東方氷娘記   作:亜莉守

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ステージラスト 宴会(後) 【神隠しの主犯】


第七話

 

 

「痛い」

「悪い悪い」

 

亜里沙さんに思いっきり引っ張られて他の机に向かう羽目になった。

まだちょっと腕が痛いんだけど。

 

「明乃、目覚ましたのね」

「博夢さん」

「はぁ、枯らすのではなく再封印とはね。あたし全然思いつかなかったわよ」

 

あきれたような声をしながら博夢さんは日本酒をあおる。

その姿がかっこいいと感じるわけなんだけど。てか見れば見るほど母さんそっくりだよなぁ。なんか、こう。女傑って感じ?

 

「でも、それがあの桜の望みだったから」

「ううん、あんたが選んだのは最善の選択だったわ」

 

よくやったとばかりに頭をぐしぐしと撫でられた。

これは結構いいかも。

 

「ハク、もう一杯いる?」

 

酒瓶片手に幽香さんがやってきた。結構飲んでいるのかな? 顔が赤い。

 

「ありがとう、幽香。明乃、あんたもいる?」

「お断りします」

 

再度言うけど身長伸ばしたいし。

 

「つれないわねー。まあ、いっか」

 

再度お酒を飲み始めた博夢さんたちの席をそっと離れた。

 

 

――― 少女移動中。

 

 

はぁー、一人だ。魔理沙はどこに居るのかわからないし、霊夢は主催だから忙しいようだし、咲夜さんは家の都合で帰ったそうな。慧音さんとか妹紅のところに行こうかな?

 

「魔理沙は知り合い多いっていうけどそんなわけないじゃん」

 

とりあえず何処かへ行こう。

 

「明乃、こんなところに居たのね」

 

この冷気、この感じ。

 

「チルノ、酔ってたんじゃ……」

 

見れば普段通りのチルノがそこに居た。

 

「もう大丈夫よ。ちょっと紫が話あるって」

「えー、さっき一緒に居たのに」

 

その時に言ってくれればよかったのに。

 

「ま、タイミングが悪かったってことよ」

「そう? じゃあ、行こう」

 

 

――― 少女移動中。

 

 

「あ、来たのね」

 

机にあったはずの十人前前後の料理は全てなくなっていた。僕がこの机離れてからそこまで時間経ってないよね?

 

「再度呼び出してごめんなさいね。そうだ。甘酒は飲むかしら」

 

紫が甘酒の入った湯呑を渡してくれた。うわ、熱そう。とりあえず冷ましながらゆっくりと飲む。

 

「ふぅー、おいしい」

「そう、よかったわ」

「ところで何で明乃を呼び出したのよ」

「ああ、そうそう。あなたの能力について教えておこうと思ってね」

「能力?」

 

僕は普通に自分は一般人だとばかり思ってたよ。

 

「そう、あなたの能力の一つはね『他人の呼びかけに応える程度の能力』なの」

「何よ、そのわけがわからない能力」

「簡単に言うとね。あなたは他人の心の叫びを聞くことができるの」

「あ、もしかして」

 

桜の意思を感じたり……生前の幽々子さんの深層心理を知れたのは。

 

「そうよ。あなたは聡い子だもの、分かるでしょ」

「でもさ、それだと聞こえるだけじゃない?」

「それに応えようとしちゃうのよ。どんなものにも」

「今回みたいに?」

「そう、それにあなたが自覚していないだけでふらふらと呼びかけに応えようと移動することもあったわ」

「あ、もしかして。あの放浪癖みたいなのが?」

 

放浪癖とは失礼な。でも、何で行こうとしているのかは確かに知らなかった。

 

「境界弄って連れ戻すの大変なのよ」

「え、まさかいつの間にか移動してたのって」

「ええ、私よ」

 

なんてこったい。自分では瞬間移動でも身に着けたのかって喜んでいたけど

 

「毎日明乃のこと観察してるのかしら?」

「そんなんじゃないわよ。むしろ逆ね。明乃が現場にふらふらと移動してくるのよ。白黒とか花妖怪とかハクとかその辺と一緒に居る時は大丈夫だけど」

 

知らない間にとんでもないことを僕はやっていたようだ。

 

「これから、能力の鍛錬をはじめるからね。週に一度は開けて頂戴」

「え」

 

どうしよう、約束かなりあるんだけど

 

「夜でいいわ。それなら迷惑かかるのは氷精だけでしょ」

「えっと……」

「いってらっしゃい。それで放浪癖が治るなら安いものよ。紫、明乃に変なこと教えたら」

 

さっと、チルノの雰囲気が変わった。

 

「わ、わかってるわよ! もう、みんなして私を悪役扱いにするんだから!」

 





明乃さんの能力一つ判明しました。

『呼びかけに応える程度の能力』
・物や人の強い叫びを聞き、それに応えようとする能力。今のところ完璧無自覚。
・頭痛もこれが原因。
・無自覚に異変の犯人のところへ迎えるが、
 犯人よりも強い意志があるとそちらの方へ向かってしまう

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