世界は歪んだ、元あるはずだった『シナリオ』から外れ全てが狂う。
しかし人々はそれを知らない。いや、知る良しが無いのだ………既に『当たり前』になってしまった今では………。
メリー「………遅い。」
バス停前、メリーはある人物を待っていた。その人物とは………。
蓮子「ごめん遅れた!!」
黒い帽子を被った蓮子の事である。
二人は今回サークル活動の為にある場所に行くことになっていた。ついでに言うと二人の入っているサークルとは秘封倶楽部の事である。
そして今回二人が行くのは古い神社………の裏である。
何処らか入手した情報なのか………ある日一人の男が歩いていると神社の裏から化け物が現れたと言う話を信じそこに行くらしい。
メリー「何回目?なんかそろそろ何回目か分からなくなってきたわ。」
蓮子「うっ、ま、まぁ行きましょうよ!」
メリー「はぁ………。」
そう言うと歩き始めた二人だったが突如向こう側から騒がしい声が聞こえてくる。二人は特に変な事を思うこともなくそちらを見る。既に日常茶飯事起きていることだから。
刑事「お前いい加減にしろよ?近所から迷惑だって言われてるって言ったよな俺?」
黒い車が近くに止められている、その車に寄りかかる様に刑事がいて呆れ顔で言う。そしてその横では………。
???「はぁ!?何が迷惑なんだよ!いいか?俺はここの平和を守ってるんだよ!アーユーアンダースタンド!?」
刑事「はいはい自称ヒーローだろ?分かったからちょっと署まで来ようか。この暑い中着ぐるみなんか着て暑く無いの?」
???「着ぐるみじゃねぇよ!これ俺の皮膚!分かる?何なら触ってみろよ、本当だから。」
それは通行人数人が見ている風景から浮いた存在だった。それは人ではなく怪物の様な姿をしていた。全体的には緑色で顔は鳥のくちばしの上の部分の様な形の透明体を頭から被り前の肉と皮膚が無くムキ出た歯が見える口の部分だけが外に出ている。この口は喋ってても開かないので着ぐるみだと言われている理由でもある。中の目は黄色で光っている。
身長的には一般男子より高めである。
刑事に手を見せびらかせていた怪物の手に手錠がかかる。
刑事「え〜、3時47分近所迷惑及び公務執行妨害並びにお巡りさんの浪費により逮捕っと。」
???「うえええ!?ちょ、待てって!現行犯逮捕かよ!?しかも途中のどうでもいいよな?」
刑事「なんでもいいが同行してもらおう。」
そう言って引っ張るが怪物は抵抗する。
???「いや待てって、本当に俺は逮捕される様な事してないから、前回も逮捕されたけどさぁ………。」
刑事「おうおう早よ行くぞ。俺は昼寝したいんだ。」
???「人の話聞いてる!?あんたよく刑事になれたな!?」
刑事は手錠を引っ張り連れてこうとするが怪物は抵抗する。やがて怪物が周りの通行人に話しかける。
???「全く、どう思うこれ?これだから日本はダメになっちまうんだよ。」
刑事「俺が悪いと日本が悪くなるのかあぁ?」
???「いや別にそう言う意味じゃ無いがあながち間違っていな………!?」
言い訳をしていた怪物はある人物を見ると言葉を失う。
その後ゆっくりとその人物の前に歩いていく。それを刑事が止めようと手錠を引っ張るが怪物の馬鹿力なのか、刑事が引っ張られてしまった。
そしてその人物とは………。
蓮子「………え?え?な、何か用ですか?」
メリーと一緒にこの現場を見ていた蓮子の前に立つ。
怪物はあり得ない物を見るかの様な視線で蓮子を見る。
???「その顔立ち、まさか………いや違うのか………いやしかし………。」
怪物は蓮子を見ながら何かを思い出そうとしているのかウンウンと唸る。
しばらく唸っていた怪物だったが顔を上げると蓮子を見ながら質問をする。
???「お前名前は………?」
手錠がされている方の腕を上げて蓮子を指差す。すると引っ張っていた刑事がそれにつられて転ぶ。
蓮子「え………宇佐見………蓮子です。」
そう言うと怪物はまた悩み出す。
???「あっれー?宇佐見じゃ違うな………名字変わったのかな?」
そう言っていた怪物だったが街中に立っている時計台を見ると「あっ!!」と声を上げる。
???「わり、時間だわ。ごめんよ刑事のおっちゃん、俺予定があるからもう行くわ。」
そう言うと手錠からスルリと手を抜く。
刑事「あぁ!?待て!!と言うか前も思ったんだがそれどうやってんだお前!?」
そう言い手を怪物の手を掴もうとしたがその手は空を掴んだだけだった。
その時には既に怪物は高い運動能力を使い家の屋根から屋根へと移動をして走り去って行く所だった。
刑事「あぁ〜、まーた逃げられちまった。何だかんだ言いながらあのコスプレ野郎身体能力高ぇんだよな………。」
そう言いながら黒い車に乗るとそのまま何処かへと行ってしまった。
メリー「………何だったのかしらね?」
蓮子「………さぁ?」
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蓮子とメリーはあの後目的地の神社に到着する。
この神社はあまり人が入らない。前にここに訪れた人達が消えてしまうと言う事件があった。まさに神隠しの様な現象である。
一見ただの神社だがもう夕方のせいか不気味に見えた。
蓮子「噂ではここら辺ね………特に変わった様子は無さそうだけど。」
そう言いながら歩く二人だったが近くの茂みがガザッと揺れたのに警戒する。
メリー「………ねぇ蓮子、私何か嫌な予感がする………。」
蓮子「や、やめてよメリー。あなたが言うと冗談に聞こえ………ない………から………。」
蓮子とメリーは少しずつ後ずさりをする。
茂みの中から出てきたのは可愛い野良犬やネコでは無く人型の生き物だった。
「………コォォォォ。」
身長は高く、全身は銀色の体で頭が無い代わりに胴の部分に巨大な目が一つついている。片手にはククリ刀の様な物を持っている。
胴についている巨大な目がグリンと二人を見る。
メリー「………あ………あ………。」
蓮子「あぁ………あ………。」
逃げ出そうにも恐怖で膝が動かない為逃げ出せない。怪物もどきなら見ていたがこいつは本物だと思わせる何かを感じた。
やがてその一つ目の怪物は持っていたククリ刀を振り上げ蓮子達に向けて振り下ろす。
二人「「………!!」」
二人とも覚悟を決めたかの様に目をつむる。しかし事態は一変した。
ククリ刀を振り下げていた怪物は横から飛んできた緑色の光る球体が怪物の横っ腹に直撃すると爆発を起こし怪物は吹き飛ぶ。そして神社の蔵屋敷っぽい所に衝突する。
メリー「………な、何が………?」
メリーが煙を上げながら倒れている怪物を見ながらそう呟くと横から声がかかる。
???「よぉ、大丈夫か?」
蓮子「………!あんたあの時の!!」
そこに現れたのは昼に街中で騒いでいた自称ヒーローだった。
エメラード「正義のヒーローの登場ってね、俺の名前はエメラード、宣伝しておいてね。」
こんな時でもお調子者口調で言う自称ヒーロー、エメラードは蓮子に一つの正方形の物を渡す。
その箱は紫色で何か書いてある。人の名前だろうか………?
エメラード「いいか?それを上に投げてみろ。その時「アクセプト、来い!」って言った後にそこに書いてある名前を言ってみてくれ。」
エメラードは蓮子の手にある箱を指差しながら言う。何でこんな事をしなければいけないのか不明だったが何か意図があるのだろうと思いエメラードの指示に従う。何せ今自分達は怪物に襲われている。日常では馬鹿にしていたがエメラードの事もこう言う事態に遭遇すると怪物に見えてくるものである。
蓮子「あ、アクセプト、来て パチュリー!」
そう言いながら箱を上に放り投げる。すると箱は光を放ったかと思うと何処から現れたのか、蓮子の目の前には紫色の服を着た少し目つきの悪い女性が姿を現す。
メリーは今起きた事に横で目を白黒させていてエメラードは「ほぅ………。」と言いながら顎をさすっている。
何が起きたのか分からなく固まっているとその女性がこちらを向く。
パチュリー「………どうやら私は助けられたらしいわね。」
え?助けた?何が?どうやって!?そう思っているとエメラードが手を上げて話し始める。
エメラード「どーも紅魔の魔女さん、外に出た感想は?」
そう聞く。しかしエメラードの事を見た女性は警戒をし始める。
パチュリー「何よ、私を利用しようって話?」
エメラード「お、おいおい落ち着けって。確かに『あいつら』と同種だが味方だぜ?俺はヒーローだ!」
蓮子「ちょ、ちょっと待って!!利用って何?あいつらって?それに貴女は誰!?」
蓮子とメリーには聞きたいことが山ほどあったがそれはエメラードの言葉によって止められる。
エメラード「こちらも話したい&誤解を解きたいのは山々だが今はお預けにさせてもらうよ?」
そう言いながらエメラードは戦闘態勢(?)を取る。
するとさっきまで煙を上げながら倒れていた怪物が起き上がり巨大な目をこちらに向ける。
メリー「………!ど、どうするの?」
メリーが慌てた様子でエメラードに聞く。
するとエメラードは右手の中指の外表面から長いカマキリの刃の様な物を出し、左手の手首の部分からはミニ大砲の様な物を出す。
エメラード「勿論倒す!悪は消えるが一番!!」
そう言うと怪物に向かって走り出す。
怪物もククリ刀を持ち直し走ってくる。やがて二人(二体?)は中指とククリ刀でつばぜり合いを始める。
やがて怪物がククリ刀を持っていない方の手でエメラードを殴ろうとするがエメラードはそれよりも先に左手を怪物に向け左手の手首についているミニ大砲を怪物の目に撃ち込む。
「ガァァァァァ!!?貴様ぁぁぁ!!」
蓮子「し、喋った!?」
怪物が喋ったのに驚いている横で女性………パチュリーは何かをブツブツ言っていた。
オカルト系が好きな蓮子にはそれが魔法の詠唱か何かだと気づくことができた。詠唱が終わるとパチュリーは手をエメラードと怪物に向ける。そして………。
パチュリー「火符『アグニシャイン』。」
手を向けた方に炎が飛んでいく。それに気づいたエメラードは避けるが目を負傷していた怪物はそれを避けられずに直撃する。
轟音と熱が離れた場所にいるこちらにも伝わってきた。
エメラード「あ、あぶねぇ!!あれ食らってたら一瞬でお陀仏だったぞ!?」
パチュリーの技をバックジャンプで避け近くの木の枝の上に着地したエメラードはパチュリーを指差しながら訴える。
パチュリー「………外したか。」
エメラード「外した!?外したかって何!?」
こんないきなり始まった物語に二人はただただ呆然とするだけだった。
続くかな?って感じですがよろしくです( ´ ▽ ` )ノ