大和国立国際ダンジョン学園所属! 雄々敷檀司郎は幼馴染と付き合いたいッ!! 作:水金地火木土天海冥
この魔法式を剣に刻めば異次元の剣を。弓に刻めば異次元の弓を。交換する異次元の品によって魔法の名も変わると言う珍しい特性を有する。
余談だが魔法式を人体に刻めば異次元の住人をも呼び込む事が可能であるが、この手法は禁術とされている。
メタリックな鞘と、近代的な滑り止めが施された柄。装飾は一切ない。無機質な金属に覆われているのみである。
「分かる。分かるぞ。これはワシじゃ。ワシの人生の縮図そのものじゃ」
ただ敵を斬る。シンプルに突き詰めた執念に共鳴する
これはこの世界ではない場所で、人類を殺すべく顕現した魂の力だ。それはどれほどの殺意なのだろう。それはどれほどの狂気なのだろう。
刀を通して感じるままに、
「本当に刀かよ、それ」
檀司郎はその刃を見て瞠目する。そこにあるのはただ殺すという淡々とした機能のみ。そこに美しさなど微塵もなく、また必要もない。
刃の形も螺旋状に捻じくれている。その様は刀と言う呼称が本当に正しいのか首を傾げたくなるほどに。
「思うた通りよ。この刀の持ち主は、よほど人を殺したいようじゃな」
「グゥ!?」
速さも鋭さも桁違い。刀が変わるだけでこうも容易く傷をつけられるのか。
檀司郎は思考を回す。膠着状態を維持する事は不可能に近い。長引けば肉を削られて消耗する。ならば短期で決着をつける必要がある。
檀司郎は決断する。防御は
「【其は奪い貪る暴食の
グレートヘルムの魔法式へ魔力を流し、檀司郎は自らの切り札を発動させた。アラクネの巣の時のような致死量の呪詛を受けたのであれば反射効率が悪くとも問題なく殺せただろうが、今回はあくまでも斬撃によるダメージでしかない。
たとえ肉を抉られようと、命に関わるようなものではない限り手傷は負わせられないだろう。
「……ふむ」
再び檀司郎の肉が削られる。それに伴う出血と苦痛に顔を歪めながら、グレートヘルムから覗く目の光はギラついたままだ。
そして
「オオオオォォォッ!!」
その隙を咎めるように檀司郎は
多少削られようと鉄槌に宿る呪詛に衰えはない。呪詛を受け付けない檀司郎以外が触れるだけで命を失いかねないほどの危険物が、
「くはッ」
心地良い笑みを吐き出しながら、斬殺丸で襲い来る鉄槌を弾く
刀と鉄槌のインファイトで再び拮抗状態に押し込んだといえば、そうではない。
「ぐ、ぅ──ッ!!」
「呵呵呵。そうじゃのう。そうじゃのう。やはり
たとえ刀を鉄槌で受け止めようと、それで斬撃の嵐が止むわけではない。粘つくほどに絡みつく刃の風に晒されながら鎧がすり減り、舞い飛ぶ金属片に血が混ざる。
檀司郎の背後からネエクが魔力弾をばら撒いて援護を行うが、
もう二度と、痛みによる斬撃の揺らぎは起こらない。
「多少驚いたが、それだけよ。そういうものだと思えば腕が鈍るはずもあるまい」
むしろ、何も知らずにたかだた痛み程度で刀の切っ先が鈍った事こそが恥であると
檀司郎の魔法は自身がダメージを受けると、一部跳ね返ってくる状態を付与するものだ。そういった情報がない状況で、不意の激痛で殺しの手を緩めてしまった。それこそが己の一生の不覚であるのだと。
「それはつまり、ワシにもまだ伸び代があるという事。感謝するぞ探索者よ。ワシはまだまだ強くなれる。三千世界の一切合切を斬り伏せる可能性が残されていると、そう教えてくれた事に」
ゆえに死ね。感謝と賛美を手向けとして殺されろ。
「臭う。その槌から吐き気がするほどの悪しき気配が感じられる。いったい何を封じておるやら」
「……ッチ」
老兵の勘か。最初に防御に徹した際に少し欠けた程度の傷しかない鉄槌を、自身の血で濡れた両手で握り直す。
欠けた鉄槌の欠片に
しかしその目論見は
魔石で限界まで強化を施した全身鎧による防御を前面に押し出し、二つの鉄槌で敵をぶん殴る。モンスター相手ならばそれで事足りるが、上澄みの探索者すら喰い散らかす
そもアラクネの巣のアルベルトや、目の前の
「実に楽しめたぞ探索者。良き戦であったわ」
斬殺丸の刀身が血を求めてカタカタと嗤う。血を流し、膝から崩れ落ちた檀司郎の首に捻じくれた刃が落ちてくる。
しかし、その檀司郎の前に小さな影が躍り出て斬殺丸を遮った。
「お兄さんは殺させないッ!!」
「なッ!? よせ、ネエク!」
「うむ! その意気やよし!」
檀司郎が止めるがもう間に合わない。魔力弾の射撃を止めて前に出てきたネエクに、
ネエクの身体が斬り裂かれ──ずにキィン、と甲高い音と共に斬殺丸が止まった。これは斬るべき人類に
この異常事態に対し、二人の反応は正反対であった。そしてその反応が後の運命を決定付ける事となる。
「──は?」
「ごはぁッ!!?」
斬殺丸が零れ落ち、身体をくの字に曲げながら魔石を食べる仲間の方へ吹き飛んだ。