13歳の時に出会ったエトを曇らせる話   作:お稲荷さま

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今回は少し時間が飛びます。少しずつ原作での出来事に近づいていってます!


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12話

 

 

 

 季節は秋後半になり少し肌寒くなって来るとエトが待ってましたとばかりに早めにマフラーをつけ始める。結構使っている気がするが使い方が丁寧なのだろう。ほとんど新品と見分けが付かないほどだ。

 

 11月5日、今日が俺の誕生日なのだが色々と準備があるという事で自分の部屋に押し込められている。誕生日なはずなのに何故だろう…。

 特にやる事も無いので外の風景を模写し始める。約1年前に神社でエトが書いた小説が原作の漫画を描きたいと願ってからは絵の練習をしている最初こそ上手く描けなかったが最近はコツを掴み、そこそこの描けるようになってきたと思う。

 

「善吉ー準備出来たわよー降りてらっしゃーい」

 

 ある程度描き終わると下にいる母さんから声が掛かる。描いていたものを片付けて下に降りる。

 

 

「入るぞー」

 

 ガチャリと扉を開けて中に入ると“パンッ!“と大きな音と共に「おめでとう!」と祝福の言葉が聞こえた。

 

「びっくりした。クラッカーなんて用意してたのか…」

 

「いいだろう?誕生日にはクラッカーは欠かせないからねぇ」

 

 エトが言う事も一理あるがやられる側は結構驚く、まぁ別に嫌だという感情は湧いてこないし良い意味での驚きに入るんだろうけど。

 

「じゃーんどう?私とエトちゃんでいっぱい料理作ったのよ!どんどん食べてね」

 

「善吉も14歳か〜早いなぁもうすぐ父さんに身長追いつくか?」

 

 両親とも嬉しそうではあるがまだまだ父親の身長を抜けそうには無い。テンションが上がりすぎて適当な事言い過ぎじゃ無いだろうか……。

 

「まだそんな伸びてないよ、それと随分豪華な料理だな」

 

「当たり前じゃないか。なんてったって善吉くんの誕生日だからね」

 

「それだけじゃないわよ?」

 

「え?」

 

 エトの困惑の声がリビングに響く。そうエトには内緒だったが今日は別に俺の誕生日を祝うだけでは無いんだ。

 

「おめでとうー!」

 

 俺は背中に隠してあったバースデーカードを取り出す。

 

 そう、今日はエトの誕生日を祝う日でもあるのだ。

 両親の休みがエトの誕生日に合わなかったので今日に2人分行う事にしてエトには内緒にしてあったのだ。

 

「私のかい?確かに少し前に私の誕生日ではあったけど」

 

「サプライズだ、少し遅れたけど皆んな揃って祝いたくてさ。エトの誕生日当日は母さんが祝いたくてうずうずしてたんだぜ?気付かなかったか?」

 

「確かに私の誕生日の日はなんか様子がおかしかったが……」

 

 そう実は本当は当日祝いたかったが父さんの予定が合わず誕生日会をやるのを少し遅らせたのだ。母さんを抑えるのが大変だったが。

 

「ごめんねエトちゃん本当は当日祝いたかったんだけど善吉がどうしてもサプライズしたいって言うから……」

 

「いいだろ?毎回エトには色々驚かされてるからなたまには俺が驚かせる側にまわりたかったんだ」

 

「自分が祝う側だと思ってたから今もまだ少し困惑してるよ」

 

 父さん、母さんに“イェーイ“とハイタッチをする。

 

「さぁ、ご飯にしましょう!作りたてを冷ますわけにはいかないわ!」

 

「そうだよ善吉くん今日はお腹が破裂するほど食べてもらうからね」

 

母さんとエトが頑張って作ってくれたのだ残すわけにはいかない。破裂はしたく無いがギリギリまで食べよう。

 

「はは…頑張るよ」

 

 エトが言った通り本当にお腹が破裂しそうになる位ご飯を食べた。食べすぎて苦しいのは久しぶりだ……。

 

「「「「ごちそうさまでした!」」」」

 

「さて!2人とも!プレゼントの時間よ!」

 

「エトちゃんはこっち!」

 

「善吉はこれだ!」

 

 母さんはエトにそして父さんは俺にプレゼントを渡してくれる。

 

 中を開けると俺のプレゼントは漫画を描くためのペンや描き方の教本、定規、インク、原稿用紙等の漫画を描くための一式が揃っていた。

 

「おぉ!すげぇ!なんかこれ持ってるだけで漫画家になれる気がする!」

 

「何言ってるのちゃんと練習や描き方の勉強しなさい」

 

「それはわかってるけど……すげーテンション上がってるんだ」

 

「喜んでもらって良かったわ」

 

「エトは何もらったんだ?」

 

「私はこれ……?」

 

 そういって見せてもらった中身は原稿用紙、ペン、それと2階に行こうと言う紙。なんだこれ?

 

「なんかエトのだけ少なくないか?」

 

 なんだが納得がいかずに両親をみる。

 

「それだけじゃ無いのよ。2階に行きましょう」

 

 母さんと父さんに連れられ2階に行く。そしてたどり着いたのは俺と両親の部屋の間にある部屋だ。元々父の部屋と母の部屋二つあったらしいのだが二つもいらないと言う事で余ってしまいそれ以来、客間としてエトが泊まる際に使われてたはず……。

 

「なんでここに?あんまり使われてなく無い?」

 

「いいのよ、2人とも中入ってみて!」

「そうだ、細かい事は気にするな!」

 

 両親に催促され中に入ると中には少し落ち着いた雰囲気の緑を基調とした家具と、一人暮らし用の冷蔵庫、黒色の書斎にあるような机が置いてあった。

 

「「え?何これ?」」

 

「実はここ!執筆作業ができるようにしたエトちゃんの部屋よ!」

 

「私の部屋?」

 

「そうよ!泊まったりする時にリラックスして欲しいしそれに、執筆作業が出来た方が良いじゃ無い?まぁ元々客間だったし最近はエトちゃんしか使ってないから専用に変えちゃった」

 

テヘッ⭐︎とでも言うかのようにおちゃらけた様子で言う母さんにこれが母親か……となんとも言えない気持ちになる。

 

「こんな……いいんですか?」

 

「いいのよ!エトちゃんの素晴らしい小説の手伝いが出来るなら安いもんよ!」

 

「あぁ!善吉もずっとお世話になってるしな。それにエトちゃんはウチの娘みたいなもんなんだ!遠慮しないで使ってくれ」

 

「でも私……こんな恩……返せません」

 

「そんなの気にしなくて良いのよ。もし気になるならこれからいっぱい作品書いて私たちに見せてちょうだい」

 

「いいなそれ!書籍になったときには全部にサインもらって部屋に飾ろう!」

 

 

「そんな…ありがとう……ございます。頑張ります。」

 

 母さんと父さんからの言葉にエトは優しい笑みと涙を流しながらお礼を言うのだった。

 

 

 

 

 

 

「それより机の近くにもう一つでかい段ボールがあるけどあれなに?」

 

エトの小説を書く用の作業机の横にもう一つ大きめな段ボールがあるのだ。なんだろう。

 

「あれは善吉のもう一つのプレゼントよ漫画を描いたり絵を描くには今の机じゃ描きにくいと思って。作業机よ!必要でしょ?」

 

「なんで俺のは組み立てからなんだよ…」

 

 嬉しい。とても嬉しいがなぜ組み立て前なのかというのが気になる。

 

「それはあれだ。置いとく場所がなくてな。下に置くとサプライズにならないし、組み立てちゃうと善吉の部屋に運ぶの面倒だろ?」

 

「それもそうか」

 

 あまりのインパクトに忘れてたが俺からエトにプレゼントを渡してない事に気がついた。

 

「エト」「善吉くん」

 

 俺とエト同時に話し始めてしまい、被ってしまう。

 

「善吉くんからでいいよ」

 

「これエトに誕生日プレゼント」

 

「ありがとう、はいこれ私からの誕生日プレゼントだよ」

 

 誕生日プレゼントを交換し合う。俺があげたのは最近描いたエトが小説を書いてる時の絵と、梟かわ付いたネックレスだ。アクセサリーをあげるのは少し迷ったが母さんと出かけたときにとてもエトが似合いそうなものがあったのでプレゼントとして買ったのだ。

 

「このネックレスすごいのが梟の頭を回すと中に小指の先程度の小さな収納スペースがあって物が入れれるようになっているだ!すげーだろ」

 

「おぉ面白いギミックだ」

 

「なんか最近大人っぽくなったけどこう言うところは子供ねぇ」

 

 母さんがなんか言ってるが何も聞こえないふりをしつつエトからもらったプレゼントを開ける。

 

「これは!大量の小説原稿!それにネックレス狐のネックレス?」

 

「うん。なんだが私も善吉くんとおんなじような考えだったみたいだ。その狐にも実は似たようなギミックがあってね。口のところがバネになっていてものが挟めるようになってるんだ」

 

「おぉ!本当だ!すげぇ!」

 

「あらいいプレゼントねぇ実用性もありそう」

 

「おい、なんで俺には子供っぽいって言ってた癖にエトには言わないんだよ」

 

 母さんの手のひら返しに納得がいかず文句を言うが

 

「はて?何のことかしら?」

 

全く調子のいい母親だ……

 

「それよりエト、この原稿まさか完成したのか?」

 

「うん。やっとね500枚くらいになるんだけどこれを明日出版社に持っていこうと思うんだ」

 

「おお!ついに作家デビューか!」

 

「まだ気が早いよ善吉くんそもそも通るかもわかんないしね」

 

 何を言ってるんだろう?こんなにいい作品が通らない訳ないもし書籍にならないなら担当したやつは無能だろう。

 

「何言ってんだよ通るに決まってんだろ」

 

「そうよ絶対いけるわ」

 

「なんなら父さんの伝で書籍化してやる!」

 

 我ら家族は絶対にエトがデビューし売れっ子作家になることを確信しているのだ。

 

「皆んな……ありがとう。それでなんですけどこの家の電話番号を使わせてもらう事は可能でしょうか?」

 

そっか…前に皆んなで聞いたのだがエトは今施設で暮らしてるけどあんまり上手くいってなくて、施設にも小説を書いてる事知らせてないって言ってたな。

 それならいっそのことウチに住んでしまえばいいのに。まぁいつでも来れるようにみたいな意味でエトの部屋を作ったのかもしれないな母さん意外と鋭いしな。

 

「そんなのいくらでも使ってちゃうだい!作家デビューしてくださいって電話が今からでも聞こえてくるわ!」

 

「むしろ父さんが携帯を買ってあげようか?」

 

「流石にそれは…デビューしたら自分でどうにかします。でも気持ちは嬉しいです」

 

 真剣な話だからかエトが一年前みたいな話し方になっている。最近では両親にも俺と同じように接していたのだが、真剣な時と使い分けれるのはやはり凄い。

 

「色々と話も終わったしリビングの食器片しに行きましょうか、エトちゃん今日泊まる?ベットも新品だし気持ちいいわよ!」

 

「お手伝いするね、お義母さん。そうだね今日泊まらせてもらって明日そのまま出版社に行こうかな。」

 

「よしさっさと終わらせて俺は一番に小説をよむぞ!」

 

「ずるいぞ善吉!読み終わったら父さんに貸してくれ」

 

「母さんも読みたいわ」

 

 誕生日プレゼントも渡せてひと段落ついたので下に置いたままの食器類を皆んなで片しに行く。

 

 

 エトの部屋も出来たならこれからもっと家族皆んなで一緒に過ごせる時間が増えるな。なんだかこれからが楽しみだ!

 




今回誕生日について書いてみたんですが善吉くんとエトちゃんの誕生日を近くしてみました。というのも例の編集者の元に原稿を持っていったのが多分、秋or冬その時点で14歳なら春から秋にかけて誕生日が来るのでは?と思って書いてます。間違ってたり、公式情報あれば教えてください!あ、善吉くんより誕生日を前にしたのはエトちゃんは善吉くんよりお姉さんであるはずだ!というか作者の考えからです。

前回から結構進みました!次回はあの人が出てきます。唐突ですがパテって美味しいんでしょうか?
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