【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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私がエイプリルフールだと思った時、その日は4月1日に定義される。
結局、この世で大事なのは私、自分自身だから!大事なのは私が今日を4月1日と宣布したことであり、それが私の法であり、価値観であり、宗教であり、信念である!私が死ねば世界も死ぬ。それなら私の生き方と存在方法こそ世界そのものだ!私が決めたのさ!誰も投稿を忘れた責任を取っちゃくれないし、生きてもくれない!!!だから私は決して折れない。
恥じることなく、私の信じるものを伝えることができるんだ。私は絶対に疑うことのない世界の善と悪を決め、予約投稿へと刻んだのさ!強く生きていけるように!!!

すいませんでした。




エイプリルフール(哲学)

 

 

至る所から煙が上がり、整備された道には血がこびりついている。

暴徒たちのサンドバッグになっていた亡骸は腐臭を放ち始め、虫が集っていた。

新しく火を点けた暴徒たちの前に、一人の女が姿を現す。

 

「チッ……何でアタシがこんな事を。」

 

「あ…? まだ生き残りがいたのか。テメェもこいつらと同じよ———」

 

「遅いんだよ、愚図が。」

 

「な———」

 

女の腰に携えられた二本の剣。

同時に抜かれた武器は仮面を被った男の心臓を貫き、バラバラに分解して次の相手へと向かう。

パレルモと呼ばれる剣術。力任せに振るうのではなく、身体の柔軟性を生かした捻りと回転、武器に装填された推進弾による圧倒的な速度で敵を倒す。

 

「気分が乗ってきた、全部解体してやる!!!」

 

「ヒッ……た、たす」

 

「喜んでこの弾丸で撃ち抜いてやるよ。」

 

声を上げて笑い、伸縮する剣を突き出して暴徒の頭を吹き飛ばした。

次々に死んでいく仲間を見て、腰を抜かして後ずさりながら助けを求める相手も同様に殺す。

 

「チケットも、煩いアイツらも居ない。……ハハハッ!」

 

廃墟の真ん中で笑う女を、狙う子供が一人。

小さな武器からは想像もできない威力を持つ砲撃が、仲間を殺した敵へと放たれる。

 

ダァン!!!

 

「折角気分が良かったんだ、邪魔するなよ。」

 

音よりも速い破壊の一撃は、来ると分かっていたかのように避けられた。

たった数歩後ずさる。当たるか当たらないかのギリギリの回避。

偶然と見て、再度放とうとした子供は……自分の勘を信じ、その場を急いで離れた。

新しい脅威となる存在を、自分たちのリーダーに伝えるために。

 

「……さて、酒は何処だ?ガツンと来る、強い酒。」

 

自らの目が、一切の攻撃を予知しなくなった頃。剣を収め、廃墟に立ち入って酒瓶を探し始めた。

この都市に残された猶予は残り少ない。

それを知らない彼女は、出会う全てを解体し続ける。

 

 

 

===

 

 

 

都市を破壊する暴徒たち……レユニオンの一部隊が酔った女に解体されるよりも少し前。

瓦礫の山の上に、全身を義体に置き換えた男が立っていた。

 

「私には、何が足りなかったのでしょうか。」

 

……男は悩んでいた。

死する直前、自らの芸術を評した男の言葉。それは自分の人生の価値を揺さぶるものだったから。

自分が過大評価をし、かつての栄光にしがみついていただけで、生み出していた物は大した物ではないのでは?

他の流派の芸術を取り入れ、素晴らしい物のみを集めたと思っていたのは幻想だったのでは?

全ての者に理解される芸術というのは、現実には存在せず、理想の中にのみ存在できる物なのでは?

 

悩む度に現れる疑問と後悔が、カタカタと音を立てて体を震わせる。

その時、男を狙って矢が飛んできた。勿論、男にとっては避けることも容易い。

だが、考え事をしていたため一瞬反応が遅れ、男の生涯をかけた作品に矢が当たった。当たってしまった。

 

「あいつの体……金属で出来てるのか?感染者じゃなさそうだが。」

 

「変なやつだが……この都市に居るってことは、俺達の敵だ。」

 

瓦礫の山の上でずっと立っていれば、目立つのは自明の理だった。

暴徒たちが男の前に現れ、取り囲む。

 

「……?……!? 貴方たち……その体に付着した、黒い石のようなものは何ですか?」

 

「馬鹿にしてるのか?……俺達を苦しめる、忌々しい源石だよ。」

 

仮面を被った者たちの中から、唯一赤い仮面を被った者が語る。

その疑問に殆どの暴徒たちが殺意を抱き、行動に移そうとした。だが、自らの部隊の隊長が手で制したため、歯を食いしばって耐える。

赤い仮面の隊長が制し、理性を持って返したのは、その質問に一切の悪感情が含まれていなかったからである。

そして、すぐに答えたことを後悔した。

 

「源石……興味深いですね!析出する部位に共通点はあるのでしょうか?それとも身体と完全に癒着して何処からでも析出するのですか?先天的なものや、後天的なものもあるのですか?」

 

「お、おい、待て……」

 

「あぁ、答える必要はありません。私が勝手に調べるので、貴方たちはそこに居てもらえれば良いのです。」

 

男の側に突き刺さっていた大剣。

男の影に隠れてよく見えなかったが、引き抜かれたそれは陽の光を浴び、何で構成されているかがよく分かった。

肉と骨。人体を構築する上で、必要不可欠なもの。

そして隊長が撤退を指示するよりも早く———

 

「ぐわぁッ!!!」

 

「ふむ。この耳も、尾も、野獣派の者たちのように縫い付けたものかと思いましたが……どうやら違うようですね。彼らが見たら、どれだけ羨ましがることか!」

 

指示を飛ばすべく、息を吸った瞬間。

軽々と片手で振るわれた肉の大剣が腹を貫き、体は空に浮かんでいた。

そのまま何かを呟くと、男は次々に大剣を通してレユニオンの構成員を貫いた。

 

ブォン!

 

「ぐ……ぅ……」

 

「新しい見地、ありがとうございます。礼として、私の持つ最大の技術で美しく仕立てて見せましょう。」

 

「や……ぁ…め」

 

拒否の言葉。それ以上は続かない。

繊細な手つきで、肉と血管を分けていく。

 

青色の静脈、赤色の動脈。縒り合わせて一本の紐に昇華させる。

出血している場所は毛細血管を糸代わりに縫い合わせ止血する。

拒絶反応が起こらないよう、互いの血が触れないよう少しづつ、しかし確実に一つになるよう組み合わせていき———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ、これは。」

 

天災を超え、都市を歩いていた白いコータスは絶句した。

赤黒い一本の木が、生えていた。

 

木の枝の代わりに手を伸ばした状態で固まり、葉の代わりには耳や尾が源石結晶とともに散りばめられている。

地面との生え際、そこには大量の顔が落ちていた。そして、その全てが息をしていた。

彼らが呼吸する度に、木に血が巡り、赤黒い色が少し鮮やかになる。

 

本来自立できないのか、よく見れば細い、血管を用いた糸が支えているのが分かった。

 

「う……、オエッ……。」

 

漂うはずの、漂わなければならない血の香りはなかった。

黒い源石結晶は木の頂点に綺麗にカットされて置かれており、クリスマスを彷彿とさせる。

 

「……もう、眠れ。」

 

「「「ギィ、やァァァッッッ!!!!!」」」

 

白いコータスが力を解放し、極寒の地へと変貌させた瞬間、木の材料になった者たちが絶叫する。

それらを必死に耳にしないようにして、アーツの出力を上げ続けた。

そして、彼らが完全に息絶えたその時。

 

パァンッ!!!

 

木々は黒い結晶を散弾のように放ち、弾けた。

まるでクラッカーのように放たれるそれをアーツで防いだコータスは、怒りを込めて呟く。

 

「仇は、討つ。」

 

 

 

===

 

 

 

また別の男も、瓦礫の山に立っていた。

対峙しているのは、レユニオンではない。

 

「スリンカー!クソッ、何なんだよお前!」

 

「お前たちから仕掛けてきて……おっと、やるな!」

 

一段階の封印を解除し、赤熱する刃が見える剣。

隻腕の男に超遠距離狙撃が放たれるが、本能的な感覚により回避する。

サングラスを上げ、剣を大きく振りかぶって言う。

 

「死ねよ……!」

 

「数々の暴言……もう帳簿に書くまでもないな。即刻処刑だ!」

 

振り下ろすと同時に、封印が更にもう一段階解除される。

大きかった装甲を纏う剣は、二段階の封印解除を経て小さくなっていった。

 

「次は狙撃手……関係者も全員処刑だ。RHODES(ロドス)、覚えたぞ。……ん?」

 

呟く男の背後から、小石の転がる音がした。振り向くと、そこには赤い髪の少女がいた。

本来この時間、この瞬間に存在するはずのない存在。

ただ、少女の持つ大剣を扱っていたモノが、圧倒的な熱量に魅せられて寄ってきた。

 

「その剣、なんて言うんだ?」

 

「これか?レーヴァテインって名だ。誰にも渡さねぇ、俺だけの剣。ところで嬢ちゃん……。」

 

男は目の前の少女を威圧する。

そして質問した。

 

何で俺と同じ(・・・・・・)剣を持ってんだ(・・・・・・・)?」

 

男の質問に、少女は答えなかった。

どこからどう見ても、同じ剣ではないという理由ではない。男も少女も、互いの持つ剣に潜む世界を焼き尽くす炎と、その果てにある破滅を見通していた。

ただ、答えに必要な情報を失っていただけ。

 

「分からない。私は今も探している途中だ。」

 

「……どうやら、嘘じゃなさそうだな。」

 

サングラスを元の位置に戻し、再び剣を封印する男は妙案を思いついたように声を上げた。

焼き切れた遺体に食い込む鎖を引き千切り、装甲の上から巻き付けながら言う。

 

「嬢ちゃん、俺と一緒に来ねぇか?」

 

「お前と一緒にか?」

 

「俺が知らねぇことを嬢ちゃんが教えて、嬢ちゃんが知らねぇことを俺が教える。いいコンビになると思うんだが、どうだ?」

 

「……ふむ、いいだろう。」

 

少女は特に深く考えず、適当に返事をした。

確かに知らない者同士支え合ってみるのも良いかもしれない。そう思った。

 

「ハハッ、決まりだな!じゃあ早速だが、この陰気臭い都市を出るとするか!」

 

 

 

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