【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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経験記憶に参加できない恨みを込めて
ムルサッガッEGO欲しいよぉ……



第88話

 

 

 眷属が生み出される。

 眷属が生み出される。

 眷属が生み出される。

 血棘が生み出される。

 眷属が生み出される。

 眷属が生み出される。

 血の霧が、周囲を包む。

 

 相も変わらず穏やかに存在する空、海、星々がなければ地獄と言えるであろう場。

 その中央でドゥカレと斬り結ぶ。

 

「獣風情と、侮るのは()めにしましょう。レイホン、貴方は敵です。」

 

「慢心したままでも良かったで、俺っちの依頼も楽になるわ。」

 

「その(シン)()。既に手加減する度合いは超えていますよ。」

 

 燃え上がる紅の気、紡がれ続ける言葉、蒼龍の炎。

 それらを前にして、ドゥカレは怖気づく事なく、優雅に一礼した。

 天退星刀が頭を垂れた敵を打ち砕こうとして、突如生えてきた巨大な血棘が攻撃を弾く。

 

 中途半端な間合い。

 ドゥカレは優雅な動作から繋ぐには想像できない、指鉄砲を作って構えた。

 指先には赤黒い球体が渦巻いている。

 

「近接戦闘の密度なら劣るでしょうが……本職はそちら(前衛)ではないのです。」

 

 放たれる血の奔流。

 今も何処からか供給されているのか、溢れんばかりの血が波となって襲いかかる。

 蛭のような眷属が足を絡め取った。即座に斬り捨てる。

 

「『我は見——』…ぐっ!」

 

「させませんよ。貴方は弔鐘を奏で、挽歌で私を送るべきでしたね。」

 

 至る所から血の棘が生み出される。

 薬指の親方が似たような芸術(仕込み)を得意としていたが、これは全くの別物だ。

 間一髪直撃を避けたロゴスだったが、呪言は最後まで紡がれなかった。

 

「嬢ちゃん!どうすりゃ勝てる!?」

 

「っ……この手で触れることが出来るのなら、すぐにでも!」

 

「私に手を明かすとは。慢心は碌な事にならないと、私が身を持って教えたというのに。」

 

 血の雨は止まない。

 霧を吸い込む度に、確実に体は蝕まれていく。

 全弾発射し、赤熱した天退星刀で斬り結ぶ今、発される熱によって自分への影響は少ない。

 他の二人もロゴスのアーツによって守られ、問題はないはずだった。

 

「貪食の血。血脈由来でないアーツに頼り切っているのなら、これで終わりです。」

 

「これでも食らっとけや。」

 

 血の雨がアーツを喰らい、ドゥカレ以外の全てを蝕んでいる。

 この状況が続けば敗北は必至であり、現状の打破、もしくは速攻の勝利が求められていた。

 即座にあるもの懐から取り出し、ボタンを押してポイ、と投げる。

 起動するまでに1秒かかるが、この距離なら丁度1秒でドゥカレに触れるだろう。

 

 都市の特異点を用いた、最終兵器の一つ。

 真に慢心せず、全てを見下ろさずに相対しているのなら弾くか避ける代物。

 そしてそれを知っているものなら、万が一が起こらないよう確実に破壊する代物。

 『T』の文字が書かれた、本来は暗殺で使われる代物。

 

 ドゥカレが受け止めるならそれで終わり、弾くならその隙に距離を詰めて斬る。

 どう行動するかは———

 

パシッ

 

「こんなも——————……ッ!!!」

 

「全く懲りとらんやんけ!」

 

 精神に1000年もの時間を流し込まれたというのに、ブラッドブルードの大君は一瞬遅れただけで、身を守るため血のマントを纏った。

 弾丸を放った振り下ろしは防がれ、体を捻った切り返しの薙ぎ払いはマントを消し飛ばすのみに終わる。

 

「今のは、何を」

 

詰めろ(・・・)。」

 

バキン!

 

「これで、終わりです……ブラッドブルード!」

 

 背後に付き従い、赤いマントに隠れた切り札が手を伸ばす。

 指輪が砕ける音がしたと思うと、かつて見た黒色のアーツが線となり、ドゥカレの心臓を貫いた。

 

 互いに硬直する。

 手を伸ばしたアーミヤをロゴスの方へ吹き飛ばし、弾丸を使わずに斬り抜けた。

 数多の眷属も動きを止めていた。血の棘は生まれない。

 波は勢いを失い、もたげた血は重力に従って落ちていく。

 ドゥカレは……笑みを浮かべていた。

 

「……私にはもう分からない。私が何だか、何をしているのか。軟弱者は揃って安寧を望み、卑怯者共が勝利を手に入れる。兄も貴様も、揃って巫山戯た夢を見せる(語る)。その事実が、ただ腹立たしいのです。」

 

 血が減り始める。骸骨が浮き彫りになった。

 黒い罅に血が流し込まれ、砕けようとする身体を繋ぎ止めようとしているのが分かった。

 勿論、追撃すれば終わりが近付く。

 

「フッ!言い残すのが恨みでええんかァ!?」

 

 斬りつけ、吹き飛ばし、更に追撃しようとして……

 周囲の血から、沸き立つような殺意が向けられている事に気付いた。

 

「チィッ!」

 

「レイホンさん!」

 

「貴方たちの語る平穏は紛い物である。力を振るうことなく屈すれば、待つのは緩やかな死。……殺し殺されるの繰り返し。それこそが私の、サルカズの背負う血の輪廻。」

 

 幾本もの硬血がレイホンを貫かんと迫り、天退星刀を振り下ろして砕くことで対処する。

 それらは剣や槍を模しており、主人が何も指示しなくとも宙に浮かび、敵を排するために動いた。

 

「『我が定義する。汝ら、存在すること能わず……砕けよ。』」

 

 血の結晶となり砕け散る武器。

 雨が血を増やすよりも、維持に使う血のほうが多いのか、血の総量は減っていく。

 

「同胞が貴方に付き従うのは、自らの持つ命と魂をよりよく使ってくれると信じているため。『王冠』を戴く者が指し示す道を、盲目的に進んでいるに過ぎない。もはや信仰、笑止千万!」

 

「あなたは、安寧を見てもなお、戦い続けるのですか。」

 

「戯言ですね、そして幻想でもある。そうは思いませんか?」

 

 息の上がったアーミヤが問い、何でもないと言うかのように平然と答えた。

 罅が塞がっていくが、血は枯れ始めた。この機会を逃したとしても、手負いの血鬼を狩ることは容易だ。

 問題は、レイホンの本能というべき直感が警鐘を鳴らし続けている事。

 

「暗君に付き従う者を解放するのです。王冠は偉大なるティカズの再来を齎しはしないのだから。澄み切った血を流さない、貴方には分からないでしょうね。あの王冠がどれだけの間、同胞に恥辱めいた希望を齎してきたのかを!」

 

「それでも……。未来を過去に繋げれば、残るのは最初の苦しみだけですから。私は、あなたを否定します。ブラッドブルード。」

 

 アーミヤの言葉に、一瞬考える素振りを見せた。

 あくまでも紳士的に、しかし見下ろしてドゥカレは言う。

 

「ならば私は、あなたの道も肯定します。存分に平穏を求め、その果てに裏切られ死ぬと良いでしょう。……私が歩んだ道では、真に昇り詰めることはできないと、彼女(・・)は仰った。」

 

「しかし……それにそうだとしても、それは私の道を定めることが出来るのでしょうか?」

 

「そうですね。囁くしか能のない声如きが、どうしてティカズの血を受け継いでいたこの私に意見することができましょう?ただ汚らしいだけでは純潔を穢すことはできず、悪濁とて清廉さを染め上げることはできないのです。」

 

「私の歩んできた道はティカズの歩んだ道でない。ふむ、一考の余地はありますが……。」

 

「偉大なるティカズを第一に考えてきた私が歩んだのなら、それはティカズの歩む道ではないですか?」

 

 講釈を垂れるブラッドブルードの大君を前に、レイホンは動けなかった。

 アーミヤも、ロゴスも同様だった。

 彼の者から放たれる圧力が原因ではなく、服に染み込んだ血が縛り付ける。

 

(まぁた誰かに話しよるわ……)

 

 サルカズ全体の『昇華』のため、ドゥカレはある程度の力を"陣”に割いているとレイホンは聞いていた。

 だからこそ、ここまで追い詰めることができたのであり、強者に共通していた声との会話が行われてしまった。

 血の拘束を引きちぎり、血で汚れ、湿って使い物にならない葉巻を捨てる。

 

「自ら破滅に近付く道?それは結構。『心の悶え、深い憂い、涙、罠、大それた罪、悔恨。あらゆる血と共に飲み込み、いつか必ず全ての敵へと解き放つものよ。』」

 

 アーツの詠唱。

 残り少ない血が、自らの主のために集合し、その身を包む。

 赤黒い血は精彩を取り戻し、示した鮮やかな紅は———歴史の狭間で生まれた、新しい歴史を作るであろう、偉大なブラッドブルードの生誕を祝うかのように弾けた。

 血の総量は増し続ける。

 

「愚者の尊敬、幼子の感嘆、英雄らの羨望、賢者の軽蔑……覇の頂。我らには終ぞ与えられないものでしたが……必ず奪い取って見せましょう。———邪魔も、程々にしてもらいたい。」

 

「……そう簡単にはいかぬか。」

 

「今の私なら、ここから突き落とされようと生還できるでしょう。」

 

 しかし、今もなお残る罅は完全に埋まってはいない。

 血で無理やり接続し、心臓の働きをアーツで代替することで保っているだけの亡霊。

 血が消えたときが、彼の最期となるだろう。

 

「その力も無尽蔵やないし、いつか倒れるやろ……何度でも殺したるわ。」

 

「貴方たちの血で喉を潤せば、この渇きも治まるでしょうか?」

 

ドパンッ!!!

 

 鉄砲()

 突如として出現し、そして弾けた血の塊が濁流となって襲いかかる。

 アーミヤの方を見れば、未だ落ち着いていない。覚悟を決めた。

 

 大きく振りかぶり、撃鉄に指を掛ける。

 炎が今か今かと吹き出し、紅の(シン)と共鳴するかのように燃え上がった。

 全力を込めて握り、口寂しい口元を食いしばることで誤魔化す。

 

「見様見真似やけど……やるしかないわな!」

 

 三望。

 首が落ちるかと思うほどの幻肢痛と共に、記憶を辿って天退星刀を振るう。

 

ザンッ!!!

 

「———なっ」

 

「……空間斬-【爆】とでも名付けとくわ。」

 

 血の波を割った。

 濁流は辺り一帯の血をかさ増しするが、すぐにドゥカレの下へと集う。

 連続で三望を使用した疲労を隠し、笑みを貼り付ける。

 

「最も警戒すべきは、あなたでしたか。」

 

「今更やろ、敵なら全員警戒せぇや。死んでも食らいつく気概ある奴、舐めたらアカンやろ。」

 

「フッ。」

 

 鋭い、鮮やかな紅の剣が生み出された。切っ先はレイホンに向けられている。

 鼻で笑いながら、死の力を込めた血の刃を飛ばす薙ぎ払い。

 もし(シン)を超えて傷を負い、ドゥカレの血が一滴でも体に入ったのならそこで終わり。

 心臓を破壊するのも、血流を逆流させるのも、傀儡のように操るのも彼の思い通り。

 

「そんじゃ、気張ってくで!」

 

「援護します!」

 

 蒼炎を伴う剣が、再び動き始めた眷属を切り払う。

 弾丸を放ち、血の斬撃を打ち消して前へと跳んだ。

 

 






なおP3RのEpアイギスを終えて心情が荒れているものとする。
更に友の追撃(チュジョッケ)によりSiniSister2(あとルインズシーカー)してます

情緒がイカれるんですがそれは
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