ちなみに主は音楽は高校の授業でやった程度のエアプなので、それを理解した上でお読みください
あ、今回は残酷な描写がガッツリめに仕事するので覚悟を決めてから読んでくださいね!
「ただいまー...」
「あら?帰ったの?ならさっさと晩御飯の支度しなさいよ」
そうして帰宅したばかりだというのに、腹部に拳が吸い込まれる。小学生の頃は顔にも平気で拳を浴びせてきたのだが、PTAで問題になってからは腹部など人の目につきにくいところばかり殴られるようになったはっ、あの姿は俺が心の底から笑えた良い記憶だ
「ご、ごめん」
「はあ。母さんは、仕事の準備するから15分で作りなさい。遅れたらもう1発殴るからね」
「わ、分かった」
苛立っているのだろうか。いつもなら1発で済むのに、今日はいつもより時間が短くおまけに遅れたらもう1発らしい。流石にもう1発殴られたいわけではないので、冷蔵庫から昨日の残りを制服のまま急いで温め始めフライパンで簡単な料理を作っていく、が当然味見以外で手をつけることは許可されていない。そんなことをすれば徹底的に
結局、母さんが食べたのは全体の1/3程度。まあ残りは父さんが食べるので、自分の分など残ってはいないのだが。それこそ勝手に手をつければ、今度は父さんの屈強な体から悶絶するようなパンチが繰り出されるのだ。それを知っている僕にそんな蛮勇を行うことができるはずもなく、料理の残りに手をつけないまま僕は空腹を訴えるお腹をさすりながら部屋に閉じこもった。ああ、こんな
「あ、そういえばデモ音源聞くの忘れてたけどどうする?」
「せっかくだし、聴いちゃおうよー。だってあの『欠星』のデモだよ!」
「私もいいと思う。『欠星』のデモ音源なんて聴ける機会ないしね」
「分かった。雪もそれでいい?」
「うんっ。良いと思うよ」
「じゃあ、流すね」
明るい曲調でコードが進行していき、最近の曲とは雰囲気を変えるのかな?と、Kが思ったりしていたのだが、突如その印象は逆転する
2番が転調した時よくあるように上に転調するのではなく下に、それも2オクターブほど一気に転調したのだ。そして謳われるのは1番で出ていた声とは真逆のもの。悲痛な
そして3番、そこからさらに1オクターブ上に転調し、本音と建前が交互に歌い分けられる。そして最後は狂ってしまったかのような叫び声でプツンとデモが途切れる
…曲が終わっても、4人は何も話せずにいた。そして静寂を打ち破るのはニーゴの特攻隊長ことAmiaだ
「なんて言ったらいいんだろ。…すごい歌だったね」
「同感。これのサムネ作らせてほしいくらいね」
「こんな曲初めて聴いたな…雪は?どう思った?」
「…雪?」
「あ、ごめんね。ちょっと、ぼーっとしちゃってて。すごい歌だったね。そうだなぁ、…狭いけど、特定の人には深く刺さりそうだよね」
「雪もそう思う?あー!ホントにボクにこの曲のMV作らせてくれないかな!」
「まあまあ、一緒に曲作るんだからその時に作ればいいんじゃない?」
「そうね。まあ、その時まで我慢かな」
ズキリとKの心で何かが声を上げる。少し考えれば、それの原因はすぐに分かった。私は、1曲聴かせただけで私たちに滝のように止まるところを知らない創作意欲を湧かせた『欠星』さんに嫉妬しているのだ。私も、『欠星』さんみたいに「作りたい」と思わせる曲を...
「奏はこれからも、奏の音楽を作り続けるんだよ」
瞬間。フラッシュバックする
「...救い続けなくちゃ」
「K?どうしたの?大丈夫?」
えななんの心配そうな声を横目に私は漏れ出るメロディを形にしようと、作業を始める
「K?あー、曲作り始めちゃったのかな?」
「じゃあ私は明日も学校あるし、そろそろ寝ちゃうね」
「りょーかい。えななんはどうするー?」
「今日は確か学校があったはずだから、私も寝ようかな。そういうAmiaは?」
「そうだねー。もうちょっと作業してもいいけど、これ以上夜更かしするとお肌が悪くなっちゃいそうだからボクも寝るよ」
「そ。おやすみ」
「おやすみー」
雪はベッドに入ってからもなかなか寝付けずにいた。原因は分かりきっている。『欠星』がデモだと言ったあの曲だ。あの曲が何も感じないはずの雪の何かに響いたような、そんな気がしたのだ。クラスメイトや先生から秀才と呼ばれる頭で考えても、なかなか答えは出せずにいた。肝心な時には役に立たない、使えない頭だ
「『欠星』と作れば何かわかるのかな...」
その独り言を知るのは空のアクアリウム以外にいない、そう分かっていても雪は口から漏れ出る呟きを抑えられてはいなかった
10000位入れなかった腹いせでとりあえず主人公くんには軽く酷い目にあっていただきました。恨むならこんな主に考えられた自分を恨むんだな