アフターワールド   作:プラモプール

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大変お待たせしました。ここからギアフィールド編です。


回り、巡る歯車

 現在、日が降り薄暗くなった森の中をミシェルとフィーネは走っていた。だが、段々と道を進めると共に、森の緑が消えていく。

 そこから先の道は、自然豊かな緑が消え、機械的な構造が目立った道が続いていた。

 

「おいミシェル、これって」

「はい。そろそろですね」

 

 二人は再度走り出す。機械的な構造の道はどんどん複雑化していき、遂に都市の一部が見えてきた。

 

 二つ目の国、ギアフィールド。

 この島に存在する国の中で一番機械技術が発達している国。二人は現在、最初に訪れたナイツ・エンパイアを去り、このギアフィールドに足を運んでいた。

 

 二人は国の前にある歯車が組み込まれた大きな扉を前にする。

 扉が音を立ててゆっくりと開き始める。扉の隙間から街の街灯と思わしき光が見え、二人は更に興味を持つ。

 そして、遂に扉が完全に開き、街の全容が明らかになった。

 

「おお!!」

 

 至る所に背の高い建物が立っており、その建物には歯車がガラガラと稼働している。道路には明るい街灯がありその街灯が歯車まみれの街をより一層照らしている。

 フィーネとミシェル、どちらも見たことのない景色に驚いていた。が、ミシェルは素早く切り替え、驚き続けているフィーネを引っ張り街の中に入って行った。

 

 何分か街の様子を見ていた二人は、この街の人の服装がナイツ・エンパイアの住民の服装とは違うことに気づいた。

 その違いにいち早く気づいたのはミシェルが先だった。

 

「ここの住民の服装……他の国の人とは違いますね」

 

 ミシェルの言葉を聞いて、フィーネは周りの人達の服装を目を凝らして見る。

 

「……あっホントだ!」

 

 ナイツ・エンパイアの住民の服装は、洋風な感じで質素な雰囲気のしている服装が多かった。だが、このギアフィールドの住民は、洋風なのは同じなのだが、質素な雰囲気が全く無く、色とりどりとした服装だった。

 

「ぜんっぜん違うな。なんで?」

「恐らく、服のデザイナーのセンスが飛び抜けているのでしょう。プロのデザイナーは模様の組み合わせ方が一流です。この国のプロも旧人類の技術を積極的に取り入れているらしいですから、服にもそれが現れているんです」

「やけに詳しいなお前。意外かも」

「意外って……今まで僕をなんだと思ってたんですか」

「チビ、頭でっかち」

「喧嘩売ってます?」

 

 一瞬手が出そうになるミシェルだが、深呼吸をして自分を落ち着かせる。

 ミシェルが以前、パルクと話した旧人類総合歴史書にも、当時の服装が詳細に記録されている。ここの住民の服にはそのデザインが使われているのだ。ただ、ミシェルはあの分厚さの本を読み込めるデザイナーがいるとは到底思えなかった。

 

「さてと、じゃあ行きますか」

「どこによ?」

 

 ミシェルはポケットから一つの封筒を取り出した。その封筒を見たフィーネは「あっ」と声を漏らす。二人がこの国に来た理由はこの封筒の中身にあった。

 

「行きましょうか。ドールズホテルに!」

 

 

 

 

 

 

 

 場面は変わり、ギアフィールド内にあるとある服屋。そこで一人の女性が服の試着をしていた。女性は現在、60着おも服を試着していた。

 

「これはどう?」

 

 試着室のカーテンが開く。そこから現れたのは、なんとも言えない奇抜な服を着た赤髪の女性だった。しかし、その女性の顔は機械型のバイザーとマスクで完全に覆われている。

 カーテンの前で椅子に座っている金髪で高身長の男性は、度重なる女性の絶望的なファッションセンスに呆れていた。

 

「先輩……そういう服装は先輩には似合わないって言ったでしょ?」

「……あら、ごめんなさい。私あーいう場所って言ったことないから、マナーとかはよくわからないのよ」

 

 先輩と呼ばれた女性は、男の言葉を軽く流し、次の服に手を掛ける。

 男は話を軽くあしらわれたことを気にするが、再度話題を変えて話しかけた。

 

「にしても、珍しいですね。大御所のパーティの侵入操作だなんて……いつもの先輩ならやらないでしょ?」

「いつも、ならね」

 

 女性はカーテンを閉め、次の服に着替えながら話し出す。

 

「"歯車"の目撃情報が出たわ。この国でね」

「……歯車が!?」

 

 男は目を見開く。"歯車"は今までは国の外でしか目撃情報がなかった。だが、国の中での目撃があるということは、歯車の行動パターンが変わったということ。

 "歯車"の通った場所は、魔力の性質が変化し、自然環境、生物の変化が起こる。そんなとんでもない代物が自然の中では無く、人混みの中で出現したのだ。

 

「もし、人に接触したら……」

「えぇ……最悪の事態になるかも」

 

 女性はスケジュール表を取り出し、外にいる男に渡した。男がそのスケジュール表を見ると、そこにはパーティ会場の見取り図と歯車のマークといくつもの線が重なって書いてあった。

 

「今回の作戦内容よ。行動パターンを予測した結果、あのパーティ会場に現れることがわかったわ。そこを叩く」

「本当に出てくるんですか?」

「私が予測で間違えたことをしたかしら?」

「いえ……全く」

「そういうことよ。とりあえず、作戦開始はパーティ当日よ。それまで身体を休めておきなさい」

 

 男は女性の言葉に思わず驚いた。いつもはこの女性が表向きに休みを促すことなどまずないからだ。男は女性の問いかけるよりも先に、女性が口を開いた。

 

「あの時のアーシャとの戦闘で休日が潰れたって聞いたわ。この任務の間に潰れた分の疲れを取ればいい。それとも、そんなに仕事がしたかったのかしら?」

「い、いえ!ありがとうございます!」

 

 恐らく、女性は部下であるあの男を失いたくはないのだろう。男はそれが事務的な理由であっても、自分が大切にされていることを再度知ることができて、地味に嬉しく思った。

 

「ま、また休日が潰れるかもね」

 

 それは勘弁してくれっ!

 

 金髪の男は、この休息の時間が潰れないように力強くお天道様に祈ったのだった。

 それと同時に、男はあの時ナイツ・エンパイアで出会った二人の事を思い出した。低身長だが、年齢的には成人の謎の男ミシェル、自身の窮地を救った白髪の女性。もしやここに来ているかも……

 

(流石にないか……)

 

 男は気を取り直して、女性の服選びの手伝いを再開した。

 

 しかし、結局のところ女性の服装は男が決めることになった。

 

「結局俺が選んでる……」

「文句ある?」

「イエ、ナニモ……」

 

 金髪で高身長の男、パルクはこの状況にどこか理不尽さを感じるのであった。

 

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