ポケモン概念コーデ男の娘 作:砂場遊び
クエーサー社のとある社員 視点
「マスカットさん、俺以外のメンバーは攻撃を受けて退却しました! 増援をお願いします!」
クエーサー社のとある社員は暴走メガシンカしたライボルトと対峙していた。
ミアレシティで発生する暴走メガシンカを市民に知られることなく秘密裏に鎮圧してきたが、最近は頻度や強さが上がってきている。
今まで数回の暴走メガシンカを鎮圧してきたチームが想定以上の猛攻を受けて壊滅状態に陥っていた。
「今、増援のチームをそちらに向かわせました。到着まで持ち堪えてください!」
スマホから社長秘書の焦った声が聞こえてくる。
到着まで持ち堪える?
どれくらいかかるんだ?
「タブゥ!」
「…ッ!!」
相棒のタブンネが危険を知らせる。
咄嗟にローリングをすると、メガライボルトから放たれた強力な電撃がすぐ近くに飛んでくる。
タブンネのおかげで直撃は避けられたが、地面を伝ってきた電気に感電する。
体力の限界がきて動けなくなる。
タブンネが俺を庇うようにメガライボルトの前に立つが、タブンネの体力も残り少ない。
メガライボルトが再び電撃を放とうとする──。
「ニャオニクス、サイケ光線。」
突然、誰かがメガライボルトを攻撃する。
サイケ光線が飛んできた方向を見ると、ニャオニクスとそのトレーナーらしき女性がいた。
メスのニャオニクスに合わせた白と青の服装を着た女性は涼しい顔で俺とタブンネの様子を確認するとメガライボルトに向き合う。
「サイコキネシス。」
ニャオニクスが放ったサイコパワーがメガライボルトにダメージを与える。
メガシンカでも技プラスでもなさそうだが、メガライボルトは明らかに怯んでいる。
そこへ更なるサイコパワーがメガライボルトを攻撃する。
あれは未来予知か…?
高威力の攻撃がトドメになったようで、ライボルトは力尽きて暴走メガシンカ状態が解除される。
女性は無表情のまま鎮圧を確認すると、立ち去ろうとする。
「あ、貴女は一体・・・?」
俺が呼びかけると女性は一瞬だけ優しく微笑み、そして立ち去っていった。
女性の姿が完全に見えなくなった直後、増援のチームが到着した…。
〜〜〜〜〜
オリ主 視点
「ホルビー、電光石火。」
「ホルッ!」
ホルビーがメガカケラを破壊して、飛び散った欠片を私が回収する。
私はミアレシティの市民。
皆からはメガカケラ清掃お兄さんと呼ばれている。
その肩書きのとおり、街のあちこちに出現するメガカケラを取り除くボランティア活動で日々の生活費を稼いでいる男だ。
だが私はどこにでもいる一般市民、というわけではない。
私はこれからミアレシティで起こる出来事をゲームで知ってからこの世界に来た転生者だ。
転生特典もある。特定の条件を満たせば手持ちのポケモンが強化されるというチートだ。
具体的に言うと、ポケモンが繰り出す技が常時技プラス状態のように高火力になるのだ。
暴走メガシンカ状態のポケモンにも常に有効打を与えることができる。
だが、そのためにはポケモンをイメージした概念コーデの服装を着て男の娘にならなければならない。
ポケモンの見た目と似た服や小物などで全身をオシャレしなければならない。分かる。
オシャレなコーデで周りから見たら女性のように見える男の娘にならなければならない。ちょっと待て。
幸いにも私は中性的な体格や顔立ちをしているので男っぽい格好も女性っぽい格好もできるが、残念ながら私は性自認男なので常時男の娘でご近所付き合いはできないのだ。
そのため昼は清掃お兄さん、夜は謎の女性という二面性のある生活をしている。
MZ団には入らないのかって?
転生者に許されているのはヌーヴォカフェの常連になることぐらいです!(厄介オタク)
主人公はちゃんとミアレに来ているっぽいから原作のストーリーは大丈夫そうです。
なので私は原作では語られないクエーサー社の暴走メガシンカ鎮圧をお手伝いする程度で良さそうです。
「ロト!」
「お、クエーサー社から新しいメガカケラの分布図が来たか。」
昼の清掃お兄さんにとってのクエーサー社はメガカケラを買い取ってくれるだけでなく、新しく出現したメガカケラをスマホの地図上に表示してくれるサポートもしてくれる。
ただ、よく見るとメガカケラが集中している場所とあまり出現してない場所がある。
じつは意図的に情報を偏らせることで私が活動する場所を誘導しているのだ。
なぜそんなことをしているかと言うと、暴走メガシンカポケモンがいる場所に清掃お兄さんである私が近寄らないようにするためである。
逆に言うと、クエーサー社の社員でもMZ団でもない私にも暴走メガシンカポケモンがいる場所を推測することができるということだ。
「今夜も様子を見てみるか。」
もしかしたら昨夜のようにモブ社員では力不足かもしれないからな。
人気のない路地裏。
地図だとこの辺りにいそうだけど…。
「ニャオ。」
「向こう? 分かった。」
ニャオニクスがエスパー能力で暴走メガシンカポケモンを見つけたようだ。
ちなみに、概念コーデをすると私の性格も若干変わる。どうして?
ニャオニクスの場合は図鑑説明のとおりに無愛想で無表情っぽくなる。
ニャオニクスの後をついて行ってみると、暴走メガシンカの前兆を見せているウツボットがいた。
場所が違うから原作のメガウツボットとは別個体みたい。
私の接近がトリガーになったかのようにウツボットが暴走メガシンカする。
メガウツボットは凶暴な雄叫びを上げるが、苦しそうな声にも聞こえる。
「大丈夫。今、助けるから。」
私もニャオニクスも顔には出さないがウツボットを苦痛から助けるためにバトルの態勢に入る。
暴走メガシンカしたポケモンは決して楽な相手ではないが、タイプ相性の有利もあってバトルは順調に進んだ。
ウツボットが戦闘不能となって暴走メガシンカが解除されると、私は時計を確認する。
(クエーサー社からの距離を考えると、そろそろかな?)
そう考えていると、クエーサー社の鎮圧チームが駆け寄ってくるのが見えた。
(ウツボットのアフターケアは彼らに任せて大丈夫そうね。)
私はそう考えて微笑むと、すぐにその場から立ち去る。
ミアレシティは大都市だからこそ路地裏が複雑で、一度視界から消えれば姿を完全に消すことは簡単だった。
転生特典の副産物として着替えやメイクは原作ゲームのように一瞬でできる。
誰も見てない間に清掃お兄さんに戻る。
「今日の活動はこの辺りで終わろうか。」
人探しをしているクエーサー社の社員を視界の端に入れながら私は帰路につく。
XYで初めて見た時、是非とも旅パに入れて一緒に冒険したいと思っていたんですが、当時は若く、私の技量のせいで旅パから外れてしまいました。
今作でエンディングまで一緒にいられて大満足です。