【フォールン】《fallen》
落下した。地に落ちた。
陥落した。(砦などが)奪われた。
堕天使。
* * *
天界ジャンプ
未来の大創世神を鍛え上げる『二次・外伝系』部署のヒエラルキーは、残念ながら下の方だった。この部署の目的は、上位存在に人気が出た宇宙をベースに平行宇宙を作り、新人神にスピンオフ宇宙やクロスオーバー宇宙を生み出してもらい、宇宙創世に慣れてもらうこと。
いずれは一次創作宇宙の創成を手がけてもらい、より多くの上位存在を楽しませることで高い熱量を貰う。
だが、天界マンガボックス、天界マンガワン、天界comicoなど競合他社も多い。
「刺激が強いものや、短期的に話題があるものが受ける」。
編集長は、エログロバイオレンス路線の編集方針を前面に押し出していた。
その編集は、ヒエラルキーの高い上の部署に手っ取り早く行きたかった。
だが、割り当てられた新人神の使い勝手が悪すぎた。
こういう時は高圧的に新人神を叱り、無理矢理ケツを蹴り飛ばせばいい。
「人気の高い宇宙同士を掛け合わせて、ノンストレス系クロスオーバーで話題を稼げ」
「えっ、いえ、その、ノンストレスや日常系は苦手でして……」
「だったら人気宇宙を下地に、クモラセ? とかTSで適当にエロくしときゃいいんだよ!」
その編集は『僕のヒーローアカデミア』をいじれと新人神に指示を出し、飲みに出かけた。
放置された新人神は、仕方なく設定の根幹をいじることにした。
外伝系での改変は該当宇宙の創世神に許諾を得るが、二次系での改変は許諾の必要は無い。
新人神は担当編集の指示通りに、創世神HKが定めた大事な初期設定をいじった。
いじった初期設定は平行宇宙が丸ごと消えかねないものだったが、止める者は誰もいなかった。
* * *
その
身の回り全てが自身の所有物だった。
母親から与えられる筈の栄養をほとんど兄に奪われたので、妹はとても小さく脆弱だった。
だが、手に持っていた
兄は妹を「自身に何も与えない存在」として軽視していた。
だが、妹の成長に伴い、兄はその扱いを変えた。
天界ジャンプ編集部であれば、そうはならなかった。
だがこの平行宇宙は天界ジャンプ
フィルターの無い原液の性欲が存在し、生まれた性欲を解消すべく住民はキチンと動く。
結果として、成長した妹に付加価値がついていった。
妹であり、女であり、生きた性欲処理の道具という属性が追加された。
兄は妹に、恋人と妻という属性も追加しようと考えた。
混乱の時勢、自分達には戸籍がないから、兄妹とは証明されない。
超常黎明期の混乱は、兄にとって大変都合の良い世界でもあった。
毎日のように兄の
世界を恨み、世界を憎み、世界を否定し続けた。
妹に母という属性が追加された時、兄は狂喜乱舞した。
婚約指輪代わりに、兄は妹に異能を与えた。
それは『力をストックする』という異能。
兄に幽閉され、妻というより肉奴隷という表現の方が正しい生活を妹は送っていた。
だが、対抗勢力の
彼女の腹の中に居た兄・
子を産むにせよ、
兄にとって都合の良い混乱の時勢は、皮肉にも彼の子を隠すのに都合の良い時勢だった。
待て、何故行ってしまうんだ。
あんなに愛し合ったじゃないか。
力を与えてやったじゃないか!
なんだお前は、離れろ!
お前は僕のものだ、僕を見ていろ!
……僕のものにならないなら、もう――
だが、妹にして妻である
駄目だ! 許可しない!
大好きだ! 大好きなんだ!
お前がいないと僕は駄目なんだ、
* * *
母たる
結果としてその
だが混乱の時勢であるからこそ、人は子供に未来を託そうとする。
惜しみない愛情と肯定が、絶望の子に与えられていく。
それは世代を超え、実に100年以上も続いた。
AFOの血を引く塚内翔子がエアウォークの個性を持って生まれたのは、個性婚の結果だった。
世界を恨み、憎み、否定する異能の個性因子は慢性的な栄養不足に陥った。
100年以上の飢餓を経て、認識できぬほどの因子のようなゴミと化してしまった。
消えたくない。
このままでは、栄養不足で消えてしまう。
世界を恨み、憎み、否定する異能は、上位宇宙を含めて栄養を求め、探し回った。
栄養になりそうなものなら、もはや何でも良かった。
* * *
どこかの上位宇宙で、兄妹が楽しそうに歓談していた。
よりによって、自分が存在する下位宇宙の話だった。
「はー。ヒロアカ世界に転生とかしたら大変そう」
「個性ガチャで当たりを引ければラクだと思う。あるいは自分ならこんな個性が欲しい、みたいな願いがヒロアカ世界の神様に通じるかどうか」
兄と思われる男性は、『ヒロアカ世界の神』が実在することを知らずに適当な事を言い出した。
「欲しい個性、って言われてもなぁ……」
妹と思われる女性は、しばし考えた後にこう言った。
「個性『否定』! 相手の個性を否定して無効化しちゃう」
「イレイザーヘッドの『抹消』の上位互換?」
「バランス調整的に、接触条件をつけた方がいいかも」
「接触条件の個性『否定』なぁ……」
上位宇宙で、偶然にも自分に相応しい名前の個性の話をしていることに個性因子は驚愕した。
妹は格好つけるポーズで、兄にドヤ顔をしてみせる。
「覚醒したら概念系に進化。重力を『否定』して、空も飛べる!」
「最終的に殴り合いになるから、どちらかといえば俺向きの個性なんだろうけど」
兄は腕組みをして、真剣に脳内シミュレーションをしてから苦笑した。
「駄目だな。確かに強いけど、ヴィランにバレた瞬間にAFO自らが速攻で殺しに来る」
「駄目かぁー」
同じ兄妹のはずなのに、この差は一体なんなのだろう。
毎日のように陵辱され、世界を恨み、憎み、否定し続けた結果生まれ落ちた自分。
なのにこの兄妹は、楽しそうに自分の世界(下位宇宙)の事を語り、笑っている。
上位存在が死ぬと、転生神の審査を経て下位宇宙に転生したりすることがある。
だが、そういう決まり事はもはやどうでも良かった。
この女が死ぬまで待っていたら、自分の方が消えてしまう。
法則だろうが因果律だろうがなんだろうが、否定してみせる。
ならば、生きている間に無理矢理、自分の下位宇宙に転生させてしまえばいい。
栄養不足で完全に消え去る前に、上位宇宙存在の女を強引に転生させることに成功した。
あとは、転生したこの女が『世界を恨み、憎み、否定する』行動をするか、そういう言葉を口にすればいい。
しばらくは、思考誘導程度が関の山だろう。
だが、ヒーローが頂点の世界でヒーローを否定させ続ければ、いつかきっと。
個性『否定』という素敵な名前を自身に与えてくれた存在は、自分を立派に育てあげてくれることだろう。
* * *
塚内翔子は、娘になんらかの個性があることはわかっていた。
娘を抱えてエアウォークの個性を使おうとした際、時折飛べなくなる事があったからだ。
相手の個性を一時的に消すなど、そういう方向性の個性だと直感はしていた。
だが、娘を褒め、愛情を注げば注ぐほど個性因子が小さくなっていく。
個性発現、因子形成、難しい本を沢山読んで、医者と真剣に議論を重ねた。
娘を褒めて、愛情を注ぐと個性因子が小さくなるのなら。
娘を罵倒し、虐待でもすれば個性因子が大きくなるのだろうか。
だとすれば、これは発現してはいけない個性だということになる。
仮に、愛娘に相手の個性を消す系の個性がはっきりと発現した場合。
ヒーロー寄りに育った場合は、ヴィランに殺される。
ヴィラン寄りに育った場合は、ヒーローに逮捕される。
刑事の娘を、ヴィランとして育てるのは御免被る。
それなら、たっぷり褒めて、愛情を注いで、無個性にしてしまった方がずっといい。
「空。お母さん、あなたのこと、役所に『個性:無し』として登録しようと思うの」
「うん」
「第五世代なのに無個性の可哀想な子。何も出来ない無能。そんな感じに世の中からは扱われてしまうかもしれない。でもそんなの関係無い。無個性の人達は上の世代には沢山いるし、警察も個性使用は禁じられてる。そもそも私達は同じ人間。役所に『個性:無し』として登録されているだけで、できることは沢山ある。できることがあるのだから、できることをやる。お父さんもお母さんも、空のことが大好き。空はお父さんとお母さんのこと、好き?」
「大好き!」
「じゃあ、なーんにも問題無い。生きていて、手があって足があるのなら、私達はなんだって出来る」
「うん!」
娘の笑顔に、塚内翔子は優しく娘を抱きしめた。
* * *
確かに個性『跳躍』で調子に乗りすぎて、川に落ちるところだった。
だけど見知らぬ女の子に腕を掴まれた瞬間、突然跳躍できなくなってしまった。
「良かった。川に落ちるところだったよ?」
「……ど、どうも」
動揺しすぎて、
* * *
「わーーーッ!?」
「よっと」
塚内空が軽くダッシュして、航一の身体を押さえただけでいきなり急停止した。
うーん?
運動エネルギーとか慣性の法則とか制動距離とか、なんかそういうのがあったような?
「あぶなかった……ありがとう、空ちゃん。でも俺の個性『滑走』はブレーキすら無いんだよ。勢いがついちゃうと、今みたいにコントロールが利かなくなって、こうズリズリ~って」
「えっ?」
飛び出すな、車は急に止まれない。
交通標語的な事を伝えようとした航一だった。
だが、次の空の台詞に脳内の全てが吹き飛んだ。
「……それ、浮いてるから反発力的なヤツですよね? 止まろうとするのではなく、逆向きに急加速すれば勢いを相殺できるんじゃないですか?」
「……できた! おおお……積年の問題が! 解決ッ!」
ま、いっか。
航一は、深く考えるのをやめた。
* * *
オール・フォー・ワンに頭蓋骨を割られかけ、塚内翔子は瀕死となった。
だが肝心の魔王様はエアウォークの個性を奪うことに夢中になり、娘を軽視した。
仮に娘の個性が発現し、魔王の個性を消せる存在なのだと判明したのなら。
いとしい愛娘は、一瞬で殺されてしまうだろう。
娘のことは、役所に『個性:無し』として登録した。
第五世代なのに無個性の可哀想な子、永遠にそう扱われてしまうだろう。
塚内翔子は、勝ち誇る。
何も問題は無い。
生きていて、手があって足があるのなら、私達はなんだって出来る。
「お母さんは賭けに勝った。あいつは私の個性ごときで満足した。私の大事な
「お母さん、お母さん、お母さん!」
「逃げて……逃げて、
「そんな身体で無茶だよ!」
頭と身体が、冴えていく感覚。
無個性の娘を必死に助けようとする母親の姿を見せれば、あいつはそこで思考停止をする。
死体を埋めて隠したいのなら、死体の上に犬の死骸を埋めておけばいい。
使い古された古典的なトリック。
だが、無個性だからと娘を軽視した間抜け野郎には相応しい。
塚内翔子は、魔王の手から娘を守りきってみせた。
* * *
塚内空を
ダメージを吸収できる個性をオマケで貰ったはずなのに。
あっさりと頸椎を叩き折られ、顔面を粉砕されてしまった。
鉄パイプとはいえ、扱っているのは小学生女児。
大して威力があるわけでもない。
なのに、増強系の個性を含めて身体がうまく動かない。
よくわかんねぇな?
そう思いながら、ダメージ蓄積が限界に達したヴィランは死に絶えた。
* * *
ヒーローが頂点の世界でヒーローを否定させ続ける。
そういう思考誘導が限界だった。
塚内空をとりまく環境は思いのほか愛情に満ちていて、やりにくい。
だが、個性『否定』が狂喜乱舞する出来事が不意に発生した。
塚内空が『世界を恨み、憎み、否定する』言葉を口にし、そういう行動をしてしまったのだ。
「北極星に背を向けて進んでください!」
そう発言し、実際に
これは、100年以上栄養不足に苦しんでいた個性因子にとって、充分すぎる栄養だった。
ピースサインを否定したり、No.1を否定したり。
ひたむきさを否定したり、キタカゼを否定したり。
六等星を否定したり、ポラリスを否定することは、創世神HKへの否定に繫がる行為。
MMORPGやソシャゲなどの、第三者と会話できるゲームでチャットしていた際。
普通に会話していたはずなのに、単語や文章が「****」に変換された経験はないだろうか?
そんな、出来の悪い伏せ字フィルターによる言葉狩りじみた行為。
餓え続けていた個性『否定』にとっては、もはや何でも良かった。
* * *
前世の兄に対して、個性『否定』を提案したことは覚えている。
私が何故かヒーローになれないと思い込んでいたのは、多分コレが影響している。
ヒロアカ世界の神様に個性『否定』を願ったつもりは、欠片も無いのだけれど。
胸の痛みがおさまってからは、今の自分がそういう個性を使えるのだと感覚的にわかってしまう。
北極星に背を向けた瞬間に胸が痛み出した。
だとすれば、私の発言がOPやED曲の否定と受け止められた可能性がある。
個性『否定』が三流BOTのように思えてしまい、わりと真顔になってしまう。
ただ、この個性『否定』が、前世の兄との冗談話の中で出した能力を秘めているのであれば。
表向き、私は変わらず無個性を通した方がいい。
そして、AFOをはじめとしたヴィランを殺す時だけ牙を剝けばいい。
個性『否定』の自分をOFAに取り込むのは、ちょっと無理があるよね。
ごめんなさい、オールマイトさん。
貴方は何も、悪くありません。
兄が懸念したように、この世界がエログロバイオレンスの表現の自由が追加された『僕のヒーローアカデミア』を包括していたとするなら。
同性たる弟にすら異常な執着を見せていた兄が、美少女たる妹に対して何をするのか。
ナックルダスターが現れなかったヴィジランテ一話を想像するだけで、簡単にわかる。
ヒロアカの前日譚であるヴィジランテは、第一話から過激だ。
とてもじゃないけど『今までゴメン』の一言では済まされない。
・暴行罪(刑法208条)
・脅迫罪(刑法222条)
・強要罪(刑法223条)
・侮辱罪(刑法231条)
・器物損壊罪(刑法261条)
・いじめ防止対策推進法違反
だから、ワンチャンダイブ君はれっきとした犯罪者。
人気投票で七連覇したから無罪、という法律は今のところヒロアカ世界には無い。
でもヴィジランテ一話の不良達は、あまりにも悪辣すぎる。
強盗傷害罪(強盗が未遂でも成立)、不同意性交等未遂罪、不同意わいせつ罪、その他。
一話だけで刑務所待ったなしの悪党なのに、作中では何故か赦されて仲間になってる。
……ありえない、よね。
だから。
私の恋愛もまた、赦されない。
仮に私が誰かと結婚して、和歩ちゃんの未来のように子供を産んだとして。
その子供が、私のようにAFOの瞳を受け継ぎ、あまつさえ彼のような、あるいはそれ以上の存在となってしまったら?
考えたくもない。
だから最後の最後に、航一さんに殺してもらうのだ。
それでいい。
それがいい。
* * *
四月に入り、私立聡明中学の入学式を迎えた。
お茶子ちゃんと飯田君は、原作で仲が良かった。
だから中学でも、二人は同じように仲良くなれるはず。
キャプテン・ニンジャ・セレブリティは、もう暫くで帰国する。
伊賀忍者の末裔(仮)であるお茶子ちゃんは、大変残念がっていた。
入学式の日は入学式と簡単な説明だけなので、終わるのが早い。
通学自体はダッシュするにしても、初日ぐらいは私立聡明中学を徒歩往復してみたかった。
壊れていなかったオールマイトヘッドフォンをつけて帰路につく。
行きとは違うルートを、わざと選んでみよう。
ぴんと立った二本の突起――平和の象徴を模したその形。
今の私には、なんだか滑稽な王冠に思える。
聞こえない。何も聞こえない。
ノイズキャンセリングの静寂が、とても心地よい。
航一さんがくれたこれは、私をオールマイトにはしない。
誰の声に惑わされることなく、私を独りにしてくれる。
折角のヘッドフォンだし、ランダム選曲で歩きはじめる。
適当な洋楽を、Amazon musicで流す。
私立聡明中学の制服に、オールマイトヘッドフォン。
音楽に合わせて鼻歌交じりに歩く私を、皆が微笑ましそうに眺めてくれる。
都内には珍しい、やや長めの下り階段にさしかかった時。
ランダム選曲がチョイスした音楽に、思わず私は笑ってしまった。
(BGM:Gary Glitter「Rock & Roll Part 2」)
ヒロアカの
2020年11月の『僕のヒーローアカデミア』で披露されたものだ。
「イキル者タチ」でYouTube検索してはいけない
2019年10月に、バットマンのスピンオフ映画『JOKER』が公開された。
この映画内の『ジョーカーダンス』が、『ダビダンス』の元ネタであることは明白だ。
映画を知らずとも、JOKERに興味が無くとも、YouTubeで「ジョーカーダンス」と検索すればすぐに見られる。
長めの下り階段を降りながら、ジョーカーがダンスを踊る。
この『Gary Glitter「Rock & Roll Part 2」』は、ジョーカーダンスの時の音楽。
ジョーカーダンスは高く脚をあげたりするけれど、今の私は中学の制服姿。
スパッツは履いてるけれど、ジョーカーダンスは合わないような気がする。
折角のヒロアカ世界だし、『ダビダンス』でいいよね。
……いけない。
なんだか、愉しくなって来ちゃった。
私は右手を高く挙げ、片脚を軸に身体をくるりと一回転させ、頭上で拍手をする。
元ネタへのリスペクトもこめて、踊りの内容がわからない箇所は階段を降りる。
右手を何回か振ってから、両腕を大きく広げて回り出す。
どうしたらあなたが苦しむか。
絶望で感情を満たしてくれるのか。
あの日以来、ずーっと考えてます。
青空を見上げながら、私は右手で頭を抱えた。
美人の妹さんと、近親相姦できて満足でしたか?
駆藤さんの血縁を絶やしたのは、多分原作と意味が違いますよね?
駄目ですか? 許可しませんか?
大好きですか? 大好きなんですか?
お前がいないと僕は駄目なんですか?
原作にいないお母さんがいて。
私が今ここにいるってことは。
血縁の絆を感じず、自ら子孫を殺した間抜け野郎ってことですよね?
ステップで階段を降りる。
私は笑顔で両腕を広げ、バックしながら踊る。
背を曲げ、青空を見上げる。
知らないようだから、教えてあげましょう!
私はノリノリで姿勢を正し、両手を胸に当てて微笑む。
……過去は、消えない。
ザ・自業自得です!
さあ、一緒に堕ちましょう、
地獄で三億回は殺してあげます、ひいひいひい……ひいおじいちゃん?
うーん。
おじいちゃんとか呼んだら逆効果な気がする。
『化石』……『ボケ老人』……『カビ』?
『トイレ掃除ですっぽんについてきちゃった茶色いこびりカス』?
Hey!(Gary Glitter「Rock & Roll Part 2」の合いの手)
* * *
迂闊だったのは、この時の踊りを通りすがりの誰かに撮影されていて。
それは、オールマイトヘッドフォンをつけて私立聡明中学の清楚白制服で楽しげに踊る新入学生にしか見えなくて。
しかもよりによって、青空の下でのダンスだったから『ソラダンス』とかいう偶然の一致タイトルにされて。
『Gary Glitter「Rock & Roll Part 2」』に合わせて『ダビダンス』で階段を華麗に降りていたはずなのに、『ソラダンス』としてめっちゃBUZZってしまい。
和歩ちゃんには私がBUZZりたかったと文句言われるし、お茶子ちゃんからは私も一緒に踊ると言われるし、恥ずかしくて恥ずかしくて穴があったらAFOを埋めたかった。