東方氷娘記   作:亜莉守

36 / 52
第五幕 紅い館、女主と日陰少女 【永遠に紅い幼き月+悪魔の妹】


第五話

咲夜はその後、すぐに居なくなった。霊夢は屋敷の一番奥の大きく開かれた窓の外を見て呟く。

 

「そろそろ姿、見せてもいいんじゃない?お嬢さん?」

「やっぱり、人間って使えないわね」

 

霊夢の前に紫色の髪に赤い目を持った少女が現れた。ピンクのドレスに赤いリボン、ピンクのベットキャップをしており、その背には蝙蝠を思わせる羽があった。

 

「さっきのメイドは人間だったのか」

 

いや、霊夢は普通に知ってるでしょ、なんて野暮なツッコミもない。

 

「あなた、殺人犯ね」

「一人までなら大量殺人犯じゃないから大丈夫よ」

 

一人でも殺したら殺人犯ではあるがそれにツッコミを入れる青い少女も居ないので話はそのまま続く。

 

「で?」

「そうそう、迷惑なの。あんたが」

 

びしっとお払いの棒で少女を指す。すると、少女が笑った。

 

「短絡ね。しかも理由が分からない」

「とにかく、ここから出ていってくれる?」

 

それは暴論ではないだろうか?

 

「ここは、私の城よ?出ていくのはあなただわ」

「この世から出てってほしいのよ」

 

その言葉に彼女は少し呆れたような表情をして言い返す。

 

「しょうがないわね。今、お腹いっぱいだけど……」

「護衛にあのメイドを雇っていたんでしょ? そんな、箱入りお嬢様なんて一撃よ!」

 

自信満々に言い切った。彼女は返す。

 

「咲夜は優秀な掃除係。おかげで、首一つ落ちてないわ」

「あなたはつよいの?」

 

素直に首を傾げる霊夢、その言葉に少女は苦笑した。

 

「さあね。あんまり外に出して貰えないの。私が日光に弱いから」

 

そのまま弾幕を一発放つ。

 

「……なかなか出来るわね」

 

霊夢が笑った。でもそれもつかの間、今度は呆れたような表情をする。彼女は反対に笑った。

 

「こんなに月も紅いから/のに」

 

少女は指を霊夢はお払いの棒を相手に向ける。

 

「楽しい夜になりそうね/永い夜になりそうね」

 

 

―― 少女探索中。

 

 

僕たちは暗い地下を彷徨っている。

 

「それにしてもどこまで続くんだぜ?」

「うーん、奥深くまで 狂気が埋もれるくらいまで」

 

それからあの子が壊すものがなくなるくらいまで。そう呟けば、魔理沙がちょっと振り向く。

 

「へぇ、今日の明乃は随分と詩人だな」

「まあね、頭痛いし」

 

『呼んで』いる誰かはすぐ傍に居るって確信できた。それにこの地下……多分そうなんだろう。そう考えていると目の前に金色の髪に赤い目、赤い服の女の子が現れた。あの子、フランだ。

 

「おまたせ」

 

フランが笑う。心の底から楽しそうな笑みを浮かべている、でもその笑顔はちょっと狂気じみている気がした。

 

「あんた誰?」

「人に名前を聞くときは……」

 

ジロっと目線で訴えるフラン、魔理沙は気が付いたらしくてあっちゃあと笑った。

 

「ああ、わたし? そうだな、博麗霊夢、巫女だぜ」

「見事に嘘吐きだね。魔理沙さん(巫女には無理があるでしょ、色んな意味で)」

「フランドールよ。 魔理紗さん(巫女は無理があるわ)貴女は?」

 

そんな典型的な魔女っ娘姿をしておいて巫女とか無理がありすぎると思うけど。まあ、そこまでのツッコミは野暮ってもんだよねぇ。僕はあらかじめ用意しておいた名前を名乗った。

 

「通りすがりの氷精の娘だよ」

「あんた、なにもん?(看護婦の方が良かったか?)」

「(そこじゃないと思うんだけど)」

 

なぜそこで看護師になったのさ? 僕らの漫才じみた話なんて無視してフランが言った。

 

「わたしはずっと家に居たんだ。あなたがこの家に入りこむ前もね」

「居たっけ?」

 

少なくともこの道中ずっと見ていないよ。うん、だって地下に居たんだもの。

 

「ずっと地下で休んでいたの、495年くらいね」

 

そこまでずっと閉じ込められていたんだ。495年、気の遠くなるような時間だ。それをこの暗い地下室で、多分僕だったら気が狂って……いや、君は気が触れてるんだっけ?

 

「いいねぇ、わたしは週休二日だぜ」

「さっきアキノとやり取りしているの、聞いていたよ」

 

フランの口から僕の名前が出てきたことに驚きつつ、僕に魔理沙は聞いてきた。

 

「アキノ、知り合いか?」

「まあ、色々とね」

 

夢で逢ってますなんて言ったところで信じてもらえるわけがない。まず説明する気もないけど。

 

「わたしも人間と言うものが見たくなって、外に出ようとしたの(違うのわたしが願ったのはそんなものじゃない)」

 

唐突にフランの心の声が響いてきた。ああ、やっぱり君は………。

 

「良かったじゃないか。 ほれほれ、思う存分見るが良い」

「一緒に遊んでくれるのかしら?(逃げて)」

 

フランの心の声が強くなる。でも、彼女の口は心の声とは全然違うことを言う。

 

「いくら出す?」

「コインいっこ(逃げて)」

 

さらに強くなった。ああ、彼女はわかってる。ここに来てしまった新しいおもちゃ(にんげん)を自分がどうしてしまうのかを。

 

「一個じゃ、人命も買えないぜ」

「あなたが、コンティニュー出来ないのさ!(おねがい、逃げてっ!)」

 

いきなり頭痛が強くなる。フランの心の声が反芻されて頭の中がめちゃくちゃにされそうだ。

 

「え、ちょ……あ」

 

ぐらりと僕は箒から落下した。でも、地面に激突する前に意識がホワイトアウトした。

 





紅魔郷 EX時の魔理沙の台詞のかっこよさは異常だと思う。

ウチの明乃さんはよく気絶する気がする。

そういえばファイナル咲夜様の『東方現氷精』のコラボ二話が上がってます。ぜひそちらもご覧ください

コソッ |。O)oO(コラボやってやってもいいぜって方は感想またはメッセージでどうぞ)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。