異世界聖王冒険譚   作:ho9tocraft222

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#6「IFRIT」

 数日が経ち、リムルが帰ってきた。ドワルゴンの職人たちを連れて。

 向こうで色々とマズいことがあったらしく、ドワルゴンの職人共々『国外追放』の憂き目に遭ったようだ。それから暫く経って、住人が500人に増えた。

 

 そんなある日。

 たまたま、ジュラの大森林をほっつき歩いていると、冒険者の一団が巨大な蟻の群れに襲われているのを見つけた。それをどうにかして仕留めると、冒険者の一団のうちのひとりに『同種の気配』を感じ取った。

 荷物を落とし、装備も壊れたという彼らは、同行していたリムルの、渾身の演技―――俗に言う『悪いスライムじゃないよ』―――もあって、彼らを魔都に招くことができた。

 魔都での話として、シズという女性が話した。この世界に渡ってくる者は、その際に強く望んだ力を得る、と。そして、シズにとって、炎は『呪い』であると。

 元の世界で、シズは東京大空襲によって炎に巻かれ、窮地にあった中で、ある男に『召喚』された。しかし、その男が召喚したかったのは別の人間であったようで、酷く落胆した様子であったという。

「…召喚したなら相応の対応をするべきだろ。なにを考えて、炎の精霊を宿したんだ…!

 そんなクソ野郎…」

そう言って、私は憤慨する。

 なだめるように、シズが口を開く。炎の精霊によって、炎を操る力をくれたが、同時にそれは呪いとなったと。憑依された当初に、炎の精霊の力を制御できなかったのは、想像に難くない。

 

 一夜明け、そんなシズが―――シズエ=イザワ暴走した。加齢の影響だろうか、抑えきれなくなったのだろう。

「下がってろ。クェーサーに顕現する」

そう言って、珖焔を迸らせる。

「グゥゥゥゥゥウウウウウオオオオオオ…!」

爆焔が天に昇り、珖焔の召喚獣、コズミック・クェーサーがその姿を現す。

 両腰の大剣をそれぞれ抜き、構える。

『来いよ、イフリート』

その炎の精霊と、珖焔の召喚獣が激突する。ガキィィィン、という、耳を劈くような音が響く。反撃が来るが、それを軽く躱して追撃を叩き込む。

 イフリートが『炎化爆獄陣(フレアサークル)』を私にふっかけてくるが、知らぬ。

 大剣ふたつを合わせて巨大な銃身を形成し、翼も大きく開く。

【何をする気なんだ、エクセリア!?】

【まぁ見てろって…!】

念話でのやりとりの後、銃身の先に黒い球が形成されていく。それが十分に形成され終わると、大剣ふたつに分離して、振りかざす。

『喰らえ、『夜闇を齎す者(シャドウブリンガー)』!』

そう言って、影をもたらす一撃が、イフリートを襲った。そして、そこに向かってリムルが『粘鋼糸』を飛ばす。拘束されたイフリートは、シズから分離されながら捕食された。

 リムルの胃の中で、イフリートは大いなる者と対面した。

 

 1週間後、シズが目を覚ました。イフリートとの同化がシズを延命させていたようだが、それが失われたことで風前の灯火となっていた。

 しかし…救う方法があった。イフリートが、シズの『MBR(マスター・ブート・レコード)』とも言えるものなら、同質の召喚獣にアップグレードすればよい。

 私にはどういうわけか、これまでの鍛錬の結果、新たなユニークアクティブスキル《分与者(ワケアタエルモノ)》が発露している。シズに『召喚獣イフリート』が噛み合うかは分からないが、やってみる価値はあるはずだ。

「シズさん…。目を覚ましたんだな」

「エクセリアちゃん…。悟さんから聞いた。皆を助けてくれてありがとうね…」

…リムルが何をしたのかは、分かった。だが、私は―――

「エクセリアちゃんも…、本当の名前を教えてくれる?」

「…神成令だ。元は、男だったんだが…どういうわけか今は女でね。

 そして、あなたを救う方法はある。呪いになるかもしれないが、死ぬよりはマシだ」

そのように言って、私は《分与者》のスキルを発動する。

「なにを…」

「私にいつの間にか芽生えていた、新たなユニークアクティブスキル…《分与者》。

 それを使えば、炎の上位精霊イフリートではない、召喚獣イフリートを宿すことができる…。無論、最初の内は使いこなすのに時間がかかるだろうが、無為に顕現でもしなければ平常な人間と同じだ」

そうして流し込まれた『召喚獣イフリート』の力は、特に過つことなくシズ―――靜江の体に宿った。

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