異世界聖王冒険譚   作:ho9tocraft222

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#4「宙準星の竜」

 空が夜闇に包まれる中、ゴブリン村から東の草原で、右目に傷を持つ一際大きい一匹の牙狼族が、『自分たち』を照らす満月を見上げながら、良い月だと『念話』で呟く。

【行くぞ…。今宵、あのゴブリンどもの村を討ち滅ぼし、『ジュラの大森林』への足がかりとする…!】

スキルで告げた後、咆哮を上げる牙狼族のボス。それに続いて、百匹以上の群れが遠吠えを上げ、駆け始める。

 奴らにはもう、邪竜の『加護』はない。蹂躙の時間だと、そう考えていた。そうであると分かっていた。

 しかしなぜだ、震えるほどの圧を、彼らは感じていた。

 ゴブリン村が見えてきた段階で、その正体に勘付くことには成功した。

 黒い身体に、月白の如き装甲を纏う巨なる竜。しかしその翼は不死鳥の如き輝きを放っており、およそこの世のものではない覇気を放っていた。

『一度しか言わん。今すぐ立ち去れ』

その巨竜が、口を開く。

【なんだ、こいつは…!?なんでこんなものが…!】

額に星の模様がある牙狼族が狼狽える。

(くだらん、ただ異様なオーラを放つ竜ではないか)

宙準星の竜を観察し、そのように考える、牙狼族のボス。

【どこの誰かも分からぬ巨竜の紛い物風情が、誇り高き我らに命令するな…!

 行け!その爪と牙で、くだらん柵ごとなぎ倒せ!】

ボスはそう言いながら、配下の牙狼族を宙準星の竜と柵へ向かわせる。

 それを見た彼女は、炎を周囲に纏う。

『爆ぜろ。《ブリムストーン》』

その炎が爆発し、牙狼族たちがあっという間に弾き飛ばされていく。

【!?】

『無策で、数の多い貴様らと相対するとでも思ったか?』

【貴様…ッ!】

腰に提げた大剣を抜き、闇を放つ宙準星の竜。

 それにより、牙狼族があっという間に一掃される。

(こいつ…只者ではない…!ただの巨竜の紛い物ではない…!)

ボスは宙準星の竜の『危険性』を、群れのボスとなるまでに培ってきた『直感』で理解する。

 そいつを倒そうと襲いかかるも、思いっきり膝蹴りを受けてしまう。

『立ち去れと、言ったはずだ…!』

膝蹴りによる吹き飛ばしで、群れの元まで戻されるボス。

 しかし、宙準星の竜は未だに立っていた。

『ここまでにしよう。素直に『負け』を認めたのなら、命は取らん。

 ゴブリンたちは、私達に忠誠を誓ってくれている。同じように忠誠を誓うか、逃避を選ぶか…。それはお前達自身で考えるんだ。ただ―――』

そう言って、彼女は魔素を解放する。それを感じ、戦慄した牙狼族は、目が点になるほどだった。天にも昇るような妖気は、まさに、彼女の―――エクセリアの『覇気』だったのだ。

「負けを認めず、未だに襲おうと言うのなら…、私とて、容赦はしない」

顕現を解除し、エクセリアはそのように言い放った。

 

【【【我ら一同、貴女様方に忠誠を誓います!】】】

返答は、忠誠だった。

 ………ゑ?

「あのー、エクセリア?終わったの?」

「…みたい…だな…?」

 




連続投稿は一旦今日で終わりです
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