【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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えぇっ!?ヴァレンチーナロージャとルチオヒース!!?
蜚蠊に可能性ごと食われたはずじゃ……。
ロージャ初めての回避人格、楽しみですね。

しかしヴァルプルギスを前にしてやっと実装されるとは
流石にボニャテッリ家はお前から愛を取り上げる。
尚、お前の使う剣や遺物は我々が失った狂気の残香が染み付いているので回収はしない。



第90話

 

 

「より深く、より真髄に触れて。眠る力を理解し、正しく振るえ。あぁ、最高の気分ですね。」

 

 空間ごと切り裂かれた濁流を、更に飲み込もうとうねる血の波。

 道を切り拓いたのは一瞬。その一瞬で勝利を掴むため、背後の二人を信じて前に飛び出る。

 残弾は3発。

 

「好き勝手はさせぬ。『我に迫る全てへ告ぐ、消えよ(・・・)』。……アーミヤ、本当に良いのだな。」

 

 ロゴスの声が響き、アーツが迫る眷属を弾き飛ばし、すべてが消える。

 血も、眷属も、ドゥカレも。文字通りロゴスへ迫る全てが消えた。

 逆に言えば、迫らず停滞していた血は消えない。血が人の形をとり、ブラッドブルードの大君は蘇る。

 

「はい。ここで勝てなければ、ケルシー先生にも、ドクターにも会えないので。……目を焦がすような光と共に見えました。私がやらなければ、全員ここで死んで終わりです。」

 

「ならば……我が背負う事になる深い憂いと後悔も、レイホンと共に受ける激しい叱責も、受け容れようぞ。うぬの覚悟に比べれば、全ては些事に過ぎぬ。」

 

「それ俺っちらからすりゃ些事やないけどなァ!」

 

 不敵な笑みを携え、白い服ではなく、真っ赤な血の服を纏ったドゥカレ。

 叫び、笑いながら斬りかかる。

 周囲から生み出される棘を砕き、首を狙って振るわれた薙ぎを斬り上げ、切り返して斬り抜けた。

 背後から天退星刀を大きく振るって肩ごと吹き飛ばす。

 

「無駄。これほどこの状況を表せる言葉はないでしょうね。血が枯れない限り私は死なず、私が生きる限り血は生み出され、捧げられ続けるのですから。」

 

「……。」

 

 捧げる。

 まるで今もなおドゥカレに血を捧げるものがいるような言い方だった。

 神秘に覚醒する前の血は、恐らく命を捧げたサルカズたちの血。自前のものもあるかもしれない。

 虚空から血は流れ続けている。直に膝のあたりまで血で覆われるだろう。そんな量の血が、何の代償もなしに生み出されるはずがない。

 

 サルカズにとって"血”とは価値を持つ。アーツに、巫術に、存在に、血は意味を持たされる。

 故に純血のウェンディゴはかつて『最強』であり、最後であるが故に敵ですら死を惜しむ。

 

 血を消費して悠々と再生する裏で代償を払っているとは思えない。

 よってレイホンが考えつくものは一つしかなかった。

 

「その血、別ん所から取り続けとるやろ。」

 

「半分正解です。正しくは異なる世界よりサルカズだけでなく、我々に跪いたすべての種族から"血税”として徴収し続けた血……いずれこちらの世界も、そう制定しなければなりませんね。」

 

 自分ではない、誰かに代償を押し付ける。

 丁寧に答え合わせまでしてくれたドゥカレに感謝の意を込め、真っ直ぐ切り分けた。

 

「無駄だと、何度言えば分かるのか……。」

 

「時間稼ぎになっとる時点で無駄じゃないんよな。」

 

 アーミヤの目的があれ(・・)なら、叱責では済まされない。

 だが、同時に勝機が生まれるのも事実。

 あと一手を望み、肉体の半ばまで食い込んだ天退星刀を最後まで振り抜く。

 

「共に歩み続ける者はいないのに、立派な大義を掲げて……大層ご立派ね。」

 

「キャプリニー……あぁ、綻びから無理やり入ってきたのですか。高潔な血を持つ者ではなく、サルカズに幻想を見せる王冠、(シン)(マン)も持たない者が……この場に存在できるとでも?」

 

「……うぐっ、ゴホッ!」

 

「ぐ、これを”!」

 

 空間が捻れ、そこから数名が流れ込んできた。

 同時に、その中の2名が血を吐く。

 手榴弾を片手に持った銀髪のサルカズと、重厚な剣を持ったサルカズがドゥカレとの距離を詰めた間に、血を吐いた2名のうち、赤色のコートを羽織ったフェリーンの下へ走る。

 

 差し出されたのは追加の弾丸。ちょうど弾倉一つ分。

 

「ご武、運、を。」

 

「おう、そこで見とけや。」

 

バァン!

 

「雑種ですか……祝福を受けて尚、己の血に背く裏切り者ども。」

 

「誰も頼んでないっての!」

 

「虐殺に意味を持たせようと、必死に足掻くさまは中々に不様だぞ。」

 

 血の霧によるものだと気付いた2名は即座に口に布を当てる。が、暴れ狂う血を抑えるので必死のため、戦力にはならない。そして爆音と大剣の主もまた、血の主導権を握られ始めている。

 

「さっさせんと死ぬでコイツら、急げや。」

 

「はいっ……!」

 

 空いた3つの弾倉に弾を込め、アーミヤを急かし、二人のサルカズを退けたドゥカレへと歩み寄る。

 結局無駄遣いはできないままだが、お陰で大技一回分の弾丸は手に入った。

 

「余裕ですね、死ぬ直前にはその表情も歪むのでしょうか?」

 

「死ぬまで堂々と構えとけや、誇りっちゅうのは大事やろ。」

 

「ふむ、違いありません。」

 

 同時に武器を振るう。

 互いに右から左へと振るったため、武器が衝突し……血の剣は砕け散った。

 切り返しからの袈裟斬りは、即座に再生した剣で受け止められる。

 

「かなり脆いなぁ、俺っちの知っとる奴の鎌は、こんくらいじゃ壊れんかったで。」

 

「打ち合えば砕けるというのに、丈夫にする意味があるとでも?」

 

 血の球が浮遊し始め、周囲の血を吸って肥大化していく。

 弾ける時、光線のような血の線を走らせるそれは、十分な大きさになる前に炎に包まれた。

 ドゥカレの表情が歪む。しかし、触手のようなものが蠢く瞳孔を持つ目は、変わらずレイホンに向いている。

 

「……バァン!アンタみたいなお偉いさんの顔が歪むと、不思議とスッキリするのよね。子ウサギも、準備はできたみたいだし……派手にカマしなさいよ。」

 

「一回のみだ。それ以上は我が封じる。もう一度振れば勝てたとしても、それは揺らがぬ。良いな。」

 

「チェンさんに出会えて、本当に良かったです。彼女の抜刀速度は、私が知る限り一番ですから。」

 

 用意ができた。つまり、弾丸を惜しむ必要がなくなった。

 ベルトに残した3発の弾丸と弾倉に込められた6発の弾丸を視界に収め、一度納刀する。

 

「今からドデカいのもっかいブチかますさかい、くたばってシラケさすなや!」

 

「傲慢も程々にですよ、レイホン。……ブラッドブルードの大君の名に賭けて、受けましょう。」

 

 確かに歪んでいた表情は笑顔に変わり、更に速く巡る血がドゥカレの肌に赤みを与える。

 赤黒い血がより一層鮮やかになって、1輪の薔薇を生み出した。

 

「この薔薇が枯れた時が、血が枯れた時であり、私が死ぬ時です。あなた達は私を枯らせますか?」

 

 バシャバシャと、血の海をかき分けて黒いコータスが並び立つ。

 その腰には、一本の刀が黒鞘に納まって抜かれる時を待ちわびている。

 

「無我夢中、阿鼻叫喚、支離滅裂。……間違っても、俺っちは切らんどいてや。」

 

「善処する。」

 

「来ないのですか?では———」

 

 ドゥカレの手の中に、渦巻く血が見えた瞬間。

 弾丸を放って加速し、血の塊ごと身体を両断した。下半身を踏み台にし、衝撃で吹き飛ぶ上半身に向かって跳んで、天退星刀の振り下ろしで血の海に叩き落とす。

 即座に再生するが、血の海の嵩は下がり始めた。

 

「お前の体、再生に血ィ使いすぎやろ。減るほうが速いわ。」

 

「———しかし、枯れはしな」

 

「フンッ!!!」

 

 言葉の途中で、下顎から下を残して頭半分を吹き飛ばす。弾丸の放たれた音が響いた。

 再生が始まるのは脳のある頭から。何度も攻撃し、理解したことの一つ。

 空中で再生し始めるドゥカレ。その足が地につくよりも先に、落下地点へ先回りして再び両断する。

 

「乗ってきたでぇ……。」

 

 金色の炎が血を焦がし、揮発した血も炎の勢いに負けて霧散する。

 トリガーを引き、傷口が焦げて再生の遅い身体へ更に追撃する。

 右肩の上に構え、屈む。

 峰に取り付けられた6つの筒から、炎を吹き出して震える天退星刀を、自らの力で抑えつける。

 

 炎の勢いは弱まることなく、より一層強まり続けて……。

 光の輪が3つ輝いた瞬間、自らの勘に従い、跳躍してトリガーを引いた。

 

「タァッ!!!!!」

 

 炭化し、黒焦げになった何かが吹き飛ぶ。

 血の海は靴が浸かる程度にまで浅くなっているが、横目に見た薔薇は枯れていない。

 血が一層減ったと思うと、焦げた肉は傷を残してはいたが、人の体を取り戻していた。全身に火傷を負っているように見えたが、それも一瞬のうちに癒えて消える。

 

「……流石と、言わざるを得ませんね。この傷……最後の一撃は、癒やすのに長い時を要するでしょう。」

 

「仕留められたんなら、良かったんやけどな。はぁ……俺っちの全力、簡単に耐えられると困るんやけど。」

 

「相手が悪か「『我が世界は、我が言葉で規定せん。彼の者以外を……束縛せよ。』」……!」

 

 猛攻を耐えきったドゥカレが、微笑を携えて言葉を紡いだ瞬間。

 ブラッドブルードの大君が紡ぐ言葉よりも、遥かに恐ろしい者が言葉を紡いだ。

 戦場という、場が止まる。血の統べる、一人を除いて。

 

「私は血を統べる、私は血……私の行動は、貴方といえども縛ることの出来るものではありません。」

 

 呪言の縛りは一瞬で解除される。

 一瞬。しかし、刹那の抜刀には、十分すぎる時間。

 再び血を流し込もうと、空間が捻れた瞬間だった。

 

「赤霄剣術———抜刀。」

 

「『放せ』、『封じよ』!」

 

 記憶も、時間も、心も斬り裂く、"無"の斬撃。

 総ての世界にいるであろうドゥ レを斬り、総ての ゥ レを世界から抉り取る。

 身体を断ち切り、更に異世界との繋がりも断ち切ったのか、新しい血は流れ込まなかった。

 

 呪言がアーミヤの手から刀を奪い、浮遊した鞘だけでなく、血でさえも『それ』を封じるために動く。

 

「なっ……魔王よ、何をした!」

 

「ここは通行止めやな。」

 

「残念だけどここ、一方通行だから。大人しく停滞して死になさいよ。」

 

 治らない傷を癒やすために、血は消費され続ける。

 斬撃を放ったあと、膝をついたアーミヤに怒りという感情を抱く ゥ  が硬血で幾本もの棘を生み出したが、Wの爆弾と、赤熱した天退星刀が呆気なく破壊した。

 このまま放置していれば、枯れて死ぬだろう。

 

カラン。

 

     の近くに、封じられた刀が転がらなければの話だった。

 

「碌なことにならんから、抜かんほうがええで。」

 

「この刀……。これであなた達を斬れば、私とともに死出の旅に赴いてくれますか?」

 

「……一応、警告したで。」

 

 血で体の周りを覆い、無理やり動くブラッドブルードの大君。

 レイホンの言葉など意に介すことなく、ゆっくりと、刀を抜いた。

 

 





呼吸タグ持ってきてくれたら文句無しのヴァレンチーナロージャ。

愛しい火傷呼吸、お前さえ来てくれればいい。
そうすれば、火傷・出血・呼吸の夢は消えない。
だから……交換させてくれ。
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