【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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屈折鏡鉄道6号線クリア時
俺「ハハハハハ!欠片いっちょ上がり!全部交換してやる!」
プロムン「その欠片、長くは持たないだろうに。」


プロムン「代償を払う時間だ。」
俺「ほざくな!アタシは射影戦闘をハード攻略して、スキンも箱も手に入れたんだ。こんなところで埋もれてるべき人間じゃないんだ!」

なお箱開けても欠片足りませんでした、し、死ぬ……。




第91話

 

 

 深い暗黒の中で、アーミヤは夢を見ていた。

 母親のように優しい人(テレジア)と、恩人(ドクター)が仲良く手を取り、歩んでいる夢。

 近くには先生(ケルシー)や、沢山の仲間たちがいて、皆が笑顔で過ごしている。

 

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 斬撃とともに夢は無へと帰し、そして再び夢を見る。

 

『あぁ、切り刻まれたのか。』

 

 永遠の時間の中で記憶を辿ろうとも、心は満たされない。

 無いものを探したところで、何も見つからない。自分で切り捨てたものを、もう一度この手に収めようという傲慢な行いは、誰だって許されはしないのだから。

 ならば、どうすれば良い?

 

『……何を忘れるんだろう。』

 

 欠けた心は、満たされようと消えた記憶に引き寄せられ、その度に"欠け"を自覚して、存在しない空白にあったはずの"何か”を求めてしまう。

 遠い記憶に縋らずとも生きていけるはずなのに、縋らないと生きていけなくて。

 理想を叶えるのは不可能である、そう言い切れないことが終わりのない追求を要求する。

 

 空白に埋め尽くされた世界を、どうやって満たせばいいのだろう?

 欠けた心を一時でも埋めてくれた優しさを、再度求めるのは悪なのだろうか。

 もしそれが悪だとするなら———絶望。それしか残ってはいないのだろう。

 

『王冠に宿る膨大な知識が大部分を請け負っている。』

 

 暗黒の中で、白い欠けた仮面が浮いている。その下には、笑顔が潜んでいた。

 私を嘲笑うものではなく、自分を卑下するような笑み。

 

『結局、全ては知れないまま終わる。君はまだ、夢を見る子供だからな。』

 

『余分な重荷を消し去ったと考えてみろ、負担もマシになったはず。』

 

『夢から覚める時間だ。』

 

『——— むかしむかし、大きな大きな砂漠に立ち向かう、布で作られた小人がいました。小人は誓いました。いつかこの砂漠を抜け、伝説に語られる希望の平原を見つけるんだ……。』

 

『俺と、この物語の記憶を対価としよう。』

 

 懐かしい物語と共に、脈々と受け継がれてきた激情が消えていく。

 声の主は消えていくというのに、不思議と違和感がなかった。

 

 

 

===

 

 

 

「……なぜ私が刀を握っているのか、なぜ私の前にあなた達が居るのかは分かりません。ですが、血が語ってくれました。……耳障りな、その心音を止めろと!」

 

「既に限界など、超えているであろうに……!」

 

 天殺星刀『阿頼耶識』。

 自らの記憶を代償に、斬ったものは過去・現在・未来の全てにおいて切断される。

 相対する限り癒えない傷を負わせるそれは、ブラッドブルードの大君の手にあった。

 

 横薙ぎの、力任せな一振り。

 それを大袈裟なほどに跳躍して躱し、膝をついたアーミヤの首根っこを掴んで後ろに下がる。

 

 刀を振るった空間には跡が残っていた。

 暗く、静かな空間において異常なほど白い、欠けた空間。

 

「ヘドリー!W!一度引きなさい!」

 

「言われなくても分かってるわよ!」

 

「跪き、平伏しなさい!偉大なる    の再来に歓喜し、礎と———待て、私は今、何と言った?何のために私は戦っ……いや、私は自らの血に従い、行動するだけ。」

 

「欲望の殻も自分で切ったんなら世話ないわ!」

 

 Wとヘドリーと呼ばれたサルカズが退き、挙動不審になり始めたドゥカレが、再び狙いを定めた。

 残り少ない血を用いて加速しながら放たれた、最速の技(突き)

 天退星刀で軌道を逸らす。

 

「チィッ!」

 

 それでも刃がコートを掠め、パクリと裂けた。

 空間に残る白い跡に気をつけながら、距離を詰めて乱戦に持ち込もうとする大君。瞬間、黒色のアーツが彼を吹き飛ばした。

 

「その人は、もう限界です!この骸骨から、叩き落としてください!」

 

「……魔王?なぜ、異種族がその王冠を持っているのです?」

 

「むぅ……忘却とは恐ろしいものよ。『汝よ、浮かび上がれ。刹那の浮遊を、しばし猶予せん』。」

 

 顔色が悪いアーミヤが、それでも勝利のために立ち上がる。呪言が大君の体をしばり上げ、身体を空に浮かばせる。

 残り3発。弾丸を放ち、細い体を吹き飛ばした。

 

「他種族が、なぜ私を……その力は一体……?」

 

「ロドスと、ある奴からの依頼やな。やったこと忘れても、やられた方は忘れんで。」

 

 泣きながらレイホンに依頼した、一人のフェリーンの姿が脳裏に過る。

 報酬はヴィンダミア領主後継者に立候補し、その後ろ盾に親指を置くこと。

 部があってないにしろ、リターニアへの足がかりにも出来る場所とあれば……好機を逃すわけもない。

 

 追加で弾丸を放つ。

 揺らぐ精神に引っ張られ、震える身体を気合で圧し殺した。

 不敵な笑みを貼り付け、徐々に切り刻まれ焦り始める大君を威圧する。

 

「血が、足りない……血が、渇きが……!」

 

「自分の血でも飲んでろや!」

 

 勿論、そんな事をさせるはずもない。

 傷は刀がある限り癒えず、血のアーツとの繋がりも含め、熱を持って焼き続ける。

 周囲から掻き集めた血も、天退星刀や阿頼耶識によって焼かれ、白い煙を上げて消えていった。

 広大な骸骨に点在する血は、呪言と爆風が集合するのを妨げている。

 

「———落とせ!!!」

 

 アーツ、爆弾、朴刀、大剣、投げナイフ、銃剣、呪言。

 骸骨の上に立つ、全ての者が一人を舞台から突き落とすために全力を尽くす。

 大君は刀を使って束縛を打ち破ろうとしたが、その体は骸骨から投げ出されていた。

 血を用いて舞台に戻ろうとしたのか、手を伸ばす。

 

「残念ですが、貴方が使うことのできる血はありません。」

 

「薔薇も萎れちゃってたけど、今から枯れるわ……まったく、無様ね。」

 

 黒いアーツが、ダメ押しと言わんばかりに大君の体を撃ち落とした。

 

 落ちていく大君を眺め続ける。

 歴史の狭間、空間の狭間へと、落ちていく。

 送り出す挽歌も、讃える祝詞も、何も無い。

 ただ静かに、王庭の主の一人は消えた。

 

 

 

———

 

 

 

 骸骨から降り、寄ってくる部下たちに指示をして、血に塗れた感触の悪いコートを取り替える。

 弾丸の補充を済ませるが、流石に肉体的にも精神的にも疲労困憊だ。

 

「ドクター!」

 

「おかえり、アーミヤ。」

 

 アーミヤがドクターの胸へ飛び込む。

 その姿を見て、ようやく流れから距離を置けると実感した。やるべきことが幾つか残っているが。

 抱擁を交わし、程々にしてこちらに向き合うドクター。

 

「一先ず……ありがとう、そしてお疲れ様。」

 

「依頼は半分達成やな、指輪に関しては……言い訳がましいのは嫌いやし、誤魔化さんわ。スマンかった。」

 

「確かに、アーミヤへの負担は気になるが……。」

 

 二人でケルシーを見る。傷跡は隠されているが、怪物を出しているところを見るに問題はないようだ。

 指輪に関して、力を制限するものとしか伝えられておらず、それ以上を知る気もない自分とドクターが同じ行動をするのも不思議だが、アーミヤに異常があった場合を考えるとケルシーに聞かざるを得なかった。

 

「……この指輪は、君が力を解放する時、それに付随して押し寄せてくる感情に適応させるものだ。」

 

「えっと……その事なんですけど……。」

 

「うむ。レイホンよ、大人しく受け入れようぞ。」

 

 溜息を噛み殺し、ロゴスと共に整列する。

 突然の行動に首を傾げるケルシーとドクター、そして何を言おうとしているのか察したドクターが、誰よりも早く口を開いた。

 

「もしかして……レイホンの言ってた『刀』を使ったのか?」

 

「レイホンさんも、ロゴスさんも責めないでください。異なる世界から血を奪う、あの時の彼に勝つには……あの刀を使うしかありませんでした。」

 

「何を忘れたかも分からないのだろう。……テレジアは、覚えて、いるか?」

 

 ドクターが正解を言い当て、アーミヤが弁護する。

 その様子を見ていたケルシーは、震えた声で質問した。

 

「———えぇ、覚えています。刀が切り裂いたのは、濁流のように押し寄せる感情ですから。……単に、運が良かっただけだと思います。」

 

 その答えを聞くと、ケルシーはホッと息を吐いた。ドクターも、ロゴスも、そしてレイホンも安堵する。

 連携相手のトップ2名が記憶喪失になっては目も当てられない。

 

「しかし、あとでしっかりと検査をする必要があるだろう。アーミヤも、その『刀』は出来る限り使わないよう、心に留めるように。レイホン、ブラッドブルードの大君という強大な相手に対し、共に戦ってくれたこと、感謝する。」

 

「礼は受け取っとくわ……これで終わりやないんやろ?」

 

 そう聞くと、ケルシーとドクターは同時に頷く。

 

「次に、決戦に備えておけ。」

 

「……一応聞いとくわ、向かう場所は?」

 

「ロンディニウム。かの大君の残したものは、我々が赴くことで定まる運命は、ロンディニウムという一つの都市の命運を決するだけに留まらないものとなるだろう。」

 

 

 

===

 

 

 

「何のために、私は生まれた?」

 

「何のために、私は戦っていた?」

 

「何のために、私は兄を殺した?」

 

 血への執着心、ある種族の再臨。

 大切な記憶は切り刻まれて消えた。残ったのは、すべての理由を失って死にゆく体と、理由もなく殺したと記憶している、魔王()との記憶。

 

 手を伸ばしても、もう届かない場から感じる魔王の気配。

 バンシーの強大な力も、そばに立つ同胞たちの気配も全て分かる。

 

「私は、そちら側にはいなかったと。そういうことですか?」

 

 答えるものはいない。

 流れる大量の血とともに落下していく。腹から下は既に分かれた。

 ふと、大量の血の中から、一際輝いている一滴の血が目に入る。

 

 たった一滴だが、信じられない程、綺麗な血だった。

 秘められた力を幻視する。自分に似て、自分よりも純粋で澄んだ血。

 そして悟った。

 

「この血。……あぁ、この血が私を導いてくれるのでしょう。いつか必ず、偉大な主が私達を統べ、導いてくれるでしょうね。」

 

 朽ち果てていく肉体(自分)を、送り出す挽歌はない。

 しかしどうでもよかった。

 記憶から消えた理由を、再び見つけられたことが何よりも嬉しかったから。

 

「いつか会うその時まで、さようなら。」

 

 

 





アークナイツのMV見てもう夏か…となる今日この頃。
ラ・プルマちゃんかわいいね、ASMR待ってます。未所持だけど。
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