不幸体質な少年の青春の物語 作:イルカはシャチ
僕らは行方不明となったセリカとシロコを見つけ出すために、策戦会議をしていた
「物資は幸村先生が持ってきてくれたので問題ないのですが、やはりセリカちゃんとシロコちゃんの手掛かりはありませんね」
「付近の監視カメラを確認しましたが、それらしき影は見つけられませんでした、、、」
「おじさん的にはシロコちゃんまで攫われるとは思えないけどね〜」
「最後に行方が途絶えた場所ってわかる?」
「確かバイト先の柴関ラーメンが最後にセリカちゃんが目撃された場所ですね」
柴関ラーメン、誘拐直前の場所が分かれば後はアロナで余裕だ
「よし、それがわかるなら何とかなる」
「本当ですか!?」
希望の表情を浮かべるアヤネに対して僕はもちろんとピースサインで返した
………
………
「アロナ、柴関ラーメン周辺の監視カメラ映像を探って」
僕がそう頼んでから間もなくアロナから声がかかる
「先生!セリカちゃんが攫われた地点と時刻を確認出来ました!」
とても優秀だ。ただ少し上手くいき過ぎている。大抵上手くいくことはなかったが、こういった時は本当に防げない不幸がくる前兆だ
「アロナ、監視カメラの映像でセリカが乗せられた輸送車の行方を追って」
「任せてください!」
僕はシッテムの箱に映し出される輸送車の映像を眺める。次々に移り替わる場面で突如輸送車は消えた
「これって監視カメラがないところまで逃げられたってこと?」
「確かにこの先は砂漠ですが、アビドス砂漠の奥を目指すならもう何箇所か映り込む場所がある筈なのですが、、、」
何か裏道があるか、この監視カメラ付近に隠れ家的なものがあるのか
「よし、一先ずこの辺りを捜索みんなで捜索してみよう」
僕は監視カメラの映像のことを3人に伝え、その場へと向かった
………
………
「うへーなんだかどこも潜伏できそうな場所には見えないねー」
「確かにこの場に隠れているとは考えられませんね」
「少し捜索範囲を広げよう、こっちは僕とノノミ、そっちはホシノとアヤネ」
「任せて先生」
ホシノの了解を得てそれぞれ捜索を再開する
ホシノ達と別れて少し歩いた所でノノミが僕に声を掛けた
「先生?アビドスに来るまで大変だったんじゃないですか?」
そう聞かれて脳裏に浮かぶのは、至る所にいるカイザー共と僕を必要に狙うホシノの姿
「そりゃー大変だったよ。主にロボットとそちらの先輩が要員で」
「わー先生、やっぱりホシノ先輩と戦ったんですね」
口振りだけでそこまで分かったのか、軽い冗談のつもりだったけど気に障ったかな、、、
「ま、まあホシノとは和解したし、ホシノが悪く無いってのは分かったんだけどさ」
僕は早口で弁明とも呼べる言葉を並べた後、恐る恐るノノミの顔を覗き込むが、ノノミの表情は至って穏やかな笑顔だった
「知ってますよ〜ホシノ先輩が後輩思いで優しいのももちろん。先生が生徒思いで優しいことも」
僕は思いもしなかった返答に目を見開いた
ホシノは今もどこか"信用しきれていない"というのがあったが、ノノミは完全に僕のことを信用しきっている。人を見る目に自信があるのか、または僕が信用に値する行動が出来ていたということか
僕がノノミにそれらしい返しが出来ずに歩き進んでいると、前方に何やら横たわる黒い物体を発見した
「なんでしょうか?」
ノノミもほぼ同時に気が付いたようだ
「行ってみよう」
僕はノノミと一緒に物体へと近寄ると、その形が徐々に見えてきた。あれは間違いなく"輸送車"だ
「先生、あれって、、、」
「うん、、、輸送車だ。でもなんでこんなところに、、、ん?」
僕はその輸送車にどこか覚えがあった。監視カメラの映像で見たのは勿論だが、それ以外にどこかで、、、僕は自身の記憶とこの輸送車の特徴を照らし合わせる。そして思い出した
「これ僕がやったんだった」
僕は輸送車を指さしながらノノミの方を見て言った。予想外だったのかノノミの目は僕と輸送車を行ったり来たりしていた
ドローンも落ちてるし僕がやったのは確実、乗ってたカイザー共も力尽きている。僕は輸送車の後方に周り、荷台の扉に手を掛けてゆっくりと開ける
しかし扉は、ドゴオオ!という音と共に内側から勢いよく開かれた。僕は勢いよく開かれるドアに吹き飛ばされた後、輸送車から飛び出した人物によって地面に押し倒された
「うわっ」
「シ、シロコちゃん?!」
「ん、ノノミ大丈夫、今コイツを地面に埋めるところだから」
「えぇ、、、」
「ちょ、君がシロコかって、、力強すぎ!!ノノミーー!」
僕はシロコに抑え付けられる中で必死にノノミに助けを求める
「シロコちゃん、その人は先生です!私たちを助けに来てくれたんですよ〜」
こちらは切羽詰まった状況なのだが、ノノミは普段通りの仄仄とした口調でシロコに言い聞かせる。それでもシロコの耳に届いたのか、徐々に力は緩まり僕は解放された
「た、助かった、、、」
「ん、ごめん先生。間違えた」
「大丈夫だ、間違いは、、ゲホッ誰にでもある」
ホシノとの戦闘時に負った傷がまだ完治していないため、思っていた以上には痛みがあったようだ
「先生〜ご無事で何よりです」
「ノノミももうちょい必死になってくれてもいいんだよ?!」
「シロコちゃん相手だったのでつい」
ノノミは満面の笑みでそう答える。これに関しては助かったし良いとしよう
「それよりシロコ、なんで輸送車の中に?もしかして、、、」
「、、、?多分そのもしかして、セリカがこの中にいて、輸送車が勝手に横転してた」
「ということは?」
「セリカは無事、今は疲れて寝てるだけ」
「やりましたね先生」
「あ、ああそうだね。ホシノ達と合流して戻ろう」
また、僕には珍しい幸運だ