【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら 作:しきょーかい
ウティアス、キラメール以外もぶった切るのちょっと面白い
これが中指ですか……
そして蜘蛛の巣の刀さんは外部講師を切り刻まないんですね
外部講師さん普通に先生だな…?
閉じた穴から身を乗り出す。
自分が逆さ吊りの石像にぶら下がっていることを知る。
石像の目には、水が溜まっており、マグマの炎に照らされて怪しげに赤く煌めいていた。
「ここは……どこだ……?」
そして理解する。これはジャールの石像だと。
腰をかがめて岩窟の天井を支えるアンズーリシックの両足が、マグマの中で燃えて。
骨笛を携えたバンシーが、枯れた棘の中でうずくまり。
岩壁を引き裂こうとするウェンディゴの両腕はねじ曲がる。
干からびたブラッドブルードが、マグマの中から手を伸ばして。
見知らぬ種族たちが、両目を石柱に貫かれた頭部を抱えている。
「まるで、生きているようだ……サルカズの各種族の石像か?———グッ」
「けっこう頑丈なのね、『ドクター』。感服しちゃうわ。」
ガスッ!
揺れる肉体。鈍い痛み。
一撃を受けると同時に、憎い、両目が視界に映った。
同時に黒いアーツを析出させ、空気中に溶け出させるアーミヤの姿も。
「無視?つれないわね。私はあなたに興味があるっていうのに。」
「アーミヤに……何をした。」
「『魔王が偉大なる幻を授ける』まぁ、自分の力をほんのちょっぴり感じてるだけよ。」
自分でも分かるほど、冷静でありながらも怒っていた。
「声が震えているわね。それも仕方ないかしら…万策尽きて、頼みの綱もなくて、唯一の
声の震えは恐れではない。
手を、肉に食い込むほど握りしめる。これは怒りだ。
歯を食いしばり、応答を繰り返す。
意識を保つために、怒りを滾らせるために握る手の中には、石ころが一つだけ握られていた。
理性が自分を咎める。そんな物は何の役にも立たないと。
仮にブレイズや、アスカロン、レイホンであったら、この状況を打開できるチャンスがあっただろう。
しかし、だからといって足掻くのを止める言い訳にはならない。覚悟を決め、彼女が近付くのを待った。
そしてアーミヤへと振り返った瞬間、右手で握りしめた石を———
ボキッ
「あら、何よこれ———石ころ?」
鉄錆の味。
内臓がひっくり返るような感覚と、鈍い痛みを訴え続ける右手。骨が折れている。
それでも、アーミヤに注がれる視線を遮ろうと歩を進めた。
「こんなもので私を———「いや、ようやったで。」
マグマが照らす、仄暗い洞窟が一瞬明るくなった。
独特の訛りの声の主は、赤いコートをはためかせ、仄かな光を放った体で躍り出た。
「変形者を、向かわせたはずだけれど?」
「アイツなら自分探しの旅にでも出たんやないか?いや、お前の人望が無いっちゅう事かもな。」
「そんなわ———チッ!」
青い髪の聴罪師の首から、鮮血が吹き出す。
直後に姿を表すのは、S.W.E.E.Pの隊長であるサルカズの姿。
吹き出た鮮血が勢いよく弾け飛び、衝撃波を放つ……放ったように見えた。
「血鬼……あぁ、ブラッドブルードやったか。それに似とるな?」
「的を得ておるぞ。確かに……ブラッドブルードのアーツであるな。」
「どう見てもブラッドブルードやないけどな。」
一人は細かな血飛沫を一つ残らず斬り伏せ、武器の持つ熱量で蒸発させる。
もう一人は呪言を紡ぎ、衝撃波を消し去った。
それを見て、青い髪の聴罪師は再び舌打ちをする。
「レイホン……。ロゴス、アスカロンも。」
「おう、
それでも、と続けようとしたが声が出ない。
レイホンも声を出そうとしているようだが、出なくて困惑しているようだ。
原因であろう者たちの方を見る。この場で声を発せる者たちの場を見る。
「『鎮まれ』『弾けよ』……『絡め取れ』。自らの"血脈”を弄ぶような、うぬらのような汚らわしき者共のために……絶えず悔い改める者がいるというのは、実に残念でならぬ。」
「……。」
「しかし、それも終わりであろう。」
ロゴスの口から呪言が漏れ出す。
冷ややかな、表情より紡がれる呪言からは、自分でさえ分かるほどの濃密な死の匂いがした。
だというのに、聴罪師は死に直面した者が抱くような恐怖、狂気、諦めなどの一切の感情が存在していないかのように——— 好奇心を宿した、笑みを浮かべる。
彼女が何を企んでいるかは分からない。
だが、彼女の真後ろにあるバンシーの石像……そこに近づけてはならないと、勘が訴えた。
「……!」
声が出なくとも、指示は出せる。
レイホンに指示を出そうとする前に、彼は既に聴罪師の背後へと回っていた。
ザシュッ!
背後からの切りつけ。
獲物を前にした捕食者から目を離すという愚行を犯した聴罪師は、間一髪で斬撃を躱し、命で払うべき対価を腕一本で済ませた。
首から溢れ出た鮮血よりも、大量の血が溢れる。
レイホンが追撃の振り下ろしを放つよりも早く、聴罪師は石像の下へと走る。
振り下ろしは長い青色の髪を焼き切り、揺蕩う紫煙が追撃し———
……?
待て、なぜ彼女は動けている?
ロゴスの呪言は、彼女を縛ったはずで……。
「———とっても精巧なアーツだったわ、
「む…!」
「だけど知ってるかしら、そうした精巧なルーンは――—精巧なアーツは、サルカズが原初に抱いていた心の形では決してないってことを。」
「……レイホン!」
聴罪師の手が、石像に触れた。
揺れる空間。
アーミヤを守ろうと咄嗟に庇うように動いて……降り注ぐ落石が、頭に衝突する。
意識が飛ぶ寸前に見た。
蘇ろうとする石像と、それに一撃を叩き込んだレイホンを。
自分とアーミヤを守らんと背に庇うアスカロンとロゴスの姿を。
そして奥の手であろうものが切り裂かれても、一切怯むことなく弔鐘を鳴らした聴罪師を。
===
石像を切った。確かに血が通い始めたものを切った。鼻を突く濃い血香が漂った。
しかし、それと同時に青髪のサルカズが弔鐘を鳴らしたのを見て、自身の判断が間違っていたことを知る。
「では、また何処かで。」
「……目と舌、下顎を砕かれる準備でもしとけや。」
片腕を失ってもなお、平然と一礼をするその姿に吐き捨てた。
景色が変わる。
———
「……何処やここ。」
目が覚めると、変わらず洞窟の中だった。
ただ、先ほどまでいた場所ではない。消えたサルカズの石像と、穏やかな空気が語っている。
「起きや、俺っちじゃ分からん事ばっかやのに、気ぃ失わんといてや。」
「うっ……。」
「……むぅ。」
軽く叩き起こすと、うめき声を上げて起きるアスカロンとロゴス。
ドクターとアーミヤも起こそうとして、止めた。
ひ弱なドクターにダメ押しの一撃を叩き込む事になる上に、見るだけで分かる異常なアーツが放たれ続けているアーミヤを無理に起こせば、自分に矛先が向く可能性があると判断した。
「起きたんならさっさ出るで、ここに居ったら息が詰まりそうやわ。」
アーミヤをアスカロンに預け、ドクターを背中に乗せ、ロゴスに周囲の警戒を頼む。
瓦礫を除去し、外に出ると、立ち込める蒸気が身を包んだ。
大きく息を吸い込み、吐いて言う。
「いやホンマに何処やここ。」
卒業論文が終わらねぇっすわ
日本語で書いて、このあとに待つ英語訳を思うとセルマ、俺涙が出そうだよ…
大層な発表内容じゃないけどその分凝らないと-
この物語の字数を全て論文に置換できないかなと思う今日このごろです