非凡な身に灯る唯1つの光   作:Aoi2873

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今のところ月5本投稿はできそうです
継続していくぞー!


14.心に波紋を生み出さぬように

「ただいまー♪じゃ、続き始めよっか」

 

気楽そうな感じで言いながら戻ってきた『欠星』さんは、どこか浮世離れした空気をその身に纏っていた。5分ほど前にスタジオから出た時にはそんな雰囲気を纏っていなかったはずなのに、まるで魅せられたかのように深い夜の雰囲気を宿していた

 

「次は、望月さんだっけ?」

「はっ、はい!よろしくお願いします!」

「ふふっ、よろしくね」

 

何かあったのだろうか。でも仮に何かあったとしても赤の他人であるわたしたちが横から踏み込むことなんてできない。今は自分のことに集中しないと…!

 


 

「望月さんはメンタルだっけ?」

「はい。やっぱりみんなの前だとすごく緊張しちゃって…」

「そっか。渡した冊子はもう読んだ?」

「読みました。2番目なんですけど漫画は少し嵩張るので、こういうのはどうでしょうか?」

「これは…望月さんが飼ってるの?」

「はい!しばおの動画をお母さんがたまに撮ってくれてて、これを本番前に見ようかなって思ってます」

「良いんじゃないかな。ペット動画は落ち着きやすいと思うよ」

 

「本当ですか!」

「うん。他の3人も緊張してたりしたら一緒に見てもいいよね」

「あとできるとしたらルーティーンかな?」

「ルーティーンですか?」

「そう。プロのスポーツ選手とかがやってる一連の動作。身体がいつもの動きをすることで、心もいつもの動きをしようとするって感じ。まあ心理学とかはあんまり知らないからなんとなくだけど」

 

心と体は連動しているとよく言われる。風邪を引くと気分が憂鬱になるように、仄暗い部屋の中で陽の光を浴びない生活を続けると心がささくれ立つように、普段通り暮らしていてもふとした瞬間に感じ取れることもあるだろう。それを活かし体で一定のリズムを刻むことで心も一定のリズムを刻ませると言うのが、ルーティーンの真価であると僕は考えているお前は心がガラクタみたいになってるからな。もっとお前にはただの人間らしくあって欲しいもんだが、今は...無理なんだろうな

「じゃあ望月さんもルーティーンを作ってみよっか」

「ルーティーンってそんな簡単にできちゃうものなんですか!?」

「作ることは誰でもできるよ。続けるのが難しいだけで」

「へ、へぇ〜...」

 


 

「じゃあルーティーンの作り方だけど...」

 

いきなりそんなことを言われてわたしの頭の中はぐるぐると渦を描いたかのようになっていた。『欠星』さん曰くルーティーンを作ることは誰でもできるらしいけど、それを無意識でできるようになるまで何回も続けられる人が少ないらしい

 

「とりあえず3つくらいでやってみよっか」

「え…?ルーティーンってそんなに短くてもいいんですか?」

「そーだよー。プロで言ったら野球のサブロー選手のバットを掲げる動作とか、ラグビーの次郎丸選手のキックの前にするポーズとか、みんな結構短いものだよ。でも望月さんは初めてだし使うとしたらライブ前とかだろうから、3つくらいって思ったんだけど…どうかな?」

「それで大丈夫です!」

「じゃあどうしよう…」

 

そう言いながら顎に手を添え、うーんと考える『欠星』さん。その物憂げな表情は、まるで1枚の絵のように美しくそして儚い。その姿からは思わず守ってあげたくなるような、そんな庇護欲を撫で上げる佇まいをしている

 

「組み合わせやすいのは深呼吸とかだけど…望月さんって好きな食べ物ってある?」

「好きな食べ物ですか…アップルパイが好きでよく家で作ったりもしますね」

「じゃあライブがある日はアップルパイを食べるようにしよっか」

「わかりました」

 

言えない。最近アップルパイの食べ過ぎで体重が気になってきたなんて…

 

「後は、ライブ前に自分たちの曲を聴くとかかな?まあ、自分に合うものを選べばいいよ」

「ありがとうございます!色々試してみます」

「うん。じゃあ…」

 

 

「自分が見ておくから叩いてみよっか」

「え?」

「やっぱり本番と同じくらい緊張するのが一番早いからね。ビシバシ行くよー」

 

ええええええ!?!?!?

 


 

「じゃあ最後は星乃さんだね」

「それよりも穂波は大丈夫ですか!?」

「ああ、大丈夫大丈夫。リズムがブレてる点とか強弱とかをしっかり目に言ったから疲れてるだけじゃない?」

「ならいいんですけど...」

「それで星乃さんは、感情の乗せ方だっけ?」

「はっ、はい!」

 

感情の乗せ方。口で言う分には簡単だが、実はというより普通に難しい。何せバンドの声の出し方はカラオケとはまるで違う。カラオケのような声の出し方では会場いっぱいに声は届かないし、かと言って無我夢中で声を出すことだけに集中すれば、メチャクチャになってしまう。だからとりあえず...感情の乗せ方ねぇ。載せる感情なんてないくせによく言えるもんだぜ

 

「うーん。とりあえず今から自分の曲を3曲くらい流すから、この3曲にどういう印象を持ったかで考えようかな」

「よろしくお願いします!」




完成したのが10分前とかなのでちょっと短め
なぜかニーゴに比べたら長めになりそうで困惑
いつも通り誤字があればコメント欄で報告よろしくお願いします

あと、透明文字って読みたい人案外多いんですね。いないならちょっと手抜こうかなって思ってたのがバレた感じがするw

次回更新予定2/10

透明文字とかにじみってぶっちゃけ読みたい?

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