「何で僕が」
僕は今、アリスの昔の服を強制的に着せられていた。
「似合っているわ。このまま貰ってちょうだい」
うっとりした表情で見つめるアリスに若干危機感を持ってるんだけど?
「うぅー……って、あ。お鍋」
火にかけっぱなしじゃん。
鍋を慌てて確認するが焦げてはいなかった。
「よかったぁ。後はこれを瓶に詰めてっと」
同時進行で煮沸していた瓶につめれば、保存食の完成!
「よし。できた…ってもうこんな時間?!」
腕時計を見てみればもうかなり遅い時間になっていた。
今日の夕飯当番僕だ。帰らないと。
「じゃあね!」
僕は扉を開けて飛んだ。ふと思ったんだけど、最初から飛べばよかったかも。魔理沙の家の屋根を覚えて超特急で僕は飛んだ。
「あ。着て帰ったわ。どうしよう、この服」
――― 少女移動中。
「チルノただいま」
「おかえ……ど、どうしたのその服」
「え? ……あ」
しまった。着たままで帰っちゃった。
しょうがないので事情を説明する。
「なるほどね。まあ、かわいいから大丈夫よ。そのまま貰っていいんでしょ。ラッキーだから貰っておきなさい」
「う、うん」
「そういえば、ごめんね。洗濯物が雨で全滅してね。明日もその服着てくれない」
「えー」
明日は人里に行くのに。この服装は目立つよ。
――― 少女就寝中。
次の日。寺子屋、今日は寺子屋は休みだけど遊びに来てもいいと言われたので普通に遊びに来た。結構歴史とか面白いんだよね。それから僕の勉強も見てもらっている。
「こんにちわー」
「おや、いら……どうしたんだ? それ」
「えっと……貰いました」
普段と恰好が違うせいか里の人たちからじろじろ見られてたよ。
「そうか、私も子どもの頃着ていたやつがまだ残っていたな」
なんならあげようかと慧音さんが言った時、寺子屋の扉が開いた。阿求さんかなと思って扉を見れば、やっぱり阿求さんだった。資料でもかりに来たのだろう。
「あの、慧音さん……ってわぁ、明乃ちゃん可愛らしいですね」
「ふぇ? そ、そんなことないですよ」
「あ、そうだ。私の昔の和服があるんです。着ませんか?」
和服かぁ………。そういえば着たことないかも
「えっと、いいんですか?」
「ええ、私には少々小さいですし。取ってきますね」
資料を借りに来たはずの阿求さんがそそくさと家の方へ行ってしまった。
「おや、着物、着たことないのか?」
「えっと……はい」
記憶の限り無い。浴衣も着たことなかったなぁ。
「そうか。お前なら似合うと思うぞ」
「ありがとうございます。でも似合わないと思いますよ」
「そんなことはないさ。ま、似合うか似合わないかは着てから考えたほうがいいさ」
「はい」
まあ、人の服にケチ着ける気はありませんから。
阿求さんも慧音さんもかわいい服着てるよなぁ。
「持ってきました。明乃ちゃんには何が似合いますかね?」
「うーん」
「こんなに持っているんですか」
ざっと、五枚はあるだろうか。色も結構な種類がある。
「ええ、おしゃれですよ」
「へぇ」
「やっぱり青じゃないか?」
「それは考えたんですけど、たまには新しいことに挑戦するのもいいと思いますよ」
いつも青なのはチルノのお下がりとかジーパンに白Tシャツとかそんなものばっかり着ているせいなんだけど。一時間ほど着せ替え人形の如く何着も着替えさせられた僕だった。