たまも様が開発した国家運営ゲームをもんぱらキャラがプレイするだけの話 作:邪魅魑
「ふむ、このボタンがこれで、これが、こう、と。ヤマタイで以前から使われている液晶型マキナと似た使用感ですね。これを遊戯に使うとは、中々豪勢というか、なんというか」
七尾がそう言っていくつかのボダンを押したり画面と見比べたりしている間、黒狸は見たこともないマキナに目を光らせていた。
「はっはー!こりゃすごいな。見ろ、刑部!小さな建物がこの光る壁の中に見える、このボタンを押すと、どうやらいろいろできるようだぞ?」
そうして画面スクロールし、黒狸のお付としてのんびりと部屋を訪ねてきた隠神刑部に画面内の町を行ったり来たりさせているのを見せて遊んでいた。
「さて、お互い良いかの。あぁそうじゃ、此度は七尾と黒狸の勝負、狸族参謀の隠神刑部殿は口出し無用で頼むぞ」
「お酒飲んでていいですか?」
たまもの言葉にそう続けた隠神刑部に少し呆れつつ、たまもが許可すると、玉藻が目を眇めつつ笑いかけた。
「おや?良いのかや?七尾はお主一番の参謀であろう?別に妾は、その程度のハンデ与えても構わぬぞ?」
「そう言う大言は、うちに勝ち越してから言うことじゃな」
その言葉に、グッと口を歪めた玉藻は、七尾に「絶対勝つぞ!」と叱咤して操作を教え込んでいく。あの様子だと、戦略も伝授していくだろう。
「で?俺たちはどうするんだ?」
黒狸がそう言うと、たまもはにやりと笑った。
「うちは最低限操作方法だけ伝えるとしよう。後は黒狸に任せる。と、いうか、うちに指図されるの嫌じゃろ、お主も」
「おっ、分かってんじゃねーか」
そう言って黒狸は笑いつつ、画面スクロールをやめてゲームを開始した。
このゲームには二つのフェーズがある。国家運営シミュレーターとしては本来必要ない、育成フェーズとそして本番の国家運営フェーズだ。
育成フェーズはその名の通り、王となる者のステータスやパラメーターを育てるためのフェーズであり、実数値で王のステータスを決めてしまうと、二人とも似通ったステータスになって面白みがないということで設定されたフェーズだ。
そして、次のフェーズが本格的な国家運営フェーズ。一応システム的にはサキュバス村レベル弱小集落から人間の四大国家並みの大国家まで選択できるが、今回は中規模国家ほどの規模で固定した設定だ。
事前に、中規模国家だと伝えられ、七尾が顎に手を当てて考えている。
「ふむ、となると、大規模国家と渡り合う交渉力と、ある程度の武力が必要ですね」
「そんなことより、これが俺の分身なのか?お?おいたまも!俺が遊ぶってのを選んだら、絵の中の俺が遊んでるぞ!かわいいなぁ!?」
それをしり目に黒狸は初めて触るマキナに一喜一憂だ。それを見て、玉藻がくすくすと笑う。
「いやはや、素敵な好奇心じゃのう。じゃが、今はそうして好奇心を満たす時かえ?どうやらもう勝負は決まったようじゃのう?」
「ぬかせ、何も決まっとらんわ」
そうしてにらみ合う二人のたまもの後ろで、七尾と黒狸はゲームを進めていった。
どうやら、七尾はバランスよく育成しながらも、特に賢さと武力を育てる方針で、最低限の休息に、勉強と訓練を織り込んだスパルタ教育をしているようだ。
一方で、黒狸の方は、かなり自由に育成しており、基本は遊んだり旅行したりと好き勝手しつつ、時折シミュレーション内のアナウンスに従ってしぶしぶ勉強や戦闘訓練をする、といった人間臭い育成をしていた。
「ふむ……やはり、妾達の勝ちは揺るがぬのではないか?」
「…………黒狸、大丈夫じゃよな?」
「おう!任せとけ!」
玉藻の言葉にちょっと不安になったのか、そう言うたまもに黒狸は元気よく答え、それに安心したようにたまもが玉藻ににっと顔を向けた。
「なら安心じゃな、さて、本番じゃ!」
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「な、な、なんじゃ、と」
「なんと……」
今回の設定では10年での国家運営での成果を判定するという設定だった。そして、その設定に従い10年の経営を終えた結果は……。
「ふふん、どうだ、これが俺様の実力ってやつだ!」
黒狸が倍以上の評価点で七尾に圧勝していた。
「一体、一体どういうことですか!王のステータスも、国家運営の安定度も、私の方が上回っていたではないですか!」
「うむ、妾としても、どちらの優劣、といった話は抜いておいて、七尾の運営に痂疲があったとは思えぬ、いったいどういうことじゃ?」
それを聞いて、たまもが呆れたように二人に言った。
「おぬしら、流石に黒狸を馬鹿にしすぎではないか?こやつはこう見えても、狸の里を長年纏めてきた長じゃぞ?それが一応うちの側近とはいえ、参謀程度に国家運営で負けるわけがなかろう?」
そう言うと、今度は黒狸が照れながら話を引き継いだ。
「まあ、つっても、俺がやったのは里でやってるのと同じことだ、大体のことは優秀な側近に振り分けて、長は外の奴らと交渉したり側近のケツ持ったり、全体の方向性を伝えたりって感じだな」
それを聞いて、玉藻がほう、と呟いた。
「ふむ、なるほど、これが異なる者の統治を見る、ということか。確かに、妾達は元から統治能力が高い故、側近に一から政策を任せるなどせぬから、盲点であったわ」
そう言った玉藻をどこ吹く風と黒狸が声を張り上げる。
「さて!たまも!七尾に勝ったんだから、次は私が相手だぞ!」
「玉藻様方!私、私も研鑽したく存じます!」
「おうおう、分かっておるわ、まずは黒狸からじゃな。次は……そうじゃ、玉藻、今度はおぬしが七尾と競ってくれぬか?」
「ふむ、よかろう、妾が直々に鍛えなおしてやるわ」
そんなこんなでわいわいがやがやとヤマタイ中央塔の一室での交流は過ぎ去っていくのであった。
今回はリザルトについて
リザルトはSSS~Fの9段階評価基本的にS以上は殆ど出ない。
SSS 総合得点10万点以上、ほぼ完璧な国家運営。数十代に渡り覇権国家として君臨するような国家運営だと考えられる。現実で例えれば、世代交代が上手くいった世界線の元や、未だに植民地を大量所有している世界戦の大英帝国クラスの成功国家。点数的に獲得する可能性があるだけで、実際に獲得することは想定されていない。
SS 総合得点8万点以上、国家運営の理想形として帝王学や政治学の教材になるような国家運営であり、確実に覇権家として歴史に名を轟かせている。
S 総合評価4万点以上、その時代において、最高の国として名が挙がる程度には優れた国家であり、その多くが千年以上は国が存続することが予想される程度には安定した政情である。
A 総合評価1万点以上 その国に住んでいれば安定した生活が約束される、と国民が確信できる程度には政情が安定した国家。たとえ、暗愚な王が続いたとしても向こう三代は国が滅びることは考えにくい。
B 総合評価6千点以上 一般的な国よりも頭一つ抜きんでたところを持つ国家。多少の貧富の差はあれど、大抵は許容範囲内に収まっており、民衆も活気をもって日々の暮らしを過ごしている。
C 総合評価3千点以上 一般的な国家。貧富の差や身分の差に、不満を持つ国民もいるが、全体的には納得している国民が大多数を占める。突発的に大きな政情不安が起きるようなことがなければ、国民が国外に流出するようなこともないだろう。
D 総合評価千点以上 やや失敗している国家。国民が生活するのに、何かしらの不安が存在し、常に鬱屈した雰囲気が漂っている。富裕層は国外に逃亡している機会をうかがっている者もいるかもしれない。
E 総合評価千点以下 失敗国家。もはや行政機能が碌に作用せず、ギャングやマフィアの根城になっている可能性が高い。それでもまだ国家としての体裁は何とか保っている。
F 総合評価0点 亡国。何らかの理由で王家及びそれに類する機関が消滅、あるいは戦争等で他国に併呑されてしまっている。あなたは国を運営してはいけない。
総合点数は加点式で、国民数、領土面積、貿易利益、友好国の数と友好度、等様々なものが全部加点されて行って点数になります。
〈今回のプレイヤー〉
七尾 戦闘B 戦術B 知力B 交渉A 商才D 技巧C 信仰E 対人B 4200点、総合評価C
長きにわたりたまもの補佐をしてきた狐獣。非常に優れた知能と判断力を持つが、基本的にはその身体機能を生かした現場指揮が多く、全体を見て大きな方向性を決めるような経験に関しては、知識で習熟する程度の練度だった。
たまもの側近らしく、安全と平和の維持を主軸とする統治を得意とするが、他者への指示や情報収集の面で多少の不手際があり、自然災害や他国からの侵攻といったイベントで多少の被害が発生し、最終結果が振るわない結果となった。
とはいえ、そう言った不測の事態はこの時代いくらでも存在し、発覚からの対処に関しては的確だったため、十分に名君と言える程度の実力を示したといえるだろう。
黒狸 戦闘A 戦術C 知力D 交渉C 商才B 技巧C 信仰E 対人S 8500点、総合評価B
きうねの里の近くに存在する、狸の里の長としてずっとたまもをライバル視しながら競い合ってきた狸の魔物。武力や商才もさることながら、彼女の最も秀でたところは、他者に対する屈託のない対応力であるといえる。他者をよく見ており、相手の状況や心境を推し量るのが上手い彼女は、各分野の専門家と話し合わせ、最終的な判断を彼女自身が行う、変則的な議会制を採用して物事に対処している。また、彼女自身基本的に効率よりも情やこだわりに流されてしまうだけで愚かなわけではなく、初めて触る遊戯であることをいいことに、はしゃいで適当に操作していると見せかけ油断を誘いつつ、きっちり勝つための計画を脳内で張り巡らせる程度には頭が回るようである。
隠神刑部 戦闘B 戦術B 知力A 交渉A 商才D 技巧C 信仰E 対人B 8600点 総合評価B
狸の里で実質政治の中枢にいる狸娘。その経験は豊富であり、当主同士が、一応対立している状態の狐の里との交流も継続的に引き受けている。
今回はたまもVS黒狸、玉藻VS七尾の後に、黒狸VS隠神刑部、たまもVS隠神刑部の2試合ほど参加した。普段の政務においては、黒狸の名代として動くことが多く、統治という意味においては実質的な指導者が王か宰相か程度の差だといえる。なお、100点差で隠神刑部に負けた黒狸はその前のたまも戦でもコテンパンにされていたのでギャン泣きした。
因みに、前回たまもが玉藻に倍ほど勝ち数を重ねているとしていましたが、勝ち数が倍ほど開いているだけで、勝ち点が倍違うわけではありません。点数としては2~3万くらいのところを安定して取っている感じです。また、そもそも元のコンセプトのシミュレーション自体、現在の世界情勢を想定した自動生成なので、たまもの統治していた状態の方に近いので、その点で少したまもの方が有利になっていることを二人は気づいていません。