不幸体質な少年の青春の物語   作:イルカはシャチ

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感情へのカンショウ

 

僕の声が止まった。声が出ない、なんでこんな時に!

 

(そいつを殺してみろ!)

 

誰だ!声が内側から聞こえる

 

(そのガキ、ムカつくだろ?小生に力を見せろ)

 

(ヒヒヒヒヒヒ)

 

嫌な笑い声だ、、、

 

なんだろう、自然と気持ちが高まって荒ぶって、、、

 

兎に角目の前の、、、

 

ホシノを、、、

 

アイツを──

 

 

"ぶっ殺したい"

 

 

そう思った瞬間、体の自由が失われ、誰かが自分を操作している。そんな感覚に襲われた

 

 

………

 

 

 

 

………

 

 

 

「アロナ、スタンガン」

 

 

「先生?何に使うんですか?」

 

 

「アロナ!スタンガン」

 

 

「は、はい!信じてますよ先生!」

 

 

攻撃する素振りを見せないホシノに急接近する

 

 

──

 

 

不思議な人と出会った。その人が言った最初の一言は

 

「名前を聞いても?」

 

私はそれに対してそっちこそ何者?と返した

 

何もおかしくない普通のファーストコンタクト。それでも私は既に彼に対しての不快感を感じていた。連邦生徒会に対して嫌悪感を抱いているのは事実だが、ここまで大きな感情ではなかった

 

あの日アビドスの校舎に戻るのが遅れた。帰った時に対策委員会のみんなからセリカちゃんが攫われたと聞かされた。私が砂嵐に手こずり、帰りが遅れたせいだ。私はみんなの側にいて守らなきゃいけなかった。なのに大事な時に私はいれなかった

 

砂嵐が酷いから日を変えようと言ったが、シロコちゃんは待ちきれずに一人で飛び出していってしまった

 

止められなかった。悔しかった。自分がいても尚みんなを安心させられない、あそこですぐ私もシロコちゃんの後を追うべきだった

 

私は結局今日、準備を終えた上でセリカちゃんとシロコちゃんの捜索に出発した。昨日よりは見通しがよか砂嵐も頻繁ではなかった。それでも自治区の外側に近づくに連れて砂嵐は強くなっていく。そんな時に再び彼を見つけた

 

今度こそ手を貸してもらおうと思ったが、全身がそれを拒絶していた。一度感じた不快感を身も心も覚えているのだ

 

ついさっきの事だ、彼は彼自身の体を起こそうと私に抱きついた。その時に人としての温かさを感じた。どこか懐かしい感じがして、先輩の顔が脳裏に浮かんだ

 

きっと先輩も言ってる。この人の手を取れと、私もそう思った。だから歩み寄る彼に手を差し伸べた

 

もう一度あの温もりを──

 

バチッ!

 

 

「っ!?」

 

 

私が次に感じ取ったのは温もりではなく痛みだった

 

 

 

………

 

 

 

 

………

 

 

 

「弱者め」

 

 

手をこちらに伸ばすそいつの懐に入り込みスタンガンを当てた。奴の顔からは困惑の表情が見て取れる。ヒヒヒッ、見知らぬ人間を信じた結果がこれだ

 

手が痺れたのだろう、心臓を狙い左に喰らわせたため盾を落としている。気絶まで持っていけなかったが嬉しい誤算だ!

 

 

「おらっ!」

 

 

「ぐっ、、、信じた私がっ、馬鹿だった!」

 

 

初撃のフックが奴の顔面にヒットするが、防御が遅れもろに蹴りをもらってしまった。クソっ使えない!脆い体だ、経った一撃で骨の何本かが折れたぞ。だが相手も

 

 

「所詮はガキ!」

 

 

砂を蹴り視界を一瞬潰し、スタンガンを構える。ヒヒッヒヒヒ!これで奴の右腕も潰れる

 

バチッ!

 

しかし思惑通りにはいかず、スタンガンは奴が持つ銃で防がれる

 

 

「馬鹿め、感電を恐れて銃を放したな!」

 

 

「お前如き素手で十分」

 

 

そう言うと奴はすぐに間合いを詰めて拳を振るう、避けきれず奴の拳は顎を掠める。その後奴に一方的に殴られ、腕で防御しようにも一瞬で腕が折れて使い物にならない

 

なんだコイツの体は!本当に雑魚そのものじゃないか!

 

 

ガチッ、、、

 

 

ん?防戦一方でジリジリと後ろに下がっていると足がスイッチを踏んだように沈み込む

 

 

ドゴゴオオオオ!!

 

 

地雷だと?!なんでこんなところに!なんでこのタイミングで!

 

 

「、、、。」

 

 

しかしこの肉体、、、あの爆発で生きている?

 

一見不幸な出来事に見えたが、地雷の爆発が無ければこの体は奴に殺されていただろう

 

ヒヒヒヒヒヒッ。この肉体、興味が湧いてきた

 

 

「ここで失うには惜しい。アロナ銃を出せ」

 

 

原理は分からないが、奴にアロナと呼ばれているこの箱はあらゆる物体を出し入れできるとみた

 

小生では干渉することが出来ないという点には腹が立つが、コイツを利用しない手はない

 

 

「幸村先生!」

 

 

ユキムラァ?この肉体の名前か。銃を手にするために画面を覗き込む

 

 

バチバチバチバチッ!!

 

 

は?電気ショック?このアロナとかいう箱!使用主に逆らいやがった!

 

肉体が気絶して身体の主導権が剥奪されるっ!

 

 

 

………

 

 

 

 

………

 

 

 

徐々に意識が戻り、全身に激しい痛みを感じる

 

 

「人の身体で遊びやがって、、、」

 

 

(ヒヒッヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!)

 

脳内に響いてくるあの笑い声

 

(一度主導権を取り戻そうと無駄だ!すぐにお前の意識は憎みへと変わる)

 

 

「おい」

 

 

(ガキが気安く喋りかけるなっ!)

 

 

「、、、。」

 

 

「、、、そろそろいい?」

 

 

(鬱陶しい。お前はあのピンクの髪のガキに散々ボコられたんだ!骨は折れ、全身に痛みを感じる。全部やったのはアイツだ!)

 

(恨め、恨め、殺せ、アイツだ!憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め)

 

何やってんだコイツは、僕は呆れながらため息をつく

 

 

「乗っ取られる条件はもう理解した。二度とこの体では遊べないよ」

 

 

(なんだと?)

 

 

「まさかあの端末が"勝手"に使用主に反抗したとでも思ったのか?」

 

 

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