かくかくしかじか…。
色々と積もる話があったので、私は丁寧にスライムとドラゴンに話した。
【へぇ~、俺と同じ転生者なのかぁ…】
「…最も、前世で幻想を抱きながら死んだからか、この姿なんだけどね」
そう言って、光羽を顕現させたりもする。スライムは自分と同じ転生者の存在に喜んでいたが、ドラゴン―――ヴェルドラは困った様子で見ていた。
【幻想を抱きながら死したと…。何と惨い…】
【確かに、カツアゲを庇って殴り殺されたのは、相当にヤバいというか…、その中でこの姿を思い浮かべるのは凄いと思うけど…】
と呟くスライムは、同じように『誰かを庇って死んだ』らしい。
【…スライムのほうもそうだが、貴様も実に稀有な存在のようだ…。この世界でも、転生するものはおるし、異世界人も時折訪れるが…、異世界から転生してくるものなど、我の知る限り、貴様らが初めてだ。まして、我の魔素と人の魂が混ざって、そんな頓珍漢な人間が生まれるなど聞いたことはないぞ】
頓珍漢な人間。そう聞いて、私は少し汗を流した。
【…よし。ここで会ったのも何かの縁だし、皆で友達にならないか?】
結果的に、私は彼―――リムルと友となった。勿論、ヴェルドラとも。
しかし、ヴェルドラはこの洞窟に封印されているようで、リムルが噛み砕いて言うとあまりにも残念すぎて、ここで話すのも癪に障るレベルだった。
「…少し、考えがある。私の“能力”で、術式の解析を試みる」
【能力だと!?】【能力だって!?】
二人して驚いたように、私を見る。
「―――《術式解体》…!」
魔力を流し込み、ヴェルドラを覆う術式の解析を開始する。
しかし、結果は…エラー。『1分以内』に解除可能なものしか解除のしようがない《術式解体》では、どうやら解除できないようだ。
【駄目なのか?】
「…どうやら無理らしい…」
リムルの問いに、そう答える私。落胆し、天を仰ぐ。
…結果論からすれば、リムルがヴェルドラを結界ごと喰らって、彼のスキル『大賢者』による解析を行うことになった。
ちなみに名付け(テンペスト姓)は丁重にお断りした。私には既に、「エクセリア・シャルロッテ・クレア・ゼーゲブレヒト・アウェア」という名がこの身に刻まれている。
まぁ、再名付けでその名を与えてもらう形で誤魔化したのだが。
私には、『大賢者』のような情報アドバンテージを伴う強力なユニークスキルはない。
きっと、私はこの世界のパワーバランスの中でも低位に位置するものなのだろう。しいてアドバンテージがあるとすれば、そう―――『珖焔の召喚獣』と呼ばれる白銀の竜に顕現できることか。
私は弱い。人間に、いくつかのユニークスキルと『珖焔の召喚獣』という名の毛が生えた程度しかないのだから。