唐揚げとハイボールで星夜アリアの映画を見ました。
プログレッシブ要素をちょこちょこ入れたくなってきた。
ミトちゃん可愛いね♡逃げ出した臆病者の嘘つきがよ。
アスナとの約束破ってどんな気持ち?感想を述べよ!
「よしっ、回収~」
宝箱を蹴り開け、その中に置かれていたアイテムをタップ。迷宮区前の森のフィールド、そこから隠し通路を通って入る裏口、迷宮区扱いの1フロア。メニューを開き、アイテムを確認する。〝ウチガタナ〟。名前通り、カタナのカテゴリに分類される武器だ。耐久値消耗は多いが未強化でも五層まで通用する代物。そもそもカタナカテゴリの武器が少なかったベータテストでは幻だったが、やはりあったか。今は、まだ要求値不足で装備できないが曲刀も使い慣れている。いつかカタナスキルを入手したらこれを使わせて貰おう。
「うん、満足満足。分け合うのも必要だけど、
こういう事態じゃ然るべき手にあるべきだよなぁ」
シミターを手に取り、迷宮区の裏口から森に出る。
取捨選択は何においても大切だ。もっと簡単にいえば早い者勝ちであり、行動が遅いと機を逃す。一期一会は常にこそ。思い立ったが吉日である。
さて、今のレベルは5。
今日中には9には行っておきたいところだ。
となれば狩りだ。レベル上げとなればパワーレベリングだ。森ではネペントが出る。そいつらを狩り尽くそう。近くならきっとクエスト報酬を目当てにやって来た奴らがいるはず。そいつらからハイエナするか、或いはそいつらごと狙うか。
PKで入る経験値はピンからキリ。
相手のレベルは高ければ高いほどに貰える経験値も良いが、プレイヤーキルはデメリットも大きい。特に、緑カーソルのプレイヤーを攻撃すると、こちらのカーソルがオレンジへと変わる。これは同じプレイヤーを攻撃し、殺そうとした証。それに変わってしまうと、はじまりの町に近づくだけで超が付くほど強力な衛兵NPCと敵対してしまう。ポーションとか補給ができないのは痛い。
うん、PKはやめておこう。
それに茅場さんもここで死ねば本当に死ぬとか言ってたし、初日から殺人なんてのは周りからの印象が悪すぎる。それは面白くない。逆に言えばオレンジを殺すなら合法なのだが。いや合法ではないか、わはは。
となれば、ネペントを狩ろう。
確かベータでは実が成ってる奴を倒せば敵がその周囲に大量ポップしてこちらをターゲットしてきたはず。実付きを狙う方向性で行こう。当然、相手がMobなら見敵必殺だが。
早速、森にネペントが湧いてくる。
触手にデカイ唇、うねうね動くのが最高にキモい。凄まじいポリゴンの塊をこんなのに使うのは楽しそうだ。
まぁ、何はともあれ。
「■■■……」
「!」
背後から斬りかかろうと踏み込んだ瞬間、ウツボカズラにも似たその体躯がこちらを正面に捉えた。そういえばこいつら嗅覚で探知してるとかいう設定か。まぁ、なんでもいい。
「■■!」
「経験値!」
鞭のように振り回される蔓を左右に前方ステップで回避し、シミターを思いっきり叩きつける。
が。
「■■■!!」
「むおっ」
べちっ、と頬を張り飛ばされる。
かなり衝撃が来る。やはり一撃ではHPを削り切れないか。まぁここは迷宮区付近、相手のレベルも同じ5だ。
弱点の根本を狙い、斬り払いつつ後ろに跳ぶ。
そこでようやく、HPバーが吹き飛ぶ。
筋力と敏捷はやや敏捷寄りに振っているが、カタナビルドを考えるとこのままだろう。一撃のダメージもそうだが、だが手数がやはり重要になってくる。ソロで攻略するなら敏捷は多く振るに越したことはないだろう。
「は、っ……悩むなあ」
「■■■■……!」
そうして別のネペントにターゲティングされ、吐き出されるゲロから飛び退きつつ呟く。一時は曲刀を使うし、今はまだこのままで良いのだろう。背後に丁度ポップしたネペントを蹴り飛ばし、耐久値が気になってきていたシミターを投擲。
「■■!?」
「おっ」
回転するシミターがネペントに深く突き刺さり、そのHPを削り飛ばす。と同時に目の前にメッセージが表示される。
『武器投擲スキル』を獲得しました。と。これいる。
そういえばあったねそんなの。耐久値がなくなればすぐ武器投げに移ってたベータテストが懐かしい。店売り武器は初期コルで大人買いしてある。すぐさま、別のシミターを新しく装備し直し、ゲロを吐いてきたネペントに走り出す。
振るわれる蔓の鞭を断ち斬り、跳び、肩にかけるようにして構え、ソードスキルを発動。
「そいっ」
「───■■!?」
曲刀基本ソードスキル〝リーパー〟。
一撃でHPを全損させた振り下ろしの一閃は、力強く、だが、どうにも重い。それは確かにダメージに繋がるが、とはいえソードスキル後の硬直で身体が動かないのはキツイ。
ソードスキルは縛ろう。
微小な差だがその方が武器スキルの熟練度は上がりやすい。情報屋も知らない事実だが、自由に動けた方が楽しい。まぁトドメのHP削りに関してはソードスキルがいいかもだが。
雑魚相手なら必要ないな。二~三回弱点を斬れば倒せる。
「~♪︎」
次。
───
─────
「あァクソッ、出ねぇなオイ!!?」
胚珠が四つ、アイテム欄で俺を馬鹿にしている。
ネペントの花付きは出る癖に実付きが出ない。花もレアだが求めてない。これは片手剣使いに高値で売り付けるとして、もう朝になってしまった。心なしか、いや間違いなく沸きが減っている。不味い、森が枯れる。とはいえマラソンもまたゲームの醍醐味、楽しんでいるのでオッケーです。
花付きの胚珠は高値で売れる。
クエスト用、もしくは換金アイテムだがこんなに要らんわ。金に困らんのは助かるが、レベルはもう8になった。くそっ実付きさえ来てくれれば10は行けたのに……
叫びながらもシミター(五本目)を振るい、ネペントを裂く。
もう弱点狙いなら一撃で消し飛ぶようになってきた。これは狩りの場所を変えなければ………
「クソ……沸かねぇし。嫌われたか!?」
次々沸いてきたネペントたちも、今や視界にすら入らない。索敵スキルにも反応がない。これもカーディナルってやつが悪いんだな。このポンコツめ……殺してやるぞ茅場晶彦。
もう三百は狩ったはず。土地が枯れるわ!
こんな醜態で休憩などしていられるか。
次の目標はレベル15だ。迷宮区に突撃しなければ!
ネペント狩りより効率は落ちるが迷宮区でたまーに出てくるコボルドも経験値が美味しい。そっちを狩るか。
「………おぉ!?」
ふと顔を上げてみれば、HPバーが真っ赤になっていた。
死にかけてる!慌ててアイテム欄からポーションをそそくさ取り出して口に突っ込む。不味い。おいしくない。
ゆっくり回復していく辺りでレベルが上がったのを再確認。遅い遅い遅い。二本目と三本目を纏めて口に咥え、森の中をふらふらと駆け回る。駄目だマジで枯れてやがる!ほんとに出てこなくなってしまったネペントが恋しくないややっぱり無理。あれはキモいわ。
………にしても、しかし。
「……やっべ、ポーションの在庫が不味いな」
一回近くの町に寄るか。こればっかりは楽しくないが、まぁ仕方ないと割り切るべきだ。生憎と、走ることでHPが減る、なんてことはない。流石はゲーム、幾らでも走れるのだ。
それならさっさと近くの町に行こう。
なんだっけ名前は……バナナ?
~
トールバーナでした。
早朝ということで開いてない店も多いが、それなりに広めのこの町では、路地裏なんかで割と開いていたりする。そんな闇市の一つで、ネペントの胚珠を全部換金、それから稼いだ金を使い、ポーションを、それから安物の、銅製シミターを買い込んでおく。
流石に夜明け後ということで、人通りは少ない。
………と、思ったのだが。
「おん?」
ぱたぱた、ぱたぱた、そんな小さな足音が聞こえてくる。
路地から顔を出してみると、遺跡のような広場に、何人もの子供たちが集まっていた。プレイヤー……いや、NPCだ。
なんかしらのイベントか?いや、こんなイベント、ベータはなかったはず、新規実装にしてはNPCの数が多いな……
近づいてみる、と。
「おお」
いじめだ。
寄ってたかって、複数人で一人を囲んでるらしい。珍しい、イルカなんかの人間以外の動物もいじめがあると聞くけど、まさかNPCにもこんなんがあるとは思わなんだ。
もうちょっと近くで見たい。
そう思い、広場の階段に足をかけてみる、と。
「うわっ、大人だ!」
「逃げろー!」
「うおお!?」
それがトリガーになったのか、子供たちは一斉に広場の外へ走り去っていく。それに驚きつつ、目を白黒させていると、結局そこに残ったのは、一人の男の子だった。
広場の真ん中に尻餅をつき、男の子はぐずっている。
カーソルの色からして、やはりNPC。
素晴らしい精度だ。すげぇなカーディナルシステム。最高に性格悪い。人間の悪いところ出てる。そんなの学ぶな。
と、ワクワクしていると。
その男の子のカーソルの上に現れる(!)マーク。
クエストの導入なの!?
「おほー……すげぇなこれ、興奮してきた」
導入が素敵すぎるだろ。
復讐でもするのかな?やるしかない!このクエスト!
「おーおーどうした、おチビちゃん」
「……お兄さん、もしかして、旅の剣士さま?」
「正解!」
そうやって笑いかけると、男の子はパッと顔を明るくする。可愛いね♡一緒にあいつら殺そうぜ。
「あのっ……お願いがあるっ……あります!」
「どんと来い」
礼儀がなってて好きだよ。人間礼儀を忘れちゃただの猿だ。マナーは人を人足らしめるものである。復讐しようぜ復讐!剣士さまの力であいつら族滅させてやろうぜ!
「僕っ……強くなりたくて!剣が欲しいんです!」
「おーいいよ、あげるあげる」
「い、いえ……お兄さんのは、ちょっと大きくて」
シミターを差し出してみるが、男の子はちょっと引きつつ、首を横に振る。力が欲しいか?やるぞ。これで八つ裂きだ。首を広場に並べてやろうぜ!
「でも……町の近くにある洞窟、
そこにいるコボルドの剣は丁度いいと思うんです!」
「わお」
確かにそりゃそうかもだけどマジで?
アレ鈍いよ。切れ味は悪そうだけど、まぁ、確かにサイズと軽さで言えば丁度良さそうだな。マジで殺戮する?いいね。
「お願いします、
コボルドたちの剣を持ってきて下さい!」
「任せたまえ」
言う必要のないセリフを吐きながら、旅の剣士さまとなった俺は、ウィンドウに現れた『少年の勇気』というクエストを受諾するのだった。