【タクティクス】《tactics》
戦術、戦法。
特定の目標に達するためのプラン。
* * *
11月26日、運動場
冬の季節、皆が冬仕様の厚着版ヒーローコスチュームとなっている。
「ワクワクするねー!」
「葉隠、寒くないの?」
「めっちゃ寒ーい!」
「根性だね……」
真冬だからと制服+スカートにジャージを着たり、タイツを履いて寒さ対策をする女子はいるが、意地でも生足で通すファッション重視JKもいるので、そんな彼女達に周囲の男性は年齢問わずで無言の感謝を捧げたりするものだ。
だがステルスヒーロー・インビジブルガールは、もはやそういうレベルではない。
全裸に手袋とブーツだけというのはよくよく考えると、いや、よくよく考えずとも男子生徒の性癖をバキバキにへし折ったあげくFANZA同人誌に行くしかない。
雄英体育祭の騎馬戦において、生尻生足状態で男子の肩に乗ってしまうのだから、原作で馬となった
話が270度ぐらいズレたので唐突に元に戻すが、入学時と比べると皆のコスチュームもだいぶ様変わりをした。
「かっちゃんも変えてる!」
「あー!? 文句あんなら面と向かって言えやクソナードが!」
案の定、爆豪に怒鳴り返されていた。
(結局、アタッシュケースすら持ち歩かずに済んじゃってる……メリッサと発目さんも凄いけど、パワーローダー先生も正直ヤバすぎる)
だがヒーローコスチュームとして中身はフルチューンされており、完全な別物だ。
資本と特許と技術者が大暴れし、世界でも数の少ない超圧縮技術が贅沢に盛り込まれている。
「空ちゃんは、あんまり見た目が変わってないのね」
「そう見えるでしょ? そこが大事なの。その辺に居てもおかしくない都市迷彩っていうか」
「ふむ。だが塚内くんの都市迷彩は、運動場
「さァ、A組! 今日こそシロクロつけようか!?」
「今回、
「
ブラド先生の言葉に、
「倒す!」(爆豪)
「女の子?」(上鳴)
「一緒に頑張ろうぜ!」(
「……ヒーロー科編入を希望している、普通科C組の
スーツ姿の相澤先生の言葉に、全員が驚愕した。
「あれ相澤先生の捕縛布?」
「マスクはオリジナルかな」
「よろしくなー!」
皆がざわめく中、心操が皆へ挨拶をする。
「俺はもう何十歩も出遅れてる。悪いけど必死です。この場の皆が、越えるべき壁です。馴れ合うつもりはありません」
「ギラついてる」
「引き締まる」
「初期ろき君を見ているようだぜ」
「そうか?」
「うん」
轟は轟で、父親の赫灼熱拳を会得すべく毎日必死だった。
荼毘の告発以降、死ぬ思いで訓練を続けている。
全ては、荼毘戦を見越してのものだ。
「今回はA組とB組の対抗戦! 双方四人組を作り、
ブラド先生の説明に、B組の
「四人
「楽しそう」
「心操を加えると41名。この半端はどう解決するのでしょうか」
・心操は二回参加。A組B組に一回ずつ
・五試合中二試合は 5vs4 の訓練
・状況設定こそヒーロー対
・四人捕まえた方が勝利
・双方の陣営に、激カワ
・五人チームでも四人捕らえられたら負け
・スタートは自陣から
・制限時間は20分
・時間内に未決着の場合は残り人数の多い方が勝ち
相澤先生とブラド先生が、交互にルールを説明していく。
くじ引きの結果は、原作の青山優雅と塚内空を入れ替えた形。
つまり、二戦目にA組の司令塔が二人いることになる。
【二戦目】
・
・
・
・
VS
・
・
・
・
そこに、オールマイト先生とミッドナイト先生もやってきた。
「どっちが勝つと思います?」
「どうだろうねぇ。ピンチに力を発揮するA組か、堅実に全体を底上げしているB組か」
見学者も加わりながら、A組とB組の対抗戦がはじまる事になった。
* * *
一戦目の最中に、私は常闇くんとヤオモモちゃんと葉隠さんを呼んだ。
「二戦目ですが、まともにやると私達が負けます」
「……えっ?」
葉隠さんが、動揺した声をあげる。
ヤオモモちゃんは、真剣な眼差しで私を見つめてきた。
常闇君が、止まるんじゃねぇぞボイスで声をかけてくる。
「聞かせてくれ、塚内」
「拳藤さんは近接戦に長けた司令塔ですが、他が全員厄介です。一番最悪なのが小森さんで、彼女に本気を出されると一瞬でこちらが全滅します。彼女にとっては、肺呼吸する人間なんて肺と気管を潰せばいいだけの相手でしかありません。黒色くんは黒に溶け込み黒を動かせる……常闇くんにとっての天敵と言っていい。吹出くんは、その気になれば運動場
「誰一人油断できない個性をお持ちなのに、それを拳藤さんが完全に指揮なさるのですね……」
ヤオモモちゃんが、苦悩しているのがわかる。
必死に、脳内でシミュレーションをしているんだと思う。
「ヤオモモちゃん、逆に考えてみて。貴女が拳藤さんなら、どうするのかを」
「私が、拳藤さんなら……?」
真剣に考えた後、ヤオモモちゃんが口を開いた。
「……光を使わせます。黒色さんが常闇さんの天敵であるのなら、光を使わせて相手の位置を把握して……各個撃破」
「正解」
ぱああ、と擬音が見えるぐらいにヤオモモちゃんが喜んだ。
「だから光は使わない。……この戦い、ヤオモモちゃんだけでなく全員の動きが鍵になります」
* * *
「尾白。そのままだ……顔を動かさずに右の方角」
「なんなんだよ、峰田。二戦目の準備中ってだけだろ」
「素直になれよ、A組巨乳トップ3の密談だ。お前が唯一さん付けをする葉隠もいるぜぇ」
「なぁっ!?」
「くっそー、録画してぇ……」
峰田は、親指の爪を歯で嚙んだ。
彼らの会話が聞こえてしまった
* * *
「第一セットぐぬぬぬぬ、A組プラス心操チームの勝利!」
ブラド先生が、歯ぎしりしながらA組の勝利を宣言した。
生徒の皆で反省点や感想を言い合い、次こそはと誓い合う。
「これよ……これですよ、若人の青い春!」
ミッドナイト先生が、エロ同人レベルで歓喜に震える。
表情がちょっとイっててヤバい感じだった。
「冬だけど」
流石のオールマイト先生も、ツッコミを入れた。
* * *
「八百万さ! 個人的にちゃんと戦ってみたかったんだよね!」
「誠心誠意、お受けいたしましょう」
「八百万の方が、成績も個性も上なのに一緒くたにされてんのが、地味に嫌だったからさー」
林間合宿において、死刑囚ムーンフィッシュは女子生徒との壮絶な死闘をしたと報道された。
塚内空、
そして林間合宿自体が嫌な思い出だっただろうからと、皆は触れないし話題にも挙げない。
だから拳藤も小森も、塚内空に対して体育祭で準優勝した無個性という括り方を外すことができなかった。いかなる卑怯卑劣な手段を使ってでも、四人の総掛かりで潰した方が良い相手がいることを、真に理解できていなかった。
(拳藤さん。違いますの本当は。違いますのよ拳藤さん。私、
八百万は、立ち去る拳藤の背中を見ながら内心で思う。
(戦いの
* * *
「それでは頑張れ
偏向実況をやめないブラド先生の号令一下、戦いが始まった。
「拳藤ってB組でどういう立ち位置なん」
「おう!」
瀬呂の質問に、鉄哲が答える。
「ありゃあやる奴だぜ、なんたって委員長だからな! 頭の回転早くてとっさの判断も冷静だ、それでいてクラスをまとめる明朗な性格! B組の姉貴分、それが
「とっさの判断、か」
それを聞いていた轟は、実況用の巨大スクリーンを見上げた。
「それをできる人間が、第二チームには二人いる」
* * *
ホークスは、何でも一人で解決してしまう。
職場体験では、ひたすら彼を追いかけて後処理をするだけだった。
何故俺に声がかけられたのかと、疑問が湧く。
「鳥仲間」
……俺は、伝書鳩じゃない。
一週間の職場体験では何も教えられることなく。
インターンでは、一言だけ教えてもらった。
「後進育成とか、する気ないんだけどさ。君はもっと自由に動ける。飛べる奴は飛ぶべきだよ」
夜の福岡タワーの天辺付近に立ち、夜景を見ながらホークスは言った。
「地面に縛りつけられる必要なんてない」
* * *
八百万が真っ先に作り上げたのは、イヤホンマイクだった。
次いでスモークグレネードを複数、サーモグラフゴーグル常闇用、滅菌スプレー複数。
ボタン式の打ち上げ花火と、絆創膏。
「
「バイザーON!
常闇とへその緒で繫がっている
塚内空の顔に突如バイザーが出現し、鳥を模した
フギン、ムニンと呼ばれた飛行ユニットと、
「行ってきます」
飛行ユニットの後を追うように、塚内空が工業地帯の上へとジャンプしていった。
「様子見の
待ち構えていた拳藤が、読み違いに顔を曇らせる。
黒色は舌打ちをした。
「影が動く、これじゃあ……!」
「光を使ってこない! プランB!」
拳藤の声が聞こえるギリギリにいた吹出が、空中に向けて擬音を発した。
彼の個性『コミック』により、ギャギャーンというオノマトペが実体化し、空を駆け抜けた。
「光ってはないけど黒色失敗。キノコまみれにしちゃいノコ!」
プランBの指示を受け取った小森が、個性『キノコ』でそこら中をキノコ塗れにしはじめた。
しかし、そのギャギャーンの根元に、何かが投げ込まれた。
「なんだぁ? 心がドワァーってなっちゃうぜ!」
手榴弾かなにか、爆発するものっぽい。
そう判断した吹出が伏せた瞬間、吹出の周囲が一瞬で煙に包まれた。
「吹出確認、スモークグレネード投下!」
「キノコ増殖を確認、キノコ密集地帯その中央……居た! 一際高い煙突の下!」
常闇と塚内が叫ぶ。
前者は肉眼だが、後者はフライングユニットによる偵察サポート。
「こちらの鼻にもキノコを確認、お気を付け遊ばせ!」
相当距離が離れているはずなのに、鼻の頭にキノコが生えたのを確認した八百万は『肺呼吸する人間なんて肺と気管を潰せばいいだけの相手』というのが事実であると再認識して震えた。
「煙ィ!? 影もへったくれもねーぞ!?」
「八百万を潰さないといいようにされる、吹出は分断! 黒色、私らで八百万を叩く!」
しかし、煙に包まれた吹出の返事がない。
「吹出!?」
「
煙の中、サーモグラフゴーグルによって一方的に周囲を見ることができる。
常闇は、吹出を一撃で昏倒させて拘束した。
ほぼ同時、小森のそばにスモークグレネードが投げ込まれた。
煙が周辺を満たし視界が不明になる中、小森が叫ぶ。
「……肺攻めスエヒロダケちゃん!」
「させない……不殺三連!」
滅菌スプレーを目の前に噴霧しながら一気に飛び込んできた塚内が、スプレーを投げ捨てながら小森の両こめかみを両拳で打った。あと二回(男子にはプラス一回)続くはずだった不殺三連だったが、最初の一撃で小森は気絶してぶっ倒れた。
「……あれ?」
塚内は困惑しながらも、小森を抱えてプリズンへと向かう。
不殺三連は、相手が
「こちらに来ましたわ、拳藤さんと黒色さん!」
八百万の連絡に、常闇と塚内がすかさず答える。
「急いで戻る!」
「同じく!」
全力で八百万に向かっていた拳藤が、八百万を視界に捉えてジャンプした。
「力で攻めきる!」
「盾をッ」
拳藤の個性『大拳』による連打攻撃で、八百万が生成したタングステン製の盾が一瞬でへこみ、耐えきれずに八百万は吹き飛んで転んだ。
なお『タングステン』だとモース硬度7.5、『タングステンカーバイド』だとモース硬度9だが、原作表記通りに前者とする。素のタングステンでも鋼鉄より硬いので、拳藤の打撃は計算上、戦車の砲弾クラスの運動エネルギーを持っていることになる。
そんな衝撃の連打を何発も受け止めれば本来は吹き飛んで転ぶだけでは済まないが、相手はヒーローの卵なので大丈夫。一般人相手だと内臓破裂や複雑骨折不可避なので注意が必要だ。
「格闘分野に持ち込めば、こっちにも勝機はあるってね!」
「陰謀ヒーロー・ペンタブラック、これが俺のやり方さ!」
転んだ八百万の背後にあった障害物の影から現れた黒色が、彼女に向けて手を伸ばした。
その瞬間、ボタン式の打ち上げ花火があがった。
空中に強烈な光が発生し、周辺に現在地がわかりやすく示された。
光が発生したことで影が消え、黒色は隠れ場所を失い、一時撤退を余儀なくされた。
「なっ、なんだぁ!?」
「とおりゃああ!」
打ち上げ花火をあげた葉隠が、物凄い勢いで黒色を殴りはじめた。
「
この時、塚内の口八丁に騙され、葉隠は自分の両乳首に絆創膏を貼っていた。
小森のキノコ能力で、体型が
実際、八百万の鼻にキノコが生えた時に、何故か自分の身体のエッチな場所を中心にキノコが沢山生えてきたので、乳首に絆創膏を貼った上で全身に滅菌スプレーを噴きまくったりした。
ゆえに葉隠にとっては騙されたわけでもなんでもなく、塚内に感謝していた。
この状態の彼女を黒色側から見ると、凶悪な巨乳が『そこにある』のだとわかってしまう。
絶妙に宙に浮かんだ絆創膏が激しく震え、その奥にあるものをどうしても連想してしまう。
ぽかすか。ぶるんぶるん。
どかばき。ぷるんぷるん。
「おっぱ――」
「
「――ごふぅっ!?」
ぷるぷるに見蕩れていた黒色の意識がおっぱいで埋まった、まさにその時。
急いで帰還した常闇による
頼りにしていた黒色が瞬殺気味に倒れたことで、拳藤が焦る。
「なぁっ!?」
「貴女の得意分野に持ち込まれた時点で、私は恐らく
黒色が倒されたことで、拳藤は圧倒的に不利となった。
八百万は、転んで倒れたままでニヤリと笑ってみせる。
「拳藤さんお望みの、光ですわ!」
黒色のダウンと、拳藤の背後に四人目の仲間を見た八百万は、胸から閃光手榴弾(※音無し)を生み出した。光による
ピカッ!
「ちょっと!」
強力な目潰しの光に、眼前の拳藤がたまらず悲鳴を上げる。
塚内にとっては一気に近づいて殴り倒す方が早かったが、やることを思い出した。
「
試験運用のことをすっかり忘れていた塚内は、まだギリギリ間に合うとばかりに叫んだ。
超圧縮技術により、ロングコートの裏地に収納されていた九枚の浮遊盾(アーマードオールマイト版よりずっと小さい)が、塚内の周囲に突如出現した。
「
ガンダムのファンネルじみた動きを見せる謎原理の浮遊盾から、体育祭で
オールレンジ攻撃の幾本ものワイヤーが、拳藤をぐるぐる巻きにして拘束していく。
このヴァルキリーランスには、三次元機動補助・攻撃・防御・拘束など、様々な使い道がある。
アーマードオールマイトの『ブラックウィップ、チャージズマ、セロファン』の亜種。
最終形のアーマードオールマイト、及びアーマードソラチャンリーチ。
アーマードオールマイトは、A組の個性を擬似的に使えるようにする超攻撃思想。
アーマードリーチは「個性再現とかいらないから、とにかく実用的に」という運用思想。
どちらにも浮遊盾はあるが、その浮遊盾のみが最優先で開発されたものがヴァルキリー。
アーマードオールマイトは攻撃偏重、アーマードリーチは攻撃以外の能力重視。
『新機動戦記ガンダムW』でいうヴァイエイトとメリクリウスのような関係。
順調に進めば、数ヶ月後にはアーマードオールマイトも稼働可能になる。
将来的に総開発費が12桁円に膨れ上がるであろうマジキチサポートアイテム。
国防用の次期戦闘機を開発するようなものなので、12桁で済むのならお得な世界。
金の掛かり方で言うなら、根津校長の方が遙かに頭がオカシイので何も問題は無い。
総工費も桁数も不明の大金が、現在進行形で根津校長からバラまかれている。彼から流れてきたお金を(積極的に使わないと税金で死ぬので)サポートアイテム開発費用に回している。
「第二セット! 4-0でA組勝利!」
相澤先生の、勝利宣言。
「バイザーOFF!
塚内の命令に、バイザーは上着の首の襟に収納された。
フギンとムニンは帰還と同時に肩パッドに収納された。
ヴァルキリーシールドも、同様にコートの裏地に収納された。
「「「すげえ!」」」
『男の子って、こういうのが好きなんでしょう?』の塊のようなサポートアイテムの出現に、AB両組の男子が全員盛り上がった。爆豪ですら歯ぎしりしていた。
* * *
「塚内さんの最後、あれは手加減かも」
「そうなん?」
この座り位置は原作準拠なので、なんだかんだで麗日から緑谷への矢印は育成されている。
「あの時、塚内さんと
実際には塚内が試験運用を忘れていただけの話ではあったが、緑谷がいうように拳藤の背後からマジカル☆八極拳を打ち込んだ日にはB組委員長の葬儀が始まりかねなかったので、それはそれで正しい。
だが純タングステン製の盾をへこませていた時点で、拳藤の打撃も立派にマジカル認定だ。
「デクくんも成長しとるさ」
「だといいなぁ」
真横でアオハルをしている二人に、峰田が割り込んだ。
「オイラにゃ及ばんけどな」
しかし、その割り込みは緑谷と麗日の二人に台詞ごとスルーされてしまった。
愕然と震えた峰田に、麗日の隣に座っていた
* * *
五戦目。
デクが暴走をし、原作通りに『黒鞭』が発現した。
(いいか坊主、お前にはこれから6つの個性が発現するさ。心を制して、俺達を使いこなせ。頑張れ坊主! 俺達がついてる! ワン・フォー・オールを完遂させるのは、お前だ!)
五代目継承者、
「デクくん……デクくん! 大丈夫!?」
思わず飛び出した麗日に抱きしめられ、デクは動揺しつつも落ち着いた。
「心操くんの洗脳でおさまった」
「何ともない?」
「麗日さん、顔に傷が! ああ、なんてことを……」
そして試合続行の乱戦の中、A組がなんとか勝利をおさめた。
ミッドナイト先生が、マイクを握って皆に伝える。
「これにて五セット全て終了です。全セット、みんな敵を知り己を知り、よく健闘しました!」
第三セットのドローを除き、全てA組の勝利。
「今回の対抗戦! A組の勝利です!」
「これから改めて審査に入るが……恐らく、いや十中八九。心操は二年からヒーロー科に入ってくる。お前等中途に張り合われてんじゃないぞ」
なんだかんだで、原作とたいして流れは変わらない。
第二セットはB組ではなくA組が勝った程度で、結局対抗戦自体はA組が勝つ。
あえて違いを述べるなら、
「ウヒョーッ! なんだかオイラ、ぞくぞくするぜぇ!」
* * *
タルタロス。
本土から約5km離れた沖に建設された収容施設。
一度入れば生きて出ることは叶わない、個性社会の闇。
ゆえに、一番厳重に拘束されている罪人が身じろぎをした時、警告音が即座に発された。
「1540番だ、また動きやがった。昨日から何回目だ」
「……刑の確定と執行、急げないものかね。こっちの身が持たん」
監視の声が聞こえているかのように、監視対象のAFOは返事をした。
「いやぁ……迷惑をかけてすまない。あまりの懐かしさに……身体が
散々蹂躙し、嬲り、愛した彼女の姿が、目の前に見えるようだ。
「――妹の声がする」
拘束されたままのオール・フォー・ワンは、感慨深そうな声をあげた。
次回から作中カレンダーが12月に突入します。
バタフライエフェクトの、盛大な衝突玉突き事故が発生するはずです。