ひきこもり、動きます。
◆◆◆
「私とポケモンバトルしてほしい」
それは、あまりにも唐突だった――
淡々とした口調で、そう
実際、彼女と外で顔を合わせたのはヌーヴォカフェの1件以来で、それ以外で彼女と会う機会といえばみんなで食事を囲むときくらい。朝は寝ているのか、ロビーで姿を見かけたことはない。
思えば、彼女とはまだ、まともに会話さえしたことがない気がする。
辺りは静けさに包まれ、誰もが驚いたような顔をして彼女を見ている。
彼女の目は、あなたをまっすぐ見つめている。
――という感じで、少し話を戻そう。
主人公がホテルZにきて、はや数日。彼はすっかりMZ団の一員として溶け込んでいた。タウニー、ピュール、デウロの3人は、それぞれの交流イベントを通じて、すでに彼と親睦を深めている。
主人公もまた、日々ミアレシティ各地を巡り、多くの人とポケモンに出会いながら、気づけばZAロワイヤルのランクはVになっていた。そして――
「――暴走メガシンカ?」
ミアは思わず、デウロに聞き返した。会話のなかに、聞き捨てならない用語が聞こえたからだ。
「え? ミア知らないの!?」
知らないもなにも、初耳だった。
ずっと興味なさそうに話を聞いていたミアが、はじめて反応を示す。デウロは話が長い。
どうやら、主人公が暴走メガシンカしたポケモンを鎮めて、しかも仲間にしたらしい。
暴走メガシンカというのは、簡単にいえば野生ポケモンがメガシンカしてしまう現象のこと。
メガシンカは本来、キーストーンを持つトレーナーとメガストーンを持つポケモンとの間に強い絆があって引き起こせる、進化を超えた進化現象。
それがどういうわけか、トレーナーもメガストーンも持たない野生ポケモンがメガシンカしてしまうという異変がミアレシティで発生していた。暴走メガシンカしたポケモンはとても危険な存在。
そして、暴走メガシンカに対抗するには、こちらもメガシンカで対抗するしかない。
主人公の手持ちに、メガストーンを持ったラルトスがいることは聞いていたが、まだサーナイトに進化していないはず。ほかにメガシンカできるポケモンが? いや、そもそも……。
「……え? AZさんがメガリングとルカリオを、貸した……?」
デウロからその話を聞いて、ミアはやらかしたといわんばかりに両手で顔を覆う。
何を隠そう、ミアは。暴走メガシンカという一連の騒動があったなか、彼女は――
普通に部屋で寝ていました。
時間的にも良い子はとっくに寝る時間だったので仕方ない。仕方なかったのだ。とはいえ、恩人のAZまでもが現場に足を運ぶなか、部屋でひとり眠っていたのは彼女の心に罪悪感を植え付けた。
肝心なときに役の立たないひきこもりである。
するとここで、2人のスマホロトムが同時に鳴った。なにかメッセージが届いたらしい。
ミアとデウロは顔を合わせ、内容を確認する。
送り主はタウニーから。メッセージの内容は、タウニーと主人公のランクがVからFになったことと暴走メガシンカの対策会議について。
「Fランク!?」
「!?」
デウロは驚きの声を上げ、ミアは目を見開いた。2人の反応も当然だ。
ZAロワイヤルで段階を飛ばして一気にランクアップするなんて、今まで聞いたことがない。
タウニーは人助けばかりで、ランクがずっとVだったことは知っていた。彼女の実力を考えれば、特例でFランクに昇格するのも不思議ではない。
なら主人公はどうだろう。彼には暴走メガシンカを鎮めたという実績がある。しかし、彼はまだZAロワイヤルに参加して日が浅いどころか、ついこの間ポケモントレーナーになったばかりのはず。
まるで、2人のランクを同時に上げることが望ましいとでもいうような……大人の事情というか、なにか陰謀めいたものを感じる。内部から手を回している者がいるのは明らかだった。
ふと、ミアの脳裏によぎる1人の男。一体誰なんだ……。
メッセージ後半にある、暴走メガシンカの対策会議はひとまず置いておこう。これは次回に。
しばらくして、タウニーとピュール、そして主人公がホテルZに帰ってきた。
――いずれにせよ、確かめる必要がある。
「私とポケモンバトルしてほしい」
ミアは開口一番、帰ってきたばかりの主人公に近づき、そう言った。
決して主人公の実力を疑っているわけではない。むしろ、彼の成長の速さには目を見張るものだ。
だが、Fランクからは少し話が変わってくる。ZAロワイヤルのFランクに到達した者は、運営側からメガリングが支給される。Fランクより上位のトレーナーは全員がメガシンカの使い手と思ったほうがいい。これまでとはわけが違うのだ。
要約すると、主人公がこれからの戦いに通用するか確かめたい、心配だから。ということになる。
それを前置きもなしにいきなり用件だけ伝えるのだから、ひきこもりは言葉が足りない。
ロビーは静けさに包まれ、誰もが驚いたような顔をしてミアを見ている。
ミアは周りの反応に既視感を覚え、そんなにめずらしいかとジト目で返した。
「ミアがバトルに誘うなんて、みたことないよ!?」
「あたしも。どうしたの急に」
「……」
ピュールは固まっていた。キミとは前にやったでしょ。
「……外で待ってるね」
それだけ言い残すと、ミアはロビーを出る。
「行っちゃった……どうするの?」
「うーん……暴走メガシンカの作戦会議もしないといけないのに。でも、ミアもなにか考えがあるみたいだし……。お願い!ミアに付き合ってあげて。あたしたちここで待ってるから」
「……気をつけたほうがいいですよ。あれでもBランクなので強いです。ミアさん、手加減とかしませんので」
主人公がホテルの外に出ると、ミアは静かに待ち構えていた。
「準備ができたら、話しかけて。待ってるから」
まるでRPGで戦う前かのように、ミアはその場に立ち尽くして、主人公の準備が整うのを待つ。
ちなみに彼女は、どこかの誰かと違って主人公の寄り道を許してくれる。
万全を期すなら、一旦ワイルドゾーンに立ち寄るのもアリだろう。
主人公はボックスを開き、手持ちを入れかえるとミアに話しかける。
「……準備できた?」
> もちろん!
エムゼット団のミアが勝負をしかけてきた!
エムゼット団のミアはマフォクシーをくりだした!
「本気でいくから、あなたたちのちからみせて。いくよ、マフォクシー」
【ポケモンZA】ミア戦とかいう今作の問題イベント【初見殺し】
1:名無しのジガルデセル
ミア戦とかいうシリーズ屈指の初見殺し
2:名無しのジガルデセル
レベル60は聞いてないんだが?
3:名無しのジガルデセル
しかもフルパ。中盤で戦う相手じゃない……
4:名無しのジガルデセル
こっちまだレベル30なのに……まだオーダイルに進化していないのに……
5:名無しのジガルデセル
ミア「1匹で6タテ余裕でしたw」
6:名無しのジガルデセル
>>5
ガキが舐めてると……潰されたわ。なんやあれ……
7:名無しのジガルデセル
初見殺しというか負けイベでしたね……
8:名無しのジガルデセル
ここまで露骨な負けイベは全体通して初なのでは?
13:名無しのジガルデセル
初手マフォクシーは予想外すぎる
14:名無しのジガルデセル
ゲッコウガでしょ
15:名無しのジガルデセル
ブリガロンだぞ
16:名無しのジガルデセル
>>13 >>14 >>15
主人公が選ぶ御三家で変わるぞ
ポカブ→ブリガロン、チコリータ→ゲッコウガ、ワニノコ→マフォクシー
ほか5匹は共通
17:名無しのジガルデセル
ミア「手持ち6体です!カロス御三家(最終進化)です!レベル60です!」
なにこの情報量のオンパレード
18:名無しのジガルデセル
エースポケモンを最初に出すな
19:名無しのジガルデセル
残りの5匹は逆になんだよ……
20:名無しのジガルデセル
知りたいか?その先は地獄だぞ
24:名無しのジガルデセル
ここだけ攻略サイト見たけど笑ったわ。ミアの手持ち頭おかしい(戦慄)
25:名無しのジガルデセル
最初の1匹だけレベルが高いパターンかと思えば、ちゃんと全員レベル60というね……
ちょっと強すぎませんかこの子
26:名無しのジガルデセル
通常プレイではまず勝てないのでおとなしく負けましょう。←草
27:名無しのジガルデセル
これで勝たないと進行しないはさすがにね……
29:名無しのジガルデセル
育てれば勝てるけど負けたほうがはやい
31:名無しのジガルデセル
なんで戦う必要があるんですか
32:名無しのジガルデセル
主人公がFランクに飛び級したから
33:名無しのジガルデセル
スピード昇格は賛否両論だけど、この子が現実みせてくれただけだぞ
34:名無しのジガルデセル
ミア「まだはやい」
35:名無しのジガルデセル
>>34
はやすぎんだわ。あんたBランクでしょうが
36:名無しのジガルデセル
さらっと明かされるランクB。なんでAに上がらないの?
38:名無しのジガルデセル
ミア今作のチャンピオン枠なのか
39:名無しのジガルデセル
「手加減とかしないので」
加減しろばか!絶対手持ちそのままだろこれ!
40:名無しのジガルデセル
でもミアのおかげでクリアまでの目安レベルがわかっただろ?
41:名無しのジガルデセル
ここから一気にストーリーが進むのすき
42:名無しのジガルデセル
つまりここまでがチュートリアルと
45:名無しのジガルデセル
ミアちゃんBランクだし、Aランクの相手で当たるのかな
47:名無しのジガルデセル
>>45
多分そう。きっとそう。
48:名無しのジガルデセル
これはわからせるしかあるまい。
・
・
・
153:名無しのジガルデセル
グリって誰だよ
◆◆◆
「……ポケモン元気にするね」
勝負が終わり、ミアは主人公の手持ちを回復させる。
「……そういえば、私がここにいる理由、まだ話してなかったよね」
ミアは小さく呟くように、あなたに話を切り出した。彼女の目は、どこか遠くを見ているようだった。
「私も、みんなと同じ。AZさんに恩があるの。でも……」
言葉の途中で、視線を落とす。やがて、少女はぽつりぽつりと語り始める。
「はじめて暴走メガシンカが現れたとき、私は……なにもできなかった。怖くて、部屋から一歩も出られなかった」
少女の声は小さく震えていた。彼女の心の奥にはまだ、外の世界への恐怖が残っている。
「タウニーが、私を部屋から引っ張り出したの。それからは……大変だった。ZAロワイヤルに参加して、エムゼット団を結成して……」
少女は少しだけ笑みをみせた。懐かしむような、寂しそうな笑みだった。
「……ごめん、変な話したよね。ホテルに戻ろう。みんな待ってる」
ミアは自分の身の上話を語り終えると、ホテルの中へ消えていった。なにかを決意したように、彼女の歩みに迷いはない。彼女の後ろ姿をしばらく見送り、あなたもそのあとを追う。
――黒い四足獣のシルエットは、2人の姿を静かに見つめていた。
正体現したね。
掲示板形式のタグは後日追加します。
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