『オリ主の名前を呼ばせない』
『原作キャラクターの口調も守る』
「両方」やらなくちゃあならないってのが「この作品」のつらいところだな
上記の都合上、ノアの口調が崩れているかもしれません。
申し訳ないです。
二週目の世界では、ノアの魔法によってその存在が明らかとなった「ノアのアトリエ」
かつては様々な少女が利用していた思い出のある部屋だが、魔女因子が無くなった今の世界では、もう使えないと思われていた。
しかし、元から魔法によって隠されていた部屋だったのだろう。
魔法が無くなったことによって、自由に出入りができるようになっていた。
様々な人間が出入り可能なこの部屋だが、今日のアトリエにいるのはふたりだけだ。
毎日のようにアトリエに入り浸る少女がひとり。
そして、その少女に呼びだされた少年がひとり。
「のあの絵のモデルになってほしいんだ」
かつて『バルーン』として世界的に有名なアーティストだった少女。
城ケ崎ノア
「絵のモデル!?!?俺が!?!?」
そんな彼女に呼び出された、バルーンの大ファンの少年。
ふたりがアトリエにいた。
いつもはノアとアンアンが一緒にいることが多いのだが、今日のアトリエはノアと少年の二人だけである。
「俺を題材に絵を描くってことです!?」
「うん!かっこいい絵を描きたいんだ」
自分以外に適任がいる、俺なんかを絵にするのは勿体無い、身の程知らずにどころの話ではない。
いくつもの反論が少年の頭の中に浮かぶ。
しかしそのすべてがノアの見せる笑顔の前に消え去っていく。
こんな笑顔を浮かべている子に対してNOを突きつけることができるほど、少年は大人ではなかった。
「ダメかな?」
「喜んで受けさせていただきます!」
「やった!じゃあね、劇の時のポーズで立っててほしいな」
「了解です!」
劇の時、少年は海賊の役であった。
眼帯をした勇ましい海賊。
今日彼は、ノアに言われて眼帯を身に着けていたし衣装も着がえてある。
あの時のことを思い出しながら武器を振り上げてポーズをとった。
「もっと背筋伸ばして!腕も曲がってるよ、あの時みたいに堂々としてて!」
「はい!」
「顔も、もっとガオーって顔して!」
「が、がおー!」
普段のノアよりすこし口調が強いように感じられる。
彼女が絵に描ける情熱がそのまま言葉にも表れているのだろう。
好きなことだからこそ、厳しくなってしまう。
細かい姿勢の指示に少年は従った。
表情や体重の掛け方、指の曲がり具合に至るまで、ノアの指示通りにした。
そうして出来上がったポーズは、確かにあの時の演劇と全く同じポーズになっていた。
表情から指先の形まで全くそのままである。
ノアの観察眼に少年は少し驚いた。
「そのまま動かないでね。すぐに描いちゃうから」
そう言うと、ノアはキャンバスに
とても真剣な顔をしている。
普段のノアのふわふわとした雰囲気とは大きく異なる真剣な表情だ。
それほどこの絵に描ける情熱は凄まじいのだろう。
今の彼女を見れば誰でも、城ケ崎ノアがあの天才的アーティスト『バルーン』なのだと納得するだろう。
それはもちろん少年も同じであった。
彼女は間違いなくあの『バルーン』だ。
(ひれ伏したい!日頃の感謝を伝えたい!)
今すぐバルーン様に向かって
バルーンの頼みであるからこのポーズを崩すことはないが、もしその頼みがなければ今すぐにでも土下座しながらサイン用の色紙を渡していたところだろう。
コアなファンである彼にとって、ノアが真剣に絵と向き合っている姿は額縁に入れて毎日拝みたいほど美しい姿に見えていた。
だからこそ、その美しい姿を邪魔してはいけない。
ひれ伏したい気持ちをぐっと抑えながら、少年はチラリと姿勢が崩れないようにしてアトリエの中を見渡した。
部屋には所狭しと絵画や芸術品が並んでいる。
それはあまり上手ではないものから、一級品と呼べるものまで様々であった。
そのすべてが、ノアの作った作品である。
聞くところによると、彼女は自分の描いた絵を見られることが嫌だったらしい。
魔法を使わずに描く絵は、とても見れたものではなかったとか。
最終裁判でその事実が明らかになった時、『バルーン』を泣かせたヒロに思わずブチ切れかけたのは少年が墓まで持っていく秘密である。
ともあれ今の城ケ崎ノアはその禁忌を克服し、自分の手で絵を描くこと、そしてみんなにその絵を見てもらうことを楽しんでいた。絵の実力もメキメキと上達している。
城ケ崎ノアがそうやって楽しそうに生活していることが、少年はとてもうれしかった。もはや感動すらしていた。
彼女が元気に生きているという事実だけで泣きそうになる。
「できた!みてみて!」
涙をこらえる少年をよそに、ノアが声をあげてキャンパスを少年の方へ向けた。
今彼女が行っていたのはクロッキーと呼ばれる技法だ。
短時間で絵を描くという技法とノアの技術が重なり、絵は恐ろしい速さで完成した。
「おぉ……」
本当に鉛筆一本で描かれているのか不思議に思うほど、その絵は雄々しく迫力がある絵だった。
武器を振り上げ、咆哮をあげる隻眼の海賊。
その表情があまりにも鬼気迫るものだから、少年は気圧されてしまう。
本当に自分がモデルなのか、そう考える少年だがふと気が付く。
その絵柄が、普段の彼女のそれとはすこし変わっているように見えるのだ。
クロッキー技法という点を差し引いても、力の籠め方や線の丸みが違う。
少年がそのことを聞くと、ノアはぱぁっと明るく笑った。
「わかるんだ、すごいね!すこしだけ描き方を変えてみたんだ。かっこいいモデルの絵を描くんだもん。こっちのほうがいいよね」
ことあるごとに、ノアはかっこいいと少年を形容する。
その言葉を聞く度に少年は恥ずかしくなって頬をかいた。
ノアは少年のことをよく褒めていた。
かっこいいね、すごいねとそれはそれは沢山の言葉で。
あのバルーンに認知されているという事実だけで少年は気絶しそうだと言うのに、お褒めの言葉をいただいた暁には心停止してしまう。
「すごい、よくわかったね!のあの絵、本当にたくさん見てくれてるんだ」
「そりゃあもちろん、昔の絵も今の絵も、俺はすごく大好きだから。本当にいい絵だらけだ」
少年がそう言うと、ノアはそれはそれは嬉しそうに笑った。花が咲くような無邪気で可憐な笑顔を見せた。
その笑顔があまりにも可愛いものだから、少年は膝をつきそうになる。心停止どころか成仏しそうになっていた。
「えへへ。もっとたくさん、たっくさん描くからね!」
「そうか、俺は天国に来てしまったのか。城ケ崎さんの絵をたくさん見られるなんて、ここは間違いなく天国だ」
「えへへへへ~言いすぎだよ。でもね、のあもね、最近すっごく楽しいんだよ。自分でお絵描きするのも楽しいし、みんなも助けてくれるから」
ノアはそう言うと、ガチャガチャとたくさんの絵画が入れられているケースを探り始めた。
「この前もね、ヒロちゃんにヌードモデルになってもらったの。よいしょっ」
「へぇー二階堂さんがヌードモデル……ヌードモデル!?二階堂さんが、裸の、モデル!?」
「うん、人の絵を描きたかったから、練習させてもらってたんだ」
「それって俺に見せていいやつなの!?」
「あ、誰にも見せないでって言われてるんだった、ごめんね、見せられないや」
「そ、そっか……そりゃそうか……あぶねぇ」
「あ、じゃあこっちのレイアちゃんがモデルの絵見る?レイアちゃん言ってたよ、彼になら見せてもいいって」
「ダメダメダメ!!」
あの蓮見レイアのヌード画、見たいか見たくないかで言えばもちろん見てみたい。
しかし、彼は正当なファン。あの方の素肌を見てしまえば一生自分は彼女のことを以前のように応援することはできなくなってしまう。
欲望が混じった心で彼女のファンを自称することが許されるだろうか、いや、ない。
「じゃぁココちゃんのとか見る?」
「それは別にいいかな」
「うーん、ならこっちの子の……」
少年は理性と欲望の狭間で揺れる。
彼女たちは容姿端麗な少女達だ。その体をじっくりと見る機会があるのであれば、そのチャンスは逃すべきではないのかもしれない。
しかしもしも見てしまったら、それは彼女たちへの裏切りだろう。
ただでさえ自分は一度、魔女化で見てしまったのだ。これ以上罪を重ねるべきではない。
呼吸を落ちつけながら、とても真剣な目で少年はノアを見据えた。
「城ケ崎さん、ストップ」
少年のそのまなざしを見て、ノアは自分が良くないことをしているとわかったのだろう。
ケースを探る手を止め、恐る恐る少年のほうに向きなおる。
「……のあ、悪いことしちゃってた?」
「そんなことは……いや、悪いこと、だと思う。城ケ崎さんを信頼してみんなモデルになったんだから、その絵を他人に見せるのは、悪いこと、だよ」
「そっか……」
ノアを止めるべきか少し迷うも、少年はぐっとこらえて彼女を止めた。
たとえ彼女があのバルーンであれ、悪いことは悪いと止めるべきだ。
そう自分を律する。
真面目な顔をした彼にそう言われたノアはしょんぼりとした顔つきになった。
絵を見せることが喜びとなる彼女にとって、絵を見せるなと言われることは悲しいだろう。
しかし彼女もまた、友達思いな少女だ。友達が自分を信頼しているのに、それを裏切るなんてことはしたくない。
「ごめんなさい……」
「謝らなくていいさ、ちゃんと止まれたんだから」
しょんぼりと俯くノアの姿は、とても15歳の少女とは思えないほど小さく見えた。
日ごろの子供っぽい言動も相まって、あまりにも小さく見えた。
だからつい、彼は彼女がバルーンだということも同い年の異性だということも忘れ、
「人をモデルにするときは、その人に絵を見せてもいいか確認しよう。そうすればみんなハッピーだ」
彼女の頭を撫でながらそう言った。
「……わかった、そうする」
ノアがそう言って反省した後も、少年は彼女の頭を撫で続ける。
撫でられているノアも全く抵抗しないから、その状態がしばらく続いた。
「……さっきの絵」
「ん?どうした?」
「さっきのかっこいい絵は、みんなに見せてもいい?」
「あぁ、いいよ。かっこいい俺がモデルのかっこいい絵だから、きっとたくさん褒めてもらえるぞ!」
「そうだよね!かっこよかったなぁ」
「……っ」
「うん?のあ、また悪いことしちゃった?」
「あぁいや!そういうわけじゃなくて!あまりに沢山褒めてくれるから、なんというか、恥ずかしくて……」
「む」
ノアの言葉はいつも純粋だ。綺麗な瞳から放たれる純粋無垢な誉め言葉はなにも嘘はないとわかる。
照れた少年が視線を逸らすと、ノアはなぜか怒ったような顔を見せた。
「のあのことはいっぱい褒めるのに、自分が褒められるのは嫌なんだ」
「嫌ってわけじゃ、恥ずかしいだけだって」
「ふーん。のあを褒めてくれた分だけたくさんお返ししてるのに、受け取ってくれないんだ」
ノアのその言葉に、少年はあぁと納得した顔を見せた。
「あぁ、俺のこと沢山褒めてくれたのってそういうことだったのか。褒め言葉のお返しってことね」
最近、ノアが自分に褒め言葉を送っていたのはそれが原因だったのかと合点がいった。
その様子を見たノアは、慌てたように口を開く。
「あ、違うよ!それだけが理由じゃないもん!ほんとにかっこいいって、思ってるから!」
「っ……」
「のあの気持ち、ちゃんと受け取って?」
「っ、すごいセリフ……って俺、何やってんだ!?」
少年はようやく、自分がノアの頭を撫でていたことを思い出した。
慌てて頭から手を離す。
(あの『バルーン』の頭を撫でる?俺が??許されるわけな、っ!?)
速攻で土下座をしようとする少年だったがそうする前に、少年の手をノアが掴んだ。
無理やり離れることもできたが、そうするとケガさせてしまうことは間違いないだろう。
なにより両手で必死に少年の手を掴む彼女を引きはがしてしまうのはどうなのだろうか。
そう少年が迷っている間に、ノアの声はどんどん大きくなっていく。
「のあ、たくさん褒めてもらったから、お返しずっとしたかったの!」
「喜んでくれそうな絵をたくさん描いたり、好きそうな絵柄を練習したりしたの!」
「いつも、ずっと、本当にかっこいいよ!本当だよ!のあ、本当にかっこいいって、思ってるから!!」
彼女はずっとこうしたかったのだろう。毎日送られる彼からの誉め言葉にお返しがしたかったのだ。
だから絵を見るのが好きだと言った彼のために、絵をたくさん描き続けた。
彼が好きそうな絵のスタイルを探し続けた。
今も必死に言葉を紡ぐその様子が、何よりの証拠だろう。
「わ、わかった!わかったから、ちょっと離れて!」
必死に離れようとする少年だが、ノアは一歩も引かない。掴んだ手を離さない。
声を張り上げていくうちに感情が高まってきたのか、ノアの目元には涙が浮かんでいる。
「ずっと、すごいよ、かっこいいよって、のあ、お返ししたくて、のあ、のあ」
「ちょ、城ケ崎さん!?」
「うええぇぇぇぇん!!」
感情が高まりすぎて泣いてしまったようだ。
こうしてみると本当に『バルーン』だとは思えないし15歳の少女にも見えない。
泣きながらも少年の手を放そうとしないその様子は、親に泣きつく赤ちゃんのように見えた。
「じょ、城ケ崎さん泣かないで!えと、えーっと」
どうすれば泣き止ませることができるかと考えるも、彼に子育ての経験なんてない。
モタモタしているうちに、廊下の方が騒がしくなってくる。
「ノアの泣き声が聞こえたぞ!」
「大丈夫かノア!」
「ノアちゃん!?」
赤子の泣き声を聞いて駆けつけたのは、上からアンアン、ヒロ、ミリア。
いずれもノアの大切な友人達である。
「ノアを泣かせたのか!?」
「一体何があったんだ!」
「これは……現行犯かな」
「いや、これはちがっ!?」
「うええぇぇぇぇん!!」
ノアを泣かせた者に情緒酌量の余地はなかった。
裁判長、検察官、弁護人全員の意見が一致し、判決が言い渡される……
◇
判決:有罪、被告人は定刻まで反省すること。
刑罰は直ちに執行され、少年はアトリエ前の廊下で正座することとなった。
少年は夕飯の時間まで正座を続けなくてはならない。
「そんなことがあったんだね。それでずっと正座してるんだ」
「あれから何時間たったんだ……もう足の感覚がないんだけど」
「ノアちゃんの泣き声を聞いてからなら、まだ1時間くらいかな」
「1時間でこれかよ……判決重すぎる」
偶然近くを通りがかったエマが、少年と会話している。
少年の声は、すこし苦しそうだ。
和服を着ているのに正座は苦手なのかとエマは思った。
時の流れに絶望している少年を上から見下ろす。
「ノアちゃんの言葉を素直に受け取っておけばよかったんじゃないかな。そうすればノアちゃんも泣かないで済んだと思うよ」
「正論って別に人を助ける言葉じゃないんだぜ桜羽さん」
「正論だってわかってるんだ。じゃぁなんでその時にそうしなかったの?」
「なんか桜羽さん今日厳しくない?」
「ボクのIFルートが全然出ないからね」
「メタ発言は良くないよ桜羽さん」
「てか今めちゃくちゃ助けてほしい。多分もう立ち上がれない」
「えっと……ごめん、ボクは今忙しいから」
「めちゃくちゃ暇そうにしてたじゃん!助けて!せめて俺の足で寝てる城ケ崎さんをおろして……」
泣きつかれて眠ってしまったノアは、正座した少年の足の上に座り、体にしがみついていた。まるでコアラのようだ。
正直、エマは少年を助けてあげようとしていたのだが、こうして彼と一緒にいようとしているノアの邪魔をするのもよくはないだろう。
「あんまり大声をだしたらノアちゃんが起きちゃうよ。がんばってね」
そう言い残してエマは踵を返す。
「あ、ちょっと!桜羽さん!桜羽さーん!」
引き止めようとする少年だが、エマは止まらなかった。
廊下は静かになってしまう。
「『いつもかっこいい』だって?そんな言葉素直に受け止めろったってなぁ」
エマの正論を思い出しながら少年はノアの方に視線を向ける。
そして起こさないようにそっと頭を撫でた。
「まぁ城ケ崎さんもいつも可愛いし、そんな感じか」
いつも可愛い人間がいるのだからいつもかっこいい人間もいるのだろう。
そう自分を納得させることにした。
少年の独り言を聞いて嬉しそうに笑うノアには気付かず、少年はノアの頭を撫で続けるのだった。
選択肢ミスったら危うくミリアが魔女化するとこでしたね。因子無いですけど。
Q:なんでみんなヌードモデルになってくれたんですか?
A:ヒロちゃんはね、たくさんお願いしたら誰にも見せないならって約束で脱いでくれたよ。
レイアちゃんもちょっと悩んでたんだけど、見せるとしても彼だけならって約束でなってくれたんだ。
ココちゃんは、のあの絵とコラボしていいからって言ったらすっごい悩んだ後に描かせてくれたよ。
みんな優しいね。
??:ちょっと待って!みんなそれだけの理由じゃ簡単に脱がないんじゃないかな!もっと別の理由があったんだと思う!