フランと対峙しようとしたその時、ガクリと明乃が箒から落ちそうになった。
「お、おい 明乃?!」
慌てて魔理沙が受け止めるがそのままの体制でぐったりとする。
「……気絶してるし」
そこへ知った声がした。
「ちょっと、白黒!」
メイド服、咲夜だ。そのままひょいっと明乃を咲夜に投げ渡す。
「よー、メイド長 悪いけどしばらく明乃を頼んだぜ」
「え、あ………」
そのまま飛んで行ってしまった魔理沙の後姿を見ながら咲夜が呟く。
「あいつにも逃げろって言いに来たのに」
―― 少女気絶中。
ここ、どこ?
荒れた大地、あの地下室ともまた違う。深い深い深い深い深い狂気がそこに満ちていた。
呆然としていると何処からか弾幕の気配がした。
「っ」
襲ってくる毛玉らしきものの弾幕を避けて、自分の弾幕で撃ち落としながら宙へと浮かび進む。
「何処なのさ、ここ?」
呟いたところで誰も答え/応えてなんてくれない。答えてくれる誰かはここには居ないのだ。
いつの間にか景色は変わる、進みながらふと、ここは見覚えがあるような気がしてきた。赤で覆われ、窓の少ない廊下、豪奢なシャンデリラの飾られた大広間、無限のような冊数のある本棚、先ほどまで見ていたものばかりがそこへ並ぶ。
「……館の中?」
でも少しおかしい、窓の外の景色がない。まるで館の中に閉じ込められているような。そんな感じがしだした。
さらに景色は変わる、窓も扉も見えない暗い地下室、僕があの子と会っていた場所だ。でもあの子は居ない。そこに居たのは……
「アソボウ?」
狂気だけが固まったような人影だった。それでも、まあ、
「……いいよ」
僕は『応えた』
―― 少女応答中。
「くっ、やるわね」
「当然でしょう?」
先程はあんなに自信満々だった霊夢だが、ところどころに怪我を負っていた。決して霊夢が弱いわけではない、この館の主である少女はそれほどに強いのだ。
弾幕を張りつつも二人は会話をする。それくらいの余裕はあるようだ。
「はぁ、なーんかあんたのその態度気になるのよね」
「あら、急にどうしたのよ。遺言か何かかしら?」
霊夢がハッと言って続ける。
「そんなわけないじゃないわ。『アンタが異変の犯人である』これは正しい、でも『アンタが異変の元凶である』は正しくない気がするのよねー。明乃、こっちに来ないし」
「?」
霊夢の言ったことがわからなかったのか、少女は首を傾げた。
「アンタさ、誰かのためにこの異変起こしたんじゃないのかしら? 例えば、地下室に居る誰かさんのため?」
「っ」
図星だったようで少女の弾幕が少し鈍る。霊夢が嬉しそうに手を叩いた。
「あら、正解したわ。よし、じゃあアンタを倒してその元凶の顔を拝むとするわ」
「フランには手を出させないわよ」
神槍『スピア・ザ・グングニル』
神々しい槍が彼女の手に現れる。どうやら弾幕による勝負ではなくなるらしい。
「ふぅん、そう。でも」
宝符『陰陽宝玉』
霊夢も臨戦態勢に入る。しかし、その表情は先ほどとは比べ物にならないくらい自信に満ちていた。
「そうはいかないわよ。あいつらのこと心配だし、おまけに勝負は負けそうだし、私意外と賭け事好きなのよ」
―― 少女弾幕中。
禁忌『カゴメカゴメ』
僕を囲うような形で並べられた弾幕が一斉に解き放たれた。その間をどうにか縫って進む。
「やっぱり一筋縄じゃいかないか」
ぼやきながらも彼女の様子を見てみた。キャハハと笑いながら、次のスペルカードを取り出そうとしている。確かにチルノが言った通り正気じゃない吸血鬼を相手にするのは疲れる。
「オネエチャン、モットモットモットアソボウ?」
「はぁ、ま 付き合うけどね」
フランの狂気は本人が言っていた以上に強力だ。でも、これに勝たなくちゃいけない気もする。だから僕は遊ぶ/殺すのだ。
しばらく散弾的な弾幕やスペルカードが続く、上手い反撃のチャンスが見いだせない。
QED『495年の波紋』
うわ、かなり凄いのが出てきた。かわそうとするけれど、もうそろそろ限界に近い。しょうがないか、僕もスペルカードを取り出し宣言する。
極氷術『アイシクルエデン』
氷がすべてを覆っていく。自分なりに作り上げたボムだ。ぶっちゃけて言うのなら、いつまでも魔理沙に頼るのもよくないかなって思ってたからちょうどよかったのかもしれない。
全てが氷に変わった後、フランの狂気が呟いた。
「アーア、マケチャッタ。オネエチャンノカチダヨ」
その姿はさっきまで狂いきっていた狂人とは思えないほどだった。むしろ理性に満ちているようにも思えた。
「
そう言ってフランの狂気は消え去った。一瞬だけだけど彼女は笑っていた気がした。
―― 少女覚醒中。
「アハハハ」
フランが笑ってスペルカードを取り出す。魔理沙は随分とボロボロだ。
秘弾『そして誰もいなくなるか?』
次々と弾幕が襲ってくるが魔理沙はギリギリで避け続ける。
だが、それも危うくなっていく。さらにフランはもう一枚スペルカードを取り出した。
禁忌『レーヴァテイン』
業火の槍が魔理沙に迫りくる。しかし、その間に割って入る人影があった。スペルカードを掲げ、高々と宣言する。
氷盾『アイシクルイージス』
氷で出来上がった神代の盾が業火の槍の速度を遅くさせる。その間にその人影は魔理沙を連れて少し後ろへと逃げ出していた。
「やー、魔理沙」
「明乃?!」
気絶していた明乃がいきなり現れたのだ。誰でも驚くだろう。
「この弾幕勝負、僕に任せてくれない?」
明乃はにっと笑ってそう言った。
―― 少女復帰中。
一方、霊夢の方は……
「私の勝ちね」
「くっ」
霊夢と少女の勝負は霊夢の勝ちだったようだ。
「さて、行きましょう?」
「え、なんでよ」
差し出された手を見て、少女は目を見張った。
「事の顛末を見るのは悪役の務めじゃないのかしら?」
「なによそれ」
そんなことは初めて聞いただろう。
「まあ、私は一人で見に行くのもいいけどね。でも、アンタの妹どうするのよ」
「っ」
慌てて少女は移動しようとするが怪我が痛むらしく、すぐに苦しそうな表情になった。
「ほーら、結構怪我酷いんだからゆっくり行かないと大変ね」
―― 少女移動中。
「さて、無事に引き継いだことだし。本当の弾幕勝負見せてあげるよ」
霊夢は「弾幕は美しさが命」だって言ってた。それに弾幕は殺し合いの道具じゃないとも、だったらさっきの魔理沙への攻撃はルール違反のはずだ。
僕がフランにそう言えば、フランはちょっとだけ苦しそうな顔で言った。
「今度はアキノが遊んでくれるの?(アキノ、逃げて)」
「まあね、君と遊ぶのは二度目だしどうにかなるよ。それに逃げたら『応えた』意味なくなるし」
お互いに距離を取る。魔理沙も無事なところへ移動してもらった。後は思う存分やるだけだ。そう思ったら、フランがすぐにスペルカードを取り出し宣言した。
QED『495年の波紋』
またか、そう思ったけどやっぱりそれどころの問題じゃなかった。必死にかわす。
だけどまたギリギリになりかけて、やっぱりボムを使ってしまった。
氷星『アイシクル・スターダスト』
こっちも新作、流れ星がイメージにあるんだよね。それから作った。ただし、これに触れた弾幕は全て凍るけど
この弾幕がラストスペルだったらしくて、凍らされた弾幕を見てフランは呆然としていた。
「どう? 結構きれいでしょ。僕の弾幕、弾幕勝負は美しさが命、勝負が終わったら笑って宴会しようよ。ね?」
「アキノ……」
フランの目からぽろぽろと涙がこぼれだす。え、ちょ何で?!
「アキノォォォ」
「ふぇっ、うわっ?!」
フランに抱き着かれた。そのままフランはえぐえぐと泣いている。僕は一体どうすれば?
「フラァァァァン」
そこにさらに誰かやってきた。物凄くボロボロな女の子だ。紫の髪にピンクのドレスにベットハット?を被っている。この子はいきなり僕ごとフランを抱きしめた。
うわぁぁぁと泣き続ける二人にどうすればいいのかわからずおろおろするだけの僕だった。
明乃さんの能力って絶対にチート……じゃないですよね。普通に相手の能力をコピーできるとかそういう能力の方がよかったのかなって思う今日この頃です。
スペカ紹介
極氷術『アイシクルエデン』
・名前の元ネタは某龍を狩るRPGの氷の上級呪文
・文字通り氷による楽園を作り上げる(要は周囲を凍らせるだけだけど)
・ボム
氷星『アイシクル・スターダスト』
・元ネタは特になし
・明乃の言った通り、青白い流れ星をイメージしてもらえるといい
・弾幕凍結効果あり、ラストスペルの場合は強制戦闘終了、つまり自動勝利
氷盾『アイシクルイージス』
・東方現氷精のチルノより継承(コラボ参照)
・神代のギリシャの盾がモチーフ
・ただし氷製なので高温の弾幕(今回のレーヴァンテインとか)になると溶けるかもしれないので注意。