数日が経ち、リムルが帰ってきた。ドワルゴンの職人たちを連れて。
向こうで色々とマズいことがあったらしく、ドワルゴンの職人共々『国外追放』の憂き目に遭ったようだ。それから暫く経って、住人が500人に増えた。
そんなある日。
たまたま、ジュラの大森林をほっつき歩いていると、冒険者の一団が巨大な蟻の群れに襲われているのを見つけた。それをどうにかして仕留めると、冒険者の一団のうちのひとりに『同種の気配』を感じ取った。
荷物を落とし、装備も壊れたという彼らは、同行していたリムルの、渾身の演技―――俗に言う『悪いスライムじゃないよ』―――もあって、彼らを魔都に招くことができた。
魔都での話として、シズという女性が話した。この世界に渡ってくる者は、その際に強く望んだ力を得る、と。そして、シズにとって、炎は『呪い』であると。
元の世界で、シズは東京大空襲によって炎に巻かれ、窮地にあった中で、ある男に『召喚』された。しかし、その男が召喚したかったのは別の人間であったようで、酷く落胆した様子であったという。
「…召喚したなら相応の対応をするべきだろ。なにを考えて、炎の精霊を宿したんだ…!
そんなクソ野郎…」
そう言って、私は憤慨する。
なだめるように、シズが口を開く。炎の精霊によって、炎を操る力をくれたが、同時にそれは呪いとなったと。憑依された当初に、炎の精霊の力を制御できなかったのは、想像に難くない。
一夜明け、そんなシズが―――シズエ=イザワ暴走した。加齢の影響だろうか、抑えきれなくなったのだろう。
「下がってろ。クェーサーに顕現する」
そう言って、珖焔を迸らせる。
「グゥゥゥゥゥウウウウウオオオオオオ…!」
爆焔が天に昇り、珖焔の召喚獣、コズミック・クェーサーがその姿を現す。
両腰の大剣をそれぞれ抜き、構える。
『来いよ、イフリート』
その炎の精霊と、珖焔の召喚獣が激突する。ガキィィィン、という、耳を劈くような音が響く。反撃が来るが、それを軽く躱して追撃を叩き込む。
イフリートが『
大剣ふたつを合わせて巨大な銃身を形成し、翼も大きく開く。
【何をする気なんだ、エクセリア!?】
【まぁ見てろって…!】
念話でのやりとりの後、銃身の先に黒い球が形成されていく。それが十分に形成され終わると、大剣ふたつに分離して、振りかざす。
『喰らえ、『
そう言って、影をもたらす一撃が、イフリートを襲った。そして、そこに向かってリムルが『粘鋼糸』を飛ばす。拘束されたイフリートは、シズから分離されながら捕食された。
リムルの胃の中で、イフリートは大いなる者と対面した。
1週間後、シズが目を覚ました。イフリートとの同化がシズを延命させていたようだが、それが失われたことで風前の灯火となっていた。
しかし…救う方法があった。イフリートが、シズの『
私にはどういうわけか、これまでの鍛錬の結果、新たなユニークアクティブスキル《
「シズさん…。目を覚ましたんだな」
「エクセリアちゃん…。悟さんから聞いた。皆を助けてくれてありがとうね…」
…リムルが何をしたのかは、分かった。だが、私は―――
「エクセリアちゃんも…、本当の名前を教えてくれる?」
「…神成令だ。元は、男だったんだが…どういうわけか今は女でね。
そして、あなたを救う方法はある。呪いになるかもしれないが、死ぬよりはマシだ」
そのように言って、私は《分与者》のスキルを発動する。
「なにを…」
「私にいつの間にか芽生えていた、新たなユニークアクティブスキル…《分与者》。
それを使えば、炎の上位精霊イフリートではない、召喚獣イフリートを宿すことができる…。無論、最初の内は使いこなすのに時間がかかるだろうが、無為に顕現でもしなければ平常な人間と同じだ」
そうして流し込まれた『召喚獣イフリート』の力は、特に過つことなくシズ―――靜江の体に宿った。