アフターワールド   作:プラモプール

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初投稿です


プロローグ

 

 

"ワールドアイランド"

 

 様々な文化・技術が入り混じった広大な島。この島の人々は"魔力特性"を持ち、それぞれ違った生活をしている。

 そして、この島の誕生にはある"神話"が関係しているとされている。

 

 大昔、ここは今とは形状が違う島だった。だが、技術力は今現在よりも上だったとされている。永遠に続くとされていたその島はある強大な力を持つ少女に滅ぼされた。

 必死に抗い、少女に一矢報いようとした者もいたが、その行動も虚しく、少女を止めることはできなかった。その少女は全てを滅ぼした後、大地を作り直し、再度文明を築いた。その文明が今のワールドアイランドとされている。

 しかし、残る謎は未だ多く、多くの研究者がその謎を解き明かすべく奮闘していた。また、魔力で構成された謎の生物がここ最近出現しており、それぞれの国の防衛機関がそれぞれ対処に向かっている。

 今現在の状況はまさしく、一つの時代の転換点と言っても過言ではないだろう

 

 その時代の中で、この平凡な町からある一人の男が旅立とうとしていた。

 

 

 

 

 

「本当に行くのかい?」

 

 早朝、ある町の外れに家の居住者である黒の長髪でラフな格好の低身長の女性がそこから旅立とうとしている一人の男に声をかけた。

 黄色のボサボサの髪を持つ彼の名はミシェル。大人でありながらも子供のような容姿を持つ人物である。

 

「はい。()()が久しぶりに現れたんです。この機会を逃したら多分…数年はかかる。手に入れるなら今しかない」

 

 ミシェルのその小さな容姿から放たれた声は、成長途中の男の子のような声ながらも奥底に強い信念を持つことが感じられる。

 それを彼女も感じたのか、どこか諦めたような顔をして、ミシェルに近づく。

 

「君にはもうちょっとここにいて欲しかったんだけどねぇ」

「いたとしても僕がやることって師匠の家事全般じゃないですか。僕に全て任せようとしてません?」

「バレましたか…じゃあはい、これ受け取ってくだされ」

 

 師匠と呼ばれた女性は、ミシェルにカードと小さい封筒を渡した。

 

「冒険者カード。目的地はハナ町でありましょう?そこの酒場にいるツルッパゲの男にその手紙を渡してくだされ」

「わかりました。あといつも気になったんですけど…口調いつもそうなんですか?」

「そうでございますが…それだけですかな?」

「…はい」

 

 師匠はパートナーを作る気は無いのだろうか、とミシェルは思ったが、返答は大体予想できるので口に出すことは無かった。

 大型のバッグを下ろして貰った冒険者カードと手紙を仕舞い込んだ。再度バッグを背負い、師匠に後ろを向けて歩き出そうとする。

 

「別れの挨拶は無しですかな?」

 

 再度、ミシェルは師匠の方を向いた。何年も共に生活していても、別れはこんなにも簡潔になってしまう。しかし、ミシェルはそれを苦には思わなかった。それどころか、安心していた。師匠と共に過ごした楽しい日々が別れの苦痛を忘れさせていた。

 

「…行ってきます」

 

 いつもの無表情の顔。だが、微かな笑みが見えていた。後悔はない。そう確信したミシェルは町に背を向け、遠くへと駆け出していく。その時の表情は、これから現れる未知に対する高揚感を持った笑顔だった。

 その背中を見ていた師匠は、微笑みながらもどこか悲しそうな顔をしていた。

 

「頑張りなさいな…」

 

 師匠はその背中を、見えなくなるまで見つめていた。

 

 

 

 

 現在、ミシェルは森を走っていた。ミシェルと師匠が住んでいた村は森に囲まれた村だ。ミシェルの最初の目的地であるハナ町に行くにはその森を突っ切る必要があった。そして、今の状況となった。

 突如、地面が揺れ始めた。地面からムチが生え、ミシェルに襲いかかった。ミシェルは後ろに飛び上がり、距離を取った。

 

「きた!」

 

 地面を突き破り、大きな巨体が現れた。全体が緑色で巨大な頭部、その頭部を中心にしたからムチが生えており、顔には巨大な口、頭のてっぺんには花が生えている。

 この森もただの森では無く、未確認生物が確認されている区域の森であった。実際に行方不明者も出ており、調査隊がその生物を見つけるために何度も捜査をしているが、その時に限って生物は現れないらしい。そして、今その生物は一人のミシェルを狙い現れた。恐らく、この生物はミシェルの様な一人だけの人間を狙っているのだろう。

 

 

だが…生物はミシェルの実力を見誤った。

 

 

 ミシェルは手を前にかざした。すると、粒子の形をした魔力がミシェルの手元に集まっていく。その魔力は段々と形を成していき、最終的にその魔力は鉄の剣と化した。それと同時にもう片方の手にも鉄の剣が生成される。

 同時にミシェルは生物のいる方向へ走り出す。生物は近付かせまいと周囲に生えたムチを操りミシェルを吹き飛ばそうとするが、ミシェルは容易くそのムチを避け、至近距離に近付いたムチも身体に触れる前に鉄の剣で切り裂いた。

 段々と距離を詰めるミシェルを見た生物は急に叫び声を上げ、頭のてっぺんにある花に紫色の魔力が集め始めた。魔力を貯め終えた生物は、その頭の花からミシェルに向けて光線を放った。ミシェルはその光線を飛んでかわし、生物に向かって急降下。至近距離に近づき、

 

 生物を一刀両断した。

 

 ミシェルは死亡した生物の遺体をバラバラに切り、袋に入れた。

 

「よし、これを売ればまぁまぁなお金になるはず…」

 

 ミシェルは袋をカバンに入れて再度、森の中を走っていった。

 

 

 

 

 

 

 森を走り続けて数分が経った。ミシェルはハナ町を探しながら、道中で現れる生物に出会っては倒してを繰り返していた。そして、森の奥に小さい町並みが見え始めた。

 

「ここか…」

 

 ミシェルはその町に向かって走った。森の外に出ると木によって遮られていた日差しがミシェルを照らした。ミシェルは森の方へ振り返る。その森は案外大きく、緑が多く詰まった場所だったとミシェルは改めて理解した。

 そして、ミシェルは森から目を離し、今目の前に広がる街に目線を向けた。師匠の住んでいた町と比べるとかなりの人がおり、店も賑わいを見せている。

 

「よし…行くか」

 

 ミシェルは、事前に入手していたハナ村の地図を手に取り、冒険者の集う場所である"酒場"を目指し、歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 ハナ町に着いたミシェルはまず初めに酒場を探した。酒場は飲食店扱いだが、本業は冒険者の待合所であり、依頼受注所でもある。

 ミシェルは師匠の言ったことを思い出した。

 

『ツルッパゲの男にその手紙を渡してくだされ』

 

ツルッパゲ…相当頭に特徴がある人なのだろう。

 ミシェルはそう思いながら、その人物がどういう容姿なのかを予想していた。そんなことをしている内に目的地に着いてしまった。

 木製の建物で、傷や木材の質を見る限り、かなり年期のある建物だとわかる。上には"ジョッキー"という店名が書いてある看板が掛けられている。中からの話し声もかなり聞こえており、恐らくかなり人気の店なのだろう。

 ミシェルの表情はあまり変わっていないが、内心とてもワクワクしていた。小さい頃に冒険者という存在聞いて以来、その詳細についてはあまり興味を持たなかったが、師匠に稽古をつけてもらった頃に、何度も冒険の話を聞かされ続け、いつの間にか冒険者についての詳細を調べていたのだ。ミシェルが双剣を使おうとした経緯も、冒険者由来である。

 一体どんな人がいるだろうか?調べた感じでは良い人が多いと聞いたがどうなのだろうか?やっぱり酒場だからビールが美味いのだろうか?

 そんな予想をしながら期待を膨らませて、ミシェルは勢いよく扉を開けた。

 

 

 

「おいテメェ!俺の顔見て笑いやがったな?あぁ!」

「テメェこそ俺の服見て笑いやがっただろぉ!」

 

「すみませぇ〜ん。ビールおかわりぃ〜」

「うっわ酒臭っ」

 

「その依頼俺が先に取ったんだけど?」

「俺が先だ雑魚が!」

「あぁ!?」

「おぉ!?」

 

 

「…うわ…」

 

 目つきの悪い男とモヒカン頭の男。酒で泥酔して周りを散らかす男と女。依頼書を取り合う男二人。

 悪い意味で想像を絶する様子にミシェルは目が点となってしまった。

 

「ん?見慣れねぇ奴だな」

 

 この騒ぎの中で一人の冒険者がミシェルに気づいた。その声の方向を向くと一人の大柄な男が立っていた。ミシェルはその男の姿を見た。大柄、鍛え上げられた肉体、そして、光が反射するほどのスキンヘッド。

 

「あ、スキンヘッドの人」

「…来て早々ぶっ飛ばされてぇのか?」

「すみません」

 

 来て早々失言してしまったミシェルだが、早めに謝ったのが吉と出たのか、大柄の男はなんとか機嫌を直してくれたようだ。

 大柄な男はミシェルに付いてくるように言った。男が向かったのはカウンター席だった。

 

 「ようこそ。酒場"ジョッキー"へ。俺はゲイル。お子さんは一人かい?」

「お子さんじゃないです…これ、師匠からの手紙です。」

 

 ミシェルはバッグから一つの手紙を取り出した。

 

「師匠…?どれどれ」

 

 手紙を渡されたゲイルは手紙を読んだ早々、驚愕した。そして、ミシェルの方に向いて、もう一度手紙を見て、もう一度ミシェルの方を向いた。

 

「マッさんの所にいたのかよ!?お前がぁ!?」

 

 ゲイルが驚愕した顔を見たミシェルは首を傾げていた。何故ならミシェルは師匠の本名については知らなかったのだ。ミシェルが知っていることは、好きな食べ物と視力が悪いことだけである。

 

「どんな人だったんですか…?」

「まぁ…ここでは結構名の知れた人なのよ。あと、その人俺の幼馴染」

 

 幼馴染…だから師匠はこの人に手紙を送ろうとしたのか。

 そうミシェルは思っていたが、師匠が有名人であることに関しては少し「あの人が?」と疑問を問いかけるような顔をしていた。その疑問に答えるかのようにゲイルは言った。

 

「いや、マジなのよ。あんな体たらくだけどな、研究に関しては滅茶苦茶すごいんだよ。実際賞を何度か取ってたり、一時的だがこの国の外で調査隊入ってたんだぜ?」

 

 この答えにミシェルは納得した。実際、師匠の家にはなんらかの賞状やトロフィーが飾ってあったり、明らかにこの国ではない場所での仲間だと思われる集合写真もあった。

 だが、その後にまた疑問が生まれた。何故師匠はそんな名の知れた人物かつ実績を残しているのに、あんな人の過疎化が進行している村に住んでいたのだろうか?大都市にでも住んで豊かな生活ができたいたのに?

 そんな疑問が浮かび上がってきた時、話題を遮るかのようにゲイルは話しかけた。

 

「それより、手紙読んだ感じだと"歯車"を探してんだな?こっちこい」

 

 そう言い、ゲイルはミシェルを一つの掲示板に案内した。

 そこには、様々な依頼が書かれている紙が貼ってあった。ゴミ拾い、夜間警備、その他諸々の依頼書が何枚も貼ってある。

 

「依頼書はいつもは自由に取らせてはいるが、今回は俺から選ばせてもらう」

 

 そう言い、ゲイルは掲示板に貼ってある依頼書の中から赤い依頼書を取り、ミシェルに差し出した。

 

「マッさんのとこで修行してきたんだ。そんくらい出来るだろ?」

 

 ミシェルは瞬時に理解した。これは試練だと。この程度の依頼をこなせなければ、あの歯車を手に入れるどころか、これからの旅で生き残る事は到底不可能であることを。

 しかし、それはミシェルもわかっていた。だからこそ、準備をしてきたんだと。ミシェルは迷いなく紙を受け取り、ゲイルの方を見た。

 

「わかっています。こんなところで僕は…止まるわけにはいきませんから」

 

 ミシェルは依頼書を片手に、依頼をこなす為に酒場の外に出た。




 ここまで読んでくださりありがとうございます
 頭の中で妄想していたあんな展開やこんな展開をこの物語に詰め込もうと思っています。応援してくれると嬉しいです。
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