ヴェルドラが封じられた洞窟から出ていくとき、リムルはいくつかの魔物を喰らって、スキルを吸収・会得していた。私にはてんで分からぬ話だが、この世界のスキルというのはそういう形で会得することが可能らしい。
途中、冒険者と行き違ったが、うまく気配を隠すことに成功していた。
「ふぅ…。やっと開きやした…。ったく、鍵穴まで錆び付いちまって…」
男ふたりと少女ひとりが入ってくるのを尻目に、そそくさと脱出する…。
外は広い森林であったようだ。私はリムルに提案されるがままに、彼についていく。
そのまま当てもなく歩いていると、あっという間に3日が過ぎた。
その間、敵らしいものと遭遇した回数は1回。おかしい、何もしていないのに避けられている。
私は謎を鑑みて、《魔力探知》を自身らに向ける。
魔力は天に昇るかのように高く強く、凡そこの世のものではない荒れ方をしていた。
「リムル」
私は、これまでの日程で肉声を手に入れたリムルに声をかける。
「なに?」
「…客観的に、自身に魔力探知をしてみて。エグいぞ」
見て、言葉を失うリムル。
そんなときに、草むらを掻き分けるような音と共に、緑色の、人間の子供ほどの体躯で粗っぽい盾や剣、槍などで武装した魔物の群れが取り囲んでくる。
徐に、私はノートゥング【絶】を形成する。
「何者だ!」
「グガッ…強キ者ヨ…。コノ先ニ、ナニカ用事ガ、オアリデスカ?」
群れの一番先頭の、赤いバンダナを巻いたゴブリンが、震えながらそう話しかけてきた。
私は暫く考えた後に、ある方法を考えつく。言語が通るとは思えない、とすれば想いを力に乗せて彼らに聞かせればよい、と。
『こんにちは、こんにちは!聞こえますか?私は、あなたに敵対する者ではありません。
あなたの音を聞き、想いを感じ、考えを知りたいのです!』
で、結果はというと…、腰を抜かし、必死に頭を抑えて蹲る者や、頭を垂れる者が出た。
「強キ者ヨ!アナタ様のお力はヨクワカリマシタ!ドウカ声ヲ静メテクダサイ!」
ああ、この方法も普通にビビられた。
【想いを動かす力を使用したことにより、ユニークスキル『デュナミスの輝き』を習得しました。これは、パッシブ的には複数回の命として、アクティブ的には限界を超える一撃として作用します】
今、お前の言葉は必要ないと思うのだが。
それから少し、彼らの事情を聞いた。曰く、ゴブリンの村は牙狼族の襲撃に遭っているという。それをどうにかしてほしいのだとか。
「試してみたい力がある。私は姿をふたつ持っていてね。今の姿は本来の姿ではあるが、力を誇示した姿ではないんだ」
そうして、私は後ろに迫る牙狼族に立ち向かう。
ノートゥングを地面に突き刺し、言葉を紡ぐ。
「…我は、炎の民。この剣を以て不死鳥の盾とならん」
リムルが後方で、私は前衛だ。あいつに、殺しは似合わない。