13歳の時に出会ったエトを曇らせる話   作:お稲荷さま

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今回はエト視点から始まります。原作はやっぱ11月〜12月くらいな感じありますね。

原作時点ではこの時すでにCCGに奇襲をかけたりしている感じがあるんですけど善吉君家族のメンケアのおかげで特に世界をぶっ壊そうと思ってないので奇襲してないのでレートは付けられてません。

評価、お気に入り、誤字脱字報告ありがとうございます!


13話

 

 

エトside

  今日は本当に色々あった。善吉くんの誕生日を祝う予定で色々と準備していたのに自分と彼2人の誕生日を祝うものだったなんて気が付かなかった。

 

 用意してもらった部屋で横になっているがこんなにも安心して寝れるのなんていつぶりだろうか。何回も泊まらせてもらってはいるがやはりお客様としてという感覚がなんとなく強く少し寝つきが悪かったのだ。

 いや今までの人生で本当の意味で安心して眠れた日なんてないのかもしれない。始めて私の居場所が出来たような気がする。安心して寝れるというのがここまで良いものだったなんて知らなかったな。

 

 とりあえず今日は寝よう、明日出版社に原稿を持っていく約束をしてある。寝坊なんてしてしまったら書籍化なんて出来ないだろう、善吉くんやお義母さん、お義父さんの為にも人気作家にならなくては。

 

 

 

――――――――――

 

 

 朝少し早く起きてリビングに向かう、まだ早朝だがお義母さんが朝食を作ってくれている。

 

「おはよう」

 

「おはようエトちゃんよく眠れた?」

 

「うん、こんな気持ちのいい朝久しぶり。朝食作り手伝ってもいい?」

 

「ありがとう、じゃあコーヒー淹れてくれる?私エトちゃんのコーヒー好きなのよね」

 

「わかった」

 

 お義母さんに頼まれてコーヒーを淹れる。最初淹れ方はぎこちなく味もとても飲めたものじゃなかったがずっと淹れているとやはり慣れてくる。今ではお義母さんと比べても遜色ないレベルまでこれた。

 

 ちょうど淹れ終わるタイミングでお義母さんの方も朝食が完成したらしい。隣からはいい匂いが漂ってきてる。

 

 お義母さんと2人で朝食の準備をするこの時間が殺伐とした世界に生きる私になんて事ない日常を感じさせてくれる。私はこの時間がとても好きだ。

 

 

「よし出来たわ!私はお父さん起こしてくるからエトちゃんは善吉をお願い」

 

「わかった」

 

 階段を登り昨日貰った私の部屋の隣、善吉くんの部屋にノックする。返事がない、特に物音とかも聞こえないので寝ているのだろう。

 

 ドアを開けるとベットに寝ている善吉くんの姿、枕元のテーブルには昨日渡した原稿が置いてある。昨日渡したばかりなのにもう全部読んだのだろうか?だとしたら寝不足かもしれないので起こすのは気が引けるがせっかくの朝食と私が淹れたコーヒーが冷めてしまう。

 

「善吉くん起きてくれ、朝だよ」

 

 体をゆすり起こすそうとするが中々起きない、しかも寝言で「えとのしょうせつ100さくめ〜」なんて事をいっている。まだ一作目も世に出てないのだが。

 

「お義母さんの朝食とせっかく私がコーヒーが冷めてしまうよ?」

 

「エトのこーひー?」

 

 今まで何も耳に入らなかった善吉くんが体をむくりと起こした。私のコーヒーで起きてくれるのはなんだか嬉しい。まだ少し寝ぼけてはいるが手を引いて一緒に下に行く。

 

「お、善吉起きてきたかおはよう…おまえエトちゃんに手を引かれながら起きてくるなんて恥ずかしくないのか?」

 

「うるさいなぁ、べつにいいだろ。かいだんあぶないし」

 

「何言ってるのよ、お父さんだってさっきまでほぼおんなじ感じで下まで来たくせに。エトちゃんと善吉に情けない姿見せない様にコーヒーで目覚ましまでして」

 

「母さん!それは言わない約束だろ!」

 

「そんな約束したかしら?」

 

 お義母さんとお義父さんの微笑ましい会話を見ながら席に着く。いつか善吉くんともこんな会話する日が来るといいな。

 

「「「「いただきます」」」」

 

 

 

 

 ――――――――――

 

 朝食を食べ終え少しして出版社に行く。

 電車に乗り。駅から少しした所まで歩く。マップを見ながら来たがここであってるだろう。

 

「あの…すみません」

 

「あら、どうしたの?お嬢さん?」

 

「実は電話でお伝えしていたのですが。本日10時に原稿を持ち込ませてもらう約束をした芳村愛支です」

 

 フロントの社員に声をかけて今日原稿を持ってきている者だと伝える。外見からまさか持ち込みの作家だとは思わなかったのか少し慌てた様子で確認をとっている。

 

「はい確認の方取れました。あちらにある待合室でお待ちください。担当の者が参ります」

 

 フロントの人が指す待合室に向かう。椅子に座って待つ事5分ほど、担当の人と思われる人物が入ってきた。

 

「お待たせしました。君が電話をくれた子だね。今日担当させてもらう塩野です。よろしく」

 

「よろしくお願いします。芳村です」

 

「とりあえず今日持ち込み予定のものを見せてもらってもいい?」

 

「こちらになります」

 

鞄から原稿用紙が入った封筒を出して塩野さんに渡す。

 

「多いね……500ページくらい?とりあえず読ましてもらうね」

 

 彼は大量のページ数を見てめんどくさそうな顔をしてから読み始めた。

 それから15分ほど経ち急に顔をあげたかと思うと

 

「きみ 何歳?」

 

「14…………です」

 

 いきなり聞かれ年齢を答える。

 

「ふゥーん………………君さ———」

 

 彼がいうには私の作品はどうやら文章力はあるが突然のポエティックが多く表現が冗長らしい。ある程度言いたい事は言い終えたのだろう、席を立ちポケットの中を探り始めた。

 

「ま、年齢の割にかけてるんじゃないかなこれ僕の名刺ねまぁ、また何かあったら連絡してよ」

 

 そして名刺を出してきたがまだ15分程しか経っていない、内容はほとんど読めてないんじゃないだろうか。

 

「今読まないんですか?」

 

「何ページあるのよこれ、僕も予定があるから」

 

「でもまだ15分ほどしか…」

 

「ぼくらにはその″15 分″が命取りなの。一応預かるけど今日はここら辺で」

 

「はぁ…わかりました」

 

 そしてたいして急いだ様子も見せずゆっくりと戻っていく背中を見てため息を吐く。

 

「はぁ……どうやら見る目がない人を引いてしまったみたいだ」

 

 帰る準備をして駅の方に向かう。予定していたよりもあまりにも早い帰宅になってしまいそうだ、善吉くん達にはあんなに期待してもらったのにどう伝えようか。

 朝のスッキリとした気分はどこへやらあの家に帰るのになんだが憂鬱な気分になってしまった……。

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――

 

 

 

 

 

嘉納医師side

 

「古見善吉君今日来てもらったのは定期検査というのもあるんだが、君の病気を改善する事ができるかもしれなくてね、いつもより少し多めに採血をさせて欲しいんだ」

 

「先生実は昨日誕生日で色んな肉料理も食べてしまったんですが大丈夫ですかね?今日が月初の定期検査だったのでちょうどいいと思って結構食べてしまったんですが……」

 

 目の前の少年、古見 善吉君が少し心配そうな顔でこちらをみている。彼は私が今特別に受け持っている患者で私の研究に大きな進歩をもたらしてくれるかもしれない存在だ。

 

「心配しなくても大丈夫だよ、今日のは少しRc細胞値が高い血液が必要なんだ」

 

「そうですか、よかったです」

 

 そう今回私が行おうとしている実験には高めのRc細胞値が重要な鍵になるのだ。

 

「少し多めに血を抜くけど気分が悪くなったり目眩がした場合はすぐに言ってほしい。腕を出してくれるかい?」

 

「わかりました」

 

 そう言って素直に腕を差し出す少年。

 一年前まではRc細胞が高数値出したのは顔面の方だけであったが、この一年私が様々な薬を使ったり小さな手術をすることによって全身に高いRc細胞値が見られるようになった。その為採血はどこからでもいい。

 

「ありがとう、体調は大丈夫かい?」

 

 ある程度必要量を取り彼の体調を聞く。ここで彼に何かあっては次の実験に進めない。

 

「はい、少しだるい感じはしますけど大丈夫そうです。」

 

「良かったでは来週またここに来てくれ、次は両親も連れてきて欲しい。さっき言った改善する術を説明したいからね」

 

「わかりました!ありがとうございます」

 

 

 少年を見送り先程とった血液を検査に回す。これがあれば………………

 

 まだまだ彼には色々と役に立ってもらわないとね。

 

 

 

 

 

 善吉side

 

 ついさっき定期通院、検査が終わり電車で家に帰る。前は母さんや父さんと一緒に通っていたが、一年も経つと慣れてきたの余程のことがない限りバスや電車を使い1人で行くようにしている。

 

 家の近くまで歩きいつもの神社の前までくると、赤いマフラーの見慣れたシルエットが見えてきた。

 エトだ自分より早く家を出ていたはずだがどうしたのだろう?もしや初の持ち込みで一気に書籍化まで話が進んで時間がかかったとか?

 

「おーい、エトー」

 

「あぁ、善吉くんおかえり、病院はどうだった?」

 

「なんか、病気の改善策が新しく出来たみたいで来週また嘉納先生のところに行くんだ」

 

「本当かい?良かった!これで良くなるかもしれないね」

 

 自分のことの様に喜んでくれるエト、昨日と同じくらい喜んでいる。まだ確定ではないんだけど……。

 

「それよりエトはどうだったんだ?こんな時間までかかったなら持ち込み上手くいったのか?」

 

 気になっていた事を聞くと少し気まずそうな顔をしている。

 

「あまり見る目がない人を引いてしまったみたいでね15分ほど読んでそのまま解散になってしまったよ」

 

「最初だけじゃねーかそこからどんどん面白くなるのに!なんだそのボンクラ!」

 

「それでどうしようかと思い神社で考え事してたんだ」

 

「あれを読んで面白いと思わない奴に任せなくていい!もっといい所がある絶対!」

 

「ありがとう、善吉くん少し楽になったよ。さぁ帰ろうか」

 

 俺は思っている事を言っただけなんだが悩みが少しでも軽減したなら良かった。

 

「そうだな早く帰って母さんと父さんにも病気の事知らせたいしな」

 

 

 

 

 

 ――――――

 

「「ただいまー」」

 

「おかえりなさい。あら、2人で仲良く帰宅?」

 

「たまたま外で帰りに会ったんだ。それで今日病院で先生からもしかしたら俺の病気が改善するかもって言われて」

 

「本当なの?!良かった!」

 

 この一年特に変化はなかったがいつ症状が進行するかわからなかった為不安も大きかっただろう。とりあえず希望が見えた事自体が嬉しい。

 

「うん。それで説明の為にも来週両親を連れてきてくれって」

 

「そうなのね、私もお父さんも絶対予定空けとくわ。それでエトちゃんの方はどうだったの?」

 

「それが……」

 

 ″プルルルル!!″エトが話そうとしたタイミングで電話が鳴り出す。

 

「少し出てくるわね」

 

「なんだかタイミングが良いんだか悪いんだか」

 

「本当だな」

 

「…………えぇ、えぇ、本当ですか?はい!変わりますね!」

 

 母さんが嬉しそうに電話で話しているとどうやらエトに用事があったのか手招きをしている。

 

「なんだろう、行ってくるね」

 

「おう」

 

「はい、変わりました、芳村です。…………えぇ、本当ですか?わかりました。はい。では来週の同じ時間にそちらに行きます」

 

 どうやら電話は終わったみたいだ。

 

「なんの電話だったんだ?」

 

「あぁ、実は先程の編集者さんから電話がきて。とても良い出来だったから書籍化について話し合いたいってそれで来週またきて欲しいそうだ」

 

「本当か!?良かったな!やっぱりエトの作品は最高なんだよ!俺昨日全部読んだし!」

 

 聞いた時には見る目がない編集だと思ったが意外と分かってるじゃないか。どうなることかと思ったがやっぱり良い方向に向かってるな。俺も絵の練習に、病気の事色々とやるべき事がたくさんある。頑張ってエトに置いてかれない様にしないとな。

 

 




一応塩野編集は上司にぶん殴られてます。しょうがないね!でも電話番号があったので寒空の中走り回らなくて済んでます。よかった!

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