不幸体質な少年の青春の物語   作:イルカはシャチ

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「サオリ→サツキ」の変換ミスを修整しました。

教えて下さった方、ありがとうございました。


狙う者、狙われるモノ

 

 

「カイザーローンとお取引いただき毎度ありがとうございます。来月もよろしくお願いいたします」

 

 

「はあ、今月も何とか乗り切ったねー」

 

 

「毎月この調子で返済してるんだよね」

 

 

「309年返済ですね」

 

 

「数にすると果てしないね」

 

 

………

 

 

 

………

 

 

「今日は昨晩の襲撃について話します。私たちを襲ったのは「便利屋68」という部活です。ゲヘナでは、かなり危険で素行の悪い生徒たちとして知られています」

 

 

「部活のリーダーの名前はアルさん。自ら「社長」と称しているようです」

 

 

「いやぁー、本格的だねー」

 

 

「先生は何の役職なの?」

 

 

「先生は便利屋68の仲間じゃありません!」

 

 

「ん、でも仲が良さそうに見えた」

 

 

「その話昨日で終わったんじゃなかったの!?」

 

 

「今すぐに先生を取っ捕まえて取り調べでもするー?」

 

 

「ホシノ?冗談でもやめてね」

 

 

「便利屋の活動範囲とかは分かってるの?」

 

 

「ゲヘナ学園の生徒という事だけで詳しい所在は分かりませんが、ブラックマーケットで何度か騒ぎを起こしていると聴きました」

 

 

「ブラックマーケット、とっても危険な場所じゃないですか」

 

 

「ブラックマーケットって?」

 

 

「中退、休学、退学、、、様々な理由で学校を辞めた生徒達が集団を形成しており、連邦生徒会の許可を得ていない非許可の部活もたくさん活動している場所と聞きます」

 

「その他にも非売品の武器など正規では入手が困難な武器等も流通しているので、それを目的として溜まり場にしている方々もいるようです」

 

 

僕はアヤネの話を聞いて思い当たる節があった。カイザーと戦う中で僕が奪い取った銃に形状の違和感と性能の偏りがあったのだ

 

 

「正規では入手困難、、、そういえばカイザーが使う武器とかって売られているのと違う形状してたり、改造したアタッチメントがついてる事があったかも」

 

 

通常の生産でここまでの差異が出来ることはない。この点からオリジナルにカスタマイズされている。単純な装飾ではなく、発射できる弾丸のサイズ変更等の大きなものだ

 

 

「すごいですね先生、そんな細かいところまで見ていたんですか」

 

 

「キヴォトスでは相手の銃の性能を確認して理解する。これがもっとも最適解を導きやすい手段だからね」

 

 

これは僕がただ銃好きだからではなく、上手く立ち回るために身に着けた一つの手段だ

 

見た目と銃身形状、つけれるアタッチメントを知り、飾り付けられた銃と照らし合わせられるようにする。そしたら武器の性能を覚えて弾の装填数を暗記する。今度業務が少ない時に射程も覚えるつもりだ

 

それは置いといて

 

 

「それじゃあみんな、ブラックマーケットへ行こうか」

 

 

……

 

 

 

……

 

 

先生という立場でありながらも、こういう何でも揃った場所の商品やアイテムには目を惹かれるものがある

 

 

「先生、あんまりキョロキョロしないの」

 

 

そんな事をしていたらセリカからお叱りを受けてしまった

 

 

「こういう場所で自分に合った何かを探して見るのも面白いかもしれませんね」

 

 

「一応違法なんだけどな〜」

 

 

「皆さん、もっと緊張感を持って下さい」

 

 

少しはしゃぎすぎたようで、セリカに続いてアヤネからも注意を受けてしまった

 

そんなことがあり、通りを見て回っていると一つの商品が目に付いた。銃の用な形状をしていて、先端には小型アンカーがある。グラップリングガンだ

 

 

「あ、みんなコレだけ買ってもいい?」

 

 

「うへー、先生がブラックマーケットで買い物なんてしちゃっていいの〜?」

 

 

「別に違法ってより護身用だからね。大人、、、じゃなくて、先生の特権」

 

 

僕は無理がある特権を言い訳にグラップラーを購入した。移動手段が増えれば万が一の時に役立つし、銃弾1発が致命傷の僕からすればかなりの必須アイテムだ

 

買い物を終えてみんなの元へ戻ると、どこからか銃声と悲鳴が聞こえてきた

 

 

「う、うわああ!まずっ、まずいですー!!つ、ついてこないでくださいー!!」

 

 

「そうはいくか!」

 

 

どうやら一人の生徒がこちらに向かって逃げてきているようだ    

 

、、、これはチンピラが悪で大丈夫だよな。一応両成敗で

 

僕は逃げる生徒を片手で捕らえて、チンピラ共の前に立ち塞がった

 

 

「あ、あうう、、、わ、私は特に何もしてないです」

 

 

「その制服、、、キヴォトスいちのマンモス校のひとつ、トリニティ総合学園です」

 

 

アヤネから聞き馴染みのある学園名が聞こえた

 

 

「トリニティ総合学園ばキヴォトスで一番金を持っている学校でもある。だから拉致って身代金たんまり頂こうってわけさ!」

 

 

「トリニティ、、、そういえば少し前に助けてもらったなー」

 

 

僕は視線を移してチンピラ共を睨む

 

 

「制裁!」

 

 

チンピラ共の顔面にパンチをプレゼントした

 

 

「あ、、、えっ?えっ?」

 

 

「これは生徒に対する暴力ではなく正義の拳です。はい」

 

 

「悪人は懲らしめないとですね☆」

 

 

「あ、ありがとうございました。みなさんがいなかったら、学園に迷惑をかけちゃうところでした、、、」

 

 

「それに、こっそり抜け出してきたので、何か問題をおこしたら、、、あうう、、、想像しただけでも、、、」

 

 

「まあ、トリニティには返しきれない恩があるからね」

 

 

「先生がこう言ってることだし、そこはあんまり気にしなくていいんじゃない?」

 

 

「それよりも、ヒフミちゃんだっけ?トリニティのお嬢様が何でこんな危ない場所に来たの?」

 

 

「あ、あはは、、、それはですね──」

 

 

バシュンッ

 

ダダダダダダダダダッ

 

 

ヒフミの言葉を遮るように突如銃声が鳴り響いた。1発目は僕を狙ったスナイパーの弾丸、二発目は路地から全員を狙った射撃、複数!

 

 

「先生下がって!」

 

 

ホシノガ盾を構える。僕はホシノの後ろからスモークグレネードを投擲して相手の視界を封じる。相手はガスマスクを付けた生徒、効果は薄いだろう

 

 

バシュンッ

 

 

再びスナイパーからの攻撃。アロナのバリアで防げたけど、これは、、、

 

 

「ホシノ二手に分かれよう!狙いは僕だ。僕が引き寄せてる間に目的を果たして、出来たら合流しよう」

 

 

「、、、先生はそれで大丈夫なの?」

 

 

「入り組んだ場所なら得意だから大丈夫!多分!」

 

 

「わかったよ、先生」

 

 

「ホシノ先輩!」

 

 

「シロコちゃん。先生が大丈夫って言ってるんだし、ここは一度離れよう」

 

 

ホシノは一度戦っただけあって、大丈夫を信じてくれているのか、僕はスモークグレネードが晴れたのを見計らい、ガスマスク達を殴り飛ばし話を続ける

 

 

「アヤネ!随時モモトークに位置情報だけ送信してほしい、それを頼りに合流する」

 

 

「わかりました。先生、気をつけてくださいね」

 

 

「もちろん」

 

 

死ぬ気でも死なないからね、、、

 

 

………

 

 

 

………

 

 

僕は急いでみんなと距離をとる。一瞬後ろを振り返ると、予想通り隠れていた3人程が僕を追ってきた。スナイパーもこちらを注視している

 

入り組む路地を活用して度々飛んでくる銃弾を躱していくが、安定の不幸を発揮して行き止まりまで追い詰められてしまった

 

 

「先生、貴様にはここで死んでもらう」

 

 

「殺すの?僕を」

 

 

そう聞きながら後ろにした手でシッテムの箱の電源を落とす

 

 

「それがマダムからの命令だ」

 

 

「そっか、それは無理だよ」

 

 

バシュンッ!

 

3人の中の一人、青髪が放った弾丸は僕の頬を掠めて壁に命中する

 

表情に出ず分かりにくいが動揺している

 

 

「、、、。」

(あり得ない、標準は確実に合っていた。ましてやこの距離で外すことなんて)

 

 

「じゃ、撃たれたし反撃かな。来いよ」

 

 

俺は少し笑みを浮かべて挑発するように言った

 

バシュンッ!

 

2度目の弾も当たらず、壁に跡がつくだけ。正面の青髪を蹴り倒し、その後ろにいた紫髪マスクを踏み台に追い詰められた状況を打開する

 

少し後方で待機していたランチャー使いがにロケット弾を放つ、直線上だが直撃すれば死ぬから確実に当たらない。そう判断して迷わず正面から突っ込む

 

放たれたロケット弾は少し手前で軌道が振れて上方向に上昇する。それを確認した上でシッテムの箱を起動する

 

 

「バリア!」

 

 

そう言いながらランチャ使いに掴みかかる。近接を察知したようで素手で応戦しようとするが、先制の1発をアロナのバリアに弾かれ隙が出来る。そこを見逃さずに懐に入り込み後ろに薙ぎ倒す

 

 

「ごめんなっ!殴らないとこだけ感謝しといてくれ」

 

 

さて、そろそろ青髪と紫髪マスクが追いついてくる頃だろうか。キヴォトスの人は揃って足が速いからなー、、、

 

4人の中で誰を潰すか考えるなら確実にスナイパーからだ。後方アタッカーならまだしも、連携して後方支援で足や手を撃たれるなどの妨害、遅延が一番厄介だ

 

そして、、、

 

 

「姫、追いながら援護射撃を頼む。私は距離を詰めて動きを封じる」

 

「ザザッ」

 

 

成る程。片方に射撃によるプレッシャーを任せて自分は距離を詰めることに重点を置く。動作からしてスナイパーへの情報伝達もしたのだろう

 

 

「光、煙」

 

 

短い単語でアロナに欲しいものを要求する。瞬く間に意図したのと同じものが手元に現れる

 

路地裏の置き看板に飛び乗り、隣接する建物の窓を割り侵入する。階段を駆け上がる最中に微かに発砲音が聞こえた。これはランチャーだ

 

 

ドガァァアア!

 

 

建物の壁が崩れ落ち、中の状態が外から丸わかりになる。だがそれはこちらも一緒、青髪と紫髪マスクがいないことを確認した

 

スナイパーを倒すには、もう少し高さがあるところからその建物に飛び移るのが理想だ。さらに上の階に上がったところでスナイパーの弾丸を喰らった。正確にはアロナのバリアが防いだが、、、さっきのロケット弾の一撃はスナイパーに居場所を把握させる為の手段だったのか

 

バシュッバシュッ!

 

さらに後ろからも発砲音!反射的に伏せて躱すが、青髪の方がこっちまで突っ込んで僕を蹴り上げる

 

勝手な予想になるが、向こうにとって今の俺は不明な脅威だ。スナイパーの弾丸で死なず、素手も通らなかった。けど今は通る。4人にとってこの戦いの勝利条件は俺を始末することだと思うが、俺が絶対に死なない時点で彼女らに勝利はない。落ち着いて事を進めるんだ

 

近距離で蹴り上げられて意識が飛びそうになるが、ここは堪えて次の拳を手の平で受け止める。そこからの足掛けで体勢を崩す

 

ズザシュンッ!

 

ババババババシュッ!

 

スナイパーと紫髪マスクの援護が空かさず入ったので、身を翻し上の階を目指す。数階登ったところで屋上に出て、スナイパーの姿を視認する

 

数秒遅れて青髪、それに続いてランチャー使いと紫髪マスクが来たので、ここでスモークグレネードを使う

 

準備は整った。早速グラップリングガンの出番だ、対岸の壁にアンカーを突き刺し、自分の身をスナイパーが居る建物に引き寄せる。焦ってこちらに標準を合わせているが、そんなんじゃ間に合わない。閃光弾を放ち衝撃でスナイパーを封じる

 

運悪く直前に撃たれた弾が当たるが、それもアロナのバリアだ

 

 

「ヒヨリっ!」

 

 

青髪は間違いなく4人の中のリーダーだ。当然仲間のピンチには反応する。だから今、最優先で、倒すべきは、、、

 

スナイパーの首筋に蹴りをいれた後、アンカーを引き抜きグラップリングガンを再びさっきの建物に向けて放つ。呆気に取られて反応が鈍った今、対処は不可能

 

勢いよく引き寄せられる体を安定させて、青髪に突っ込む。方腕を捻り力が緩んだところで銃を奪い取り額に当てる。人質状態だ

 

 

「よっ。つーかまーえたー」

 

 

「姫っ!構わず撃て!」

 

 

姫は紫髪マスクの方か?一向に引き金を引く素振りはない。それもそうだ

 

 

「知ってるよ、弾切れでしょ?サブマシンガン。スコーピオンEVO3の弾数は多くても75発、多段数マガジンも付いてない」

 

 

ランチャーは撃てない訳じゃないなさそうだけど、多分姫って呼ばれる方の耐久が脆いとかそういう感じで撃てないのかな。スナイパーはしばらくまともに動けないだろう

 

因みに人質に構えた銃の1発で仕留められる訳ないから、左腕で首の骨を折る方が本当の仕留めだ。僕は自分が圧倒的優位に立った上で交渉を持ちかける

 

 

「俺の命令に従ったら解放してやるよ」

 

 

「、、、。」

 

 

「、、、わかった」

 

 

「駄目だ姫!」

 

 

左腕をより強く締めると青髪が苦しそうに藻掻く。キヴォトスの生徒って本当に力が強いな、、、

 

 

「それじゃあ了解して貰ったし、要件は3つ。1つ、君ら4人の学校と名前を教えること。2つ、二度と俺や他の生徒に手を出さないこと。3つ、マダムって奴の情報を教えること。」

 

 

「、、、!」

 

 

「断ってもいいけど。そしたら人質の首を折って、3人共皆殺しね」

 

 

「ごめんね。、、、さっちゃん」

 

 

「私たちの所属はアリウス分校。名前は私がアツコ、私の後ろにいるのがミサキ、あなたが人質にしているのがサオリ、反対の建物で倒れているのがヒヨリ」

 

 

「アツコにミサキ、サオリとヒヨリだな」

 

 

「2つ目の二度と俺や他の生徒に手を出さない。守れるか?」

 

 

「それは、、、」

 

 

「正当防衛は許可する。ただマダムとか言うやつの命令で手を出すのは駄目だ」

 

 

「わかった。守るよ」

 

 

「、、、俺は信じてるからな。アツコ」

 

 

「3つ目、教えてくれるかな、4人が呼ぶマダムについて」

 

 

「、、、。これを言ったら私たちはきっとマダムから酷い罰を受ける」

 

 

「そこは心配しなくても大丈夫。多分だけどさ、任務失敗してるんだし罰は変わらないと思うよ」

 

 

「っ!」

 

 

奥にいたミサキが一歩前に出て踏みとどまる。怒りで握った拳が震えているのが分かる

 

 

「マダムの本名はベアトリーチェ、私たちが復讐する為の手助けをしているけど、本当の目的はわからない。アリウスを支配してる」

 

 

「なんで俺を殺すよう仕向けたのかは?」

 

 

「ただ危険だからってだけで、特に何も、、、」

 

 

「それとvanitas vanitatum et omnia vanitasこれが私たちの考え方」

 

 

うーん、まったくわからない

 

 

「はぁ、、、まだ言ってないこともあるだろうし、聞きたいこともたくさんあるけどさ」

 

 

「ベアトリーチェに言っときな」

 

 

「「先生は撃っても殴っても死なない」って、そしたら任務失敗の罰なんて与えてる暇はなくなるだろ」

 

 

「君たち4人は自己犠牲は払うけど他人には居なくなって欲しくない。だから一人人質に取られたら何も出来ない。これは俺も同じだけどさ、自分と同じ仲間がいるって凄くいいことだ」

 

 

「分からないことだらけだけど、ベアトリーチェが間違った教えをしていることだけはわかる。」

 

 

「4人一緒ならきっと大丈夫。いつか絶対に助けに行くから、待ってて」

 

 

俺は目を閉じて力を緩める。奪い取った銃をその場に落として後ろへと身を投げた

 

 

「それじゃっ」

 

 

さあ、死のうか

 

 

………

 

 

 

………

 

 

「、、、!」

 

 

僕は目を覚ました

 

 

「アロナ!どのくらい経った!?」

 

 

「10分くらいです!」

 

 

僕は無傷、な筈もなく。頭から血が滴り落ちていた。

 

 

「僕の今の容態ってどんな感じ?」

 

 

「、、、外傷は酷いですが命に別状はないかと、骨や内臓は無事です」

 

 

僕はシッテムの箱から包帯を取り出し応急処置をする

 

 

「先生、命に別状がないとはいえ危険な状態です!少し休みましょう」

 

 

「アロナ、心配ありがと。でも今はみんなと合流しよう」

 

 

 

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