ミアレシティの帰り道   作:いちごの入った大福

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そんな中、突如として謎の巨大ミアレシティが現れ、街や人々を飲み込んでしまう。そして主人公たちの前に、幾度となく戦いに巻き込まれてブチキレたポケモン・ダークライが立ちはだかる。

ダ「ダークライ伝説の始まりだァ!!」





ニダンギルによる戦国乱世突破作戦

 

 

私はミアレ生まれのミアレ育ち、生粋のミアレっ子である。

 

 

クェーサー社が入って再開発計画が始まったのはごく最近のこと。5年前、私が7歳のころの「事件」をきっかけとするものだった。元から結構発展していたミアレシティだが、クェーサー社による再開発計画、主に工事を請け負うラシーヌ工務店の手際の良さが影響し、一気に発展した。ミアレシティが今の姿になったのはほんとにごく最近のことである。

 

 

さて、ミアレ生まれのミアレ育ちであるミアレっ子の私から言わせてもらおう。

 

 

 

 

 

 

ミアレシティは、すんごく迷う。

 

 

 

「すみません、案内してもらっちゃって…」

 

「いえいえ! 迷いやすいですよね、わかります!」

 

 

帰り道、道に迷う観光客を見つけたので、道案内をすることにした。なんと私の友達がいる「ホテルZ」というところに泊まる予定だったらしく、久々に友達と会いたかったのでちょうど良かったのである。

 

 

迷子の観光客は頻発する。一気に始まった再開発の影響で、ミアレシティ内はごちゃついている。そこかしこにカフェとか集合住宅とか並び立っており、行き止まりの路地がないためか一生歩き続けることになる。ラシーヌ工務店のトンデモアスレチックが目印としてありがたく感じるレベルだ。

 

 

こういうとき、大抵は私の友達であるMZ団のリーダーさんとか、地域清掃に定評があるご当地集団サビ組のみなさんとかが道案内を請け負うことが多いのだが。前者はなんか最近忙しそうで、後者は揃いも揃って強面である。癖が、強い。

 

 

今回私が話しかけたのは可憐な女性であり、困っていた様子を見たサビ組の皆さんが「手助けしたい……でもオレ達が話しかけたら誤解を生んでしまう……」と悩んでいたので、私が名乗りをあげたところだ。サビ組の皆さんからはとても感謝された。

 

 

親にはスマホロトムで連絡した。門限は流石に許してくれた。

 

 

さて、この観光客の人はミカンさん。ジョウト地方から来たらしく、雰囲気の違う街に目を輝かせていたところ、油断して迷ったらしい。わかるよ。

 

 

「あのプリズムタワーを目印にしようとしたのですが……その、何処から見ても同じようにしか見えなくて」

 

「わかるぅ〜↑」

 

 

ミアレシティの罠、プリズムタワーは目印にならない。タワーを中心として円形に街があるせいで、タワーは方角すら示してくれないのだ。

 

 

ミカンさんとおしゃべりしながらホテルZへ向かう途中、カフェにも寄った。意外にも、ミカンさんと私は話が合って盛り上がったのだ。何故なら…

 

 

「あなたもはがねタイプ使いなんですね、私もなんです! ほら、ハガネール!」

 

「うわすっごい!」

 

 

ミカンさんは私と同じはがねタイプ使いで、同じくハガネールのトレーナーだったのだ。同じくハガネールを使う私にはわかる。ハガネールの表面光沢を見れば、どれだけ大事に育てられたハガネールなのかを。これだけ鋭い光沢は隅から隅までトレーナーが研磨している証拠である。

 

 

他にもジバコイル、エアームドなど、私が持っていないはがねタイプのポケモンを見せてもらった。特にジバコイルなんかはミアレシティじゃまったく見ないポケモンである。どれもこれも鍛え上げられていて、はがねポケモン特有の鋭い光沢を放っていた。みんな大事に育てられた証拠である。ミカンさんは凄いトレーナーだったのだ。

 

 

だが、私もはがねポケモンのお世話へのこだわりなら負けていない。カフェテラスでおしゃべりしながら、互いのはがねポケモンを見せあって自慢大会を繰り広げていた。

 

 

 

 

すると、どうなるか。

 

 

A.夜になります。

 

 

 

 

「間に合わなかったッ……!!」

 

「あら……?」

 

 

近道を塞ぐ赤いホログラムを前に、私は項垂れていた。ミカンさんは見覚えのない赤いホログラムに塞がれた路地を見て首を傾げている。

 

 

そうだった。寄り道し過ぎたらどうなるか、私は身をもって知っていたはずだ。それをこうも簡単にミカンさんを巻き込んで! 私が遅い? 私がslowly!?

 

 

「あ、これが噂のバトルゾーンですね。実は私もZAロワイヤル、参加申請したんです!」

 

 

無邪気にこちらへアプリ画面を見せてくるミカンさん。当然だが、未経験者なのでランクは最初のZである。

 

 

 

かわいい。守護らねば(使命感)

 

 

 

「ホテルZまでは、ここを抜けなきゃいけません。突破しましょう!」

 

「おー!」

 

 

えいえいおー!と可愛らしく拳を突き上げるミカンさんと共に、守る覚悟を決めてバトルゾーンに突入した。

 

 

 

 

 

 

 

「ジバコイル、10まんボルト!」

「グワーッ!」

 

 

「エアームド、はがねのつばさ!」

「グワーッ!」

 

 

「ハガネール、アイアンテール!」

「「グワーッ!!」」

 

 

いや強いわミカンさん。

 

仕掛けてきたトレーナーをなぎ倒す姿を後ろからぼんやり眺めていた私の12歳並の感想である。

 

 

「こんな強いトレーナーがZランクな訳ないだろいい加減にしろ!」

「アイアンテール!」

「グワーッ!」

 

 

また1人吹き飛んだ。ミカンさん無双である。

 

 

ただ、このままではまずい。ZAロワイヤルに慣れていないためか、挑まれるたびに足を止めて戦っている。さっきか、トレーナーが多過ぎてちっとも進めていないのだ。

 

はがねタイプが鈍足気味で、足を止めて受けながらの戦いを得意とするのもあるだろう。だが、このままじゃ朝日が昇ってしまう。

 

 

「ミカンさん、私が道を斬り開きます!」

 

「あ、はい!」

 

「行け、ニダンギル!」

 

「ギル!」

 

「しゃきーん!」

 

「ギルギル!」

 

 

繰り出したのはニダンギル。ミカンさんを連れながら戦うならこの子が最適である。

 

私のニダンギルはナルシスト気味な性格で、こうして登場時に一緒に決めポーズすると喜んでくれる。バトル好きでもあるので、バトル欲を発散するためにも、こうしてバトルゾーン突破には一役買ってもらうことが多い。

 

 

 

「ここで会ったが一週間ぶり! ピジョン、でんこうせっか!」

「効かないね、つばめがえし!」

「今度はゴーストタイプかよ! ピジョーーン!」

 

 

まずは見覚えのあるピジョン使いを返り討ちにする。ゴーストタイプにノーマル技で突っ込んでくるんじゃない。

 

 

「シャワーズ、ハイドロポンプ!」

「むっ」

 

 

遠くからこちらへ照準するシャワーズ、ニダンギルは近距離を得意とするので遠距離から攻撃するのは理にかなっている。だが、溜めの長い攻撃ならばやりようがある。

 

 

「かげうち! からのシャドークロー!」

「えっ!?」

 

 

瞬時にワープしたように背後に回り込むニダンギル。ゴーストタイプの十八番、影を利用して背後に回り込むかげうちである。

 

ハイドロポンプは照準を失ってあらぬ方向へ放たれる。その隙にシャドークローを叩き込んでひるませる。

 

 

「つばめがえしでトドメ!」

「そんな!」

 

 

最後に素早い返し刀で殴って気絶させる。耐久自慢のシャワーズといえど、3度の技を受けてしまえばひとたまりもなかった。

 

 

「こっちですミカンさん!」

「はい!」

 

 

人が少なそうな狭い路地に駆け込む。私とミカンさんで合計7人も倒してしまった以上、かなり目立ってしまった。いったん姿を隠して回り道した方が都合がいい。

 

 

「一息つけますね」

「いや……ニダンギル、シャドークロー!」

「えっ!?」

 

 

物陰になっているところにシャドークローを撃たせる。ニダンギルがそこに反応していたからだ。一見何もないように見えるが、手応えあり。

 

 

「クソッバレたか!?」

「ヤミー!?」

 

 

そこには身を潜めた男とヤミラミの姿があった。ここに駆け込んだ人を不意打ちするつもりだったのだろうが、同じゴーストタイプのニダンギルならば見破ることができる。ゴーストタイプの隠密性はゴーストタイプに弱いのである。

 

 

「そういうことでしたか、エアームド!」

「行け、ニダンギル!」

 

「「つばめがえし!!」」

 

「うわーっやられた!? やな感じー!」

「ヤミー!」

 

 

ミカンさんと息を合わせたつばめがえしで吹き飛ばす。ヤミラミはいやらしい技を多く覚えるため、速攻が肝である。こうして物陰に隠れて不意打ちはZAロワイヤルの定石でもあり、適しているのはゴーストタイプのポケモンである。故に不意打ち対策はニダンギルが最適なのである。

 

 

「この路地を抜ければホテルZです!」

 

「良かった、晩御飯には間に合いそうです」

 

 

ミカンさんと共に路地を駆け抜ける。ミカンさんと一緒だから簡単ッッッ!! 簡単ッッ!! これが、はがねタイプ(象徴)の力ァ!!

 

 

もう何も怖くない。勝ったな風呂入って港の様子見てくる。こんなバトルゾーンに居られるか!私はホテルZに帰らせてもらう(夕食時間ギリギリ)この戦いが終わったらお母さんのサナギラスでニダンギルの刃を研がせてもらうんだ。

 

 

ホテルZまでもうすぐ。やったか!? ここを抜ければ無事にミカンさんを送り届けられるんだから! わーいでくちら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オーダイル」

 

 

 

あっやば

 

 

 

「アクアジェット!!」

 

「つばめがえし!!」

 

 

突然飛び出したオーダイルのアクアジェット。ニダンギルが何とか発生の速いつばめがえしで受け止める。

 

この路地、隠れるところないんだけど!? 一体どこから……

 

 

「よいしょっと」

 

 

親方ァ!! 空から美少女が!!

 

 

オーダイルのトレーナーはなんと建物の上にいた。トレーナーの美少女はそこから軽々と飛び降りると、スマホロトムの緊急着地機能を使って平然と着地した。

 

 

あ、あれは……あまりの危険性から封印されたはずの禁断の奥義、ロトムグライド!? あれマジでやる狂人はタウニーちゃんくらいだと思ってたんだけど!?

 

 

「シャドークロー!」

「クイックターン!」

 

 

慌ててニダンギルに返し刀の反撃を命ずるも、オーダイルは素早い動きで一撃を入れて、トレーナーのもとに帰還する。その動きでダメージを受けた上に、シャドークローを避けられた。

 

 

こ、この美少女トレーナー……強い!

 

 

「負けないよ、かげうち!」

 

「!」

 

「むっ」

 

逃げられたならば追えばいい。オーダイルの背後に現れたニダンギルが不意打ちする、が……ダメージの通りが悪い。リフレクターか!?

 

 

「オーダイル、アクアブレイク!」

 

「なら、かわらわり!」

 

「!!」

 

 

ニダンギルがアクアブレイクの直撃を受けるも、カウンターに放ったかわらわりがオーダイルの纏っていた半透明の壁を打ち砕いた。かわらわりは「ひかりのかべ」「リフレクター」を破壊できる技をである。やはり事前にリフレクターを貼っていたようだ。

 

 

「クイックターン!」

 

「受け止めて!」

 

 

クイックターンで再び距離をとるオーダイル。しかし、しんかのきせきを持ったニダンギルの物理防御は凄まじい。今度は平然と受けて距離を取った。

 

 

いやあ……このトレーナー、強い。またしてもゴール手前でランカークラスの相手である、勘弁してほしい。

 

 

今日は門限こそないものの、ミカンさんという無事に送らねばならない観光客がいる。負けるわけにはいかないが、なんかもう負ける気配がすごい。勝てる気がしない。

 

 

そして、同時に熱くなっている私もいる。私とて一般通過ポケモントレーナー(12)である。時間制限さえなければ、強い相手を前に胸が熱くなるのは当然のことである。

 

 

「「………」」

 

 

相手の美少女トレーナーも警戒しているのか、ジリジリと睨み合いになる。私と戦う気満々のようだ。こうなれば私にできることはひとつ。

 

 

 

「ミカンさん。ここは私に任せて先へ行って!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、キョウヤさん」

 

「ん、ミカンさん?」

 

「ゑ?」

 

 

ひょっこり顔を出したミカンさんが見知った反応をした。

 

 

「キョウヤさんはMZ団のメンバーですよ」

 

「ゑ?」

 

 

ゑ??

 

 

「キョウヤ! その子、私の友達だから通してあげて!」

 

「タウニー。そうなんだ……初めまして、新入りのキョウヤです」

 

「あ、これはどうもご丁寧に。え、男性名……?」

 

 

ゑ???

 

 

「……この振り上げた拳はどこに降ろせば!?」

 

「普通に降ろせば良いじゃないですか」

 

 

様子を見に来たピュールさんにマジレスされてしまった。

 

 

 

 




●主人公ちゃん
この後めちゃくちゃクロワッサンカレーを食べさせられた。当然のように親に報告し忘れて、しばらく夕飯がピーマン尽くしとなった。


●キョウヤ
ZA主人公。男性だが当然のように女装した美少女。誰しもが通る道。
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