燃えている。
街が燃えている・・・。
いつも私が通っているパン屋も。
私にいつも武器をおまけしてくれている道具屋も。
私が育った家も。
皆燃えている。
何が起きたのか。
それは単純だ。
このフィンの国にパラメキアが攻めてきたのだ。
―――――――――
「はぁ・・・はぁ・・・・!」
私は走る。
生き残りが居ないか探すために。
フィンの騎士団は殆どが壊滅。
パラメキアの帝国兵は魔法の素材ミスリルを使った武具で装備していた。
フィンの騎士団の装備ではとても太刀打ちできなかったのだ。
つけ入る隙はもちろんあったがそもそもの軍事力がまったく違うのだ。
私は壊滅状態だった騎士団から数人の仲間を引き連れ民の脱出をさせる事にしたのだが。
遅かった。
すでに街には火の手が上がり多くの人間が殺されていた。
「ロール!帝国軍が来たぞ!」
「数人・・・いける!」
帝国兵のミスリル装備は確かに脅威だが。
「所詮は鎧!隙間はある!!」
私はすばやく動き帝国の鎧の隙間に剣を突き立てた。
喉もとに入ったそれはいともたやすく帝国兵の首を貫通した。
「よし・・・!」
帝国兵を倒した私たちはさらに走る。
いつも私が休んでいる広場にでた。
そこにはいつもの平和な世界が待っているはずも無く。
多くの死体が転がっていた。
「そんな・・・」
「この様子では・・・」
「いや、まだ息があるものが居るはずだ!探して保護するんだ!」
私たちは必死に探した。
そこで目に付いたのは・・・。
「嘘・・・でしょ・・・」
あの子だった。
いつも私に懐いていたあの子だった。
「嘘だ!・・・嘘だ・・・!」
私は走り出してあの子のそばに行き肩を抱いた。
「おきて!お願いだから・・・!」
私はケアルの呪文をかけながら声をかけた。
少女はうっすらと目を開けた。
だが・・・
「ロールおねえちゃん・・・寒いよ・・・」
「!?」
その時わかった、この子は助からないと。
「おねえちゃん・・・あの宝石・・・まだ持ってる・・・?
「・・・えぇ、持ってるよ・・・」
「それ・・・大切にしてね・・・私の・・・思いがつまってるんだもん」
「・・・わかったわ。約束する・・・」
そう言うと少女は微笑んで息を引き取った。
彼女からもらった宝石を見る。
クリスタルは少女の血で濡れ紅く染まっていた。
「ロール・・・ここはもうだめだ、生きている人間なんて・・・」
「わかってる・・・・わかってるよ・・・」
「いや、待て!帝国兵だ!!」
さっきよりも多くの帝国兵が迫っている。
「・・・迎え撃つ!やつらを皆殺しにする!!」
「もう撤退も出来そうにないしな・・・」
「付き合うぞロール!」
そこからは多くの帝国兵と斬りあった。
どれだけ斬っても現れる帝国兵。
皆の体力も尽きかけている。
だが歩みは止めない。
ここでの奮闘がまだ生き残っている人間の手助けになるなら。
そのときだ。
「ロール!ボーゲンの私兵が援護に来たぞ!」
「本当!?ならまだまだ持ちこたえられる!」
しかし、同時に私は何か違和感を感じた。
なぜ、この戦闘でボーゲンの兵がこんなところに居るのか。
すでに撤退しててもよいはずだ。
それに前線に居たはずなのに彼らの鎧。
綺麗過ぎる・・・何故だ。
何かがおかしい・・・。
「ぐぁ!!」
「な・・・・ぜ・・・?」
「ビックス!?ウェッジ!?」
疑問が頭を回っていたときだ。
ボーゲンの配下は私たちに斬りかかった。
完全に仲間だと思っていた仲間の2人は殺された。
「お前ら・・・気でも狂ったか!?」
私は剣を取り出しボーゲンの兵士を斬った。
こいつらはミスリルの装備なんか無い。だからたやすく斬れる。
だがすでに一人となった私が無傷で居られるはずも無く。
背中から斬られてしまった。
「ぐぅ・・・!」
そのまま私は押さえつけられてしまった。
「はっははは!ざまあないなロールよ!」
そして兵士の間からボーゲンが出てきた
「ボーゲン・・・!」
「ん~?何かいいたそうだなぁ?」
「なんで伯爵であるアンタが帝国なんかに寝返ったんだ!」
そうだ、こいつは寝返ったんだ。
このフィンを見捨ててパラメキアについたんだ。
だから騎士団はあっという間に壊滅したんだ。
それをさっきわかった。
「俺はお前らと違って利口でなどうせ俺がついてもフィンは滅びる。なら生き残れるほうにつくのは自然だろう?」
「オマエェェェ!!」
悔しい!悔しい!!
こんなやつを殺せない無力な私が悔しい!
「さて、そろそろお前にも止めをさそうじゃないか!」
私はこんなところで殺されるのか。
いやだいやだいやだ!!
あの子の仇を討つって決めたじゃないか!
なのにこんなところで!
「待て」
だが私への死刑宣告は止められた。
声のした方を見るとそこには黄金の鎧に身を包む男が居た。
「その女、なかなかの腕ではないか。ここで殺すには少し惜しい・・・」
「こ、皇帝様!」
「こうてい・・・・だとぉ・・!」
こいつが、この男がパラメキアの皇帝・・・!
皆の仇が目の前にある。
殺そう。
そう思うと身体に力がみなぎってきた。
コレならこの拘束から抜け出せる!
「ファイア!」
私を押さえ込んでるやつに魔法で攻撃し拘束を緩める。
そして一気に走り出した私は落ちている武器を拾い皇帝に走り始めた!
「こおおおおおおおていいいいいいいい!!!!!」
私の刃が皇帝に届く。
あと一歩で届く!!
だが。
「ふ、無駄だ!」
「がうぁあ!!!」
突然私の足元に魔方陣が浮かび上がり私の身体はその魔方陣によって捕らえられた。
「見事な気迫だ。どうだ、その気迫を私の元で発揮する気はないか?」
「だれが・・・貴様などの手先になるものか!!!」
「ふむ、では仕方が無い。その意思に免じて褒美をとらす」
そういうと皇帝の魔力が奴の手のひらに集まる。
「褒美だ、死ね!」
皇帝のフレアが私に迫る。
私の命の終わりが近いのだ。
(レオンハルト、ガイ、マリア、フリオニール・・・あんた達は生きなさいよ・・・」
そこで私の身体は消えた。
――――――――――――――
私、志筑仁美は今習い事からの帰りです。
ピアノ、日本舞踊、お茶などとても忙しい日々ですがコレも未来の為ですから辛いと思ったことはありません。
そう思いつつ迎えの車の場所まで歩いていると何かが聞こえてきました。
「うぅ・・・く・・・」
とても苦しそうな声でしたのでもしかしたらと思いその方向へ歩くと。
「・・・!?」
人が倒れていました。
しかも背中からは真っ赤な血を流し体中からは焦げたような臭いも感じます。
この人はこのままでは死んでしまう。
「待ってくださいね!今助けを呼んできます!」
そう言うと私は迎えの車のところまで走り助けを呼びます。
「あそこに人が倒れています!ついてきてください!」
彼女が何者なのかはわからないのですが、見捨てるなんてことはできません。
―――――――
幻想の世界から現代に来たロール・ラスタース
彼女はここで何を成すのか。
それはわからない。
果たして彼女には光の導きはあるのだろうか?
パラメキアにせめられロールはてったいしなければならかった