【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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夜明け事務所だぁ…?
ルイナ勢への需要をよく分かっていらっしゃる

哀悼EGOはどうなんでしょうか
多コイン、再利用じゃないとは思うけども
じゃないと剣契で馬鹿になるからね……



第93話

 

 

 ドクターたちが持つ発信機の信号を頼りにし、突如現れる源石クラスターを躱しつつ洞窟へと辿り着く。

 道中には息絶えたサルカズの体が転がっており、貫かれた痕や傷一つない状態の死体があるのを見るに、ケルシーやロゴスが仕留めたのだろうと推測できる。

 

ゴゴ……

 

 洞窟内の壁が押し潰そうと狭まり、死体の指が動くまではそう思っていた。

 音を立てて、ゆっくりとだが、確実に道は閉じていく。

 

「見間違いやないか、はぁ……そろそろ飽きてきたで?」

 

 抜刀し、立ち上がった死体に斬りかかろうとした瞬間。

 本能に従って、咄嗟に天退星刀を手元に引き寄せた。

 (シン)も貫けるであろう、圧縮された光線が朴刀に阻まれ、衝撃でレイホンを吹き飛ばした。

 

「———」

 

「あの猫の飼っとる化物……の偽物か。弾だけくれや、先ドクターんとこ行け。」

 

「分かった。」

 

 クラウンスレイヤーから数発の弾丸を受け取り、正面にそびえる鉱石の怪物を睨みつける。

 先に進もうとするクラウンスレイヤーの道を切り開くため、Mon3terと呼ばれている物に向かって朴刀を振るう。

 弾丸を惜しむ相手ではないのは十分承知しているため、容赦なくトリガーを引き、横一文字に振り抜いた。

 

ガァン!

 

 緑のかかった黒い結晶の欠片が散る。

 熱を貯め始めた天退星刀を止めずに最後まで振り抜き、巨大な尾を断ち切った。

 即座に身を翻し、すぐそこまで迫っていた刃を躱す。

 

「おう、さっきぶりやな。今度はきっちり、規律に則って処罰したるかい覚悟せぇや!」

 

「……何で僕って分かるのかな。」

 

 空いた左手でナイフを持った手を弾き、クラウンスレイヤーの姿をした"それ”に向かって朴刀を振り上げた。

 真っ直ぐ振り下ろす。綺麗に2つに分かれた体の奥に、別の影があるのを見た。

 ドクター、アーミヤ、ロゴス、医療オペレーター、親指の構成員たち……。

 その中にはかつての弟子(良秀)の姿もあった。

 

「はっ、俺の記憶から作ったんか?……勝手に記憶を読み取ったり、礼を弁えん奴や。不愉快やな。」

 

 数えるのが面倒になるほどの皮を被った変形者は、今もなお数を増やして道を阻む。

 それぞれが武器を持ち、今すぐにでもアーツを使えるように構えた。

 対して、両手で天退星刀を持ち、袈裟に切り裂けるよう右肩の上に構える。

 3つの(マン)が朴刀の先で輝き、紅い気が立ち上った時、撃鉄を引いた。

 

「ここは通さな———」

 

スパァァァン!!!

 

「……。」

 

 たった一人を除いて、変形者の生み出した幻影は断ち切られる。

 精神的な疲労がどっと押し寄せるが、殆ど一掃したという達成感が揺らいだ心を支える。

 残った一人が咄嗟に構えた古びた刀は半ばから砕け散っていたが、それでも抜刀の姿勢で立っていた。

 

「俺っちの斬撃の速度覚えとったか?流石やな。武器がもうちょいマシやったら受けられたやろうな、惜しいわ。……あぁ、ただの独り言やし、お前程度に理解できる奴やないし黙っとけや。(シン)使えるようになって出直せ……はせんな。」

 

「ぐ……。な、なん、で。」

 

「———その耳は飾りか?」

 

 空間を断つ斬撃を放った後、大きな後隙を狙うかのようにナイフを突き出してきた男がいた。

 背後から心臓を狙った一撃だったが、(シン)を超えて肉体に触れることはない。

 そのまま体を捻って両足を切り裂いた。

 男が何に対して困惑しているかは分からなかったが、発言を許可していないため下顎を殴りつけて破壊する。

 

「俺っちも結構成長したと思うんやけど、防がれちまったし……案外大したことないんか?一応剣の極地っちゅうのに自信なくすわ。いやホンマに。」

 

 睨みつけてくる目。眼窩に指を突っ込み、そのまま抉り抜く。

 痛みで叫びを上げようとした男の喉を先に締める。空中に持ち上げた。

 

「傷が癒せん、数を増やせん、化けることもできん。理由を教えてやろうか?」

 

 偽物の弟子に向かって放り投げた。

 折れた刀が抜かれ、満身創痍の男の体から二本の腕が消える。

 よく見れば刀は所々刃毀れしており、切断する際に激痛を伴うことが容易に想像できた。

 

「あ”あ”あ”あ”あ”ッ”ッ”ッ”!!!」

 

「叫ぶな。耳を澄ませや、源石を伝って聞こえてくるやろ?」

 

『———暗闇で……君が手を掴んでくれた』

 

 死へ誘うバンシーの歌。それとは似ていて、また違うもの。

 敵も味方も問わず、『血』という物に関する全ての事象を否定する旋律。

 そこに、小さいとはいえ他の者の声が混じっている。

 自分たちは微力だが、無力ではないと叫ぶかのように。

 

「責任持って送り届けたる。俺っちは二枚舌は使わん。つまりな?お前(・・)はここで終いや。」

 

「が、ぁっ」

 

『必然など、ありえないこの世界で……夢語って、夜を越えて、ぼくらは……』

 

 水が湧き上がるように、傷口から肉が盛り上がる。

 それを偽物ごと切り裂いた。

 折れた刀が転がる。

 

「嬢ちゃんらにふさわしい歌やと思わんか?最近、その先に何があるか興味が湧いて堪らんくてな。」

 

『……生きてゆく』

 

 身動き一つできない変形者に歩み寄る。筒からは炎が吹き出し続けている。

 手足を失った状態で、それでも死から逃れようとする変形者。

 その姿に一切の哀れみを持つことなく、天退星刀を振り上げた。

 

「そしてお前は死ぬ。片割れにはよろしく言っとくわ。」

 

『———瞬く間に』

 

 歌が終わると同時に、手向けとして(マン)を一つ生成した斬撃を放った。

 叩き壊され、残った部位は粉微塵になっていく。十王庭の一人、その片割れが滅びる。

 押し潰そうと、狭まりつづけていた地殻変動が止まった。

 

「チッ……あんまスッキリせんなぁ。」

 

 残り半分を切ったシガーを捨て、火を靴で揉み消す。

 歌と共に響いていた戦闘音もまた終わっている。

 彼らが死んでいないことを信じて、洞窟の奥へと歩を進めた。

 

 





火傷呼吸で来てほしいという切実な願いを込めておきます
まぁ今回のヴァル夜参加できないんですけどね

泣きそう
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