ステラソラ 亡国の姫(嘘)   作:アウロラの魔王

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メス堕ちしたり、悪堕ちしたり、メンタル追いつめられる系を最近書きすぎていたので、普通のTSを書いた。


なんかお姫様になったらしい

 気がついたら見知らぬ場所だった。

一体どうやってオレをこの場所まで連れてきたのか、皆目見当もつかない。……いや、普通に嘘ついた、ごめん。

 坂道を自転車で超エキサイティンッ!してたらガードレールに突っ込んで、空中遊泳を楽しんだのち、目の前に現れた虹色の裂け目に飲み込まれたんだ。そういえばオレのチャリどこ行った?一緒に飲み込まれたはずなんだけど……まあいいか。

 さて、ここはどこでしょう。何やら廃墟みたいな場所なんだけど。スマホを確認してみたが圏外だった。

 

『──願いを──』

 

 崩れた壁のスキマから入ってくる光のおかげで、何も見えないということは無いが、如何せんボロボロ過ぎる。どう見たって人が住んでるようには見えない。

 

『願いを──求めよ──』

 

 でもボロボロの割には風化したって感じじゃないんだよな。この石柱なんてホコリ払ったら綺麗だし。

 

『願い──』

 

「ごめん、ちょっと黙っててくれる?考えを整理出来ない」

 

『…………』

 

 うーん、時間が経ってボロボロになったと言うよりか、何か戦いの余波でこうなった感じなのか。

 

「そうか分かったぞ。これは夢か幻覚か幻だ!間違いない!」

 

 振り返りながら指を突きつけるも、当然誰がいるわけでもなく。

 

「…………腹減ったな」

 

 誤魔化すように呟くも、流石にどうしようもなくなってきたな。というか本当に誰もいないのか。

 

『汝──求めよ──姿──願い──』

 

「そういえばお前が居たか」

 

 だが、途切れ途切れで何言ってるのか分からん。しかも声だけしか聞こえないし。なんか願いがどうこう言ってるけど。

 

「もしかして、願いを叶えてくれるのか!?」

 

 声の主は何も答えなかったが、それを肯定と受け取った俺は早速願いを言ってみた。

 

「億万長者になりたい!!億万長者!億万長者!」

 

 え?そこは帰るとかじゃないのかって?甘いな、練乳より甘すぎるぜ。こういうのは大抵、帰る願いを言ったら超絶ご近所さんだったパターンが多い。なら、ここで俺がすべき願いは金だっ!!

 

『願いを──』

 

 また同じ言葉繰り返してるし。

 

「お前が願いを言えって言ったのに叶えられないってどういう了見だオルァ!!」

 

 億万長者の基準が分からないとかなのか?願いとしてはフワッとしすぎたか。

 

「なら……めっちゃ可愛くて儚げな雰囲気の美人なお嫁さんください!!」

 

『……』

 

「はぁ!?これもダメあれもダメってお前願い叶える気あるのか!?くそがよぉ」

 

 もしかして願い事は一つじゃない可能性出てきたか?ふーむ、金・女と来たらあとは超絶強い肉体でも頼んでみるか。

 

「頑丈で超絶強い……いや、いっその事最強の肉体をくれ!!」

 

『──承知した』

 

 その願いごとを言って一拍を置いたあと、そんな声が響いた。おお、と思う間もなく目の前が白い光に包まれる。驚愕するも光は一瞬で収まり、ポンッと軽快な音を立てて消えた。

 

「──へぁ?」

 

 何が起こった?心なしか目線が低くなった気がする。下を見るとスカートとたわわなモノが映る。さらに下を向くと視界に金糸がさらりと落ちてくる。

 

「んん?」

 

 それを掬い上げると、どうやらオレも頭と繋がってるようで引っ張ったら痛かった。頭を触ると、なにやら硬いものが頭に乗っかっている。

 

「んんんっ?」

 

 金糸を掬い上げた手を見ると、白いサテンのグローブに二の腕まで包まれている。それにとても手が小さい。

 

「……まさか」

 

 口から漏れるソプラノ音に嫌な予感が頭をよぎる。その答え合わせはすぐのことだった。

 横目に映った鏡の反射に、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「お、女の子になってるぅ~~~!?」

 

 鏡には、パクパクと魚のように口を開けている頭に水晶のティアラを乗せた、お姫様のようなドレスを纏った少女が、指を差して動揺している姿が滑稽に映っている。

 

「どどど、どういうこと!?なんでいきなりオレが女の子にっ……ハッ!まさか、さっきの願い事……」

 

 お金持ちで(お姫様)、めっちゃ可愛くて美人(金髪少女)、お姫様ドレスの腰辺りに細身の剣(最強要素?)。

 

「もしかして……そういうこと……!?」

 

 この姿は間違い無く先程の願い事の結果だろう。

 

「なんで願い事を一つにまとめたんだよぉ!!オレが欲しかったのは嫁であって、オレが嫁になりたかったわけじゃ──」

 

 ──でも可愛いなオレ……。

 

「いやいやいや!?自分に惑わされてどうするんだよ!!」

 

 まさか、ドラゴンボール的ななんでも願いを叶えてくれる系かと思ったら、聖杯くん系曲解して叶える邪神タイプだったとは、このリハクの目を持ってしても……。リハクっていつも目が節穴になってるよな。

 

「これからどうしよ」

 

 願いは(曲解して)叶えられたが、何一つ進展していない。ただオレが可愛い女の子になっただけである。

 正直に言うと、部屋の外に出るのが怖い。だって普通に何があるか分からんし。あ、ご飯どうしよ。でも外に出るの怖いしな。その辺の石ころ食えるか試してみるか。

 

『ここが一番奥の部屋かな?』

 

『どうやらそうみたいね。二人とも気を付けて『よいしょ……っと』ってちょっとコハク!?』

 

「普通に開いた。……?」

 

「"開いた"ってもし罠だったら……!ってどうしたの?」

 

「……アレ」

 

「"アレ"?」

 

 もぐもぐ、我慢すれば食べれないこともないな。ところで、さっきからなんか部屋が明るかったり騒がしい気が……。

 

「ん?」

 

「あ……」

 

『………………』

 

「「「なんか石食べてる変な人がいる──!?」」」

 

 なんか変な人たち来た──!?

 

「さ、作戦会議っ!」

 

「(ねぇ、"アレ"どう思う?)」

 

「(新種のガーディアン)」

 

「(いやいや!?どう見たって人じゃない!?)」

 

 叫んだかと思えば、今度は円陣組み始めた。なんなんだこの人ら。

 

「(でも、アヤメ。いくら私たちでも石は食べないよ?)」

 

「(それは……ほら、何か事情があるのかも。恰好を見る限りお姫様みたいだし)」

 

 どうやら、話題はオレのことらしい。やっぱり、他の人から見てもお姫様に見えるのか。というか普通に内緒話聞こえてるんだが、もしかしてこの体めっちゃ耳良いのか?

 

「(ここは一旦、対話フェイズでいきましょ。もしかしたら、争わずに済むかもしれないし)」

 

「(私はアヤメに賛成。セイナは?)」

 

「(私も賛成!もしもダメだったら、あの人神器の代わりにお金になるかなぁ?)」

 

「(人身売買ダメ!絶対!!)」

 

「(冗談!冗談だって!)」

 

 ……なんかあの人たち怖い話してない?手持ち無沙汰になったオレは石の選別をしながら、チラチラと三人の様子を伺う。あ、これタンパク質っぽいからタンパク質にしよう。こっちはビタミンで。

 

「えっと……ちょっといいですか?」

 

「はい?」

 

 話し合いが終わったらしく、代表して紫髪の女の子が話しかけてきた。学生服みたいな服着てるけど、学生さんなのかな。でも、他の二人はなんか盗賊とか戦士っぽい見た目……まさか、コスプレ集団!?もしかして、一緒にコス撮しましょうとかそういう誘い!?

 

「き、急にそんな……照れる」

 

「え?」

 

「あ、いえ何も」

 

 反応からなんか違うっぽい。

 

「えー、ここ、危ない、外、出る」

 

「…………」

 

 え、もしかして言葉が通じないくらいアホだと思われてる?

 

「(アヤメ、アヤメ!カタコトになってる!)」

 

「(だ、だって、本物のお姫様かもしれないって思ったら緊張しちゃって)」

 

 なるほど。改めて自分の格好を見る。足元まであるふわっと広がったドレスのスカート。金髪碧眼の美少女。妙に硬い感触がすると思ったら、頭の上には水晶のティアラ。ドレスとおっぱいで下は見えないけど、足の感じからハイヒール履かされてる。生地の質感とか体のフィット感具合から、どう見てもオーダーメイドの高級品。たしかに、何も知らなかったらオレでも本物のお姫様だと思う。

 

 あ、だったらお姫様口調で話した方が良いか?せっかくのお姫様だし、失礼に当たる(?)よな。わたし……いや、(わたくし)の方が良いですわね。これから私はですわ族になりますわ!!

 

「いやー!うちのアヤメがごめんね!私、セイナ!こっちがコハクで、こっちが」

 

「ア、アヤメです……」

 

 アヤメと名乗った子は、恥ずかしそうに顔を手で覆う。

 

(わたくし)はさてら……」

 

 待ってください?普通に本名名乗りかけましたけど、この姿に似つかわしく無いですわ?あ、でもここまでなら──

 

「──サテラですわ」

 

 完っぺきですわぁ!!特に関係ありませんけど、これも日々の生活のおかげですわー。

 

「サテラさんって言うんだよろしくねー!」

 

「ですわー(鳴き声)」

 

 この子、コミュ強ですわね。ふっ、しかしですわ。真のコミュ強の力というものを見せて差し上げますわ。

 

「あな「そうそう!君どうしてこんなところにいたの?一人でいたら危ないよ!あれ?何か言った?」なんでもありませんわ(敗北)」

 

 負けちゃった。

 

「正直なところ、気が付いたらこんな場所にいて、私もどうしてこんなところにいるのか分かっていないんですけども」

 

「それって……」

 

「記憶喪失……ってことなんじゃ」

 

 そうなんですの?でも、そういうことにしておいたほうが都合が良さそうですわ。

 

「たぶん、塔に長く居たせいね。どれくらい長く居たかはわからないけど、ここにいる理由も忘れてしまったなら相当長いんじゃないかな」

 

「とう?とうってタワー的な塔ですの?」

 

「そう、その塔。今いるのは星ノ塔って言って……説明すると長くなりそうね」

 

「そうだね。一度ここから出たほうが良いかも。目当てのお宝も無かったわけだし」

 

「そういうわけで、サテラさんさえ良ければ一緒に行かない?記憶喪失になってる人を置いていくのも、寝覚めが悪くなっちゃうし」

 

 記憶喪失じゃなくても、何を言ってるのかさっぱりわかりませんわ!そもそも星ノ塔って聞いたことありませんわ。なんだか、面倒なことになってる感じもありそうですわー。とはいえ、三人の様子からしてここに留まるのは危険な感じがしますわね。ここは三人を信じて付いていくほかありませんわね。

 

「よく分かりませんけど、ここにいるのは危ないというのだけ分かりましたわ!」

 

「あはは、じゃあここから出よっか」

 

「ですわー」

 

 先導してくれる三人に付いて部屋を出る。

 

「コホッ……なんだか、ホコリっぽいですわね。コホッケホッ……!」

 

「あーそうなのよね。長い間、誰かが入った形跡もないから手付かずの塔だと思ったんだけど……」

 

「うん……星骸もたくさん。だから祈願箱もあるはずだけど、見つからなかった」

 

「コホッ……祈願箱?」

 

 聞き慣れない単語に、思わず聞き返す。

 

「ええ、私たち巡遊者が探し求める願いが叶う箱……って、その顔だと巡遊者のことも覚えてなさそうね」

 

「……それって宗教的なヤツですの?──ゴホッ!ゴホッ!」

 

「それは巡礼者でしょ……ってホントに大丈夫?」

 

「え、ええ……おかしいですわね、部屋にいたときは平気だったんですけど」

 

 部屋を出て歩き始めてから妙に体が重いような。慣れない服と靴のせい?

 

「あ!ほらもうすぐ出口だから!」

 

「ゴホッ!ゴホゴホッ──カハッ!」

 

 励ますようにアヤメさんが(わたくし)の体を支えた時だった。

 咳がひどくなり、喉から熱いモノが込み上げてくる。そして、口から吐き出したモノがビシャッと地面に広がる。

 

「…………」

 

「…………」

 

 (わたくし)もアヤメさんも絶句して、地面に赤く広がるそれを見つめる。口を押さえていた手を見ると、純白のグローブが赤く染まっていた。

 

「……」

 

 (わたくし)は無言で口元を腕で拭う。

 

「スッキリしましたわ!さ、行きましょう!」

 

「──っていやいや!?そんな『ちょっと吐いてスッキリした』みたいに言わないで!?今吐いたの血よね!?」

 

「あわわ……!わ、私たち急いでミドリちゃんとってくるね!?二人はそこ動かないように!」

 

「う、うん!」

 

 そんなこと言われましても……。この体の不調の原因、なんとなく察しが付きましたわ。これも願いの一部、おそらくは『儚げな』を病気だったり、死にかけの状態で消え入りそうな雰囲気をそう解釈したのでしょう。私は『おしとやかな』とか『清楚で』という意味を含めて言ったのですけど、所詮は人の心を解せぬ邪神ですわね。

 ただ、この病気。おそらくは、これが原因で死ぬことはないだろうという確信がありますわ。そうでなければ、願いの内容と反しますもの。言うなれば、これは『死にそうで死なない病気』といったところですわ。あくまでも、『死にそう』がポイントですわね。

 

 つまるところ、これからは常にこの死にかけの状態で過ごしていかなければならない、という地獄みたいな状況ですわ。

 

「実は、今のでちょっと思い出したことがありまして」

 

「え……?血を吐いて……?」

 

「はい。実は(わたくし)、『死にそうで死なないなんとかって難病』に掛かっておりまして」

 

「そう……なんとかって難病に……ん?今情報量がとんでもなく少なくなかった?」

 

(わたくし)は某国の姫なのですが、この治療法を求めて旅をしていたんですわ」

 

 グッドですわ(わたくし)!いいバックストーリーですわ!

 

「え?スルー?っていうか亡国の姫!?やっぱりそうなんだ……」

 

 ……今、アンジャッシュの気配がしたような気がしますわ。某国を何と間違えて……あ。……。そっちのほうが面白そうだからこのままにしておきましょう!

 

「ということは、あの塔の祈願箱を使ったのはやっぱりサテラさんなのね。でも、この様子だと病気は治らなかったのね……」

 

「確かに治らなかったのは残念ですが、(わたくし)はまだ生きていますわ。つまり!まだ次があるということですわ!」

 

 そうですわ。この体になったものは仕方がないですわ。だったら、(わたくし)はこのどうしようもない体でも生き抜いて見せますわ!

 

「サテラさん……」

 

「気になっていたのですけど、その『さん』というのはやめてほしいですわ。(わたくし)のことは、どうぞ『サテラ』と呼んでくださいな。その代わり、(わたくし)も『アヤメ』と呼ばせてもらいますわ!」

 

「……分かったわ。よろしくねサテラ!それと、そんなに動いたらまた血を吐くんじゃ──」

 

「おほほ、そんなホイホイ血を吐くわけ──ゴハァ!?」

 

「サ、サテラ──!?」

 

 こ、これは病弱というか、もはやただの喀血芸ですわぁ……。

 

「──おっまたせー!!ミドリちゃん特急便だよーー!!」

 

「あ、また血を吐いてる」

 

「二人とも手伝って!急いで車内で休ませましょ!」

 

「がってん!」

 

「任せて」

 

 三人はグロッキー状態になった私を手分けして車に運んだ。

 

 

 

「お、お騒がせしましたわ……アヤメと話してる間に体調が戻ったと思ったのですけれど……」

 

「あはは!気にしなくていいよー。困ったときはお互い様だしね!」

 

 あれから、(わたくし)を車に運び終えた後、そのまま車を出して塔から離れたところに停車。今日はここで夜を明かすそうですわ。

 

 移動中、車内から外を眺めていましたが、全く知らない景色が外に広がっていましたわ。あの塔で、三人と話してて薄々そんな気はしていましたが、どうやらここは元居た世界ではなさそうですわね。アヤメたちが持っている『武器』も模造品みたいなチャチなつくりではなく、(れっき)とした『本物』ですわ。

 というのも、つい先ほどずっと(わたくし)の腰にあった細身の剣を抜いて、刃に指を滑らせたら普通に切れたからですわね。おかげでまた大騒ぎでしたわ。

 

「星ノ塔、巡遊者、そして祈願箱……」

 

 落ち着いて話ができるようになったので、改めて色々教えてもらいましたわ。やはりというか、元の世界では聞いたことのないモノ。アヤメたちの話を聞く限り、誰でも知っていそうなことなので地域性の何か、ということもないですわね。加えて、ノヴァ大陸。十字型の大陸という話ですが、そんな大陸見たことも聞いたこともありませんわ。そんな特徴的な大陸なら忘れないという確信がありますもの。世界史の点数、盛りまくりですわ。

 

「やっぱり思い出せない?」

 

「うーん、(わたくし)の目的や出自は思い出せましたけど、それ以外はさっぱりですわね」

 

 幸い、アヤメに語って聞かせたバックストーリーと矛盾するようなことはあまりなかったのは、安心というべきですわね。星ノ塔あるいは祈願箱によって記憶を奪われ、記憶喪失になってしまった。それ以前のことはよく思い出せない。それが(わたくし)、サテラの経緯(いきさつ)ですわ。

 

「あ、サテラ。はい、グローブのシミ抜きしておいたわよ」

 

「ありがとうございますわ、アヤメ。……真っ白に戻っていますわ。よく血を落とせましたわね?」

 

「……ちょっとだけ苦労したわ」

 

 うーん、結構苦労してそうですわ。

 

「じ~~~~っ」

 

「ど、どうしたんですのセイナさん?」

 

 気が付けば、何故かセイナさんがジト目でこちらを見ていましたわ。

 

「そ、そうよ。そんな目で見られると落ち着かないってば」

 

「……やっぱり」

 

 やっぱり?何に対してなのか聞こうとしたところで、薪拾いに行っていたコハクさんが戻ってきましたわ。

 

「ただいま、薪集めてきたよ──ってどうしたの三人とも」

 

「おかえりなさいですわ、コハクさん。(わたくし)たち、というよりセイナさんが……」

 

「コハク!アヤメとサテラさん、いつの間にか仲良くなったと思わない?」

 

「セ、セイナ!?」

 

 (わたくし)の言葉を遮って、セイナさんがコハクさんにそう言った。その言葉を聞いて、コハクさんは(わたくし)とアヤメを見比べる。

 

「……確かに、私もそんな気はしてた」

 

「コハクまで!?サテラとは別に変なことがあったわけじゃないからね!?」

 

「それ!アヤメとサテラさん、いつの間に呼び捨てで呼び合う仲になったの!?ずーるーいー!!」

 

「ずるいって……ホントに何もないから。ただちょっと二人になったときに話しただけで、ねっサテラ」

 

「え、ええ。アヤメの言う通りですわ」

 

 ……そういえば、アヤメだけ呼び捨てで、セイナさんとコハクさんはまださん付けでしたわね。

 

「でしたら、セイナさんとコハクさんも呼び捨てにしても良いんですの?」

 

「モチのロンよ!ねっコハク」

 

「うん、私たちもサテラって呼ばせてもらうね」

 

「分かりましたわセイナ、コハク」

 

「うんうん、私たちはもう運命共同体だからね!」

 

「運命共同体?」

 

 セイナのその言葉に首を傾げますわ。しかし、アヤメとコハクはすぐにピンときたようで、納得したように頷いていました。

 

「それじゃあ改めて──ようこそ!ギルド≪空白旅団≫へ!サテラ、私たちはあなたを歓迎します!!」

 

「──」

 

 思わず言葉を忘れて、セイナを見入っていましたわ。空白旅団についてや三人の境遇なども聞いていただけに、本当にいいんでしょうか?コハクとアヤメを見ると、二人とも納得しているのか特に反対しない様子ですわ。

 

「……本当に(わたくし)でいいんですの?」

 

「だって私たち名前を呼び合うってことは、もう友達でしょ?」

 

 ……なるほど。これが、彼女たちの……いえ、この世界の生き方なのですわね。郷に入っては郷に従え。ならば、(わたくし)もその生き方に則ることにしましょうか。

 

「分かりましたわ。これからよろしくお願いいたしますわ!アヤメ、コハク、セイナ!」

 

「よろしくね、サテラ!」

 

「よろしく、サテラ」

 

「よーし!そうと決まれば今日は新人歓迎会よ!!」

 

 このあと、また無理をしすぎて血を吐いて倒れたのは言うまでもありませんわ。

 

 これは、(わたくし)たちが≪魔王≫に出会う一ヶ月前の話ですわ。

 




星5光属性のお姫様、サテラ。あまりにもメンタルがオリハルコン。
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