。私の用は———」

 

ジャキッ!

 

一歩、ユジンが前に出る。

ドクターの前に立つと同時に、研ぎ澄まされた殺意が放たれた。

天退星刀を抜いて振るいつつ退き、間合いを取る。

 

「いきなりどうしたんや?まだ何もしとらんはずやけど。」

 

「問おう。君の用いる(シン)(マン)、どう扱っている?」

 

「? 何となくコツは心得てるし、まだ勘も死んどらんからあとは適当やな。」

 

「……君がもし、私の言葉を聞く耳を持つなら。」

 

静かに、凪いだ空間から声が聞こえる。

小さな救護テントの中だというのに、ユジンの姿を見失った。

唖然とするドクターを横目に、柄に手をかけたまま次の言葉を待つ。

 

「君はまだ、強くなれる。」

 

「ほぉ……。聞かせてくれんか?興味あるわ、それ。」

 

「正面戦闘は専門外だが、今の君に教える程度ならさして苦労はない。一手、手合わせ願おう。」

 

 

 

———

 

 

 

「本当に戦うのか?傷が完全に癒えているわけでもない、時間に余裕があるわけでもない……。」

 

ドクターの視線がユジンへと向き、訴えるように呟く。

"やめろ"と言いたげな視線に対して、ユジンは苦笑して答えた。

 

「高みに至る機会をどうして奪うことができようか。ましてや味方ならば、尚更だろう。」

 

早速だが。

そう告げたユジンが抜刀すると同時に、レイホンも天退星刀を抜き放つ。

残弾は6発、ベルトに12発。再装填は2度まで。

 

「フッ。」

 

「フンッ!」

 

横薙ぎの一撃。一歩退いて躱し、振り上げて斬りかかる。

振り抜かれた刀を即座に戻し、防御の姿勢に持ち込むユジンを見て、トリガーを引いて弾丸を放つ。

 

「受けれるかぁ———ジィアッ!」

 

「問題ない。」

 

磨り上げ。

手首を回し、上へと天退星刀を逸らされる。

空いた胴に放たれる斬撃。

無理やり腕を引き寄せ、柄で受け止めた。

 

「やるやんけ。」

 

「そうだな、では———」

 

超高速の戦い。

速度という最低限の土俵に登り、力と技術のぶつかり合い。

相当な腕前、そんな相手が突然距離を取り、納刀し、腰を深く落とした。

 

「———シィッ!」

 

「ッ!!!」

 

脱力から放たれる斬撃。

咄嗟に天退星刀を振り下ろす。

 

ユジンの姿は前方にない。

背後から感じる気配と、踏み込んだ跡が一瞬の間に移動したことを示していた。

 

チンッ。

刃を、鞘に納める音がした。

コートだけが切り裂かれ、軽い音を立てて落ちる。

振り返った時、目を引いたものは今にも消えそうだが、確かに光を放つ3つの輪。

 

向き直り、再び抜かれた刃が喉元に突きつけられる。

ごくりと息を呑んだ音は、ドクターのものか、それとも自分のものか。

 

「君の心の底にあるものを吐き出してみろ。煮詰まった欲望だろうと、燃え滾る怒りだろうと、逃してしまった無念だろうと、土を舐める屈辱だろうと、それらは全て力になる。苦しみを越え、危機を克服しろ。」

 

「……簡単に言いおって、そんだけでええのか?」

 

「恐怖へ向き合えるのなら。」

 

「……。」

 

シガーを一本取り出そうとして、シガーがないことに、まずコートもないことに溜息をつく。

言われるままにするのは癪だが、恐怖という漠然としたものを定義し、向き合うことにした。

 

 

 

……

………

 

 

 

肩に置かれた棍。5つの輪。

自分の体を焼き切る青龍偃月刀。5つの輪。

何を見てきたのなら、そう在れる?

茨の道という言葉で表すのも烏滸がましいほどの苦しみ、挫折、絶望、無力感……。

比べて自分はどうだ、朴刀を持つ手が震える。迷いか怒りかも分からない感情が込み上げる。

 

振るわれた一撃は重かった。重すぎた。どう進むべきだ?

 

「…はっ。」

 

鼻で笑った。迷いはなかった。やるべきことなど何も無い。

利他的でもなく、真に利己的にもなれない自分では、あの力(神秘)を得ることなどできはしない。

それでも、あんな力がなくとも、自分はこうして生き残り、ここに居る。

 

上に立つものとして傲慢であり、持たざる力に嫉妬し、飢えた獣のように求めて。

なお届かない現実への憤怒を煮え滾らせ、燃料にして走り出す。

温かく残酷な誘いも、声も、何もなかった。

満足することは望んでいない。渇望し続けるからこそ自分で在れる。

 

「……ほう。」

 

運命も別れも、蜘蛛の糸のように絡んではいない。

いずれ訪れる道を進んでいるだけ。

 

「ならば恐れる必要はない。」

 

「簡単やないけどなぁ…!」

 

二人の龍を幻視する。

首と胴を幻痛が襲う。

不甲斐ない自分へ、自分が持たない力を持つ者へ、望むもの全てへの怒りを込める。

心を引き締め、自らの根源とも言うべき何か(・・)から力を巻き上げた。

 

二望。

更に締め上げる。まだ出し切っていない。一つ残らず絞り出す気で力を込める。

 

「自らの罪を自覚し、恐怖と向き合い、自我を守る。私が思うに、この力は人間にだけ許された力だ。今までの君のように、"何となく"で本領を発揮できるものではない。」

 

ユジンの声が染み渡る。

 

三望。限界点。

罪も恐怖も苦痛も、全て向き合った。ここが今の限界。

天退星刀を振りかぶり、思い切り振り抜いた。

 

ガァン!!!

 

「擦り切れた精神を、鍛え抜いた肉体で支える。精神力という慣性、罪という摩擦、肉体という車輪。いずれも欠けてはならない、一つ残らず酷使し続けるんだ。」

 

打ち落とし。

同じく3つの輪が光る赤色の刃が上から振り下ろされ、天退星刀の刃は地面へと突き刺さる。

(シン)(マン)を纏うのをやめ、刀を引き抜き腰に納める。

 

「…削ったメンタル、回復すんのに時間かかりそうやな。」

 

「そうだ、使い所には気をつけておけ。」

 

「ま、そこはなんとかするわ。雑魚相手にいちいちあんなん()幻視しとったら気ぃ狂うわな。自分のドタマ吹っ飛ばされる感覚も、想像やけど心が疲れてしゃあないわ。」

 

改めて感じたもの。

好きに生きる。そう簡単ではないだろう。

()とは遠くにあるからこそ()なのだから。

だが無理と初めから諦めたのなら、手を伸ばさなかったのなら、望みに届きはしない。

 

立ち塞がるもの全てに向かい、果敢に攻める。

食らって力に変えて進み続ける。

 

ふと、自分に刃を託し、誇ったような笑みを携えて逝ったであろうコータスの姿を幻視した。

表情は変わらず、誇らしげに笑みをたたえている。

最期は見届けられていない、短剣も既に別の者へと渡った。

しかし、不思議なことに冷たい黒色の刃は、今も自分が所持している気がする。

 

『——…ら、……———なたも———……』

 

「ん?」

 

シュッ

 

声が聞こえた気がしたが、雪が溶けるような音とともに消える。

かつて握手した右手から熱が奪われ、見えたはずの姿は溶けて消えた。

 

「レイホン……それは…?」

 

「下がれドクター、サルカズの巫術だ。呪いに近いものだな……拙い技術、辿るまでもない。」

 

ユジンが虚空に刃を振るうと、隠れていたはずのファウストの姿が顕になる。

手首で切り返し、ファウストの持つ何か(・・)を切ろうとする間に割り込む。

(シン)を纏い、寸前で赤い刃を逸らした。

 

「おぉ、ホンマに体が軽いわ。前やったら間に合わんかったやろな。心は疲れとるけど。」

 

「何故止める?」

 

間合いを取り、刃を抜いたまま話しかけてくるユジン。だが、注意はそっちに向いていない。

 

ファウストが大事に持つ短剣は、刃が捻れていた。しかし、刃に彫り込まれた言葉は残っている。

右手から熱を奪われている、同時に何かを与えられている。

 

「三生縁分 三千世界 三世因果。この()の糸、繋がっとるんは()なら……断ち切るかどうか決めんのは、お前やないやろ。あんまり出しゃばんなや。」

 

「……そうか、それは、すまない。」

 

「別に謝らんでええ、無事やったし。」

 

全てを断ち切れば、確かに唯一無二となり、至高へと昇れるだろうが。

周囲を無で埋め尽くしてしまえば、先はない。後にも戻れない。

ただ存在するだけ、停滞し、いずれ訪れるであろう"死”に向き合う時を過ごすだけの、哀れな何か。

いや、"死”さえも斬り伏せるのなら、永遠に孤独な何か。

 

この縁は、道が揺らいでしまった時助けてくれる、そんな気がした。

 

 

 

「……君が、助けてくれたのか。」

 

ゆっくりと、ファウストの持つ短剣に吸い寄せられるようにドクターが近付く。

ファウストは戸惑い、身を隠すか逡巡し……大人しく、ドクターが伸ばした手に、短剣を預けた。

 

ピシピシと音がする。

手袋が凍る音。本来なら氷より暖かいはずの短剣は、熱を急激に奪い始めた。

ドクターの手から熱が奪われ続ける。

それでも

 

「温かい。……ありがとう、フロストノヴァ。私の友人を、支えてくれ。」

 

痛みが走るほど冷たいはずだが、本当に温かみを感じているかのように、声が漏れていた。

これ以上は凍傷になるという所で、ユジンがドクターを引き離し、ファウストが一歩引いて姿を消した。

 

「時間を取りすぎた。ドクター、すまないが私は先に戻らせてもらう。」

 

「あぁ、そうだった。もう大丈夫、これからの話をしようか。」

 

一際大きなテントに向かって歩き出す。

その時、ドクターが大きくを息を吐いて、声を出した。

 

「ファウスト、今回の件が一段落したら……。君が良ければだが、メフィストと一緒に私の執務室に来てくれ。君たちと飴でも舐めながら、話をしたいんだ。」

 

「……辛い飴、体の芯から温まる飴があるのなら、考えておく。」

 

バイザー越しに開いた目は震えていた。

 

「あぁ、用意、しておくよ。……必ず。」

 

鼻をすする音、震えた涙声、最後に強い決意を宿して。

そんなドクターの後ろに立ち、共に進んだ。

 

 





ドクターとかいう過去に向き合えたのなら神拳で全てを破壊できそうなやつ
多分耐久値50とかになってる

親指親方ロージャ、中指親方ウーティスが楽しみ
問題はロードマップだと屈折鏡鉄道6号線があるということ
そして射影戦闘のリカルドが強すぎて25ターン涙目敗走したこと
良秀用育成素材は、どこですか?
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