大和国立国際ダンジョン学園所属! 雄々敷檀司郎は幼馴染と付き合いたいッ!! 作:水金地火木土天海冥
「呵呵呵……! まさかこんな幕切れとは。あの娘、よもや純粋な人類ではなかったか」
口惜しい。それを知っていればまだ上手く立ち回れたものを。老兵としてあらゆる知識を見て、聞き、実践してきた。その経験で刀を振るってきたゆえに、初見殺しがこれ以上なく牙を剝いた。
「……あぁ、何と未熟か。分かっておっただろうに。想定外で思考が固まる事など……分かっておっただろうに、のう」
魔石の山に突っ込み、仰向けで転がる老いた
分かっていた。分かっていたのだ。分かっていて、尚身体が動かなかった。長年の癖を矯正するには、
「おじーちゃん。そろそろいい?」
「……あぁ、そうだのう……」
魔石を食べていた
檀司郎の鉄槌が直撃し、尋常ならざる呪詛により身体が朽ち始めている。死ぬのだ。絶対に。避けられぬ。老いた
「好きにせい。どうせこのまま死ぬのだ。ならば
「うん。りょーかい」
魔石を食べる手を止めた
その中で、
「【其は蒐集されし究極の逸品──】」
その呪文は、先程の刀を振るっていた老いた
ここに魔法は完成した。
「【
心臓、老いた
その答えは、闇である。
「なっ!?」
ダンジョンが暗転する。天井だった場所は数多の光が瞬く空と化し、幻想的な光景を作り出している。
しかし一面暗闇にも関わらず檀司郎は自身やネエク、そして
これがあの
「あれー? もう夜になっちゃったのー?」
「何をわけの分からない事を……!」
この状況を作り出した元凶は吞気に言葉を垂れ流し、檀司郎は舌打ちしながらネエクを近くに抱き寄せて警戒する。
『■■■■■■』
声が空から降ってくる。言語形態が違うのか、檀司郎の耳には意味のある言葉として聞こえてこない。しかし何を言っているにしても、
そしてそれはネエクも同じだったのだろう。檀次郎の鎧に手を添えて、カタカタと小さく震えている。
「うわ、なにあれすごー……ッ!?」
そんな事実など知らぬとばかりに
「ご、……ぇへ……?」
【
葉巻を吸い、数多の装飾で自身の身体を飾り付けた男が
空の異形に加えて、いつ間にか現れた存在に檀司郎の混乱は加速していく。
これは何だ? いったい何が起こっているんだ? 言葉にならない疑問の数々。それに応えるかのように、
【そう警戒するな。俺はただ後始末に来ただけだ】
そう言って先程の発声源を見上げる。同調するかのように檀司郎も空を見上げると、そこには妙な物体が浮かんでいた。
剣が刺さった飛行機のような機体に、丸いヘルメットとずんぐりとした鎧のような装備を纏った人類が腰かけている。
飛行機に類似した機体も、その上に鎮座する人類が身に纏う装備もみな一様に黒い。それもただの黒ではない。あらゆる光を呑み込むような、黒く染まり変わり果てたダンジョンにあっても輪郭が浮かび上がるほどの漆黒。
【しかしまぁ、あれの相手は俺一人では少し手に余る。少し手伝ってくれないか? 報酬は約束しよう】
突然姿を現した男には一切の敵意が感じられない。ダンジョン内では何でも起こりうるが、さすがにこれは檀司郎の想定を遥かに超えた出来事だ。
しかしこの状況においては、もはや信用だの信頼だのと言っていられない。異質な存在には異質な存在が必要だ。その上で、檀司郎は言葉を口にする。
「……先に名前を聞かせてくれ。俺は大和のダンジョン学園所属の雄々敷檀司郎だ」
【龍玉座の一柱、蒐集欲龍グリム・グリム。この世界の住人が使う魔法の力の源だと言えば分かり易いか?】
葉巻の男──グリム・グリムの言葉に檀司郎は言葉が詰まる。
「何を、言っている……?」
【疑問が尽きないだろうが、まずはあれをどうにかする事が最優先だ。ちょいと付き合ってもらうぜ、檀司郎】