多分私は転生向いてない。   作:Tkmraeua2341

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 思いついちゃったならね、投稿した方が生産的でしょ?
 そう、今見てくださってる貴方も、思いついたアイデアを生み出してみたらいかがですか?



第1話

 

 転生してしまった。

 

 方法はトラックではない。

 いわゆる神様転生って方だ。

 

 死因なんて聞かないでほしい、猫や子供を庇ってとか、恋人や家族を守ってとか、そんな立派なものじゃないから。

 お風呂場で滑ったとか、下り階段でうっかりとか、しょうもないけど笑えないタイプの…つまらない死に方だった。

 とにかく死んで、創作によくある視界全てが真っ白な世界にふよふよと浮かんでいた。

 死後の世界に来たんだ、そう理解した瞬間、目の前が急に眩しくなった。

 急すぎて驚いたが、目蓋を閉じたり手をかざしたりはしなかった。

 なんとなく、普通に見れる、そう思ったから。

 

 目の前には巨大な玉が浮かんでいた。

 白く光り輝くそれに、音もなく話しかけられた。

 

  次は、何になりたい?

 

 困惑しながらも私は答えた、人型で長寿な者になりたいと。

 

  何がほしい?

 

 持久力、いくら走っても動いても、それこそ寝なくても大丈夫なスタミナがほしい。

 それがあれば…いや、何でもない。

 とにかくそう思っていたら、強く光るそれにわかったと言われて眩しくなくなっていく。

 光が消えていってしまったと、しばらくしてから気付いた。

 

 何だったんだと思ってたいら強烈な眠気に襲われた。

 この段階にきてやっと私は理解した、これ定番のやつだって。

 

 そこからは情けなさすぎて話したくない、転生生活が始まった。

 多くの初めてに遭った…けれど、私は逃げた。

 色んなことから逃げて逃げて逃げて、気付けば25歳程になっていた。

 無駄に生きてるな…そう思うことばかりで、何かを成し遂げようとか、そういう志しが持てなくなった。

 

 

 

 

 

 私が生まれた世界は異世界だったけど、太陽があって夜があるのは同じだった。

 海もあるし山もあるし、もちろん空気だってある。

 生き物どころか文明だってある。

 

 けれど、異世界なんだ。

 私の知らないことで溢れてる、懐かしさなんて何処にも見当たらない…異郷の地。

 黒髪は珍しくないけど、それ以上にカラフルな頭で溢れてる。

 日本の建物に近いものはあるけど、何処までも似てるだけの別物だ。

 お米はあるけど、味噌や醤油に近いのもあるけど、「日本の朝ごはん」みたいなのは何処にもない。

 転生先の母親とは上手くいかず…父親は顔も名前も知らない。

 生前の両親が目蓋の裏にちらつくも、すでに声を忘れてしまった。

 父の、「オヤジ」の笑い声を思い出したい。

 母の、「オフクロ」の手料理が食べたい。

 …できないことばっかり妄想するのは、生まれ変わっても治らなかった。

 ……。

 世界単位のホームシックとか、まじで笑えない。

 

 

 

 

 転生するときの、神様だと思われるあの光にとって、人型の基準はかなり緩いらしい。

 多分あれは上半身が人型であれば下半身が何であっても人型なのだろう、たとえ人魚でもラミアでもアラクネでもあれは人型に含めてる筈だ、ガバガバにも程がある。

 そう思いつつ山道をズルズルと進む。

 悪さをしてた猪とは言え、命を頂く…命を奪うことには未だに慣れない。

 虫はまだなんとかいけるが、ネズミとかになってくると躊躇してしまう。

 鳥に石を投げつけようにも、絶対に当たらないように調整するし、鹿や猪の中で木を駄目にしてしまうマネが多い子でも、注意したり威嚇したりする事が多い。

 今引きずっている子も、最後辺りは私の反応を楽しみながら、意味もなく若木を虐めていた。

 

 だから、魔法を使って、殺した。

 

 種族柄、攻撃的な魔法は使えなかったが、ある特定の魔法は初めから使えた。

 それ以外の魔法、移動魔法なんかは練習して使えるようにした。

 そのおかげで、この子を苦しませずに、殺すことができた。

 

 

 

 

 私でもわかる程度の部位の肉を切り取り、残った全てを持って隣の山へ進む。

 獣道を歩きながら見張りの若い狼を探す。

 見つけたら次を、見つけたら更に次を、感覚が短くなるまで繰り返して歩みを進める。

 そうしてる内に、たどり着いた。

 この辺りを縄張りにしてる狼達の、頭の巣へ。

 

 巣穴から顔を出したのは、人の腰辺りよりも大きい、白い狼。

 歴戦の勇士としての証が、身体中にあるその姿は、正に王者だった。

 その目の前まで進み、持って来た分を眼前に置く。

 

「おっそわけ」

 

 彼は賢い、恐らく私以上に生きているだろうから、私が言った事も伝わっただろう。

 用は済んだので帰る。

 帰還の魔法という、私が編み出した転移の魔法の下位互換が発動し、しばらくすれば私の姿はこの場から消える。

 その間、彼からは何も反応はなかったが、消えかける前に一瞬、頭を下げたのが見えた。

 

 …デレてくれたってことで、いいのかな?

 

 

 

 

 

 戻ってからは火を起こす。

 夕日に照らされながら、寝泊まりをしている洞窟の前で落ちた枝を並べる。

 円錐のテントのように並べた後、中心の枯れ葉と小枝を密集させた所に、ガスバーナーのように人差し指から火の魔法を使う。

 真ん中だけだった火が、徐々に全体へ広がれば魔法を止め、並べた枝より太い枝を準備する。

 頃合いを見て投入し、消えないように保たせる。

 

 肉を切り、枝に刺す、それを焚き火の近くに刺して焼く。

 それを量産させる。

 肉がなくなれば、次はキノコで量産させる。

 キノコは道中拾ったもので、しっかりと解析の魔法で毒かどうか調べたものだ。

 やり終えたら焦げないように刺す場所を変えたり、焼き終えたものを食べる。

 ……やはりこの前髪は切ったほうがいいかもしれない。

 食べる時にはこの、生前よりもかなり無駄に長くなった耳に髪をかけているのだが、この深緑のような、焚き火によって新緑や秋の黄葉のような色に染まった髪を、うっかり食材と一緒に口に入れてしまう。

 

 ため息と共に頭を下げる。

 胸元に覗く肌は、健康的なハリとツヤのある小麦色、そして私の頭と同じくらいの大きいものが二つ…。

 生前が「俺」だった私には、どうにも違和感しかないものだった。

 

 

 

 

 

 私の生まれについて話そうと思う。

 私が生まれた村、というより種族について話そう。

 その村には女しか居らず、年を取った者もごく少数だけだった。

 そこで14年生き続けて、一度もここに定住する男を見なかった。

 その村の女達はみんな魅力的で、しかし統一感は何一つなかった。

 顔付き、体格、肌の色、髪の色どころか角のあるなしや翼や尾に至るまで、皆見事にバラバラだった。

 そこでは畑や狩り以外では、村の者すべてが宿屋を開いていた。

 まぁここが観光地のようなものだったり、それこそこれが異世界特有のものだとすれば、私は何も異論はなかった。

 問題は、私たちの種族が、サキュバスだった事だ。

 

 

 

 

 

 サキュバス、この世界では人間と同じくらい当たり前に存在する種族。

 基本サキュバスは女性しか生まれず、稀に生まれる男児はインキュバスと呼ばれ、大層可愛がられる。

 そして彼女達はその…性的な、男女の営みに関わる魔法が使える。

 そんなサキュバスに、サキュバスの村に転生したのが私だった。

 生前は男だった「俺」は、サキュバスとして生まれ変わった。

 4歳までは何も意識せずに過ごしていた。

 ただの異世界だと、魔法があるだけの、創作によくある世界なんだと。

 それが変わった、変えられたのは4歳から5歳の間頃、母が私の前で客をもてなしている所を見たからだった。

 

 畑で草むしりをしながら遊んでいたら、急に母に呼ばれた。

 直ぐ側の水瓶の水で手を洗ってから向かうと、母と並んで立っている男が居た。

 男には見覚えがあった、昨晩うちに泊まった男だった。

 筋肉質で、金色の短髪が爽やかないい男、そんなふうに見ていたが、その男の手が母の腰…いや、正確にはお尻を撫で回していたのが見えた瞬間、その男を私は敵認定していた。

 

「ねぇライ、もうそろそろ初体験してみない?」

 

 母が言った事が分からなかった。

 固まっていると「じゃあお手本を見せるね!」と笑顔で言った母…女は徐ろに屈むと男のズボンに手を掛けた。

 まさかと思っていれば、女は男のそれを口で咥え、私に見せつけながら頭を動かした。

 

 そのまま行為を続けながら男と女が裸になっていき、最後までやり終えるまで私は動けなかった。

 女がこんな私を愛してくれたのはしっかり感じていた。

 同い年の子達と遊ばず、地面に絵を描いてばかりの私を心配してくれた女。

 昼と夕方の2回だが、食事を準備し共に居てくれた女。

 夜、私が寝付くまで物語を語ってくれた女。

 父親が見当たらなくて、私が支えなければと意気込んでいた、何処か神聖視していた女。

 それが、これ。

 

 まだ5歳にも届かない私に、男女の営みを見せ、私を混ぜようとする女の手を、私は弾いた。

 女は驚き、声をかけようとしてきたが私は家を飛び出した。

 それから3年、家事を手伝い魔法も習うが、そういう事には拒絶し続けていた。

 男性が泊まった日には家出して大きな木の上で寝た。

 女性が泊まりにきて、女性なら大丈夫かと思えば、その夜も行為の音がした。

 後々習った魔法の中に"生やす"魔法があったのでそれで致したのだろう。

 色々パンクしそうだったが、14歳になって、私の体にそれが、生理が起こってから、女に無理やりにでも教え込まれた物があった。

 今までの基礎的な魔法や生活のためになる魔法ではなく、サキュバスが使う性関係の魔法。

 それと、サキュバスのこと。

 私達はサキュバスなのだと、サキュバスは大抵初潮前に男の精を受け取るもので、そうでなければ大成できないのだと。

 因みに大成とは、サキュバスとしての大成、つまり性豪と言うことだ。

 

 それを悲しそうに言う女に、お世話になりました、今までありがとうございました、そう世話になったお礼を言って私は家を出ていった。

 

 

 

 

 

 サキュバス、と言っても一目見ただけでわかる奴も居れば、わからない奴も居る。

 わかる奴は、私が村で過ごしてた頃に隣に住んでたお姉さんのようなタイプ。

 生前のサキュバスの印象通り、悪魔のような小さい角と翼、先端がスペード型の細い尻尾、後は美人って所か。

 わからない奴は、それこそ私。

 耳がエルフのように長く、深緑のようで、それでいて新緑のようにも見える不思議な長髪。

 それ以外は美人ってだけの人に見える。

 角も翼も尻尾もない、それが私。

 

 まあ見分ける方法はある、サキュバスの魔法が使えるかどうかだ。

 

 サキュバスの魔法は、基本サキュバスにしか使えない。

 ゲームみたいだが、ほんとにそういう種族限定の魔法がある。

 ただ、サキュバス以外の種族は種族の特徴がわかりやすいので見分ける意味はほぼないのだが。

 

 まぁそんな私だから、旅人と出会うと直ぐにはサキュバスと思われない。

 そのおかげなのか、家出をして結構先の大きい街に行っても、性的というかそういう露骨な目で見てくることはそんなになかった。

 …いや、美人っていうか美少女だったから、ナンパとかは普通に多かった。

 まぁとにかく、街にたどり着いた私は食べていくためにも職を探した。

 

 

 

 

 

 まあ、だめだったんだけど。

 うまくいっていればこんな山籠りなんてしてるわけない。

 街についてすぐ、飲食店とかで接客をと思えば、入店してすぐに店員や店主と思われる人物に追い出された。

 後から知ったが、少し前にエルフとダークエルフの者達が飲食店で問題を起こしまくっていたそうだ。

 その結果、初見ではサキュバスではなくダークエルフに見える私を追い出してしまったようだ。

 だからといって二度と行くつもりはないけど。

 飲食店を追い出された後、それなら肉体労働だと工事現場へ向かったが、そこもだめだった。

 働いてるおっちゃんに背丈が足りないと断られた。

 路頭に迷い、道端に座っていれば、人相の悪いお兄さん達に囲まれた。

 魔法のおかげで逃げ切れたが、もはやあの街には居られない、うんざりした私はそう結論付けた。

 

 それからはいくつかの町を渡り、物乞いをしながら移動していった末に、この山にたどり着いた。

 何処へ行ってもまともな所では働けない。

 体を売る仕事のあてばかり向こうからやってきた。

 どんどん辛くなっていく現状に、もはや山の中で過ごした方が楽なんだと錯乱したが、適応してしまったのであながち正しかったんだろう。

 不便を魔法で誤魔化し、寂しさは動物や木々で紛らわせる。

 暑さにも寒さにも、雨にも風にも負けずに山で過ごした。

 川辺で拾った石で小さいナイフを作ったり、日当たりが悪くなりすぎないように切り倒した木で食器や小物を作った。

 縄張り争いに巻き込まれて熊と狼の両方とやり合ったりもした。

 寒すぎて仲良くなった子みたく服を脱いだ後に穴を掘って土に包まったりまでした……以外と温いけど焚き火で良かったじゃんと頭を抱えたりした。

 雨が続き土砂災害があれば土と石、岩をある程度戻して、日当たりが悪く上手く育ちきらない若木を持ってきて植えたりした。

 

 

 

 

 

 そんな野生児に成り下がった私の元に、時々だが人が来ることがある。

 一番目の人はエルフの狩人さんだった。

 第一声が"妖精?"だったのは…私のサキュバスとしての美貌のせいだろう。

 しかし狩人さんも美丈夫だったな、流石エルフと言えよう。

 少し話した後、今日の収穫だと見せてくれた籠の中、山菜や木の実に紛れたキノコのいくつかにに毒キノコが紛れていたのでそれを教えた。

 驚かれたが確かだ、悲しいことに私もサキュバス…そういう男性器に似たものは他種族以上に見極める事が出来た。

 よく似ている奴と並べて違う所を教え、他にもそういった気を付けるキノコを教えてから彼と別れた。

 

 二番目は銀鎧の騎士の四人組。

 なんでも数年前から山の様子が大人しく、獣害も極端に少なくなったために調査隊が組まれたのだとか。

 兜を取った彼らは、人間の男が2人、ドワーフの男が1人、そして牛の獣人の男だった。

 彼らと話そうとしたが、彼らはしばらく俺が俺がと喧嘩して、最終的に人間のうちの1人、コウと名乗った黒髪の男と話すことになった。

 まず獣害についてだが、恐らくそれは私が原因だろう。

 結構前だが、私はこの山の勢力争いに巻き込まれた事があった。

 東から来た当時の私の3倍程に大きい熊、西から来た6匹の灰色の狼、そして山で暮らしてた私。

 死に物狂いで熊の腕を、狼達の牙を避け、どちらに対しても攻撃をしなかった。

 そうこうしていれば、疲れてきたのか双方とも動きが遅くなってきた。

 それを見計らい、熊と狼達の両方へ魔法を使った。

 

 ……絶頂の魔法を。

 

 絵面が酷い事になったが、喧嘩両成敗としてその場はお開きとなった。

 後々、熊も狼達も私の元へよく来るようになり、熊と4匹の狼がイき過ぎで山の糧となったが…。

 そんな訳で残った狼の2匹、番と思われる子達と山を周り、悪さをしそうな子達を懲らしめていた。

 いや、山を周って悪い子を懲らしめてたのは山に来てすぐ、17歳頃からしていたけれど。

 そんな事を絶頂の魔法の事を除いてコウへ話せば、後ろで聞いていた3人も含めて神妙な顔で黙り込み、コウに次のように聞かれた。

 

 つまりライは山守りなんだな、と。

 

 いや違うが?

 





 思い付きなので続かないですね。
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