【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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どうも
エブラナさんに狂わされた一般通過過労シ協会フィクサー兼ドクターです
お前が欲しい(直球)



第84話

 

 

『新生は滅びより生まれる』

 

そう言った肉親は、もう居ない。

あの者らの事だ、源石の中にすら存在はなく、二度と会うことはないのだろう。

それでいい(・・・・・)。

彼らが望み、また私も望み、そなたも望んだであろうから。

 

「滅びは新生より生まれる。いや……」

 

これまでと同じだ。変えることはない。

そなたは道を拓き、行くべき方向を指し示した。

ならば最後は私が代わり、剣を執り、最後の道を進もう。

 

「———滅びは、双生(・・)より生まれる。」

 

我らが繋げよう。

この男を超え、危機を超克して未来へと。

そうであろう?テレジアよ。

 

 

 

===

 

 

 

ギィン!!!

 

「滅びは、双生より生まれる。」

 

テレシスの紡いだその言葉は、激しく衝突する金属音によって掻き消された。

先程までと違い、衝突の度に距離を取ることなく、勝利のために半歩引くこともなく、ただ前へ、前へと進む。

互いに譲ることなく、距離を詰めていく。

 

燃え滾る闘志を外へと放出し、練り上げて光の輪を生み出す。

手元で天退星刀を回転させ、弾丸を放ち加速する。

レイホンの体に異常はなく、力量に大きな差があるわけでもない。だが、かつて感じたことのある感覚……それと似たようなものが着実に蝕み始めている。そう確信していた。

 

「隙を見せたな。」

 

「チィッ!」

 

突き出された源石剣が朴刀を僅かに逸らし、逸らされた一撃は勢いよく地面と衝突し、破壊した。

その隙にテレシスの蹴りが入り、吹き飛ばされる。

直ぐに面を上げると、そこまで迫っている赤色の飛ぶ斬撃。

袈裟状に切り払い、斬撃の後ろに隠れていたテレシスと切り結ぶ。

どちらとも半歩引き、剣を振るいつつ前に出る。

 

キン!ガキン!ガキン!

 

打ち合う回数が増えるたびに、明らかに疲労ではない、体から力が抜けていく感覚に見舞われる。

弾倉の空薬莢の数が増えるのを対価に、徐々に減っていき足りなくなる力を補い続けた。

それに伴って退く距離が大きくなり、また天退星刀の持つ熱量が高まり続ける。

 

「切断。」

 

「タァッ!!!」

 

心(シン)を扱えるからこそ、一歩で踏み入ることができるほどの距離が空く。

テレシスは再び赤色の飛ぶ斬撃を放ち、迎え撃つために跳躍し、撃ち落としの一撃を叩き込んだ。

斬撃を霧散させ、剣ごと上から押し潰そうと弾丸を放つ。

 

(この感覚……力の平均化……いや、奪取やな)

 

打ち合うのをやめた今は力が有り余っている。

衝突の度に一時的な奪取、神秘……または源石剣(アナンナ)の能力をそう仮定する。

 

ガァン!

 

一歩も退かぬ。そう言わんばかりに耐えていたテレシスだったが、ジリジリと後ずさりを続け、最終的に直撃は免れたものの吹き飛んだ。

吹き飛んだ先には玉座があり、背もたれの上半分が崩れ落ちる。

先程まで舞っていた埃は、既に天退星刀が定期的に吹き出していた炎が燃やし尽くしていた。

 

ブォン!

 

テレシスが一度剣を振るう。

内側が赤いマントを翻し、剣を下げつつも冷ややかに睨みつけるその姿は、まさに威風堂々という言葉が当てはまるだろう。

 

ガシャン!

 

天退星刀を真上から真下へ振るい、弾倉を開けて空になった薬莢を排出した。

ベルトに下げた残り僅かな弾丸を惜しむことなく詰め込む。

玉座の更に奥、金色の世界への扉が見えた。先程からテレシスが言っていた「扉」の先は、レイホンが幻覚を見せられた世界のようだが、そこで何を成そうとしているのかは興味がなかった。

 

ガシャン

 

弾倉を閉じ、満たされた弾丸に天退星刀が、自分の体が喜びで震える。

相手のことを尊重し、礼儀を持ってぶつかり合う高揚感は他を凌駕して"生"の実感を与えてくれる。

これほどの戦いに終わりがある事実が、惜しくてたまらない。

 

「……そろそろ、幕引きの時間だ。」

 

「俺っちもちょうど体が温まってきた所や、次で〆(締め)といこうや。」

 

心(シン)と望(マン)で擦り減った精神を、気怠さを振り払って切り替える。

テレシスの体に目立った傷はなく、こちらは多少の切り傷がある。しかし問題はない。

葉巻を強く噛みしめる。

 

「命(タマ)ァ張って立っとるんなら……こっちも相応のモン見せんとな!」

 

赤熱し始めた天退星刀が熱を発するが、心(シン)で堪える。

炎を吹き出し始める朴刀の膨大な推進力を腕の力で引き止め、獲物へ食らいつく瞬間を見極める。

 

落ちてきていた雫は既に涸れた。

幕開けを示す合図はこの場にいる者に委ねられた。

 

「……来い。」

 

「———虎ァ狩る気ぃやったんなら!喰われる覚悟くらい出来とるやろうなぁ!!!」

 

 

 

===

 

 

 

吠える猛獣が一直線に、異常なほどの力と熱を持って斬り掛かってくる。

新しく、それでいて自分に馴染んだ力をもってしても……まともに受ければただでは済まないだろう。

片手で軽々しく振るう、愚直とも取れる振り下ろしを防ぎ、奪った力で乱雑に振るわれた追撃を逸らす。

 

(背後に回るか)

 

一見粗雑に見える構え、攻撃。

その全てに剣術における基本が詰め込まれており、油断すれば両断される未来が待ち受けている。

猛獣の踏み込んだ跡、その深さを見て背後に回られたと察する。

 

(振り向く余裕はないだろうな。)

 

「勘がええなぁ!?」

 

「フッ。」

 

博打になるが、剣を両手で掴み、振り向きつつ真横に振り抜いた。

丁度こちらに向かい跳躍しつつ振り下ろしを放つ、猛獣の姿。

力負けし、弾かれて数歩下がることになり、再び背後に回られてしまう。

 

振り抜いたばかりの剣を背後に回した。この際、一撃は甘んじて受け入れよう。

振り返りつつある状態に、下からの斬り上げる一撃が的中する。

だが、辛うじて剣は落とさずに済んだ。

 

「サルカズという種族にも、この大地にも……」

 

「これで最後、全弾や。」

 

深く屈み、爆発するような音が響いた瞬間。

燃え上がる心(シン)の軌跡を残し、姿が消えた。しかし……

私は見えている(・・・・・)。見てきている(・・・・・・)。

この激突の先にある未来を掴み取るため、ここで舞台から退いてもらうとしよう。

 

「タァッ!!!」

 

「———夜明けが訪れる時だ。」

 

上空から迫る最大で最後の一撃に向かって踏み込む。

背後に回した状態の剣を、全力を込め、遠心力という微かな力すらも掻き集めて振り抜く。

 

ガァァァン!!!!!

 

目前まで迫る赤熱した金属が発する熱は肌を焼く。

吹き出され続ける黄金の炎は勢いを増す。

刀の持ち主は歯を食いしばってはいるが、不敵な笑みを崩すことはない。

自身が負ける事など、考えてはいないのだろう。

 

力を奪い続ける自分と、未だ加速を、灼熱を収めない彼。

最後の衝突の結末は———

 

 

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