非凡な身に灯る唯1つの光   作:Aoi2873

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本話には未成年喫煙の表現が存在しますが、この作品は未成年喫煙を推奨するものではありません

未成年の喫煙は犯罪行為です。真似しないでください

本話に影響を受け未成年喫煙を犯し、健康上の被害を被ったとしても作者は一切の責任を取りません。自己責任となりますのでご注意ください

(未成年喫煙するような描写はありません、あくまで会話のネタとして出てきます)


13.あの消えゆく流星のように(後編)

「ど、どうですか!?」

 

『迦楼羅』を弾き終わった天馬さんが、軽く息が上がりながらもそう聞いてくる。演奏は多少揺れているものの*1この程度なら特段気にすることもないだろう。とはいえ...こいつ体力無ぇな。なんか患ってんのか?

「天馬さんって、体力あんまり無かったりする?」

「えっと...そうです。小さい頃から病弱で…あっ、今はもちろん大丈夫ですよ!ただ、中学校はあんまり通えなかったので…体力も…人よりは低いと思います」

「そっか。んー…じゃあ体力つけるためにランニングでもしてみたら?1ヶ月も続ければ、このあたりはなんとかなると思うよ」

「じゃあ、お兄ちゃんと一緒に走ってみます!」

「お兄さんがいるの?」

「はい!とっても優しくってかっこいい最高のお兄ちゃんです!」

「そっか。大事にしなよ」

「はい!」

 

自分には兄弟姉妹がいなかったからなぁ。もしいたら…いや、考えても変わんないし、何より無意味だ別に無意味なことを考えてもいいんじゃねえの?人生なんて無意味なことばっかなんだからよ

 

「よし。それじゃあ次は...」

 

こうして30分、天馬さんに基礎的な技術を教え、少し前からこちらの様子を伺っていた日野森さんの元へ向かった

 


 

「次は日野森さんだね」

「よろしくお願いします」

「うん、よろしく。それでどこを教わりたいの?」

「えっと…最近はゴーストノートの練習をしてるんですけど、なんか曲に上手くハマらない感じがして」

「ゴーストノート…」

 

ゴーストノートとは、左手で弦をミュートし音が響かない状態にして弾くテクニック。音程がなく打楽器的な音がするので、隙間が多いフレーズの間延びを防ぐために使い、これを上手に使いこなせればリズムを安定させる効果があるので、曲が引き締まって聴こえるという覚え得な技術の1つとなっているしかしこいつもまた難しいのやるよな。ゴーストノートなんてほぼセンスだろ

しかし、フレーズのどこにゴーストノートを入れるかが難しく、センス勝負のテクニックとも言える。コツとしてはゴーストノートの中に実音を入れるような感覚を持つことで、左手は常に弦に触れている状態にして実音を弾くときだけ弦を押さえるようにする。こうすることで無駄な動きを減らして、スムーズにゴーストノートを使いこなすことができるのだ最初の頃はなんでベースを入れんのかよく分かってなくて、だいぶ適当な打ち込みだったよな

「じゃあゴーストノートがいい感じになりそうな曲は…『ノヴァ』とかかなぁ。弾けそう?」

「行けます」

「じゃあ適当に合わせるね。行くよー。1・2…」

 


 

『欠星』さんのバイオリンはブレない。体内にリズムが宿ってるのか、と思わず錯覚してしまうほどテンポに従順で、私の演奏を引っ張ってくれる。でも、ただ引っ張られるだけじゃダメ。要所要所にゴーストノートを忍ばせ、よりリズミカルにバイオリンを支える。お互いがお互いを相互に支え合い、極上のひと時はあっという間に終わってしまう

 

「行けたじゃん♪」

「あ、ありがとう、ございます…ッ」

 

いや、おかしいでしょ。この曲は当然弾いたことがある。でも、その時はここまで体力がとられるなんてことはなかった。いくら『欠星』さんの演奏に引っ張られたとはいえ、こんなに疲れるなんて化け物すぎる!

 

「大丈夫?ちょっと息上がってない?」

「だい、じょう、ぶですっ!」

「そう?水分補給はしっかりね」

 

こんな感じで息も絶え絶えになりながらも、30分間ひたすら貪欲に『欠星』さんから今足りない知識を吸収していった。学びがある30分だったけど、それでもとんでもなく疲れる!!

 


 

「休憩がてらちょっと一服してくるね。5分くらいで戻るから。みんなも今のうちに休憩しておいて」

 

そう言われ、私たちは『欠星』さんのいなくなったスタジオで、ピンと張った糸を緩めていた

 

「一服って言ってたけど、若そうなのにタバコとか吸うんだね」

「まあ、わたし達は『欠星』さんについて詳しく知ってるわけじゃ無いからね」

「でもでもっ!アタシはすっごく楽しかったよ!『欠星』さんとの演奏!」

「何が“でも“なのかは知らないけど、それは同感」

 

「ふふっ、『欠星』さんとセッションしてる志歩ちゃん、すっごく楽しそうだったもんね」

「まあ、楽しかったけど...」

「「けど?」」

「めちゃくちゃ疲れる!!」

 

「「あー」」

「えっ!?何が「あー」なの?」

「一歌ちゃんは見てなかったかもしれないけど、『欠星』さんとセッションした後の志歩ちゃん。マラソンした後みたいな息の上がり方してたよ?」

「えっ!?全然気が付かなかった...」

「いっちゃんすっごく集中してたもんね!」

「ごめんね?『欠星』さんに良い姿見せたくて結構集中しちゃってたから...」

 

「まあ気持ちはわかるよ」

「わたしも分かるかな。なんて言ったらいいんだろ。「落胆されたくない」みたいな?」

「えー?アタシは連弾して疲れたけど、でも楽しかったなー♪」

「良いなー私はまだ...」

 


 

「ふぅ」

 

スタジオが入っているビルを出て、すぐ目の前にある小さなベンチに腰掛け、そう一言。みんなには一服なんて言ったが、当然高校生なのでタバコをくゆらせるわけにも行かない別にお前そんなにタバコ好きじゃなかっただろ?なんで哀愁漂わせてんだ?

代わりと言ってはなんだけど、ポケットに入れていたちょこっとボールを口の中に放り込みそのまま噛み砕く。チョコの甘さが口に広がり、少しビターな気分になりながら宙を見上げると、視界の端で何かがきらりと星が(またた)いた流れ星か?こいつが音楽から身を引くようにでも願ってみるか

流れ星。宇宙にある小さいカケラが、大気圏にぶつかって最後の輝きを燃やしながら燃え尽きる現象。あの星のように自分もいつかは...

*1
人の演奏で出てくるリズムのブレ。オーケストラなどでも普通にある




前書きであんなことを書きましたが、正直言い換え自体はいくらでもできたと思います。後悔はしていません
主人公の前世があれなので、前世を考慮した表現としてはこちらの方が適切かなと判断しました

そんなことより聞いてくださいよ!
この作品のUAとか投稿してから確認したりするんですけど、総UA数の半分近くが今月ってどういうことですか?
なんか最近の今月の伸び率すごくない?やっぱり定期更新がうまい具合に刺さってるんですかね?

後。4話の活動10周年のやつだけ謎にUA数が多いんですよね。修正したとはいえなんで1話より多いんだ?

最後に、既に気づいている人は気づいていると思いますが、今まで目次に書いてた修正点を活動報告にまとめました。これから修正点は活動報告に追記していく形になると思います。まあ興味ない人は見なくて大丈夫です(過去の修正点も一応載せてます)

来月から週5本くらい上げたいところだけど、できるかは分からん。期待はしないでください

透明文字とかにじみってぶっちゃけ読みたい?

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