【チームアップ】《team up》
複数の人物が徒党を組むこと。
また、共通の目的に向けて協力すること。
* * *
小学四年生で司法試験予備試験に合格したので、次の年に司法試験を受けたら合格してしまった。司法試験合格の史上最年少記録を17歳から10歳に塗り替えたとかで、マスコミが沢山取材にやってきた。
お父さんはひっくり返っていたし、真さんは唖然としていた。
全国放送のニュース番組で私の姿が流れたことで、和歩ちゃんは悔しがっていた。
司法試験に合格、イコール弁護士というわけではない。
司法修習と呼ばれる実務修習をこなし、司法修習生考試という試験に合格して、そこではじめて法曹資格が得られる。
私は義務教育を受けている最中なので、司法修習を受けることはできない。
高校も行くつもりだし、法曹資格云々は相当先の話になると思う。
司法試験合格は、私に出来る数少ない前世知識チート。
でもこの世界においては、何の意味もない無力な資格。
そもそもヴィラン達に法律を振りかざしたとて、鼻で笑われてしまう。
この世界は、
『バットマン』に出てくるゴッサムシティと、
力こそ正義とは、誰の言葉だったか?
司法試験合格の副作用として、片親なことや、『個性:無し』登録の件でのイジメが激減した。
私立聡明小学校が総力をあげて「塚内空はウチが育てた!」という宣伝をはじめたからだ。
校長先生は、聡明中学校の学費免除をはじめ色々と優遇するからよろしくと言ってきた。
……散々イジメを放置しといて、なにがよろしくなのかはよくわからない。
ただ、意地になってイジメを継続してきた子達には、きっちり報復をしてあげた。
変なことはしていない。嫌なことを言われた場面を録画し、教師達に提出しただけだ。
たったそれだけで、イジメっ子達は顔面蒼白になって大人しくなった。
私立だし、世の中そんなものだと思った。
ドローン免許も欲しかったんだけど、16歳以上という年齢制限がある。
この世界はサイドキック以上だと、ドローンに乗っての空中移動が許可される。
ミス・ラブラバこと
多角的な動画撮影、斬新なカメラワークができるようになるから、彼女は大喜びだった。
* * *
和歩ちゃんの路上ライブの際、個人的に許せない人達に絡まれてしまった。
原作不良勢こと、
この三人は、原作では『悪いことをしてきたけど改心した人達』として扱われている。
ゴミクズ同然の、末路がどうなってもいい人達なのにあっさり仲間になってしまった。
航一さんに土下座を強要し、暴力で嬲り、刃物で顔を刻んだ。
和歩ちゃんを
あげく、和歩ちゃんの顔をぐちゃぐちゃに刻んでやると言った。
何一つ誇張していない、原作での出来事。
原作の和歩ちゃんが『犯して殺すマン』と激怒したのは伊達じゃない。
ナックルダスターがいなかったら、本当に実行されていただろう。
なのに何事も無かったかのように許されてる。
ありえない。よくわからない。
エログロバイオレンスが、突然の『友情・努力・勝利』で塗りつぶされてしまった。
案の定、彼らの暴力の矛先は原作と大差無いベクトルで私に向いてきた。
彼らは
私は全力で、監視カメラの有無を確認した。
ネット接続された監視カメラが存在していたら、ラブラバから連絡を受けたジェントルが来てしまう。監視カメラをチェックする警備員がいたら、警察かチームIDATENがやって来てしまう。
小学校卒業までは、自らの手足を使った攻防は出来るだけ避けるようにと指導されている。
パンチの威力が強すぎて拳を壊したボクサーの話は聞いたことがあったけれど、まさか自分が似たような立場になるとは思ってなかった。
外功と呼ばれる鍛錬を真面目に続けているから、もう大丈夫だとは思うんだけど。
迂闊に殴って開放骨折しましたとか洒落になってない。
彼らがナックルダスターの拳で倒れた後も、怒りが収まらなかった。
お兄ちゃんならどうするかと考えた。
「手足を使ってはいけないのなら、手足を使わなければよいのだ、妹よ!」
お兄ちゃんが笑顔でサムズアップしている姿が見えた気がした。
だからスチール缶で代用した。
『女性にオススメの護身用具の紹介』なんて動画はYouTubeに幾らでもあるけれど、簡易ブラックジャックは事後に証拠隠滅できる可能性があると思って記憶していた。
仕事を終えた後に冷たいコーヒーまで飲めたから最高だとまで思った。
実際に、彼らの顔が変形するぐらいボコボコになったのはナックルダスターが殴りすぎたから、と警察は解釈した。
原作でも、ナックルダスターは別の
なんでもいい。
彼らが私の目の前に二度と現れなければ、なんでもいい。
* * *
喫茶ジェンラバ。
ジェントルには、インテリアデザイナーとしてのセンスがあると思う。
元々のオーナーの趣味だった昭和レトロ喫茶な店内イメージを大きく損なうことなく、ジェントルの趣味の英国調カフェを見事に融合してみせた。
雰囲気が客を黙らせる、静かな空間。
紅茶にしろ珈琲にしろ、疲れた日々を癒してくれる一杯を堪能できる。
ラブラバ手作りのサンドイッチを食べながら、ジェントルが丁寧に入れた紅茶を飲む。
そしてそんな空間をぶち壊す、左頬に大きな傷のある巨漢の男。
顔の上半分に黒いマスクを被り、トレンチコートすら脱がずにそのままのナックルダスターが、足を組んで珈琲を飲んでいる。
店内には、私と和歩ちゃん、ナックルダスター。
あと店主のジェントルと、看板娘のラブラバ。
なんとなく流れで、みんなナックルダスターのそばにいる。
ナックルダスターもジェントルも180cm越えなので、でかいなぁと思う。
でもオールマイトとサー・ナイトアイはもっと高いので、高身長多過ぎ疑惑。
「――ドラッグの名は『トリガー』。使用者の理性を弱め個性を
ナックルダスターは飲み終えた珈琲のカップを置くと、拳を握る。
「このままでは即席の
「こちらに来られた理由は?」
ジェントルは顎髭を撫でながら、ナックルダスターに尋ねる。
実際、彼がここに居る理由がわからない。
ナックルダスターは、そんなジェントルを見返して笑う。
「そりゃ簡単だ。ここ二年ほど、
ナックルダスターの向かいで紅茶を飲んでいた私を、彼が見つめてくる。
「不良の男三人に捕まり路地裏に連れ込まれ、壁に押しつけられ両腕を固定され、あまつさえ連中に
「尾行……」
和歩ちゃんが嫌そうな顔でドン引きする。
「小僧じゃなくて、塚内
「それでな、小僧」
聞けよ。
「トリガーによる即席
「ああ……民間人に紛れてしまうのですな」
ジェントルがおかわりをするかどうか尋ね、ナックルダスターが否定した。
「そこで俺達の出番だ」
「『俺達』ねぇ……」
私は苦笑する。
どうも、原作の航一さんの役割が私に回ってきたらしい。
「そうだ。俺とお前達で怪しい奴を呼び止めて舌を確認する」
「舌?」
和歩ちゃんが首を傾げる。
「トリガーの常用者は、副作用で舌が変容する。ドス黒い色にな。舌が黒い奴は即座に殴り倒し売人の情報を聞き出し、ドラッグの流通を根元から断つ!」
「……暴力的解決は、好みではありませんな」
野蛮な解決方法に、ジェントルが顔を顰める。
ジェントルはここ二年、真面目に非暴力を貫いてくれた。
だから警察も黙認しているし、動画の人気も出ている。
「先手必勝だ。ジャンキーどもがトリガーを打つ前に片をつける」
「そもそも『舌見せ』の時点で断られます」
「そういう怪しい奴も即殴りだ!」
私のツッコミに、ナックルダスターは大声で反論する。
私はため息をついて、肩をすくめた。
「効率が悪すぎます。もっと手早くいきましょう。折角デジタルな世の中なんですから……ミス・ラブラバ。即席
それを聞いたラブラバは、注文を受ける時に使っているタブレットを手早く操作する。
「……AIで類似度を出すまでもなく、明らかな同一人物が全ての事件現場にいるのだわ!」
「クラック済みの監視カメラと照合、リアルタイム検索開始」
「今は
「ビンゴ。全員のケータイに該当人物の顔写真を転送」
「わかったのよ!」
ラブラバの仕事は素早い。
呆然としているナックルダスターに向けて、私は携帯電話を振ってみせる。
展開が加速したので、ナックルダスターはびっくりしている。
「なっ、なんだ小僧!?」
「連絡先の交換。LINEグループぐらいは無いと、やりとりに不便でしょ?」
「『目的は手段を正当化する』というわけか」
「ナックルおじさんに言われたくないなぁ」
ナックルダスターは一瞬困惑したけど、連絡先を交換してくれた。
連絡先を交換できたので、ヴィジランテLINEグループを作って営業マンの顔写真を貼り付けた。
お父さん、真さん、和歩ちゃん、航一さん、オールマイト、サー・ナイトアイ、根津校長、グラントリノ、リカバリーガール、ジェントル、ラブラバ、ナックルダスター。
連絡先リストが12人に増えたので、私はにんまりした。
ジェントルがお店を閉める作業をしている。
……これはもしかして、チームアップというやつだろうか?
* * *
私達が辿り着くと、既に悲鳴が聞こえていた。
「きゃあああ!」
「
「
3mぐらいの背丈、上半身裸の
そんな男が、そこら中を手当たり次第に攻撃しまくっている。
「ガギギギギ! カタい! カタいぞ! 俺! 無敵!」
そしてその
「俺! ビルよりカタい!」
「きゃあっ!」
巨体の
あのままの勢いでは、大怪我は確実、下手すれば死亡だ。
「……間に合えっ!」
水平方向に跳躍した私服の和歩ちゃんが物凄い加速で追いつき、赤ちゃんを抱きしめた。
和歩ちゃんは勢いよくごろごろと地面に転がり、建物の壁に叩きつけられる。
軽く気を失ったのか、和歩ちゃんはそのまま動かなくなった。
腕の中の赤ちゃんが、元気に笑っている。
「くっ」
ジェントルが悔しそうな顔を見せる。
ジェントルの個性は『
言い換えると触れなければ付与できないから、遠方にいる存在の救助が難しい。
「よし!」
赤ちゃんの無事を確認したナックルダスターが疾駆した。
勢いのままジャンプして、巨体の
ナックルダスターは、巨体の
「私は営業マンの方に!」
私はそう叫んで、混乱を鑑賞している営業マンの所に走って近づく。
営業マンは自分がターゲットだと気づくと、アタッシュケースを抱きかかえる。
「あの……私オモチャの営業をしてまして……」
「なら名刺を見せてみなさいよ!」
私が問い尋ねると、答えることなく私を突き飛ばし、営業マンが逃げ出した。
私を突き飛ばしてしまった時点で、堂々とジェントルが動けるようになった。
「ジェントル!」
ジェントルの名を呼ぶと、心得たとばかりにジェントルが言う。
「準備はいいかい、ラブラバ」
「いつでもOKよ、ジェントル!」
カメラを構えたラブラバが元気に応える。
ジェントルは営業マンに先回りしながら、格好いいポーズを見せる。
「リスナー諸君! これより始まる怪傑浪漫!
両腕を振り上げたジェントルが、営業マンに向けてそれを振り下ろす。
「手短に行こう……ジェントリー・サンドイッチ!」
弾性が付与された幾重もの空気の層が、営業マンを上から押さえつける。
営業マンは地面に固定され、アタッシュケースを落とす。
「サンドイッチは薄いほど上品とされる食べ物だ……幾重にも重ねるのは、好みではないのだが」
ジェントルの台詞に、営業マンはジェントルを睨みつけた。
* * *
一方、巨体の
「当たりが出たな」
「ガギギギィ~~~!」
真っ黒な舌を伸ばした巨体の
「貴様ら即席
巨体の
すかさずナックルダスターは、
「そして生まれついた異形ではなく意識的な『硬化』である以上、集中を欠けばヤワくなる!」
「一発入ればあとは簡単……回復の隙は与えないッ!」
ドガガガガガガッ!
凄まじい連打が、巨体の
しかしその連打は、第三者の乱入によって突然止められた。
ナックルダスターの腕に、白い布が何重にも絡みついていた。
「やりすぎだ。もう気絶している、それぐらいでいいだろう」
「お前は……」
ナックルダスターは自分の腕に巻き付けられた布を見て、それから発言主を見た。
細身の黒ずくめ、無精髭で寝不足気味のヒーロー。
「抹消ヒーロー、イレイザーヘッド……か」
「今日は非番でね。ただの善意の一市民さ」
「気が合うな。実は俺もだ」
そんな時だった。
周囲にいた市民達が怯えながら、皆で空を指さしている。
「でけえェ!」
「ちょ……超大型
「逃げろ!」
意識が回復した和歩は、ぼんやりとした頭でそんな景色を眺めていたが、あるものを見て我に返った。
「空ちゃんっ!」
* * *
ジェントル達は油断していたわけではなかったが、営業マンの悪あがきが一瞬過ぎた。
アタッシュケースの中からこぼれ落ちたオールマイトフィギュアを握りしめ、絶叫しながら首筋にあてたのだ。
「わタしの……ニンギョウーッ!」
「黒い舌!?」
叫んだ営業マンの口の中、真っ黒な舌を見てジェントルが驚く。
オールマイトフィギュアの中には、トリガーの注射器が仕込まれていた。
営業マンは急激に巨大化し、ジェントリー・サンドイッチを撥ねのけた。
巨大化ついでに、塚内空を片手に握りこんだ。
高層ビル程の超大型
舌だけではなく、身体中を真っ黒に染めたヴィランが、街中に突然出現してしまった。
「うっく、このっ……」
超大型
「ぶぅーん。どどど。ぎゅるるー!」
* * *
確か、個性名は『ブンドド』だった。
といってもブンドドは、子供が玩具で遊ぶ行為を指す言葉。
個性『ブンドド』って、一体なんなの。
私が冷静にツッコミを入れていると、ナックルダスターが三次元機動で華麗に高層ビルを駆け上がっていった。
ビルの屋上にフックロープをかけ、遠心力を利用した跳び蹴りを放つ。
「ふんっ!」
強烈な跳び蹴りが、営業マンだった超大型
よろめいた超大型
「うわっ」
「ぐおっ」
そのせいで私を握る手が緩まり、私はかなりの高度から地面に落とされそうになった。
だから、私とナックルダスターの声が同時にあがった。
一足先に地面に落下していったナックルダスターは、無事に大型のゴミ捨て場に落下した。
問題は私の方で、ゲーム・アサシンクリードのようにイーグルダイブできそうなゴミ捨て場はどこにも無かった。
でも、大丈夫。
私の方にはジェントルが来ているから、ジェントリー・トランポリンか何かで――
――青ざめたジェントルが、硬直して呆然と立ち尽くしている!?
* * *
ジェントル・クリミナルこと、
18歳の時、転落しかけたビルの清掃作業員を個性を使って助けようとした。
だが、それは結果として救助に来たヒーローを妨害してしまう。
清掃員も間に合わず転落して、重傷を負ってしまった。
世間から誹謗中傷を受けて家庭は崩壊し、両親から勘当されて家から追い出された。
それは全て、考えるより先に体が動いてしまった結果だった。
緑谷
彼の場合は、皮肉にも体が動いた事で転落人生の幕開けとなってしまった。
ジェントル・クリミナルは、ヒーロー落伍の成れの果て。
どんな手段を使っても歴史に名を残す――例えそれが悪事であっても――と考えていた。
そこに、ジェントルの動画を見てファンになったという少女・
さらには、進む方向を間違えていると真摯に訴えてくる少女・塚内
私はやり直せるのだろうかと、ジェントルは真面目に考えた。
二年間、喫茶店を経営しながら考え続けていた。
ヴィジランテとしてヴィラン達を私人逮捕しながら、ずっと。
* * *
考えるより先に体が動いてしまったことで、自分は全てを失った。
しかしあの時、私は。
「「ジェントルーッ!」」
カメラを構えて撮影している、
超大型
二人の叫びが、同時に聞こえる。
同じだ。
あの時と、全く同じ。
このままでは、彼女は何もできずに地面に叩きつけられる……!
――君はヒーローの救助を妨害した――
手が震えている。
――これは、公務執行妨害にあたり――
膝が震えている。
――君は、罪に問われる――
体が震えている。
違う。
私はあの時、落ちる人を助けたかった。
考えるより先に体が動いてしまったぐらいに、落ちる人を助けたかった!
動け、動け、私の身体よ!
ほんの一瞬でいい!
ヒーローがどうとかでなく!
落ちる人を助けたいからこそ!
……今度は、妨害しない!
* * *
あの時とそっくりな状況だったが、ジェントル・クリミナルは冷静に観察できた。
落ちる塚内空を助けようと、羽根山和歩が跳躍の個性で駆けつけようとしている。
そして、その遙か向こう側、空の上。
「ラブラバァーッ!」
ジェントルは叫びながら、目標地点に向けて凄まじい勢いで走り始めた。
ジェントルの身体が、ピンク色のオーラに包まれる。
「行って、ジェントル!」
さらに加速したジェントルが、その勢いのまま跳躍した。
ジェントルの目の前で、落下時のことを考えず勢いで跳躍した羽根山和歩が、空中で塚内空を抱きしめた。
「空くん、和歩くん! そのままだ!」
「はいっ!」
ジェントルの叫びに、空を抱きしめた和歩が返事をする。
ピンク色のオーラに包まれたジェントルが、二人まとめて遙か上空へ弾き飛ばした。
「大丈夫……
聞こえるはずのない声が聞こえて、空は驚いた。
空と和歩の二人を空中でキャッチしたザ・スカイクロウラーが、笑顔を浮かべていた。
「今度は最初に、俺が来たー、って言ったよ?」
「そういう問題なの?」
空と共に抱きしめられたまま、和歩が呆れる。
「……ありがと、クロウラー」
「どういたしまして、師匠」
空の言葉に、ぽややんヒーローは、へにゃりと笑った。
塚内空も、へにゃりと笑った。
* * *
超大型
「巨大化の個性を消せば当然縮む。それから捕縛するのが合理的……だな」
「ターボヒーロー・インゲニウム、現着!」
チームIDATENの到着に、イレイザーヘッドは苦笑する。
「ちょっと遅かったな。いや、ギリギリ間に合ったのか」
「今回は、サイドキックが早すぎました」
インゲニウムは、そう言って苦笑した。
超大型
* * *
「被疑者の身元は?」
「
「ああ、やはり……血流障害による口腔部の変色。
拘束された二人の
トレンチコート姿の塚内警部は、まるで刑事ドラマのように似合っている。
「対応したのはどこのヒーローだ?」
「イレイザーヘッドとチームIDATENですが、ヒーロー出動要請前に
「無認可の
タブレットに調査情報を入力していた猫顔の刑事が、顔をあげる。
「まぁ何者であれ、
「おいおい
「あっ……ハイ」
生真面目な塚内警部が、
「法律ってもんがあるんだ。相手が
電話で受けた内容を、塚内警部に伝える。
「塚内警部、チームIDATENから連絡です。超大型
連絡事項を伝達している途中なのに、塚内警部は無言で拳銃を取り出した。
ぎょっとする
「……塚内警部?」
「被疑者、
「何が『やむを得ん』ですか塚内警部!」
* * *
ジェントルのトラウマは、もう消えたと思い込んでいた。
……そりゃ残ってるよね、身体だって硬直しちゃうよね。
今回の一件で、ジェントルのトラウマは解消できたと思いたい。
原作の航一さんの家、つまり皆の集合場所が、喫茶ジェンラバになりそう。
一応、原作で航一さんが住んでいたビルの屋上ペントハウス(ペントハウスとは言ってない)には、高校生時代からサイドキックの今も、航一さんが一人暮らししてる。
行こうと思えば行けるんだけど、なんだか気恥ずかしい。
珠緒ちゃんRTAをするかどうかはともかく、対No.6にも役立つものを買っておこうかと考えた。
結構な値段がしたけれど、それだけのリターンが見込めるぐらいには便利だと思う。
だとしても、こんなものが便利グッズ扱いになってしまう鳴羽田の街って、一体。
臭気測定器で死体を探した方が早いと考えてしまうから、私はヒーローになれない。