ただ、詳しく把握できていない設定や話もあります。
また、長い期間が空いたためか、生徒のエミュや書き方が大きく変わってしまっているかもしれません。
──門廻カイトの覚醒から、二日前。
トリニティ自治区、ティーパーティーの本館。その
中央に配置されたティーテーブルを囲っての定例会議は、いつも通り滞りなく執り行われていた。
「きっと私達の力があれば、
椅子を後方へ押し出すようにして立ち上がり、両手をテーブルの縁に置きながら熱弁を振るうミカ。
トリニティの厳粛な空気を纏う会議でありながら、その中身は上層部とは思えないほどにカジュアルである。
少なくとも、今この瞬間までは。
「だから今度、ティーパーティーの権限で受け入れ施設を──」
直後。
ティーカップをソーサーへ戻す音が、言葉の流れを静かに断ち切った。
「──その提案には、賛同しかねるね」
ミカが本来の要求を言い切る直前。
まるで、次に言う言葉が分かりきっているかのように、セイアは静かに口を挟んだ。
「せ、セイアちゃん?」
突然の否定に、ミカは言葉を詰まらせる。
視線が揺れ、押し出していた椅子を引き戻すように、ゆっくりと腰を下ろした。
「...ミカ。第一回公会議以前、そして結束直後のトリニティがどのような姿に陥っていたか──忘れたとは言わないでくれ。それに──」
一拍置き、続ける。
「カタコンベの調査は、余りにもリスクが高い」
語気を僅かに強めて言うセイアに、ミカは思わず反論を述べる。
「そ、それでも...! 今もアリウスの子たちは、誰にも救われずにいるんだよ!?」
「...君が確認したかは分からないが、過去にティーパーティーは
「...?」
突然の発言に、ミカは思わず首を傾げた。
それが、自身が知っていなかった新たな情報だったからなのか、発言の意味を理解できなかったからなのかと問われれば、両方を含んでいただろう。
そして──
「...何故、二回も
「う、うん...だって...」
「
セイアの声色が、ゆっくりと沈んだ。
数秒前、微細ながら感じられた
「っ...!?」
「君は、
続けざまに放たれた事実と問い詰めに、ミカは完全に黙り込む。
内容に偽りはない。
ただ、事前知識が足りなかったという形で、意見は突き返された。
しばらくの沈黙が続いた後、しばらくの静観を決め込んでいたナギサが、穏やかに口を開く。
「...セイアさん。少々、淑女としての物の言い方がなっていないのでは?」
だが、セイアは考える様子すら見せずに、ナギサの瞳を鋭く見つめ返した。
「ナギサ。私はあくまでも、事実に基づいたリスクを
「...そう、ですか。失礼しました」
謝罪の後、ナギサは、セイアを僅かに見つめる。
その瞳に宿っていたのは、理性に押し込まれた対話への危惧だった。
「セイアちゃん...ごめんなさい、軽率なことを言っちゃって...」
再び沈黙。
セイアがティーカップをソーサーへ戻す。
陶器同士の接触音が、普段よりも僅かに硬い。
直後、立ち上がる彼女に、ミカがぎこちなく声をかける。
「セイア、ちゃん...?」
「私も少し熱くなりすぎた。体調が優れない。今日はこれで失礼するよ」
「...」
「それに...判断精度が落ちている。これ以上は議論にならないだろう?」
セイアはミカの言葉を一蹴し、振り返る。
ハイヒールの硬質な音が等間隔に数回鳴り、数秒の刻が流れる。
しかし、広々としたテラスを覆う重い空気は晴れなかった。
「...ナギちゃん。私、セイアちゃんのこと怒らせちゃったかな...」
ミカがぽつりと呟き、ナギサは静かに首を振った。
「...いえ、きっと大丈夫です。彼女の分派が受け持つ業務量も少なくありませんし、近いうちにまた集まる機会を設けましょう」
そうした会話が、各々の次のスケジュールが始まるまで続いた。
尤も、そのスケジュールまでの猶予は、僅か数分ほどしか残されていないのだが。
*
一歩、二歩、三歩。
廊下を歩くたび、毎回奇妙な感覚に襲われる。
そう、毎回だ。
──セイアさん...
──ティーパーティーのホストがトリニティ、そしてエデン条約において重要な役割を持つことは...私も承知しています。
──ですが、いくらなんでも...
己を気遣いながら、何かを伝えようとする声。
きっと
そして、幾重にも重なったそれらが、耳鳴りのように脳裏で反響する。
「...黙れ」
気づけば、そんな言葉が零れていた。
手で口を覆うことも、取り繕うこともしない。
静まり返った廊下に、自分の声だけが落ちていく。
「...ぁ」
だが、余りにも遅れて形だけの後悔が浮かんだ。
最近になって、聞こえないはずの声を耳にするようになった。
昼夜を問わず、不規則に差し込まれる幻聴のようなものだ。
ただ、どうにも私は、その幻聴を治療しようとは思えなかった。
──どこか懐かしい
思えばあの静かな公園での問答を受けた時から、この儚い未来は決定づけられていたのかも知れない。
「...」
──001号室──
1 - 門廻カイト 様
2 - 空床
やがて足を遅め、とある病室のプレートを一瞬だけ見やる。
その後、扉の持ち手に指を絡め、腕を横に滑らせる。
「...私は覚えている」
まるで生気を感じられない空間へ、私は言葉を投げかけた。
「君が言っていたね。影を視ることができるのは、同じく光から遮られた"闇"だけだと」
壁に触れた声は、行き場を失い、思考へと跳ね返る。
「例えば──私が影だとしようか」
ゆっくりと、手を伸ばす。
「ならば君は、何になる?」
指先が頬に触れる。
「頼む...」
滲んだ視界の向こうで、輪郭が揺れた。
「...目を覚ましてくれ。もう、時間が無いんだ」
雫が、頬を濡らしていく。
「どう足掻いても諦めきれない。君がこの歪んだ未来を捻じ曲げるという、その可能性を」
ここはサンクトゥス分派が管理する特別治療室だ。
「だから──」
彼は生きている。
「起きて」
指先ひとつ動かさぬまま、ただ虚しく。
そして──
「カイト」
その名前に笑顔で応じる彼は、いつも夢の中だった。
*
その最端にて巡回をしている生徒に、聖園ミカは嬉々とした表情で駆け寄った。
「はじめまして! 誰だか知らないけど、あなたがアリウスの生徒だよね...?」
「今日、とてもいい天気だね? すごくのどかで...」
「...要件だけ言え、トリニティ」
「あ~...
「──私は...あなた達アリウスと和解したいの」
「和解...?」
その歩みが、大きな間違いを生むとも知らずに。
話の区切り方が余りにも下手くそなだけなので、投稿ミスではありません。
主人公の所属部のアンケートです 作者の力が及ばず、二つしか選択肢を作れませんでした
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ティーパーティー(フィリウス分派)
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正義実現委員会