【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら 作:しきょーかい
どうも
エブラナさんに狂わされた一般通過過労シ協会フィクサー兼ドクターです
お前が欲しい(直球)
『新生は滅びより生まれる』
そう言った肉親は、もう居ない。
あの者らの事だ、源石の中にすら存在はなく、二度と会うことはないのだろう。
彼らが望み、また私も望み、そなたも望んだであろうから。
「滅びは新生より生まれる。いや……」
これまでと同じだ。変えることはない。
そなたは道を拓き、行くべき方向を指し示した。
ならば最後は私が代わり、剣を執り、最後の道を進もう。
「———滅びは、
我らが繋げよう。
この男を超え、危機を超克して未来へと。
そうであろう?テレジアよ。
===
ギィン!!!
「滅びは、双生より生まれる。」
テレシスの紡いだその言葉は、激しく衝突する金属音によって掻き消された。
先程までと違い、衝突の度に距離を取ることなく、勝利のために半歩引くこともなく、ただ前へ、前へと進む。
互いに譲ることなく、距離を詰めていく。
燃え滾る闘志を外へと放出し、練り上げて光の輪を生み出す。
手元で天退星刀を回転させ、弾丸を放ち加速する。
レイホンの体に異常はなく、力量に大きな差があるわけでもない。だが、かつて感じたことのある感覚……それと似たようなものが着実に蝕み始めている。そう確信していた。
「隙を見せたな。」
「チィッ!」
突き出された源石剣が朴刀を僅かに逸らし、逸らされた一撃は勢いよく地面と衝突し、破壊した。
その隙にテレシスの蹴りが入り、吹き飛ばされる。
直ぐに面を上げると、そこまで迫っている赤色の飛ぶ斬撃。
袈裟状に切り払い、斬撃の後ろに隠れていたテレシスと切り結ぶ。
どちらとも半歩引き、剣を振るいつつ前に出る。
キン!ガキン!ガキン!
打ち合う回数が増えるたびに、明らかに疲労ではない、体から力が抜けていく感覚に見舞われる。
弾倉の空薬莢の数が増えるのを対価に、徐々に減っていき足りなくなる力を補い続けた。
それに伴って退く距離が大きくなり、また天退星刀の持つ熱量が高まり続ける。
「切断。」
「タァッ!!!」
テレシスは再び赤色の飛ぶ斬撃を放ち、迎え撃つために跳躍し、撃ち落としの一撃を叩き込んだ。
斬撃を霧散させ、剣ごと上から押し潰そうと弾丸を放つ。
(この感覚……力の平均化……いや、奪取やな)
打ち合うのをやめた今は力が有り余っている。
衝突の度に一時的な奪取、神秘……または
ガァン!
一歩も退かぬ。そう言わんばかりに耐えていたテレシスだったが、ジリジリと後ずさりを続け、最終的に直撃は免れたものの吹き飛んだ。
吹き飛んだ先には玉座があり、背もたれの上半分が崩れ落ちる。
先程まで舞っていた埃は、既に天退星刀が定期的に吹き出していた炎が燃やし尽くしていた。
ブォン!
テレシスが一度剣を振るう。
内側が赤いマントを翻し、剣を下げつつも冷ややかに睨みつけるその姿は、まさに威風堂々という言葉が当てはまるだろう。
ガシャン!
天退星刀を真上から真下へ振るい、弾倉を開けて空になった薬莢を排出した。
ベルトに下げた残り僅かな弾丸を惜しむことなく詰め込む。
玉座の更に奥、金色の世界への扉が見えた。先程からテレシスが言っていた「扉」の先は、レイホンが幻覚を見せられた世界のようだが、そこで何を成そうとしているのかは興味がなかった。
ガシャン
弾倉を閉じ、満たされた弾丸に天退星刀が、自分の体が喜びで震える。
相手のことを尊重し、礼儀を持ってぶつかり合う高揚感は他を凌駕して"生"の実感を与えてくれる。
これほどの戦いに終わりがある事実が、惜しくてたまらない。
「……そろそろ、幕引きの時間だ。」
「俺っちもちょうど体が温まってきた所や、次で
テレシスの体に目立った傷はなく、こちらは多少の切り傷がある。しかし問題はない。
葉巻を強く噛みしめる。
「
赤熱し始めた天退星刀が熱を発するが、
炎を吹き出し始める朴刀の膨大な推進力を腕の力で引き止め、獲物へ食らいつく瞬間を見極める。
落ちてきていた雫は既に涸れた。
幕開けを示す合図はこの場にいる者に委ねられた。
「……来い。」
「———虎ァ狩る気ぃやったんなら!喰われる覚悟くらい出来とるやろうなぁ!!!」
===
吠える猛獣が一直線に、異常なほどの力と熱を持って斬り掛かってくる。
新しく、それでいて自分に馴染んだ力をもってしても……まともに受ければただでは済まないだろう。
片手で軽々しく振るう、愚直とも取れる振り下ろしを防ぎ、奪った力で乱雑に振るわれた追撃を逸らす。
(背後に回るか)
一見粗雑に見える構え、攻撃。
その全てに剣術における基本が詰め込まれており、油断すれば両断される未来が待ち受けている。
猛獣の踏み込んだ跡、その深さを見て背後に回られたと察する。
(振り向く余裕はないだろうな。)
「勘がええなぁ!?」
「フッ。」
博打になるが、剣を両手で掴み、振り向きつつ真横に振り抜いた。
丁度こちらに向かい跳躍しつつ振り下ろしを放つ、猛獣の姿。
力負けし、弾かれて数歩下がることになり、再び背後に回られてしまう。
振り抜いたばかりの剣を背後に回した。この際、一撃は甘んじて受け入れよう。
振り返りつつある状態に、下からの斬り上げる一撃が的中する。
だが、辛うじて剣は落とさずに済んだ。
「サルカズという種族にも、この大地にも……」
「これで最後、全弾や。」
深く屈み、爆発するような音が響いた瞬間。
燃え上がる
私は
この激突の先にある未来を掴み取るため、ここで舞台から退いてもらうとしよう。
「タァッ!!!」
「———夜明けが訪れる時だ。」
上空から迫る最大で最後の一撃に向かって踏み込む。
背後に回した状態の剣を、全力を込め、遠心力という微かな力すらも掻き集めて振り抜く。
ガァァァン!!!!!
目前まで迫る赤熱した金属が発する熱は肌を焼く。
吹き出され続ける黄金の炎は勢いを増す。
刀の持ち主は歯を食いしばってはいるが、不敵な笑みを崩すことはない。
自身が負ける事など、考えてはいないのだろう。
力を奪い続ける自分と、未だ加速を、灼熱を収めない彼。
最後の衝突の結末は———