不幸体質な少年の青春の物語   作:イルカはシャチ

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細かく印された点はあらゆる場所に散り、個として何処かへと繋がりいつか線となる


アビドス砂漠攻略サクセン3

 

酷い砂嵐だ、スノーゴーグルでも最低限の視界しか確保できない

 

 

「アロナ、現在地は分かる?」

 

 

「はい!アンテナのお陰か前よりも通信環境が良好です」

 

 

「今どの辺り?」

 

 

「、、、。」

 

 

「アロナ?おーいアロナー?」

 

 

「、、、せ、、せい、何者か、、が、、、干渉、、、を」

 

 

アロナの声が途切れ途切れになっている。妨害が来たがこれに関しては対処法がない、干渉している奴が何処にいるかなんて見当もつかないからだ

 

さらにこの状況に追い打ちをかけるように、カイザーロゴの輸送車がこちらに向かって走ってくる

 

 

「このタイミングで、、、!」

 

 

アロナが封じられた今、これを自力で対処しなければならない

 

僕はアドベンチャーバイクの荷台に入れておいたドローンを取り出す。操作性の悪い安物だがそんなことは関係ない。これは自爆特攻用のドローンだ

 

慣れない手つきで操りながらカイザーの輸送車との距離を測り突撃する

 

ドゴガアッ!

 

爆発音と同時にフロントガラスが吹き飛び、カイザーの輸送車はハンドルを見失う

 

そこに2機目を投入、突撃させる

 

ドゴガアッ!

 

これも命中、見事カイザーの輸送車1台を行動不能にした。横転して積んでたコンテナも変形している。これは運転してた奴らも無事倒せていると判断した

 

僕が再びバイクに跨るとシッテムの箱が起動する

 

 

「先生!アロナちゃんがシッテムの箱に干渉してきた何者かを撃退しましたよ!」

 

 

「さすがアロナ!通信妨害はまだ続いてるだろうし慣性航法機能を起動して」

 

 

僕が伝えるとすぐに画面がきり替わる。方向と距離は予め保存済み、後はアロナならズレなく真っ直ぐに進めるだろう

 

 

「アロナ、もう少し運転頼むよ。直進して」

 

 

──

 

 

「何故だ!何故だ何故だ何故だ!」

 

 

「確かに妨害した筈だ!」

 

 

「小生の邪魔をするんじゃねえ!何故上手くいかない!」

 

 

砂嵐でまともに前も見えない筈の奴は真っ直ぐに、そして確実にアビドス自治区へと進んでいた

 

 

「、、、。」

 

 

「ヒヒッヒヒヒヒヒヒヒヒッ!」

 

 

「あの箱に干渉できないのであれば、愚かな少年の方に干渉すればいい」

 

 

奴はどう見ても弱い、ゲーム序盤の雑魚キャラだ、きっと一人じゃ何もできない。それでも何か特別なものを感じる

 

 

「その力を小生が"プレイヤー"として使ってやろう」

 

 

「ヒヒヒヒヒヒヒヒッ!」

 

 

──

 

 

「アロナ、そろそろ変わるよ。自治区が見えてきた」

 

 

「長旅お疲れ様でした!」

 

 

「アロナも運転お疲れ様」

 

 

ここがアビドス自治区か、、、町の半分、いやそれ以上だ。砂に埋もれてしまっている

 

辺り一面砂の街、こんな場所に校舎があるとは俄に信じ難い

 

 

「先生!」

 

 

僕はアロナの呼びかけに即座に反応してシッテムの箱を起動する

 

 

「正面から誰か来ます!」

 

 

「正面?」

 

 

砂が舞っていてよく見えないが、確かに人影が──

 

尋常じゃないほどのスピードでこちらに突っ込んで来ていた

 

 

「っ!」

 

 

僕はバイクを急発進させ、それをなんとか避ける

 

徐々に砂埃が晴れて、その姿が顕になる

 

 

「小鳥遊ホシノ、だよね」

 

 

「はい、間違いありません」

 

 

アロナに確認を取り、あれが前回僕を襲った人物であると再確認する

 

 

「僕は幸村、先生だ!アビドスの支援に来たんだよ」

 

 

「うるさい!またお前か!」

 

 

「ちょっとは話を聞いてくれよ!ほんとに敵意はないんだって!」

 

 

しかしそんな言葉は届くわけもなく、ホシノはこちらに距離を詰めてくる。既にこちらが敵であることを前提として動いている

 

誤解を解く余地なし、後は信頼を勝ち取るのみだ

 

僕はバイクで距離を取りながら後ろを振り返るが、ホシノの姿がない

 

 

「いないっ!」

 

 

そう思った時にはもう遅い、僕の視界は揺れ、右肩にかつて感じたこともない程の激痛が走る

 

 

「ぐあっ!!」

 

 

僕は肩を抑えながら、バイクから転げ落ちる

 

視界から消えたホシノは既に僕の真横まで迫っていて、僕は彼女の膝蹴りをもろに喰らってしまったようだ

 

僕は地を這いなんとか次の攻撃を避けようと藻掻くが、ホシノに背を踏みつけられそれを阻止される

 

 

「一撃で仕留めてあげるから動かないで」

 

 

「はっ、はっ、、、はっはっ、、、」

 

 

呼吸を整える。何か、喋らないと

 

 

「抵抗しないんだ」

 

 

「覚えとけ、、、ホシノ、、生徒に手を挙げる先生は、、、いない」

 

 

「私は先生の生徒じゃないよ」

 

 

よく考えれば当たり前だ、僕は中身も見た目も高校生。ホシノからしたら同級生に生徒と先生の関係を押し付けられる。それも急に現れた知らない奴に、そんな状態だ

 

 

「ホシノは今困ってることはない?」

 

 

「気安く名前で呼ばないで、それに私が困ってる事を君が解決出来るの?」

 

 

「ぐ、、やってみないとわからない!」

 

 

「じゃあさ、大人しく殺されてよ」

 

 

ホシノは続ける

 

 

「先生を名乗る奴がアビドスに踏み込もうとしてて困ってる」

 

 

僕はホシノの言葉に顔を引き攣らせるが、言い返さなくてはいけないと思い直す

 

 

「僕はホシノに殺されてもいい、でも他のみんなはどうなんだよ!アビドスのみんなは!」

 

「いるだろ!自分のために命を張ってくれる人、自分の事を大切に思ってくれる人!!」

 

 

「みんなは関係ない!!」

 

 

「関係ある!!」

 

 

「黙れ!!」

 

 

ダアアン!

 

 

怒りに任せてホシノが撃った弾丸はアロナのバリアによって跳ね返される

 

僕はすかさずホシノに抱きついて体を起こし、足を引っ掛けてホシノの体勢を崩す

 

 

「今のはノーカン!足が引っ掛かったのは事故だ」

 

 

僕はわざとらしく言い訳をしてみるが、ホシノの動きが止まっているのに気づいた

 

 

「君って何か特別な力、持ってるの?」

 

 

「さあね、特別な体質なら持ってるよ」

 

 

僕はホシノと距離を詰める。興味を持ってもらえたと感じたからだ

 

彼女もこちらに攻撃してこない

 

一歩、また一歩と慎重に歩み寄る

 

 

「ホシ──」

 

 

それ以上僕の声は出なかった。いや、出せなかった

 

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